2022年12月29日木曜日

二本鎖DNAとNative Chemical Ligation (東京工業大学)

ども、抽出系のお酒大好きコンキチです。
ボクの言う"抽出系のお酒"とは、ふぐひれ酒とかの食材に熱燗を注いで、当該食材の香味をお酒に移したヤツで、他に岩魚の骨酒とかしらす酒(たたみいわし)とかがあります。
で、ひょんなこよから"かじか"の骨酒なるものがあることを知り、どうしても呑みたくなって、行ってきました。
メモです↓

-かりん (visited May 2022)-
住所:柏市豊四季198-38 

-骨酒(かじか) 二合 (1,250 JPY)- 
-追加 一合 (350 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
これは旨い! 焼いた魚の香味がしっかり酒に移っている。
ちっちゃくて可愛いかじかが一匹入っているだけなのに、ポテンシャル凄いね。
しかも、味わいが上品。コク深く上品。
仕上がりが美しい旨さ(流石につぎ酒では抽出量は大幅減)。 

-タイの塩辛 (400 JPY)- 
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW- 
塩辛なんで当たり前だけど、塩味が効いていて酒が進む。 
鯛わたの塩辛なのかな? 上品めな臭みがしっかり出ていて、白いご飯が欲しくなります。 





-串焼き レバ (180 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
これも凄いね。臭みは殆どなくて、味わいもピュアー感リッチ。
切り出した部位と火の当たりによって食感や味わいが変化するんだろうけど、ソフトな食感が楽しめる部分とか、レアっぽい感じを楽しめるところとか、メッチャクリーミーなところろかあって、凄く美味しい。
で、滋味深くピュアな味。ちょっと旨過ぎ。 
ちょい粗めの塩で味付けされていて、これがまた旨さを引き立てる。 

-串焼き ねぎま (180 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
こちらも塩味。
 変にプリプリしてなくて、しなやかな食感。で、味が濃い。
葱からはとってもいい甘い香味。 
まさに至福のひと串で、こちらも粗めの塩が肉の味わいを高めてる。塩と肉の相互作用。
塩の味をしっかり捉えることで、肉の旨味が増す。 

ちょっとこのお店、通いたいかもです。


閑話休題


「低分子合成しかできないからクビね」と言われないように、最近のトレンドをキャッチアップすべくオリゴ核酸合成の文献を読んでるわけですが、その流れでオリゴ核酸とペプチドの化学ライゲーションに関する論文を読んでみました↓

Oligodeoxynucleotides Modified with 2′‐O‐(Cysteinylaminobutyl)carbamoylethylribothymidine Residues for Native Chemical Ligation with Peptide at Internal Positions
Bioconjugate Chem., 2022, 33, 272-278.

東工大からの報告で、オリゴ核酸とペプチドのコンジュゲートのお話です。

オリゴ核酸-ペプチドコンジュゲートは、核酸医薬、バイオマテリアル、バイオテクノロジーなどの分野で用いられています。で、幾つかの合成法があると思うんですが、その一つにNative Chemical Ligation(NCL)法があります(see http://researcher-station.blogspot.com/2022/02/blog-post.html)。
NCLはペプチド間のフラグメンとカップリングにおいて最も歴史が古く、最も信頼性の高い手法で、これをオリゴ核酸とシステインペプチドの連結にも応用してたわけです。

因みに、これまでにNCL法を利用したオリゴ核酸とペプチドのコンジュゲート合成には次のような例が報告されています↓
J. Org. Chem., 2000, 65, 4900-4908.


J. Am. Chem. Soc., 2011, 133, 19068-19071.


Peptide Science, 2009, 94, 397-404.


Chem. Commun., 2020, 56, 5508-5511.

上記NCL法によるコンジュゲーションは全て一本鎖のオリゴ核酸で行われていますが、著者らは二本鎖のオリゴ核酸に二本のペプチド鎖を導入しています。しかも、末端修飾ではなく内部に複数です。この辺り(二本鎖への導入と、内部に複数導入)に新規性がありあるんだろうと思います。
それでは、具体的な手法をメモしていきましょう。

著者らはコンジュゲーションサイトとして5-メチルデオキシチミジンにリンカーを介してシステインを導入した核酸アミダイトを設計・合成しました↓

このカスタムアミダイトをホスホロアミダイト法によってオリゴ核酸のシーケンスの中腹に導入して、チオエステルユニットを末端に導入したペプチドとのNCLを敢行するのわけです。

まずは、一本鎖DNAに一本のペプチド鎖の導入です↓

結果はエクセレントに大成功です。

(この結果に気を良くしたであろう)著者らは次に一本鎖DNAの二箇所にペプチドの導入を試みます↓

二本のペプチド鎖の導入には成功したものの、著者らの目論見に反して分子内の二つのスルフヒドリル基が環状ジスルフィド結合を形成した化合物が主生成物となってしまいました(Too Bad)。
著者らは、鎖状構造のものが欲しかったんですね。

この結果は一本鎖DNAのフレキシブルな構造により反応点が接近したことにより生じたと思われます。そこで、リジッドな二本鎖構造で分子内ジスルフィド結合の形成を阻害することで、鎖状体の選択性が向上すると考え、相補鎖を導入して二本鎖を形成させてNCLを行うことで選択性が大きく改善しました↓

オリゴ核酸の末端修飾はよく見かけると思うんですが、内部修飾はレアで、しかも複数修飾するうテクは価値が高いんじゃないかなぁと思いました。

以上、オリゴ核酸とペプチドを勉強して流行りのニューモダリティをキャチアップして、おまんまの食い上げにならないようにしたいと思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)の「"オリゴ核酸-ペプチド"コンジュゲート」メモでした。

 

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