2013年3月24日日曜日

WORK SHIFT: リア充への処方箋

ワーク・シフト」を読了しました。ロンドン・ビジネススクール教授、リンダ・グラットン(Lynda Gratton) の著作です。

本書は未来の働き方を予想した本で、予想される未来においてどういった職業選択をすればリア充になれるかという内容の本です。

これからの社会は、

a) テクノロジーの進化
b) グローバル化の推進
c) 人口構成の変化と長寿化
d) 社会の変化
e) エネルギー・環境問題の深刻化

による影響をモロに受けて、労働市場におけるグローバルな競争が激しくなり、リチャード・フロリダの言う「スパイキーな社会」が到来するだろうと著者は予測しています(リチャード・フロリダの著作がしばしば引用されている)。

すなわち、各国でクリエイティブ・クラスとマックジョブの二極化が進行すると予想しているようです。世界のさまざまな地域の人々にチャンスが開かれる一方で、もともと有利な状況にあった国(先進国)の人々は過酷な試練を突きつけられる。要はグローバルに同一労働同一賃金が具現化するといった社会の到来です。

「スパイキーな社会」が到来した場合、「リア充」なライフ・スタイルを謳歌するためには、価値観を次のように変えなければいけないと言います↓

A) 専門技能に土台を置くキャリア形成=知的資本の強化=ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
B) コクリエーション=孤独な競争から「協力して起こすイノベーションへ」
C) 大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ

まあ、現代人の価値観を、「ゼネラリスト志向」、「孤独な競争」、「大量消費」と十把一絡げにするのは既に古くさい考えでいかがなものかと思うし、提示されている新た(?)な価値観もはっきり言って陳腐だけど、まあ、独自の強み(エッジ)を研いでおく必要があるのは確かだと思います(未来に必要というより、今すぐ必要だよね)。で、リア充向け職業に必要な用件は次の3つで↓

i) その技能が価値を生み出すことが広く理解されていること
ii) その技能の持ち主が少なく、技能に対する需要が供給を上回っていること(希少性)
iii) その技能がほかの人に模倣されにくく、機械によっても代用されにくいこと

になると言います(っていうか当たり前)。

で、これらのことから導き出される著者推奨のお仕事は以下の7つです↓

(1) 草の根市民活動家 (少なくとも、日本では懐疑的と思う)
(2) 社会起業家 (微妙な気持でいっぱい)
(3) ミニ起業家
(4) 生命科学・健康関連(ディフェンシブなニーズがあるよね)
(5) 再生可能エネルギー関連(シェールガスやメタンハイドレート系の技能も伸びるのでは?)
(6) 創造性・イノベーション関連 (クリエイティブ・クラス)
(7) コーチング・ケア関連 (ケア関連はマックジョブくさくね?)

ボク的にはかなり懐疑的なものもあるけど、要はクリエイティブ・クラスがウハウハできるから、「リア充」になりたかったらクリエイティブ・クラスを目指しなさいってことでしょう(これは未来に関係なく、現在もそうでしょ)。

著者の語る価値観のパラダイム・シフト的な話は陳腐で、途中で挿入されている幾編かの近未来小説も堺屋太一の「平成三十年」を軽く想起させられる程度に真新しいものではないような気もするし、やけに新興国贔屓なのも新興国を過大評価し過ぎだと思いましたが、クリエイティブ・クラス志向と、それに伴って創造性の創出には「遊び」が重要だと述べている点についてはシンパシーを感じました。

「遊び」が重要なのは、遊ぶことにより、普通は接点のない要素が組合わさるからであり、クリエイティブ・クラスは遊ばなければ高度な専門技能を磨けないと言います。

で、「遊び」の定義って具体的の何なのって話ですが、仕事が遊びになるのは次の4つで↓

1) 普通はやらないことをする場合(逸脱)
2) 普通やっていることをやらない場合(回避)
3) ものごとを普通より極端にやる場合(強化)
4) 社会生活の普通のパターンをひっくり返す場合(逆転)

なんだそうです。皆さんも明日から職場で遊んでみませんか?

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