2006年5月24日水曜日

企業の儀式

企業という組織には実に様々な儀式(Ceremony)が存在します。例えば、

1) 会議:
世の中には内容のある会議も存在するのでしょうが、コンキチは
a) 報告会 (研究課題について議論する場。但し、その場で新たな意思決定がなされたり、ScientificなDiscussionが行われることはほぼ皆無です。すなわち、上位職位の自己満足の為に行われる既定路線の確認会です。)
b) 連絡会 (単に上意下達の場。より上位の会議等での決定事項を下々の者に報告する場でしかありません。)
といった類の会議しか出たことがありません(ザコキャラなので)。はっきり言ってしまえば回覧(Mail)で事足りる(と思う)のですが、「会議を実施した」となれば、なんとなく仕事をした気になれますし、「議論をした」という実績作りの儀式の為に開催されます。
また、下位職位の反対意見はかなりの確率で、議論なくして却下され、声の大きい上位職位の人間の意志が反映されます。そして、レジュメが事前に配布されることもなくかなり非効率的です。
しかしながら、そう悲観することはありません。会議中はその場にただ存在しているだけで給料が支給されるというエンペラータイムであり、コンキチは(自分にとって有益な)空想の時間として使用しています。
まるでどこかのビジネス書に(悪例として)でてくる話ですが、それが改善されることは(コンキチの目からみて)ありません(だって面倒くさいでしょ)。

2) 人事考課:
コンキチは人事考課に係る面接を5min以上行ったことがありません。なぜなら、コンキチは無駄に時間を費やす趣味はないからです。人事考課能力(人材マネジメント能力)の無い上司とまともに議論しても意味ないでしょ?コンキチの勤務する会社は、最近流行りの成果主義(もどき)型賃金処遇制度を昨年度から全従業員に導入しています。しかしながら、
a) 降格人事が無い。
b) 属人的要素が大きい(家族手当、住宅手当、利子補給、社宅補助完備。いい会社です。)。
c) 年功要素が大きい(40歳まで自動的に給料がUP↑能力主義ベースの賃金体系に見られる能力給相当部分が成果給に名称変更され、能力給(=成果給)部分の定昇スプレッドが細分化され賃上げ幅をフレキシブルに抑制できるようにモディファイされている。)
d) 成果を測る仕組みがない(フィーリングO.K.評価。考課者訓練は年1回未満で満足。当然、口先だけのコミットメントになる)。
e) コンピテンシー(Competency)による評価がない(名選手=名監督にあらず)
等の欠陥がある制度です。「ハハーン、人件費抑制作戦に出たな」というのがミエミエです。事実、有価証券報告書をみると、過去最高益を更新し続けているにも関わらず、従業員の平均年間給与(時間外手当込み)はジリジリと減少しています(企業業績と人件費が連動していないことの証左です。まあ、利益と費用はトレードオフの関係ですけどね)。よっぽどお人好しな人間で無い限りロイヤリティーは低下するはずです。
それでも悲観することはありません。支払われる給料分とバランスするだけの労働力を提供すればいいだけですから。

3) 安全活動:
(一応)コンキチの勤務する会社では「安全第一」を掲げていますが、はっきり言ってウソです。以前、労使協議会の書記をやったときの話ですが、(当時の)工場長が、「安全第一とは言っているが、生産第一だ。今の発言は議事録から省いておいてね。」みたいなことを言っていましたから。それから、社内には「安全のルール」なるものが存在しますが、皆適度にルールを破ることでなんとなく運用されています(ルールはやぶるためにありますから)。だって安全活動は対外的(特に親会社)に「当社は安全に十分配慮していますよ」ということをアピールするためだけやっているパフォーマンスですから。管理者は、「労災さえ起こらなければAll O.K.」と思っているに違い有りません(だって責任取りたくいないだけだから)。バレなければ何をやったってO.K.というどこかの国の悪しき慣習と同じことです。

4) ISO(International Organization for Standardization):
近年、ISOの認証取得が流行っています。そして、コンキチの所属している事業所では、ISO14001(環境マネジメントシステム規格)を認証取得しています。そのため、コンキチが所属している部署(有機合成系)では、環境負荷低減を志向したプロセス設計について話し合います。

内容
a) メンバー/ 9人
b) 所用時間/ 10min以内
c) 資料/ 用意した試しが無い
d) 実施回数/ 月1

研究員が9人も集まっているのにお寒い限りです。というかやる気ZEROです。
Green Sustainable Chemistryの基本のキであるE-ファクターや原子効率なんていう概念に基づく定量的評価なんて話題にも上りません。だって面倒くさいから。とりあえずISO14001に係る会議を継続して行っているという実績作りさえできればよいのです。
人間形から入ることが重要なのです。

5) 説明会:
従業員への周知徹底を目的として全社的な説明会が開催される場合があります。この場合、大抵は本来従業員が知っていて当然のことを改めて繰り返すだけです。例えば、半年程前「企業年金説明会」なんてものが、みずほ年金研究所のコンサルティング部長さんを招いて行われました。内容は厚生年金、厚生年金基金、適格退職年金、退職一時金、確定給付年金、確定拠出年金を軽くジャブ程度に説明しただけのものでした。はっきりいって社会人の常識以外のなにものでもないことを説明されただけでした。
まあ、適格退職年金の廃止に伴って移管措置をとらなければならないので、それに向けてのセレモニーなんでしょうが、全く意味がありません(爆睡してたヤツもいたし)。
ちなみにこれも、その場に存在しているだけで給料をGETできるエンペラータイムなので、その辺をわきまえてこのような説明会の場を有効に活用しましょう。

etc.

他にも細かいのがいろいろと有りますが、会社は(意味の無い)儀式(Ceremony)が(何故か)大好きです。

それぞれの儀式(Ceremony)の特性を見極めて、自分の都合の良いように使いこなせるようにしましょう。

2006年5月18日木曜日

研究員を雇う意味

企業(化学工業)が研究員を雇う意味ってなんでしょう?
コンキチはこう思います。

イノベーション(Innovation)を起こすため

カビの生えた製品をバカの一つ覚えの製法で作り続けていて存続し続ける企業(化学工業)はこの世には存存在しないでしょう?

そんなことをしていたら、同業他社が、

a) 同じモノをもっと安く(圧倒的に安く)作る技術を開発します
b) もっと高性能な(これまでにない画期的な)新製品を開発します

そして、市場は同業他社に占有されてしまうのです(だって化成品にはブランド力なんてありませんから)。

同業他社に、マーケットシェアを奪われ、市場から淘汰されたくないあなたの勤務するする企業は、

a) 同じモノをもっと安く(圧倒的に安く)作る技術を開発します
b) もっと高性能な(これまでにない画期的な)新製品を開発します

そして、この目標を達成するために、

a) 同じモノをもっと安く(圧倒的に安く)作る技術を開発します = プロセス・イノベーション
b) もっと高性能な(これまでにない画期的な)新製品を開発します = プロダクト・イノベーション

という知価を創造できる能力のある人材を雇用します。そう、それが巷でいわれる研究員なのです(多分)。

はっきりいって、プロセス・イノベーションと プロダクト・イノベーションのできない会社は、そこで雇用している研究員の質が低いと言わざるを得ません(自分でいっていてドキっとします)。そんなことでは、あなた(という研究員)のいる部署はアウトソーシング引き受け部門になってしまいますよ。(多分)

あなたの会社(or 部門)ではイノベーションは起こっていますか?
(研究員の質が低いため、やむなく)既存製品の製造プロセスの矮小な改善によるコストダウンばかりやっていませんか?
そんなことばかりでは、インフレ率とともに上昇し続ける人件費を吸収しきれませんよ!(多分)

イノベーションを具現化できない研究員は給料ドロボウです
(自分でいってて耳が痛いです)

とまあ、偉そうなことを行ってみても、わたしは二流大出のしがないヒラ研究員ですから.....

2006年5月17日水曜日

ある香料会社の懲りない(研究員の)面々

コンキチはなんちゃって研究員です。自分で言うのもなんですが、かなり「なんちゃって」がはいっています。そして、一日でも早くリタイアすることが人生の目標だなんて嘯くやる気無し夫です。それでもコンキチがクビにならずにいられるのはそれなりの理由があります。それは、他の研究員がもっとなんちゃってだからです。例を挙げます。

1) 人名反応がさっぱり分かってない先輩&後輩(修士)。
2) いちいち上司から反応条件(モル比、反応温度とか)の設定の指示を受けてからでなければ実験できない先輩社員(修士)。
3) NMRのカップリングの意味をよくわかっていない上司(学卒、それでもアメリカ留学経験有り)
4) Chemical Abstractの存在を知らない先輩(修士)
5) GC分取したサンプル(超微量)をいきなり13C NMRで分析して、「シグナルがでない」っていう分析セクションの研究員(修士)
6) 分析条件を控えておかない人々(多数)
7) 目的物のアミンを酸で処理して水相におとしておいて、有機層に目的物が何も無いという先輩(学卒)。
8) 塩化水素の酢エチ溶液を裏庭に捨てた三菱化学から転職してきた先輩
9) エクセルに関数が入っていることを知らない上司
10) 「拝啓」ではじめて、「以上」でしめくくる手紙を書く先輩(しかも時候の句もなし)
11) 「無水酢酸」と「氷酢酸」を間違えた先輩(修士)
etc.

こんな人たちでも立派にJASDAQ上場企業の研究員になれるのですから笑えます(っていうか笑えません)。こんなセンスの無い人たちでもクビにならないんですから、コンキチも気が楽ですよ。

っていうか、上場企業の研究員がこんなんでいいのでしょうか?

2006年5月16日火曜日

私はサラリーマン

私は企業の(なんちゃって)研究員です。そして、自分では自分のことを(残念ながら)研究者だとは認識していません。

「研究員」と「研究者」。世間一般の定義はおいといて、コンキチ流には
1) 研究員→肩書き的名称。
2) 研究者→(理系の場合は自然科学の)真理を探求する者。研究を通して自己実現を志向する者。
と定義付けされます。

研究者は就社に伴い給料と引き換えにその魂を(雇用主に)売り渡し、サラリーマン(企業の研究員)へと成り下がるのです。

そもそも、企業に就社し労働者となることで様々な制約に縛られることになります。法律(労働基準法とか)に縛られ、労働組合(コンキチが勤務している会社は労使間でユニオン・ショップ協定を締結しています)に縛られ、人間関係(気難しい上司とか)に縛られ、研究テーマ(会社の方針)に縛られ、「純粋に研究活動を通して自己実現する(=コンキチの定義する研究者の活動)」ことは困難を極めます。

それに、我々企業の研究員に求められるものは、「正しいこと」では断じてありません。上位職位にある人間(上司)が望むこと(正しいか正しくないかは全く関係ない)が求められるのです。また、効率的に仕事をしても往々にして高い評価は得られないでしょう。高評価を得るためには(非効率的な)残業の量がモノをいいます。だって、考課者(上司)に(労働)時間以外のファクターを評価する能力なんてありませんから。それに、古い人間は「一生懸命やってます」といった浪花節を好みます(ただ単に一生懸命やることと成果には何の関係もありませんが...)。「楽して勝つ(=効率的に成果を挙げる)」は認められません(テーマが簡単だったんだねということになる)。この辺でモラールが低下します。

ついでに言わせてもらえば、残業(時間外労働)時間には法定で(確か)25%の割増賃金が支給されます(ちなみにコンキチの勤務する会社では33%)。ということは、割増分の効率で仕事ができなければ、もしくは割増分に見合う時間を買うことができなければ残業する価値は無いはずです。普通の人(凡人)の集中力ってどれくらい持続するの?という至極単純な問いによって、25%増しの効率で残業を行うことなど皆無に等しいということが分かります(無駄な残業っていうことですね)。また、残業してまでも時間を買わなければならない機会って何? & そう頻繁にあるの?(コンキチは無いと思いますね。単にタイム・マネジメントが下手なだけなのでは?)。本来、評価は単位時間当たりの生産性(成果)をもってなされるべきだと思うのですが(当然残業時間分は割増率で割り引きます)、そんなことは7年間勤めてきて一度もありませんでした。しかしながら、そのことを責めてはいけません。コンキチが考課者だったらそんなめんどくさいことしたくないですから。

このようにモラールダウンにモラールダウンが重なり、真理を探求するという高邁な理想は地に落ち、「いかにして効率的(会社にとっては非効率的)に給料をGETするか」ということが焦点になってきます。こうして「沢山仕事(無駄な残業)をして割増賃金をGET」+「一生懸命やっている(フリ)をさりげなくアピールして上司の心証UP↑でボーナス査定GET」=ウハウハ年収UP↑という黄金スキームが完成します。

以上、研究者の目的は「研究を介した自己実現」から「Cash」にシフトし、サラリーマン研究員が製造されていくのです(多分)。

だから私はサラリーマン。企業の研究員なのです。

2006年5月14日日曜日

Macintoshという生き方

研究員に(ある程度の)パソコンスキルは必須です。実験データ解析には「Spreadsheet」を使いますし、報告書の作成には「Word Processor」が必要ですし、プレゼンレーションには「Presentation software」を使います。情報収集には「Web Browser」上で検索クエリーを駆使しなければなりません。コンキチのような化学系の研究員はChemDraw®なんていう分子作画ソフトも使ったりします。さらに、分析機器(NMR、GC、UV、Calorimeter等)専用のデータ解析用ソフトウェアなんていう
使い勝手の悪い
ソフトも使う羽目に陥ります。

そんな訳で、会社にはパソコンが用意されていてます。そして、そのOS(Operating System)はご多分に漏れすビル・ゲイツ(Bill Gates)率いるMicrosoftのWindowsなのです。

これは非常に嘆かわしい現実です。なぜなら、WindowsはMac OSの出来の悪い模倣品だからです(この辺はコンキチの独断ですが)。例えば、GUIはMac OSの方がWindowsよりずーっっっと高精細にしてセンスがいいです。正直言ってコンキチはWindows OSのふやけたGUIには我慢なりません。さらに、Macはクリックボタンは一つしかないので、Windowsの様に右か左か迷う必要はありません。ショートカットキーも発達しています。ついでに言うと、MS OfficeはもともとMacintoshネイティブだし、化学系のマニアックなソフトウェアもかつてはMacintosh用しか無かった時代がありました(ChemDraw®とかCache®とか)。そしてなにより重要なことですが、「Macは使っていて楽しい(何故ならCreativeな造りだから)」のに対して「Windowsは楽しくない(センスのない造りだから)」のです。

あなたがルーティンワーク主体のしがないホワイトカラーなら、仕事上で支給されているマシンがPC/AT互換機であっても満足していて良いでしょう。しかしながら、あなたがCreativeな仕事に従事する真の研究員であるならば、これは非常に由々しき事態に他なりません。なぜなら、Creativeな仕事にはCreativeな人間が必要で、Creativeな人間にはCreativeな感性が必要です。そして、Creativeな感性の持ち主はCreativeなツールがを選択して使用します。逆に愚鈍なセンスのツールはCreativeな感性を侵します(多分)。

数年前、コンキチは京都で行われた国際カンファレンスに参加する機会がありました。そこでは、Sharpless(2001年ノーベル化学賞受賞) やGrubbs(2005年ノーベル化学賞受賞)といった蒼々たるメンバーがMacintoshを駆使して、PowerPoint®でプレゼンテーションを展開していました。つまり、ノーベル賞を受賞するほどのCreativeな感性を持つ人間は、Windowsではなく、よりCreativeなMacintoshを選択しているという事実が明らかになったのです。

悲しいかな世の中の流れはそれとは逆行しています。コンキチが入社した当時、研究室のパソコンは全てMacでした。しかし、今は全部Windowsに侵蝕されてしまいました。でもそれで良いのです。なぜなら、世の中Creativeな感性の持ち主はそうはいないからです(もし、世の中の人間が全てCreativeな感性を持っていれば、世の中もっと素敵になっていると思いませんか?)。大衆はセンスがないのです。そして、世間の大半はセンスの無い大衆で占められています。そういいった訳で、センスの無い大衆の蔓延る企業内で使われるマシンをMacに変更することはかなりハードルが高いと思われます(実際問題そのスイッチングコストは単純な入れ替えに要する金額以上に莫大でしょう)。しかしながら、救いはあります。ズバリ、自宅のプライベートマシンぐらいはMacintoshを使いましょう。

ちなみにコンキチのプライベートマシンはiBook G4です。以前は、PowerBook G3 333/14 (Lombard)を使っていたのですが、1年前に壊れたので買い替えました。あとMacだけっでは世の中の
愚鈍な
大衆に完全に合わせることができないので、セカンドマシンとしてVAIO C1を使っています。でも、PC/AT互換機の中では最もセンスが良い(と思われる)Sonyのノートを選択しました。

結論です。もしあなたがCreativeな仕事にWindowsを使って従事していて、かつプライベートでもWindowsマシンしか所有していないなら、今すぐMacintoshを購入しましょう。MacBook ProならWindows XPも起動します。

以上、某二流大学出身のしがない企業の研究員の戯言でした.....

2006年5月13日土曜日

(企業の)研究員になる方法

コンキチ(わたし)は理系出身(一応理工学研究科応用化学専攻修了)です。(大方の)理系の学生が志向する職業の最終形態は、ズバリ「研究員」だと思います。だって、それ以外の職種では理系の研究室で学んだ専門的スキルを十分に発揮できないですから。

しかしながら、理系の大学をでた人間がすべて研究というJOBを獲得できるかというと、全くそんなことはありません(余談ですが、工学部の大学院修士課程を修了して、未だにフリーターをやってる同期もいます)。

まず、4年(最終学歴=大卒)で大学生活を終え企業に就職するケースでは、研究員になることは、今のご時世ほぼ皆無といってよいでしょう(多分)。MR、(普通の)営業、工場勤務、etc.なんていうケースが関の山なのではないかと思います。ちなみにコンキチの勤務する会社では、大卒の研究員は皆無。殆どいません(大昔に入社した人はその限りではないですが)。

学卒(Bachelor)では、実際に研究活動に従事する期間は大学4年生の1年間のみなので、知識、研究の進め方に係る方法論が決定的に不足しています(但し、旧帝大級の超頭の良い大学はこの限りではないかもしれません)。ついでに、大学で身につける専門分野は4年生になって研究室に配属されてからのみ身につけることができます。それに対して企業の採用活動は、早ければ研究室配属前(将来取得するであろう専門分野が未定のとき)に終わってしまいます。ということは必然的に、企業は自社の特性に合った専門的スキルのある人材を現役学卒者の中から採用することは不可能であるという結論が導きだせます。まあ、学卒で研究者になれるというケースはレアケースであり、なれたとしてもそれに見合った能力がないと辛い人生になりそうですが.....

香料会社にはパヒューマー(parfumeur)やフレーバリスト(flavorist)といった研究職(?)もありますが、こちらは院卒が必須要件ではありません。そもそも、調香師を育成するような大学の研究室なんて(国内には多分)ないだろうし(嗅覚のメカニズムを研究しているところはあるようですが)、研究(R&D)というよりも職人的(mister)といった方が適格でしょう。ただ、こちらは普通の研究員になるよりも狭き門というのが現実でしょう。

あと、味○素に短大卒で入社して、(多分会社の金で)学位を次々に取得し、最終的には論文Doctorになった人を知っていますが、これはお父さんが超エラい教授だったという裏技なので普通の人は真似できません(ちなみに博士論文の内容は修士以下=学士並みでした)。

次に修士(Mater)までいった場合ですが、「修士をとって企業に就職して研究員になるケース」というのが企業で働く研究員の王道です。コンキチもこのパターンで研究員になりました。

修士は実質的研究従事期間は3年(学卒の3倍)。その間、学会発表や論文執筆をこなさなければなりません。ちなみにコンキチの配属された研究室では、学会発表+論文投稿が2件以上でないと単位をもらえないといった暗黙の了解がありました。卒業するのに超えなければならないハードルは学士よりもかなり高いと言えるでしょう。
そして、専門分野が確定して、何となく実力もついてきた修士1年が終わるころに就職・採用活動が行われる(と思う)ので、採用側である企業が求める専門的スキルと就職活動者の持つ専門スキルのマッチングが容易になります。
また、研究室の指導教官(教授)が(共同研究している)企業との強力なコネクションを持っていれば、就職口を斡旋してもらえます(ちなみにコンキチは山○内製薬(現アス○ラス製薬)とク○レだったら紹介できるよと言われました。先生の紹介で日本ゼ○ン、日○ケミファ、山○薬品工業、日○化学工業、ミ○シ油脂に就職した先輩もいます)。

最後に博士(Doctor)までいった場合ですが、これはちょっと話が複雑になります。
0) ドクターコース(博士課程)に進むことが難しい。
語学に堪能で、かつ教授の強力なプッシュがなければドクターコース(博士課程)に進むことさえできません。
(企業にいったん就職し、社会人ドクターコースで学位を取得したり、論文の審査でドクターになれる論文ドクターなんかもあります)

1) 象牙の塔で研究を続ける(大学の残る)場合。
博士の学位取得後、助手→助教授→教授とステップアップしていく場合は必須要件です。但し、ポストに空きがなければ、どんなに優秀でも助手にさえなれないので「運」が必要です。

2) 博士が企業の研究員になる場合。
こちらも悩ましいものがあるようです(推測)。ここからはコンキチの推測がかなり入りますが、運良く博士になれたとして、企業は博士を積極的に採用するか(博士に対するニーズがあるか?)という問題。
そもそも、「博士で入社」というケースは、新入社員でいながら、非常に高い能力を持っている(ある意味生意気、おそらくプライドが高い)という、古典的な日本の企業にはあまりみられないイレギュラーな存在です。その処遇の仕方に十分対応できる企業(新薬を開発し続けなければならない製薬会社とか、研究内容がcreativeな企業)でなければ、就社は困難でしょう。

それから、「学生時代の専門分野」と「就社してからの専門分野」は必ずしも同じではない(っていうか同じケースは稀でしょう)。つまり、あまりにも専門分野に特化してしまった博士は、年齢も高いし(とび級は考慮せず、ストレートだと27歳)、企業内ではつぶしがきかない(企業ニーズに十分対応しきれない)のではないかという疑義が採用担当者の脳裏に浮かぶのではないでしょうか?

それから、ドクターコースまでいく人間は、今やっている研究が大好きだ(というかのめりこんでいる)と思われます。簡単に、自分より能力の低い(と思われる)上司の管理下に入って、新分野で丁稚奉公からリスタートすることができるでしょうか?

以上のことから(博士については殆ど推測ですが)、(企業の)研究員になりたけれは、
1) 修士の学位を取得すること。
2) 自分の専門スキルとマッチングしそうな会社を選択すること(面接の際、いい理由付けになります)。
3) その業界で超有名な先生の研究室に入ること(ズバリ!コネ狙いです。コネがなくてもネームバリューのある先生の研究室だと、研究所の部長等は興味を示すはずです)。
4) 出来るだけネームバリューのある大学(偏差値の高い学校)に入ること(コンキチの実感ですが、なんだかんだいったって東大生は頭がいいですし、帝大のブランド力は高いと思います。それに一流大学には優秀な教授も多いですから)。
この辺りが、普通の人が(努力すれば)できる、研究員になるためのマニュアルかなと思います。

飽食の時代となり、少子化が進み、社会は高学歴化が加速しています。理系離れが叫ばれて久しく、理系の需要を喚起するという思惑が全面に押し出されているからかもしれませんが、マスゴミの報道をみていると、工業高校卒でも、高専卒でも、専門学校卒でも、ネームバリューの無い(ブランド力の無い)大学卒でも理系に進みさえすれば、安直に研究者への道が開けるという印象を(コンキチだけかもしれませんが)受けざるを得ないのですが、それは真っ赤なウソです。ある程度(二流)以上の大学で修士課程まで進んでからはじめて研究員という仕事の選択肢が示されるとうことを、理系を目指される人は努々忘れてはいけません(勿論例外はありますが)。

あと、理系離れが進んでいると言われますが、世間が騒ぐほど研究員の需要は多くはないのではないかと思います(根拠無しですが)。そして、マスゴミは「理系=研究員(or 科学者)」という図式を必要以上に強調している節がああるように思えてなりません。労働市場における研究者の需要は、二流以上の学校を出た修士課程の学生が十分労働市場に供給されてれば十分まかなわれると思います。「理系人口=研究人口」ではないのです。「理系人口=研究人口+研究活動を社会に還元するためにルーティン化された仕事に従事する人口」だと思います。また研究活動を社会に還元するためにルーティン化された仕事に従事する仕事は理系の学校をでなければ絶対できない仕事では無いとも思います。

「理系不足→需要が逼迫しているから簡単に理系にいけそう→理系=研究員(科学者)ジャン→明日から俺も研究者。知的な響きがいい感じ」といった黄金スキームは存在しません。地道なお勉強が必要です。
(二流校にしかはいれなかったモノの戯言ではありますが.....)