とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Monday, July 16, 2012

Beautiful Improvement

人形町にある鯛焼屋で鯛焼食べてみました。

-柳屋の鯛焼 (140 JPY) memo-
-RATING- ★☆☆☆☆
-REVIEW-
創業大正5年(1916年)の老舗。芳ばしい香りは秀逸だが、皮の厚さと餡の入り具合が不均一ではっきり言って大して旨くない。老舗の高級鯛焼が聞いて呆れる。銀のあんの方が圧倒的に旨いと思います。


閑話休題


上半期にこんな論文を読んでみました↓

Development of a Robust Procedure for the Copper-catalyzed Ring-Opening of Epoxides with Grignard Reagents
Org. Process Res. Dev., 2012, 16, 435-441.

Merk (Merk Sharp and Dohme)の研究グループの報告です。


Grignard試薬によるエポキシドの開環反応です。まあ、一見するとなんてこと無い反応ですが、古典的でシンプルな反応であっても意外と難しかったりするものです。そして、突き詰めて検討を重ねることで当該反応に対する造詣が深まり、これまでは思いもしなかった新たな知見が得られたりもします。

さて、このトランスフォーメーションなんですが、additive無しで普通に反応させるとハロヒドリンが副生するそうです(恥ずかしながら初めてしりました)。しかも、場合によってはハロヒドリンの方がmajorになることもしばしばらしいです。

で、ハロヒドリンの生成を抑えるために、cryogenic conditionが必要になったり、Grignard試薬のrapid additionが必要になってきて、scale upすればするほど厄介な気持ちでいっぱいになってしまいます。

ところで、上記schemeに示される反応をstandard literature conditions (vinyl magnesium bromide, THF, under 20℃)で反応を行うと、ブロモヒドリンがmajor productとして得られるそうです。

で、著者らのimprovement (X=Clで実施)↓
a) 銅触媒の添加がハロヒドリン生成抑制に効果があり、CuCl > CuI。
b) Grignard試薬を滴下する方法では、滴下時間が長くなるにつれてハロヒドリンの生成が増える(銅触媒の増量が必要になる)
c) エポキシドを滴下する方がハロヒドリンの生成抑制に有効
d) エポキシド滴下条件では、 ハロヒドリン生成抑制には温度が効いている(-5 to 0℃がよい)。Grignard試薬の使用量やエポキシドの滴下速度は重要ではない。
e) 反応温度: -20 to +20℃; Grignard試薬: 1.5-2.5 eq.; エポキシドの滴下時間: 15-105 minで堅牢性を担保 (General Procesureは、Grignard reagent (1.5 eq.), CuCl (5 mol%), エポキシド滴下時間: 1 hr, エポキシ度滴下温度: -10 to -5℃)。


基質一般性↓



よく選択性とかが上がらないときって、温度下げたり、試薬の量を増やしたりといったことをすると思いますが、それってけっこう下品な改善策で、あまり美しくない。

プロセスケミストの仕事は「美しい改善」。そんなことを感じさえてくれる論文と思いました。

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