2019年12月29日日曜日

もっと、交換反応 (6):リン酸カリ(K3PO4)って神なの?

(増税前に)神楽坂にチャーハンを食べに行ったときのメモです↓

-龍朋 memo-

新宿区矢来町123 第一矢来ビルB1

-菊姫 純米酒 (700 JPY)-
-REVIEW-
コップになみなみと注いでくれるのが嬉しい。
温度は雪冷え(かな)。
普通に美味しいです。








-チャーハン (770 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
しっとり系のチャーハン。最初に香ってくるのは、僅かに焦げた香ばしいかおり。次いで、ふわっと漂う玉子のいい匂い。具材は、葱、刻みチャーシュー(大きさはけっこう不揃い)と極めてシンプル。
そして、刻みチャーシューが抜群に旨い!ウェット感とレア感たっぷりでジューシーな仕上がり。味付けは少し塩気強め(ちょっとしょっぱい)。
提供時、ご飯の水分多めで、少し置いておくと水気が落ち着いてきて、いい感じに食感が良くなる。
それから、セットのスープが美味。(多分)鶏ガラのお出汁リッチでマイルドなテイストが素敵。


あと、別アングルから撮ったお店の写真がこちら↓


多分、ラーメンのことだと思うんだけど、なぜか、

Lahmen

の表示(不思議です)。英語?ドイツ語?オリジナルの造語?


それから、もう一軒↓

-創作小料理とぱらぱらチャーハンの店 幸せのはし memo-

新宿区天神町22-5

-ウィスキー (ロック) (490 JPY)-
-REVIEW-
自信ないけど、銘柄は「角」でしょうか?









-お通し (150 JPY)-
-RATING- ★★★
-REVIEW-
煮玉子のお通し。
オイリーな中華サラダちっくなテイストを纏っていて、美味しい。






-幸せのはし特製チャーハン ハーフ (1人前) (750 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
ご飯のパラパラ感が最高に心地いい!パラパラ系チャーハンにお手本のような食感。
そして、玉子の良い香りがふんわりと口腔内に広がっていく。
具材は、刻み葱、レタス、チャーシューっぽい豚肉、海老。
海老はプリッとしていていい感じだが、豚肉は少しパサついている。
味付けは少し控えめの濃さで、大人しいめ。それでも、スパイシーな香味はしっかり。そして、やはり米粒のキックは素晴らしい。


閑話休題


これまで交換反応系の話を幾つかメモしてきました↓(最近の枕詞)

(1) ZnTAC24 : Environmentally Friendly and Unique Transesterification
(2) もっと、交換反応 : NaOMe最強伝説
(3) もっと、交換反応 (2) : アセタールをつけたり、とったり
(4) またまた交換反応:今度はオニウム塩が主役
そして今回もまた、しつこく交換反応のメモを書きます。
読んだ文献はこちら↓

Transition-Metal-Free Esterification of Amides via Selective N-C Cleavage under Mild Conditions
Org. Lett., 2018, 20, 5622-5625.

Szostak等の報告で、(しつこく)アミド-エステル交換反応のお話です。

アミドからエステルへの変換が難しいのは、アミド結合が共鳴にって強固なものになっているからです(15-20 kcal/mol, nN→π*CO conjugation)。アミド結合を開裂させるための反応条件下では、エステルの方がより開裂しやすいため、アミドからエステルへの直接的な変換は難しく、成功例はそう多くはありません。そして、著者等は数少ない成功例として以下の研究を挙げています↓(過去のメモと重複します)

Previous work:

(A) Ni- and Co-catalyzed esterification of amides


Garg et. al., Nature, 2015, 524, 79.; Angew. Chem. Int. Ed., 2016, 55, 15129.; ACS Catal., 2017, 7, 1413.
Danoun et. al., Chem. Eur. J., 2017, 23, 10043.

(B) Fluoride-catalyzed method


Chem. Eur. J., 2018, 24, 3444.; ACS Catal., 2018, 8, 203,; Acc. Chem. Res., 2018, 51, 1185.
(see http://researcher-station.blogspot.com/2019/12/5.html)

これらの先行研究の何れもが、アミド周りの立体を嵩高してアミド結合を捩り、その共役平面性を崩してやることでアミド結合の強度を弱める(活性化)ことを戦略に組み込んでいます。

で、著者等もこの戦略(amide bond destabilization platform)を踏襲して、次のような反応を開発しました↓

This work

33 examples, 71-97% yield

っていうか、アミドが捩れて活性化されてるとはいえ、リン酸カリ入れただけで、こんなマイルドな条件(室温)で、アミドがエルテルに変わっちゃうわけ?
これまでの研究で、遷移金属使ってたのは何だったわけ?

超絶信じがたいぜ?
オレが浅学なだけ?

前回のメモで、CsFでアミド-エステル交換が進行するのが凄いって書いたけど、今回のはそれ以上に神じゃね?

参考までに、
Z = Boc, R1 = Ph, R2 = Phで、RE = 7.2 kcal/mol, τ = 29.1º, xN = 8.4º
Z = Ts, R1 = Ph, R2 = Phで、RE = 9.7 kcal/mol, τ = 18.8º, xN = 18.9º
で、けっこう捩れてます。

それから、著者らは塩基のスクリーニングをしていて、K2CO3, KF, KOH, Na2CO3, Cs2CO3 はless effectiveです(Cs2CO3, K2CO3はそこそこ反応が進行する)。

溶媒効果もそこそこあって、

THF > CH3CN > DMF >> acetone  CH2Cl2

です。

塩基は必須で、K3PO4が1.2 eq.では中程度の収率で、最適条件では3.0 eq.投入しています。

それでは、基質一般性をみてみましょう↓


アミドの置換基がBoc, Phで活性化された基質では、種々のタイプ(電子状態、立体障害、複素環、)で中程度から高収率で反応が進行します(電子不足はちょっと収率低め?)。


Ts, Meで活性化されたアミドでもイケイケです。


アミド周りの活性化基は多様なタイプが適用可能です。そして、電子不足な4-ニトロフェノールとの反応が進行するのは凄い(反応温度110˚Cだけど)。


チオエステル合成もイケイケ。


著者ら曰く、late-stage (盛り過ぎ)でもイケイケ。多少、複雑な基質でもいい感じです。


競合反応の結果は予想(想定)通り。選択的エステル化が可能です。あと、アミドの活性化がBoc, Meでもオッケーなのも好感触です。

真剣、リン酸カリ(K3PO4)って、神ですか?

機会があったら、是非、試してみたい反応と思いました。

以上、国内二流大出のテクニシャン(研究補助員)の、"神"交換反応メモでした。

炒飯のお供に↓

2019年12月27日金曜日

孤独のグルメ聖地巡礼 in 浅草五丁目:最高の油で揚げたカツ丼はケーキの香りがした

ども、孤独のグルメ大好きオジサンのコンキチです。
世の中には、「たかがドラマで「聖地巡礼」的行動を取る人の気が知れない」なんて宣うお方もいますが、ボクは大好きです、聖地巡礼。

さて今回は、12月20日に放送されたの孤独のグルメ Season 8の最終話「東京都台東区三ノ輪のカツ丼と冷し麻婆麺」に登場したお店に行っていきました(https://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume8/)。

中華・洋食 やよい

住所:東京都台東区浅草5-60-1

大正13年(1924年)創業の老舗町中華&洋食のお店です。


第12話(最終話)のタイトルに冠する地名は三ノ輪ですが、お店の住所は力強く浅草(五丁目)です。この地名ギャップは、おそらく、第6話で「東京都台東区浅草のローストポークのサラダとチムチュム」の回で浅草(二丁目)が既に登場していて、浅草がダブってしまうのを避けるために同じ台東区の三ノ輪をセレクトしたと想像します。

因みに、Google Mapで調べてみると、三ノ輪駅から徒歩16分に対して、浅草駅(TX)からは徒歩14分なので、やっぱ実質浅草と思います。参考までに、ボクは大好きなTXの浅草駅からひさご通り、千束通りを通ってお店に赴きました。


それから、ちょっとした注意点なんだけど、お店は吉原の目と鼻の先なので、うっかり道を間違ってソープ街に迷い込まないように気を付けて下さい。

それでは、中華・洋食 やよいの料理の話に移りましょう↓

ドラマで五郎(松重 豊)さんが食べた【五郎'sセレクション】は、

1. 【カツ丼•上 (お新香•味噌汁付) 】(ロースが纏う金色のキミ その旨さに全員ヒレ伏せ!)
2. 【冷し麻婆麺】(季節の概念覆せ! 美味けりゃいいじゃん!! 冬でも最高!!)
3. 【餃子】(貴方がいない世界は考えられない)

ふらっとQUSUMIのコーナーで原作者の久住さんがオーダーしたのは、
【あげワンタン (甘酢あんかけ)】と【オムライスドライカレー (オムドラ)】の二品。

そして、ボクが実食したのはこちら↓

-びんビール (中)-
-REVIEW-
アサヒ(スーパードライ)とサッポロ(黒ラベル)から選べる。
ボクは黒ラベルをセレクト。
それから、ビアグラスと水の入ったグラスがオシャレでよいです(そして、水がおいしい)。






-カツ丼上 (お新香•味噌汁付) (1,000 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
不思議なことに、カツからはホットケーキを想起させる甘く焦げた香り。なんでも、揚げ油は、オランダ産高級ラードのカメリアラードとサラダ油を混ぜているらしく、これが独特の香りを演出しているんだろうと思います。
そして、カツの色は、こんがりタヌキ色。厚みは薄過ぎない程度の薄めで、ノスタルジックな面持ち。肉質は軟らかく、淡白な味わいで普通に美味しい。お肉(多分、ヒレ)には胡椒が振ってあるようで、スパイシーなフレーバーがする。タレは甘めの優しい味。クド過ぎず、ご飯を美味しく食べれる。それと、ご飯自体が旨いです。
ネットで検索してみると、トンコツ•鶏ガラ•カツオ出汁•昆布出汁で作ったカルテット出汁が特徴だとか。

五郎さんに習ってオーダーした「カツ丼上」の最も特筆すべきは、カメリアラード(オランダ産高級ラード)が醸すケーキ様の香りだと思います。この香りをかぐためだけでも行く価値があります。

奥浅草もだいぶ奥に位置していて、必ずしも行きやすいお店ではないですが、肩肘張らない魅力的なメニューがふんだんで、また足を運びたいお店と思いました。寒かったので注文しなかったんですが、ドラマで五郎さんが食べた"冷し麻婆麺"に激しくそそられたので、暖かくなったら食べに行きたいです。

因みに、ひさご通りに入って、ちょっと進んだところにある米久の手前の道を左に曲がると、孤独のグルメSeason 8の第6話「東京都台東区浅草のローストポークのサラダとチムチュム」に登場したイサーンがあります。

以上、孤独のグルメ聖地巡礼メモでした。


2019年12月24日火曜日

もっと、交換反応 (5):フッ素が織りなすアミド-エステル交換

何年か前(当然、増税前)に、御徒町のタイ料理店にトムヤムクンヌードルを食べに行ったときのメモです。

訪れた当時、お店の名前は「いなかむら 新御徒町店」でしたが、今は「はすの里 新御徒町本店」という名前で営業しています。







-クオティオトムヤム (トムヤムクンヌードル) (1,180 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
トムヤムのスープは絶品!酸味と辛味は適度な強度で、上品かつマイルドな仕上がり。
そして、フォーが旨い!フォーのツルツルの表面は滑らかな食感で、中はモチモチで弾力を楽しめる。噛むほどに仄かな甘みが染み出してくるような気がする。
フォーとスープ(トムヤムクン)の相性は勿論抜群。そして、スープをパクチーと一緒に啜るとシナジー大爆発。
具は、海老、もやし、葱、練り物、緑の野菜、パクチー。大振りのシュリンプがプリップリでとってもジューシーです。


閑話休題


これまで交換反応系の話を幾つかメモしてきました↓

(1) ZnTAC24 : Environmentally Friendly and Unique Transesterification
(2) もっと、交換反応 : NaOMe最強伝説
(3) もっと、交換反応 (2) : アセタールをつけたり、とったり
(4) またまた交換反応:今度はオニウム塩が主役

そして今回もまた、しつこく交換反応のメモを書きます。
読んだ文献はこちら↓

Fluoride-Catalyzed Esterification of Amides
Chem. Eur. J., 2018, 24, 3444-3447.

フルオリドが触媒する、アミド-エステル交換反応のお話です。

著者等は、そこそこイケてる先行研究としてGang等とDanoun等の報告を挙げています。


しかしながら、これらの方法は複雑な触媒システムを使っており、操作が煩雑で、二級アミド(二級アミドにPh or Boc基を導入して三級化してから交換反応を行う)にしか適用できないことを著者等は問題点として挙げています。

そして、著者等の開発した合成法はこちら↓
This work

触媒量のCsFを使うだけで、アミド-エステル交換反応が進行するのに驚きです。さらに、一級アミドと二級アミドのどちらも(活性化した三級アミドを経て)エステルへと誘導することが可能です。シンプルかつコスト・エフェクティブです。

それから、この反応はメカニズムがユニークです。Gang等やSzostak等(see http://researcher-station.blogspot.com/2019/12/4tert-butyl-nicotinate.html)のように遷移金属を用いた反応ではアミドのC-N結合への酸化的付加から反応が始まります。
他方、著者等の開発したCsFが触媒する反応では、フッ化物イオンが強力な求核剤として働いてアミドのカルボニル基を攻撃し、酸フッ化物を形成しアルコールにトラップされるというメカニズムを著者等は提示しています↓

Possible route of amide esterification

著者等は19F NMRの検討もしていて、DMSO-d6中でCsFの化学シフトは-122.86 ppmで、そこにN-phenyl-N-tosylbenzamideを加えた後、再び19F NMRを測定すると17.09 ppmにシグナルが検出されたということです。大幅な高磁場シフトが観測されています。測定溶媒は違うけど、重クロ中で測定したフッ化ベンゾイルの化学シフトが17.5 ppmという文献報告値があって、DMSO-d6中での測定した17.09 ppmと酷似しています。イオン結合から共有結合への結合様式の変化に伴う大幅な化学シフトの変化と合わせて考えれば、中間体としてフッ化ベンゾイルが生成している蓋然性は極めて高く、著者等の提案している反応機構を支持しているといえるでしょう(ボク的には、DMSO-d6中でフッ化ベンゾイルの19F NMRを測定して欲しかった)。


ハイそれでは、"Fluoride-Catalyzed Esterification of Amides"の反応開発と基質一般性についてのメモに移るとしましょう。

まず、反応開発にあたって、著者等はハロゲンの金属塩や塩基を試します。試した試薬は、KF, KCl, KBr, KI, Et3N, DBU, NaF, CsF, n-Bu4NFの9種類。


その結果、フルオリドを有する試薬(KF, NaF, CsF, n-Bu4NF)は、収率の良し悪しはありますが、それら全てで反応が進行したのに対し、フルオリドを持たない試薬(KCl, KBr, KI, Et3N, DBU)では全く目的のエステルは得られませんでした。非常に興味深いです。フッ素ってミラクルです。

次に、アミド周りの置換基を変えた場合の評価です↓


共鳴安定化している堅牢なアミドのC-N結合の活性化は、アミド結合周りの置換基を嵩高くしてやることで、その立体反発により共役平面生を崩してやるのが定法と思います。なので、本報においても嵩高い置換基(Ph, Ts, Boc)を導入していますが、N-Me-N-Tsで収率84%は凄いなって思いました。

続いて基質一般ですが、CsFをちょっと(触媒量)入れるだけで、いい収率で進む反応がシュゴイので、全部メモします↓
Scope of the alcohol and Ts amide substrates.

トシルアミドとアルコールの反応は適用範囲が広いです。電子状態、芳香族・脂肪族アミド、立体障害、一級アルコール・二級アルール・三級アルコールの関わらず、概してスムーズに反応が進行します。
Scope of the alcohol and Boc amides substrates.

Scope of the alcohol and di-tert-butyl N-acylimidodicarbonates substrates.

Bocアミドもdi-Bocアミド(di-tert-butyl N-acylimidodicarnonate)も適用範囲が広いです。

さらに、活性化されていない一級・二級アミドからワンポットでエステルへと誘導可能です↓

さらにさらに、アシルフルオリドをトラップする求核剤として、チオールやアミンも使えます↓
因みに、チオエステルは遷移金属を用いた反応では合成できないようです。


アミド-エステル交換というトランスフォーメーションにCsFを触媒として使うという着想に至った経緯はサッパリ書いてありませんでしたが、

なんだか、凄い反応だな

と思います。浅学なボクには、正直、信じ難いです。

ハンドリングも容易で、基質一般性も広そうだし、真剣(マジ)凄ェーーーです。
ということで、機会があったら是非試してみたい反応と思いました。

ところで、Gang等の方法ってdi-Bocアミド(di-tert-butyl N-acylimidodicarnonate)じゃ反応進行しないんですかね?と思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)の交換反応メモでした(論文読んでないけど)。


2019年12月22日日曜日

もっと、交換反応 (4):tert-Butyl Nicotinateでアミドを活性化するなり

暑いときに東京ミッドダウン日比谷の「立ち呑み屋」と「角打ち」に行ったときのメモです(増税前=消費税8%です)。

まずは3Fにある立ち呑み屋から。

-三ぶん memo-

-だしがゆ-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
小さい猪口で提供される、お通し的存在。
濃ゆい出汁の風味rich!雑穀を想起させる力強いbody!文句なしにうまい!
店員のおねえさんが「お酒を飲む前に胃に粘膜を張ってもらう」って言ってたけど、科学的根拠があるのか激しく疑問。

-美田 山廃純米にごり (六勺) (500 JPY+tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
(多分)雪冷えで提供される。上品で締まりのある甘さ。辛さもそこそこ感じて、サラサラした飲み口。温度上昇で少しダレ気味。






-マグロ 北海道 (500 JPY+tax)-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
「からしと塩をつけて食べるのがオススメの食べ方」なのだそう。で、実際やってみたら意外に合います。お塩で赤身が映えます(これには驚き!)。鮪はウェット感が殆どないんだけど、これが塩と合わせるときのポイントなのだろうか?但し、鮪自体のコクと身の張りは乏しく凡庸な感じ。筋はなかったです。


-だし玉子 (200 JPY+tax)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
とっても上品なお出汁!スープに脂が浮いていて、僅かにお肉の香味を感じる。玉子がちょい甘過ぎで、せっかくの上品なお出汁の味と合わない。
温度が下がると、お出汁の旨味ダウン↓(香り立ちが悪くなるからだと思う)


-菊正宗 熱燗一合 (900 JPY+tax)-

-みょうが味噌 (200 JPY+tax)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
甘さとしょっぱさのバランスのとれたお味噌に、アクセント程度に茗荷を和えたもので、味噌が主役。淡麗辛口の日本酒に合いそう。舐めるように食べます。




-来福 超辛口 (六勺) (500 JPY+tax)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
日本酒度+18。その数値とは裏腹に、そんなに辛さは感じなくて、控えめな甘さでであっさりした綺麗な酒質。スレンダー美人なテイストのお酒で、料理のお供(食中酒)に良さそう。(多分)雪冷えでいただきました。



店員のおねえさんに、松茸(中国産)、赤貝、鰻の蒲焼(鹿児島産)、穴子、岩牡蠣(新潟産)、マコガレイを勧めらたんですが、軽く引きました。だって、赤貝の旬って真冬っしょ。あと、鰻の蒲焼注文したら二十分以上かかりそうな気がするんだけど立ち飲みでそれってどうなのって気がします。ちなみに、ボクの隣の熟年カップルは岩牡蠣を食べながらブツブツ文句を言っていました。


次は1Fに入っている角打ちのお店のメモです。

-住吉酒販 memo-

-当店限定 生ビール住吉IPA (800 JPY+tax)-
-RATING- 
-REVIEW-
お店の人から少し軽めのIPAと説明されたけど、正にその通り。香りも味もしっかりIPAなんだけど、その密度は抑えられている。その分、フレッシュさ、爽やかな果実味が強調されていて、飲みやすく仕上がっている。暑い夏に飲むIPAとして最適。軽快系IPA。


-住吉ポテサラ (400 JPY+tax)-
-RATING- 
-REVIEW-
"うちのビールに最高に合う!人気ナンバーワン"の説明書き。 
ポテサラにセロリとカカオニブを合わせた一品。
ポテサラ自体がキメ細かい舌触りで、深みのある味で旨い!セロリと合うのか半信半疑だったけど、このセロリはマイルドなケミカルテイストに仕上がっているためか、思いの外マッチする。で、カカコニブのカリッとはじける食感と、ドライなカカオのチョコレート様かつナッティーな拡散性のフレーバーがとってもよく合う。これは真剣旨い!
(このカカオニブに苦味はほとんど無かったです)

-田中六五6513 (800 JPY+tax)-
-RATING- ★★★
-REVIEW-
peach-milkyの華やいだsweet, fruity note。この香りから想像されるほどtasteは甘くない。嫌味のない軽めの優しく柔らかい甘さで、けっこうすっきりしている。食中酒としてイケます。



-きびなごオイル煮 (400 JPY+tax)-
-RATING- 
-REVIEW-
鮮度抜群のキビナゴのオリーブオイル煮。これは滅茶苦茶旨いぞォ!お店の人から「新鮮なキビナゴを使っている」って言われたんだけど、本当にフレッショで美味しい!!!身に張りがあって、しなやかな食感です。
キビナゴの下にお煎餅みたいなものが敷いてあるんだけど、キビナゴエキスとオリーブオイルが染み込んでいて、いと旨しです。
リピート必至だね。


このお店の支払いシステムがエクストリームに変わっているので、説明します↓
まず、一枚400円の花札を15枚渡されます(400円×15枚=6,000円分)。絵柄に関わらず花札一枚400円均一です。
おサケやおつまみの値段は日本円ではなくて、花札の枚数が書いてあります。で、花札を支払って商品をもらいます(なので、商品は400円刻みです)。
そして、お勘定は手元に残った花札をレジに持って行って精算です。

この変わった(花札)会計システムは、ホントはキャッシュ・アンド・キャリーでやりたいんだけど、オサレなミッドダウンで小銭をジャラジャラさせてるのは見苦しいから花札スタイルにしたのかなと想像します。


閑話休題


これまで交換反応系の話を幾つかメモしてきました↓

(1) ZnTAC24 : Environmentally Friendly and Unique Transesterification
(2) もっと、交換反応 : NaOMe最強伝説
(3) もっと、交換反応 (2) : アセタールをつけたり、とったり
(4) またまた交換反応:今度はオニウム塩が主役

しつこく今回も交換反応のメモを書きます。読んだ文献(オープンアクセスです)はこちら↓

Zn-Catalyzed tert-Butyl Nicotinate-Directed Amide Cleavage as a Biomimetic of Metallo-Exopeptidase Activity
ACS Catal., 2018, 8, 203-218.

メタロプロテアーゼを生態模倣したメカニズムで、二級アミドを活性化してエステルにしちゃおうっていうお話です。


一般論として、カルボン酸誘導体ナンバーワンの堅固な結合であるアミドから熱力学的安定性の劣るエステルへのトランスフォーメーションは困難(無理筋)で、過酷な条件が必要となり、溶媒量のアルコールを使用することが常です。従って、複雑な構造のアルコールや希少なアルコールの使用に制約があります。

じゃ、アミドを活性化すればいんじゃね?ってことで、アミド結合の共鳴(共役平面性)を減じさせた捩れた三級アミドを用いることで、アルコールによるアミド結合の開裂が低温で進行するという報告がなされています。それから、脱離基のキレーションによる活性化もあります。例えばこんなのが↓

Angew. Chem. Int. Ed., 2012, 51, 548-551.



Tetrahedron Lett., 1992, 33, 2171-2174.
Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 6175-6177.

ACS Catal., 2017, 7, 3157-3161.

著者らはこれらの合成法のコンセプトは優れているとしながらも、問題点として、(アミドに)特殊な置換基が必要であったり、溶媒量のアルコールが必要(アルコリシス)であることを指摘しています。そして、この官能基変換における画期的な例として、Gang等とSzostak等の報告を挙げています↓

Cleavage of Tertiary Amides (previous work)


ref.   Nature, 2015, 524, 79-83.; Angew. Chem. Int. ed., 2016, 55, 15129-15132,; J. Org. Chem., 2016, 81, 8091-8094.; Chem. - Eur. J., 2016, 22, 14494-14498.; Org, Lett., 2017, 19, 4656-4659.; J. Org. Chem., 2017, 82, 6373-6378.; Org. Lett., 2017, 19, 3596-3599.; Nat. Commun., 2016, 7, 11554.; Chem. Sci., 2017, 8, 6433-6438.; Org. Lett., 2017, 19, 2158-2161.; Nat. Chem., 2016, 8, 75-79.; Org. Lett., 2016, 18, 796-799.; Org. Lett., 2015, 17, 4364-4367.; ACS Catal., 2016, 6, 5176-3179.; ACS Catal., 2017, 7, 1960-1965.; Angew. Chem. Int. Ed., 2016, 55, 6959-6963.; Org. Lett., 2016, 18, 4194-4197.; ACS Catal., 2016, 6, 7335-7339.; Org. Lett., 2016, 18, 5872-5875.; J. Org. Chem., 2016, 81, 12023-12030.; Chem. Commun., 2016, 52, 6841-6844.; Org. Lett., 2017, 19, 1434-1437.

Gang等とSzostak等の報告した反応では、律速段階となるC-N結合への酸化的付加を進行させるためにtert-アミドであるこが必須であり、N-Ph-N-alkylとN-Boc-N-alkylといった置換パターンでアミド結合を捩れさせることでアミドの共役を弱めることが重要です。また、Boc基やPh基の電子吸引性もアミドの反応性の向上に寄与します。

著者らは、Gang等のBoc基導入とそれに続く三級アミドのアルコリシスからなる二段階合成法は理想的な三級アミドの開裂法と評しながらも、アミドの開裂(アルコリシス)は二級アミドでは起こらないことが欠点であると指摘します↓


ということで、著者等は二段階合成法による一級アミドのアミド-エステル交換反応、一級アミド→活性化した二級アミド→エステル)の開発えお試みます。すなわち、一級アミドを活性化された二級へと誘導し、遷移金属を使って非加溶媒分解条件下でエルテルの調製を試みました。そこで著者等がヒントにしたのは金属エキソペプチダーゼで、その生態模倣することで見事ブレークスルーを達成しました。

Cleavage of Secondary Amides (This work)


因みに、directing groupであるニコチン酸エステルは、tert-Bu > iso-Pr > Et > Meでした。

ハイ、それでは具体的な最適化した反応条件と基質一般性を以下に示していきます。

まず、一級アミドに対するdirecting groupであニコチン酸エステルの導入です。


1,1'-bis(dicyclohexylphosphino)ferrocene (dcpf)を配位子に用いたBuchwaldのPd G3 precatalystを使ってニコチン酸tert-ブチルを導入します(ちょっと高くね?)。

そしてアミド-エステル交換反応はこちら↓


35 examples, 46%-quantitative yield

スタンダードなアルコール(12 examples)から複雑な構造のアルコール(9 examples)、そしてアミノ酸やペプチドから誘導したアミドとアルコールの反応(13 eamples)に対して反応を検討していて、なかなか基質一般性が高いです。それからtert-BuOAcはグリーンな溶媒として採用したそうです。例です↓




分子内に二級アルコールと鎖状の二級アミンを有するアミドを用いた反応で、分子間反応は起こりません↓


電子的、立体的環境の異なる5種類のアミド結合を内包するオリゴアミドを基質に用いた反応では、tert-Butyl Nicotinateで活性化されたアミド結合以外の開裂は起こりません↓


さらに、競合する配位部位(azine nitrogen)を有し、キレート形成能のある1,2-ジアミノ構造を持つことからチャレンジングな求核剤と考えられる8-アミノキノリンとの反応もしっかり進行します↓

それなりにマイルドな条件だし、かなり基質一般性が高いように思えます。アミド-エステル交換反応自体は触媒反応だし素敵な感じがしますが、やっぱ一級アミドを活性化するのに導入する配向基がカスタムメイドだっていうのと、Pd G3 precatalystを使わなきゃいけないところが魅力半減です。でも、生態模倣による反応デザインは純粋に面白いなと思いました。

それでは最後に、反応の進行に"アジン窒素とtert-ブチルエステルの分子内水素結合"と"アミドのカルボニル基による二座キレーション"が必須なのかどうかを検証した実験を紹介してフィニッシュしましょう↓


ハイ、やはり両者とも必要です。と同時に、先に紹介したGrang等の方法では二級アミドでは反応が進行しないということでしたが、本報の方法では三級アミドでは反応が起こらないっていうわけですね。もしこの反応を使う必要に迫られたら注意したいです。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の交換反応メモでした。