2022年8月15日月曜日

もっと、トリフェニルホスフィンオキシドを減らせ! Second Season

コロナ禍でもやっぱり外食が好き。
感染対策を徹底している人は絶対行かない外食ですが、あの「有吉くんの正直さんぽ」に登場したことのある洋食ショップにリスクを冒して行ってきたときのメモです。

-停車場 memo (visited Jun. 2022.)-
住所:市川市八幡2-7-11

-ビンビール(中ビン) (680 JPY)- 
一番搾り。

-停車場ハンバーグ 180 g (セット) (1,200 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
オリジナルデミグラスソースがごはんに合います。そして、タバスコをかけると一段と美味しくなる! 
デミグラスソースは酸味が特徴的、かつしょっぱめの味付け。テール(tail)に僅かな苦味を感じる大人なテイスト。
ハンバーグ本体は粗めに挽かれていてキックが強く、肉の味が濃い。 
ソースは締まった味わいのスレンダー系 (べとついてなくて、コッテリしてない)。
気に入った。 
甘味少なめだからか、ホント、ご飯と良く合う。




閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Easy Removal of Triphenylphosphine Oxide from Reaction Mixtures by Precipitation with CaBr2
Org. Process Res. Dev., 2022, 26, 1845-1853.


有機合成における永遠のテーマの一つ、トリフェニルホスフィンオキシド(TPPO)の簡便除去法のお話で、特に光延反応向けです。

"永遠のテーマ"と言うだけあって、TPPOの除去法の報告例は沢山あります。

(a) 分離容易(separation-friendly)なホスフィンの使用

(b) ホスフィンの触媒化

(c) 反応液から直接除去 (TPPOを反応させて結晶化させたりレジンに結合させたりして、固液分離とか=TPPO precipitation)

cf.

などがあります。

で、今回のお題は「(c) 反応液から直接除去」です。
この種の例としては、Merrifield resinやPEG-dichlorotriazine resinの使用、TPPOとの共結晶や難溶性錯体のろ別が報告されていますが、その中でも特筆すべきは、MgCl2-TPPO錯体とZnCl2-TPPO錯体でしょう。
MgCl2-TPPO錯体のろ別による除去はトルエン溶媒中で有効で、ZnCl2-TPPO錯体の場合はEtOAc、iPrOAc、IPAで有効です(元論文ではTPPO-ZnCl2錯体とEtOHの組み合わせが最強なんだけど、本報では言及してない)。
とまあ、いい方法が既にあるんですが、光延反応でよく使われるTHF(やその他の溶媒)におけるTPPO除去効果は限定的であり、(光延反応にフィーチャーしているので)THF溶媒下における効果的なTPPOの除去法の開発が望まれるというのが著者らの主張です。なぜなら、溶媒置換しないと"いい方法"は使えないんですが、溶媒置換は面倒だからです。
ボク的に、溶媒置換はプロセス化学の世界では普通にやりますが、まあ、エネルギーや資源を使うし時間がかかりますからね。ただ、THFは高価な溶媒なので、回収THFのリサイクルをプロセスに載せれるんだったら、やってもいいんじゃないかとは思います。

さてそれでは、著者らの検討の深淵に迫っていきましょう。

まずはじめに、著者らは"いい方法"の一つであるMgCl2-TPPO錯体の溶解性についての検討を行います↓

Solvent Effect on TPPO Precipitation with MgCl2
NP : no precipitation

このテーブルの評価方法は、TPPO (25 mg, 0.09 mol)とTPP (25 mg, 0.095 mol)を1.0 mlの溶媒に溶かしたところにMgCl2 (25 mg, 0.262 mmol)を加え22˚Cで18-72 hr攪拌、1 hr静置した後に採取した上澄みをTPPを内標としたHPLC分析によりTPPOを定量しています。

と言うことで結果ですが、EtOAcとトルエンがとても良いです。
とりあえず単一溶媒をリストアップしましたが、著者らはEtOAcとTHF、DCM、IPAとの混合溶媒についても検討しています。
ちょっと面白いのが、例えばEtOAc/THF (5/1 v/v)だと98% removedで、EtOAc単一よりもいい結果になってたりします。

続いて、その他の金属ハライド塩(MXn)とTPPOとの錯体形成によるTPPO precipitationの検討も実施しています↓
TPPO Removal (%) by Precipitation with MXn Salts in Organic Solvents
BS : biphasic oily system with no solid formation.
NA : no attempted.
NP : no precipitated.

最注目のTHF中での成績はCaBr2がナンバーワンです(ちなみに、CuCl2では内標に使っていたTPPが全部酸化されてしまったそうで、評価できなかったそうです)。
ということで、著者らはZnCl2では実現できない性能を発揮するCaBr2に着目し、さらなる溶媒効果を検証していきます。
Solvent Effect on TPPO Precipitation with CaBr2
NP : no precipitated.

エーテル系溶媒にツヨツヨですね。ボク的には2-MeTHFでエクセレントな結果なのが好きです(この検討では、TPPO (50 mg, 0.17 mol)とTPP (50 mg, 0.17 mol)を1.0 mlの溶媒に溶かしたところにCaBr2 (75 mg, 0.37 mmol)を加え22˚Cで18-72 hr攪拌、1 hr静置した後に採取した上澄みをTPPを内標としたHPLC分析によりTPPOを定量していますね)。

さらに著者らは官能基についても、それがTPPO除去を促進するのか阻害するのかも検討しています↓
Functional Group Compatibility on TPPO Precipitation with CaBr2
NP : np precipitation observed.

(この検討では、TPPO (100 mg, 0.35 mol)とTPP (100 mg, 0.38 mol)、aditive (0.18 mmol)を1.0 mlのTHFに溶かしたところにCaBr2 (100 mg, 0.51 mmol)を加え22˚Cで18-72 hr攪拌、5分間遠心した後に採取した上澄みをTPPを内標としたHPLC分析によりTPPOを定量していますね)。

ベンジルアミンやフェノールで効率低下。イミダゾール、p-トルエンスルホン酸ではゼンゼンなので注意が必要です。

あと、著者らはCaBr2-TPPO錯体の機器分析を行なっていて、良好な熱安定性が確認され、組成がCaBr2:TPPO=3:2であることがわかりました。

そして、実際の光延反応への応用です↓

なかかないい感じなのではないでしょうか。

著者らはこのTPPO除去法を数mgから100 g超の種々のプロジェクトに応用したそうで、TPPO除去率は平均>94% だったそうです。

それでは最後に、このprocedureのTipsを箇条書きにしてフィニッシュしましょう。

(1) 水が混入するとTPPO除去効率が恐ろしく低下する。
(2) H2DIADやH2DTADはTPPO除去を阻害しない(DIAD、DTADはオッケー)。
(3) 不溶性のH2ADDPがCaBr2-TPPO錯体析出を阻害する。っていうか、とっても粘度の高い溶液になって濾過できなくなる。なので、H2ADDPをろ別してからCaBr2を加えて処理するべき(ADDPを使うときは注意)。

どうですか、みなさん。明日からTPPOをクロマトなしで取り除くのが楽しくなってきたんじゃありませんか?(お盆休みかもだけど)

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のTPPO除去シュキシュキ(好き好き)メモでした。

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