とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, July 15, 2012

超原子価ヨウ素でトリフルオロメチレーション

メディカルエンターテインメントの旗手海堂尊の最新作「ケルベロスの肖像」を読了しました。帯には「バチスタ」シリーズついに完結!とあるように、所謂「田口・白鳥シリーズ」はこれにてひとまず終幕といった感ではありますが、桜宮サーガはまだまだ続きそうです。

本書では、ボクの大好きなスカラムーシュが敗北したり、ケルベロスの塔が崩壊したりと、一見するとAiにいいところないような気もしますが、Aiが世の中に広く深く空気のように浸透するためには、桜宮サーガにおいてAiの象徴的・圧倒的な勝利があってはならないんだろうなと思いました。


閑話休題


今年上半期に読んだ文献のメモです(しつこくトリフルオロメチル化の話です)↓

Copper-Catalyzed C(sp3)–C(sp3) Bond Formation Using a Hypervalent Iodine Reagent: An Efficient Allylic Trifluoromethylation
J. Am. Chem. Soc., 2011, 133, 16410-16413.


15 examples, 44-97% yield

Togni試薬を使ってAllylic Trifluoromethylationっていうお話です。

脂肪族アルデヒドを基質に用いる場合は、アセタールの形成を防ぐために溶媒をMeOH→DMFにチェンジすればオッケー。TBDMSエーテル、エステル、アミド、ベンゾエート、ベンゼンスルホナート、フタルイミドがあってもオッケーです。ベンゼン環のついた基質では、直鎖と分岐のmixtureとなり効率が低下します。

また、TEMPOを加えて反応を行うと、TEMPOのO-トリフルオロメチル化体が優先的に生成することから、トリフルオロメチルラジカルの関与が支持されます。

で、推定反応機構はこちら↓


ちなみにこの反応、初期のスクリーニングでCF3源の検討してるんだけど、Ruppert-Prakash reagent/CsF/PhI(OAc)2, Ruppert-Prakash reagent/CsF/tert-BuOOH, Umemoto reagent, Togni reagent (1-Trifluoromethyl-3,3-dimethyl-1,2-benziodoxole)では全然ダメでした。

Togni reagentで、

× : 1-Trifluoromethyl-3,3-dimethyl-1,2-benziodoxole
◎ : 1-Trifluoromethyl-1,2-benziodoxol-3(1H)-one

っていうのは、超原子価ヨウ素まわりのLewis酸性が効いてるんですかね?

Togni reagent IIは結構高いけど(TCI, 12,700 JPY/g)、反応はクリーンそうでちょっとそそられます。

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