とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Thursday, May 28, 2009

人生の不思議

ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書~なぜ学び、なにを学ぶのか~という本を読了しました。


素直にいい本と思いました。自分の子供たちが成長したら読んで欲しい本です。

この本には7人の講師が登場し、それぞれが各教科を担当し、1章分を執筆しています。で、理科の章を執筆した竹内薫氏の章でこんな記述が↓

小学校のときは理科が大好きだった。
菜の花やメダカの観察、校舎の屋上での天体観測、そしてアルコールランプやビーカーを使った実験。小学校の理科室は、いつも賑やかな雰囲気に包まれていた。
ところが、中学生になると理科が楽しくなくなった。高校生になることには、ますます嫌いになってしまった。
•••••こういう人はけっこう多いんじゃないでしょうか。
かくゆう僕もそのひとりで、小学生のころは杉並区の科学館という施設に通う、典型的な科学少年でした。


ちなみに自分、現在のお仕事有機合成化学(毎日実験)なんですが、

若いころ(小中高)、実験嫌いでした(っていうか今もそんなに好きじゃないかも?)。大学時代、学生実験が必修だったんだけど、憂鬱で憂鬱で仕方なかったね。

記憶に残っている理科の実験は、
a) マグネシウムウールの燃焼実験 (めんどくさい実験だった)
b) 結露の実験 (東北地方の冬はもっと凄いよ)
c) 金属ナトリウムの極小片を水に投入 (これは面白かったっていうかこの実験の意味を知りたい)

こんな感じで実験嫌いだった子供が大人になってやってるお仕事は実験です。

ちなみに自分、学生時代の研究室は合成の研究室じゃないんですが、現在のお仕事はとっても有機合成です。


僕より(有機合成の)能力があって、有機合成やりたいけどできない(そんな環境にない)人ってたくさんいると思うんだけど、何の因果か僕は有機合成やってる、

あと、余談なんですが、自分、(戦略的)保護-脱保護って未だにやったことなかったりします。


コンキチの人生もそこそこ珍しい人生なのかなと思う今日このごろなのです。

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Monday, May 25, 2009

少子化は「悪」か?

二児の父、コンキチです。

さて、少子(高齢)化って悪いのでしょうか?
まあ、各種メディアの論調をみると、「悪」とは明言していないようですが、「悪」のニュアンスがプンプンしているように感じられます。

で、なぜ「悪」の匂いをこれみよがしに醸しだっしているのか?コンキチは、現在の社会保障制度を維持するためというなんともたまゆらな考えの基にそいうった思考が蔓延しているような気がしてなりません。

っていうか、そもそも少子化の真逆を行く「イザナギ-イザナミ」理論(?)は破綻している。人口が果てしなく増加し続けることは自然の摂理が許さない。では、equalペースで人口が推移すれば良いのか?まあ、現状のシステムを維持するという観点からみればそこそこ良いアイデアかもしれなうが、実現可能だろうか?そもそも高齢化には医療技術の進歩が寄与していると思う。

例えば、日本人のガンによる死亡率が高いとかいう話があると思うが、要は日本人はガンくらいでしか死なないというほど(高齢者の)医療事情が良いということなのだとコンキチは理解しています(そもそもガンは老人の病だと思う)。

各年の出生者数を完璧にコントロールできるというオプションだけでは、現行システムの維持のためには不十分だ。死亡率(医療技術)もコントロール可能でないとダメでしょう。で、そんなことは可能か?といいたい。そうで無い限り世代間の不公平感は解消されることはないと思う。

っていうか個人的に公的年金制度はいらない。はっきり言って既に支払った掛け金はあげるから、脱退させて欲しい。そもそも公的年金制度は構造的に欠陥制度だ。しかも、国が挙げて実施する理由は皆無だと思うのだが.....(ちなみに自分は小さな政府賛成派です)

閑話休題

それから、労働人口の減少は経済発展の支障になり、我が国の経済的衰が予見されるとかなんとかという話もあるように思うけれど、それって旧態然とした産業構造を想定しているからそうなるのではないだろうか?

教育に投資し、国民の教育水準を上げ、知識集約型産業を育成し、そういった職業の比率を増やしていけば少子化であっても競争力は維持されると思うのだけれど、この考えは素人すぎるかな?でも、大学全入時代とかいって、四大卒でうだつの上がらない仕事してるのもいかがなものかと思うが。

確か、スティグリッツ教授の、日本には人口増加が望めない状況下での経済成長モデルの構築を期待する的な記事を読んだことがあるんだけど、マスゴミには偏向報道だけじゃなくて、そういったようなことも世の中に広めて欲しいな。

(セックス以上に楽しい)多くの娯楽が普及し、クリエイティブ経済下にあると思われる日本では、今後も晩婚化とともに少子化が進み人口増加が望めないのだから。


以上、二流大出のなんちゃって研究員の世迷い言と聞き流してもらえれば幸いです。

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Sunday, May 24, 2009

ミス•ウィスパー

P&G式 世界が欲しがる人材の育て方―日本人初のヴァイスプレジデントはこうして生まれた
という本を読了しました。



著者はP&Gの日本人初のヴァイスプレジデント(副社長かな)となった和田浩子女史です。

コンキチは米国企業には詳しくありませんが、P&Gのマーケティング力やC&D (Connect & Development)といった研究開発力が有名な誰もが認める、エクセレント•カンパニーと思います。

ちなみにコンキチの根拠のないフィーリングによる独断と偏見のエクセレント•カンパニー10傑は、Apple, Google, 3M, P&G, Starbucks, Amazon, セブンイ-レブン•ジャパン, BASF, GE, Berkshire Hathawayですかね(完璧に独断と偏見です)。

で、この本を読んでやっぱP&Gって凄いなあと思った点を以下に列挙します↓

1) 人材育成力
P&Gは内部昇格制(Promotion from within)を採っていて、人材育成を重視しています。この本を読む限りでは、コンピテンシーにかなり重きを置く昇格制度を採用しているようです。さらに360°フィードバックをやっているとか。MBAホルダーもいちからスタートだとか。ただし、年功序列ではない。コンキチの狭い知識の限りでは、人事制度の文脈でコンピテンシーと360°って同時に(ミックスして)語られる事って無いような気がします(気のせいだったらすみません)。コンピテンシーを周知徹底させた上での360°だったら効果あるのかなあと思いました。

2) リクルーティング
P&Gでは採用活動において、RQI (Recruit Quality Index)というインデックスを用いているそうです。凄いね。採用候補者の能力を定量化する作業ですね。多分コンピテンシ-ベースのような気がする。しかも、採用後にもRQIの検討をしているとか。まあ、完璧には遠いのだろうけど、採用時の情報の非対称性をただ学歴やフィーリングで乗り越えようとするのは芸がない。革新的な取り組みと思いました。

3) 多様性
P&Gではdiversityを重視しています。グローバル企業で各国の人材を抱えているから必然なのかもしれませんが、組織編成にも人材が偏らないような配慮がなされているようです。コンキチはフロリダ教授のクリエイティブ経済をけっこう信じているのですが(see http://researcher-station.blogspot.jp/2007/12/blog-post.html; http://researcher-station.blogspot.jp/2008/07/rise-of-creative-class.html)、クリエイティブ経済下では多様性が最も重視されます。多様性がクリエイティブ人材を引きつけるのです。極端な例だけど、閉鎖的な(博士を使いこなせないどこぞの国の)企業にスティーブ•ジョブズのような人材を寄せ付けることはできないし、使いこなすこともできない。多様な価値観を持つ人材を受け入れることで、才能の取りこぼしがないんだよね。


この本では、女史が入社した(当時はP&Gサンホーム)1977年からのお話で、かなり古い話も多いのですが、なかなか面白い読み物でした。我が国ではなじみイマイチ薄い外資の巨人を垣間みる本としてはそれなりに参考になったと思います。

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Saturday, May 23, 2009

CH2(N3)2

こんな文献(Technical Noteです)を読んでみました↓


Org. Process Res. Dev. 2008, 12, 1285-1286.


前の反応から引きずってきた残留ジクロロメタンとNaN3が反応して、強い爆発性のCH2(N3)2が生成したというお話し。

メシル化してワークアップして、ジクロロメタンをとばした後、DMF(4 L)を加えてbath温度35℃、~20 Torrで20 Lのエバポレーターでエバポして1 step目終了。で、DMF (12 L)加えて、NaN3 (580 g)を加え70℃、16 hで反応。室温まで冷して水入れてエーテル抽出してエバポしてたらエバポレーターに濃縮されたジアジドメタンで爆発したという話。

エバポしてレシーバーを空にして一晩放置プレイしていたらコンデンサの付け根のglass crosspieceに30 mlの液体(2相)が溜まっていたそうです。で、濃縮し終わったフラスコを外して、液体をながそうとしてレシーバーに繋がっているPTFEコック空けたらドカンといったそいうです。

ちなみに、crude中には8-10 mol%のジアジドメタン (40 g, 0.4 mol)が検出されたそうです。

恐いですね。

っていうか、残留溶媒って意外と残りますよね。「bath温度35℃、~20 Torr」はちょっと甘いと思う。コンキチは以前香料合成もしていたことがあるんだけど、けっこう抽出溶媒は残る。香料は(基本的にvolatile compoundなので)液体のものが殆ど。で、1 mmHg, 60℃とかで濃縮してもAcOEtとかヘキサンとか残ってるからね(GCで分かる)。あと、沸点だけじゃなくて蒸発潜熱(蒸気圧)を考慮するのも大事と思います。例えば、メタノール(bp. 64.7℃)よりもヘキサン(bp.69℃)の方が圧倒的に飛び易いでしょ。あと、モノとの親和性とか。


ななはさておき、溶媒と試薬の組み合わせには気をつけたいと改めて感じる二流大出のなんちゃって研究員なのでした。

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Friday, May 22, 2009

大学図鑑

っていう本を買ってみました(暇つぶしに)。1999年から発行されているようです。

で、コンキチに母校である某二流国立大学に関する記事もこの本に記載されているのですが、



ツボをついてます
(もう卒業して10年経ちますが)


電車の中で読んでいたんですが、軽くヤバい感じの人状態でクスクス笑ってしましました。

アマゾンの書評では賛否両論あるようですが、自分が母校の記事を読んだ限りでは買って損なしと思いました。

けっこうおススメです↓




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Saturday, May 16, 2009

有機合成を生業にするということ (3)

前回のブログで、有機合成を生業にして息災なく人生を謳歌するためには、KnowledgeSkillLiteracyが重要だと書きました。

ではどうすればそういった能力を獲得できるのか?

まずKnowledge。基本的に地道な自助努力(お勉強)で知識を蓄えていくしかないと思います。膨大な化合物と反応の組み合わせに関する知識を一朝一夕でに身につけることはできませんから。

次にSkill。基本的に地道なOJTでスキルを身につけるしかないと思います。要は経験ですね。実際に手を動かして感覚を掴む。料理みたいでしょ。

KnowledgeSkillの性急な醸成は非常に困難(はっきりいって不可能)と思います。さらに高度なKnowledgeSkillを身につけていたとしても、想定外の事象(思惑通りに進まない反応や天災とか)が起こって災害につながるというRisk(不確実性)を完璧に回避することはできません。

「じゃあ結局、運任せ?」と思われるかもしれませんが、コンキチはLiteracyの醸成がそれらの問題を回避または最小限に抑えるのに極めて効果的だと考えています。しかも、KnowledgeSkillと比較して圧倒的に身につけ易いと思います。例えば先のUCLAの事故のケースだと、「白衣を羽織る」ということさえできていれば、たとえt-BuLiを体にぶっかけたとしても「死」には至らない公算が高いのです。
それから、K. Barry Sharpless教授の事故においてもセーフティーグラスを着けてさえいれば失明は避けることができたでしょう。保護具や保護衣の着用を励行するというだけでもシリアスな事故の結末を回避することが可能なのです。たとえ知識やスキルが不足していても最低限のリテラシーが最悪の結果を予防してくれるのです。

ちなみにコンキチは有機化学をはじめてかれこれ13年経ちますが、試薬(化合物)の取り扱いや反応の処理(仕込みから廃棄にいたるまで)の仕方など、自分が本当に適性な取り扱いをしているのか、未だにクヨクヨしています。まあ、自分が二流大出のなんちゃって研究員なるがゆえの能力不足がそうさせるのかもしれませんが、いつもドキドキしながら仕事(実験)していますね。でも奢った気持ちで仕事するよりは100倍ましとは思っています。特に命を守る上では。

UCLAの事故の件のオペレーターには、「セータを着て実験」「ディスポシリンジでt-BuLiを秤量」といった明らかな奢りがありました(また、それを寛容した研究室にも奢りがあった)。

有機合成はリスクの塊です。もしこのお仕事で長く飯を喰っていきたいとおもったらリスクに対応できるSafety Literacyの感度を高く維持し、虚心坦懐に潜在リスクに耳を傾け、奢りを排する姿勢が重要と思います。


以上、「ちなみに一番好きな実験操作はエバポレーション」のなんちゃって研究員の独り言でした。

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Wednesday, May 13, 2009

有機合成を生業にするということ (2)

「お仕事: 有機合成化学」のコンキチです。今回のブログは前回の続きです。

前回も書きましたが、有機合成は不確実な危険を伴うお仕事です。そして、その危険は有機合成化学界の大御所にも及びます。

例えば、2001年ノーベル化学賞を受賞した野依良治先生は京大の助手時代に爆発事故を起こして首から顔面にかけて20数針を縫う大怪我をしたそうです(「学問と創造―ノーベル賞化学者・野依良治博士」より)。
また、同年ともにノーベル化学賞を受賞したK. Barry Sharpless教授は、MITのアシスタント•プロフェッサー時代に、院生が封管したNMRチューブが破裂して片目を失明しました。
see http://www.scripps.edu/researchservices/ehs/News/safetygram/sg2000/sg2000b.html

若かりし頃とはいえ、将来ノーベル賞を受賞する優秀な研究者であっても化学実験事故から完全に逃れる術はありませんでした。何人たりとも有機合成化学を侮ってはならないのです。


化学実験の事故といえば、前回のブログでも軽く触れましたが、昨年年末(12月29日)UCLAで起きた女性リサーチアシスタント(23歳)の死亡事故は、有機合成を生業とするコンキチにとってかなりの衝撃でした(密かに、自分t-BuLi使ったことないしね)。概要は、t-BuLi (1.7M in pentane, 20 ml)を(プラスチック製の)60 mlシリンジで秤量中にプランジャー(or 針)が引っこ抜けて、t-BuLiが飛び散り、発火し、セーター(合成繊維製)に付着し、大火傷を負ったようです。あと、ニトリルゴム手袋をしていたようですが、それも燃えちゃったみたいです。
see
Research assistant dies of injuries incurred in December lab fire (UCLAToday)
Researcher Dies After Lab Fire (C&EN)
Statement of Patrick Harran (LA Times)
New details emerge in fatal UCLA lab fire (LA Times)
State fines UCLA in fatal lab fire (LA Times)
UCLA Fined In Researcher's Death (C&EN)
Negligence Caused UCLA Death (C&EN)


人ごとながら戦慄を覚えますね。言葉は悪いですが、「他山の石」「人の振り見て我が振り直せ」です。

ところで、UCLA女性リサーリアシスタント(23)死亡事件は、

a) t-BuLiを使っていた(他の代替試薬や代替反応があれば、そもそも超危険なt-BuLiを使う必要はなかった)
b) プラスチックのシリンジを使っていた(ルアーロックのガスタイトシリンジを使っていれば、プランジャーもはずれにくいし、針もはずれない。よってt-BuLiの飛散する確率と度合いは減少する)
c) セーターを着て実験していた(白衣を羽織っており、炎が降り掛かった際にすぐに脱ぎ捨てていれば助かったかもしれない)

の3つが全て揃ってはじめて具現化したといえると思います。すなわち、上のa,b,cのどれか一つでも要件を満たしていなければ「死」には至っていなかった可能性が高いのではないかということ。アンラッキーやハードラックで片付けてしまうのは簡単ですが、率直に言って個人と組織の安全活動への取り組みが不十分であったために、3つ(a,b,c)のミスが集積してしまい死亡事故へと発展したのだと思います。

個人的にコンキチは次の3点が安全な化学実験を遂行するのに必要なファクターと考えます↓

1) Knowledge/ 取り扱う危険物質に関する特性や反応の特性を把握していること。
2) Skill/ 安全に実験作業を実施する技能
3) Literacy/ 安全リテラシー。安全意識を持って行動する能力

UCLAの事例でいえば、

Knowledgeを活用すれば、代替試薬や代替反応がみつかり、t-BuLiの使用を回避できたかもしれない
Skillが充分あれば、適切な器具を使用することにより、t-BuLiの飛散を防止できたかもしれない
Literacyが充分あり、白衣を着用していれば、白衣を脱ぎ捨て火だるまになることを回避できたかもしれない

ということ。


では、充分なKnowledgeSkillLiteracyを身につけ、事故を未然に防ぐ、起こしてしまった事故を最小限の被害を抑えるるにはどうすれば良いのか?

有機合成を生業にするということ (3)に続く.....

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Saturday, May 9, 2009

有機合成を生業にするということ (1)

「お仕事: 有機合成化学」のコンキチです。今日はちょっと真面目なことを書こうかと思います。

コンキチがお仕事にしている有機合成は、日々実験の連続で(っていうか毎日実験している)、無数の危険な物質(化合物)を日常的の取り扱います。適用する反応も数多くあります。1人の実験者が生涯に取り扱うことのできる化合物や反応には限界があり、その全てを網羅することは到底不可能です。

(有機)合成は料理に似ているとよく言われます。オペレーション(混ぜる、煮込む、冷す、電子レンジでチンする)的には良く似ていると(個人的に)思いますが、全く異なる部分もあります。それは、料理は

a) 使う食材は(基本的に)危険ではない(毒性があったり、爆発性がない)
b) 料理中、(基本的に)爆発しない。引火し易い素材も限られている。致死量の有害物質を発することもない。

というところです。
(まあ、油に火がついたりとか、キムチが発酵しすぎて爆発したりとか、乳製品や野菜を長期間放置プレイして悪臭を発するなんてこともあろうかと思いますが、それらの危険ポイントは限定的だ)

逆に合成で用いられる素材やプロセスは、危険な要件を多数備えています。爆発性とか自然発火性とか自己分解性の試薬があったかと思うと、毒ガス(塩素、オゾン、硫化水素、アンモニア、アセチレンetc.)とか毒性の高い試薬を沢山つかいます。で、これらの試薬類は主に液体に溶かして使うのですが、実験で用いる液体は可燃性液体なので、発火した場合は被害が拡大します。

なので、我々有機合成に携わる人間は、取り扱う試薬や実施する反応について十分な(安全に係る)知識と技能、安全意識を持ってオペレーションしなければなりません。でないと最悪命を失います(UCLAのリサーチアシスタントの事故が記憶に新しいところです)。

しかしながら、(言い訳かもしれないけれど)、無数に存在する全ての化合物と全ての反応に関する十分な知識を網羅することは難しい。っていうか不可能。それに、安全だと信じられてきたものが実はそうでないことが後に明らかになる場合があるけれど、そういった場合はキツい。あと、新規化合物もその(きちっとした)性質は分からない。

有機合成というお仕事はそういったリスク(不確実性)を伴うお仕事なのです。そのリスクに対して、我々はどういった心構えをもって、どう対処していくべきなのかをちょっと考えてみたいと思います。


有機合成を生業にするということ (2)に続く.....

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衆愚の意思決定プロセス

最近腹回りが気になる中年のなんちゃって研究員のコンキチです。なので、先日から腹筋をはじめました。軽く筋肉痛です。

閑話休題

大人になると、子供の頃にはさっぱり興味のなかった「The 政治」に多かれ少なかれ興味を持つようになります。まあ、子供時代は所得税とか住民税とか社会保険料とかをAutomaticallyに搾取されないし、部活で忙しいからね

で、政治について考えるようになった社会人コンキチは、何年か前に小室直樹(だったかな)の本を読んだのですが、その中で

a) 民主主義とは衆愚の意思決定プロセスである
see http://ja.wikipedia.org/wiki/衆愚政治
see http://ja.wikipedia.org/wiki/哲人政治

b) 独裁は民主主義からも生まれる
独裁者としての悪名高いヒトラー(政治的手腕と経済政策は天才的と言われる)は、国民の絶大な支持を得て独裁者となった。独裁者とは民衆によって造られるものなのだ。

c) 米大統領選は独裁者を作り出さないプロセスである
米大統領選は、そのキャンペーンが長期に渡って展開されるが、それは民主主義が独裁者を作り出さないためのシステムだという。選挙期間を長くとり、ネガティブ•キャンペーンなんてやった日には、そんなに魅力的な候補者であっても、彼(女)は成人君主ではなくなり、そのカリスマ性も半減す。結果、独裁者となり得るほどの国民的人気は得られない。

的なことが書いてあったような気がします。

もし、絶大なカリスマ性をもった完璧な哲人がいたとしたら、その人物に独裁させるのが、最も効率的で優れた意思決定を行うことができるかもしれません。しかしながら、世は分業の時代。独裁者が全てを正しく効率的に意思決定を下すには世の中は複雑になりすぎたと思います。人間が人間である以上、完璧な哲人は存在し得ないのは明白でしょう。とすると、我々の選択肢は、立ち直れなくなるかもしれない大ポカをやらかす可能性のある独裁よりも(独裁者足り得る才能を持った人材の安定供給の問題もあると思う)、愚鈍な民主主義の方がまだマシということなんだろうと個人的に思います。

国を例に挙げると、国会議員は国家全体最適をしなければならない(多分)。で、国会議員は比例代表もあるけど、地方(部分)から選出される。議員は地方(部分)に意向を担っているのだ。TOC (Theory of Constrain)は部分最適は全体最適を阻害することを示している。国政も正にその通りなのだろう。地方の利益が国家全体の利益とならないのだ。


なんてことコンキチは妄想しています。


以上、自分が国家に期待するもので最もプライオリティ-が高いには安全保障と思って、仕方なくダメな自民党に清き一票を投じている二流大出のなんちゃって研究員なのでした。

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Friday, May 8, 2009


夕方、見事な虹をiPhoneでGET

本日通勤時、東京地方は大雨で(あまり厳密じゅないんだけど)禁水反応実施中のコンキチは、朝から軽く憂鬱なスタートを切りましたが、終わりよければ全てよし。なんか爽やかに気持ちで明日を迎えられそうです。

本日のWBSでタミフルネタがやっていて柴崎先生がインタビューされてました。そういえば、林先生の論文(Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 1-5.)、コピったけどまだ全然読んでないことを思い出しました。遅ればせながら読んでみようかと思う二流大出のなんちゃって研究員なのでした。

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Wednesday, May 6, 2009

老香の源

←ジンスト(冷凍庫でキンキンに冷したジンストレート)を楽しんでいるコンキチです。
ちなみにこのジンはボンベイ サファイアというプレミアム•ジンなんだけど、ジュニパーベリー以外にも9つ(合計10種類)のボタニカルを使って造られていて、とってもいい匂いがするコンキチのお気に入りのジンです。
see http://realsakeguide.blogspot.com/2007/08/bombay-sapphire.html

閑話休題

今回は、こんな文献を読んでみました↓

Screening and Identification of Precursor Compounds of Dimethyl Trisulfide (DMTS) in Japanese Sake
J. Agric. Food Chem., 2009, 57, 189-195.

酒類総合研究所と広島大学の共同研究ですね。

お酒(ここでは日本酒)は古くなると老香(hineka)という一般的には好ましくない匂いを発します。コンキチなぞは、老香(好ましいものとそうでないものがあるが)はけっこう好きな方で、古酒と呼ばれる好ましい老香を発する長期熟成酒を愛飲しています(ちなみの1年以上の熟成で古酒になります)。

老香の成分の種々の揮発性化合物から構成されているんだけれど(J. Soc. Brew. Japan, 1980, 75, 463-468)、その構成成分のメイン成分の一つにdimethyl trisulfide (DMTS)があるそうです(J. Agric. Food Chem., 2005, 53, 4118-4123.; J. Soc. Brew. Japan, 2006, 101, 125-131.)。

で、DMTSの匂いの特徴→sulfury, onion-like

これまでに報告されているDMTSの前駆体(お酒以外で見いだされたもの)↓
entry 1: S-methylcysteine sulfoxide
ref. J. Agric. Food Chem., 1992, 40, 2098-2101.; J. Agric. Food Chem., 1998, 46, 4334-4340.; J. Agric. Food . Chem., 1994, 42, 1529-1536.; J. Inst. Brew. Chem., 1978, 84, 337-340.

entry 2: sulforaphane (4-methylsulfinylbutyl isothiocyanate)
ref. J. Agric. Food Chem., 2006, 54, 2479-2483.; J. Soc. Brew. Jpn, 2007, 102, 432-440.; J. Agric. Food Chem., 1999, 47, 3121-3123.

enrty 3: methanethiol (methionine, methional)
ref. Int. Dairy. j., 2002, 12, 959-984.; J. Am. Soc. Brew. Chem., 1998, 56, 99-103.:J. Agric. Food Chem., 2000, 48, 6196-6199.

entry 4: S-methylcycteine sulfoxide
ref. J. Inst. Brew. 1978, 84, 337-340.


ところで、お酒中のDMTSの生成機構は全く研究されていないそうで、著者らはその解明を試みて、前駆体を1個同定したというのがイントロ(DMDSに関する研究はJ. Soc. Brew. Jpn. 1975, 70, 588-591.)。

で、結果↓

まずはじめに、著者等はメチオニンのDMTS生成の寄与について調べています。メチオニンからのDMTSの生成経路としては、こんな経路が考えられます↓


で、 お酒中に含まれるメチオニンと同量のD標識したメチオニン([methyl-d3]-methionine)をお酒に加えてエイジングして、生成するDMTS, [methyl-d3]-DMTS, [methyl-d6]-DMTSの比率を調べました。もし、DMTSが100%上記schemeで示される経路で生成するとすると、



DMTS : [methyl-d3]-DMTS : [methyl-d6]-DMTS = 1 : 2 : 1


になるはすです。

しかしながら、実際の結果は、



DMTS : [methyl-d3]-DMTS : [methyl-d6]-DMTS = 100 : 6 : 0


でした。この結果から、上記schemeによるメチオニンのDMTS生成の寄与は軽微であることが示唆されました。

ということで、著者らが次にしたことは、DMTS前駆体の単離•同定です。DMTS前駆体は2つあることが分かったんですが、今回の報告ではより高極性の方のみに報告です(もう一方はin progressね)。

で、MSとNMRの解析結果から、問題の前駆体は



1,2-dihydroxy-5-(methylsulfinyl)pentan-3-one


であることが分かりました(新規化合物らしいです)。

そして、著者らが提案したDMTS生成機構はこちら↓


さらに1,2-dihydroxy-5-(methylsulfinyl)pentan-3-oneがどのように生成するかについても考えていて、著者らはメチオニンサルベージ経路が関与していていて1,2-dihydroxy-5-(methylthio)-1-penten-3-oneから1,2-dihydroxy-5-(methylsulfinyl)pentan-3-oneが誘導されるのではないかと推測しています。

以上が本報のザックリしたところで。

まあ、老香って当然sulfury, onion-likeっていう単純な匂いではないし、種々の化合物のシナジ-やエンハンス効果、マスキングとかの影響であったり、閾値の極めて小さい物質が色々あったりだとかするんだろうと思います。この論文では、メイン成分であるDMTSの生成機構が少し明らかにされただけですが、これまで老香の研究って殆どされてきてないようなので、この研究の価値は高いと思います。一酒愛好家として今後のさらなる研究に期待したい二流大出のなんちゃって研究員なのです。

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世襲が悪なの?

国会議員の世襲がいかんとかどうとかいう話題がお茶の間を賑わせてりうようですが、柴田恭平ばりに関係ないねと思うコンキチです。

世襲が政治を毒しているというのなら、それを証明しなければならないのではないだろうか、世襲禁止とか世襲制限とか宣っている人々は?世襲議員より非世襲議員の方が有能であるということを示さなければならない。

っていうか、世襲議員が世襲制限とかいってるのが超笑えて気持ちいいです。仮に(縁故があったとしても)選挙区が違えばO.K.とか言ってる人がいるとすれば、選挙区の世襲はNGだが、親の七光りとか縁故とか(莫大な)財産(の継承を背景とした影響力)とか応援の継承は可っていうこととコンキチは受け取ります。

っていうか、そもそも世襲が悪いのではなく、無能な人間が(国会)議員になるのが悪いというこでしょう。でも、(国会)議員になっている以上、有権者の支持をそれなりに得ているんですよね。ということはですよ、

a) 有権者がバカ(有能な人材を選ぶ能力が低い)
b) 有能な人材が立候補しない(なので、ダメダメなやつではなく、ダメなやつに投票するといった消去法)
c) やっぱり人間、金には勝てない(ばれない賄賂)

っていう感じではなかろうか?

要は民度の高低が(国会)議員の質を制約する一因と思います。

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Tuesday, May 5, 2009

消費するか?バイトするか?

←先日、帰省した際、観光客向けの市場で食べたウニ丼(2,100 JPY)。ちょっとボラれた気持ちで一杯でしたが、ウニが甘くてフワフワしてクリーミーでコクがあって旨かったです。


←カミさんと子供たちが食べたイクラ丼(1,050 JPY)です。



←岩がき(400 JPY)もいただきました。お店のお姉さんがその場で殻を割ってくれました(それにしても高いね)。







閑話休題

世間では高速道路が大渋滞らしいですね。なんで、大勢の人は混雑するのが火を見るより明かなGWに車でお出かけするのでしょう?自らに苦行を課す修験者のようなMっぷりです。ETC+1,000円で土日祝日高速乗り放題とはいえ、長距離渋滞に巻き込まれたらそのバリューは限りなく低下しますね、コンキチの場合。

コンキチは人ごみや渋滞が嫌いなので、GWは家でゆっくりカウチホテトを楽しみたい方です。といっても夫としてのペルソナ(立場)上、しかたなく実家に帰りましたが.....車で.....

でも大渋滞には見舞われませんでした。理由は、道路が超空き空きの平日に帰省して、ピーク前(昨日)にUターンしたから(片道420kmくらいで、帰りは行きにかかった時間+1時間でUターンできました)。ついでに、コンキチの帰省ルートって、ほぼインターtoインター(一般道は1kmくらいしか使わない)であることに加えて、交通量が多い区間をかわしたかなり空いてるルート(常磐道-磐越道-東北道)なので。

で、まとめるとこういうこと?↓
コンキチは9,000 JPY(ざっくりした片道の高速代) - 1,000 JPY = 8,000 JPYで大渋滞にはまったら浪費したであろう時間を買った(ちなみにコンキチの時給は税引き後で、ザックリ2,200-2,500 JPYくらい(かな))。
今日あたり高速の上りのSAで取材されている人は、時給「(本来の高速料金 - 1,000 JPY)÷渋滞にはまって浪費した時間」JPYでバイトしたみたいなもの。


そんなことなんだろうと思います。

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Monday, May 4, 2009

ペルソナ


←羊です。
←コンキチの父親が、実家で趣味で飼っている羊です。









しかも、全部で5頭います(全部趣味と食欲で飼っています)↓



閑話休題


連休前半、実家に帰省していたのですが、その間に本を読んでみました。こんな本です↓










最近コンキチの愛読している海堂尊の著作に登場するロジカルモンスター白鳥圭輔(コンキチはそれほどモンスターとは感じないが)を軽く凌駕する佐々木敏氏の陰謀論をベースにした政治シミュレーション恋愛小説です。

タイトル中の「龍」とは中国のことで、中国を中心とした各国の本音と建前(ペルソナ)が(政治素人のコンキチには)リアルかつディープ描写されていてかなり興奮させられました。

で、仮面(ペルソナ)っていうのがこの物語のキーワードになってきます。要は、人間には意外と言論の自由っていうのはないということ。特に責任が大きい立場(ペルソナ)にたてばたつほど、応分の役割(ペルソナ)に対応した発言や行動をとらざるを得ないのです。コンキチは非常にシンパシーを覚えました。それ相応の立場の人が身もふたもない事をいうと信頼を失っちゃうからね。だれもその人についていかなくなる。故に、人の挙動はそのペルソナに制約されてしまう。


ペルソナに言動や行動が制約されてしまうっていう事象は、特別なことじゃないと思う。例えば、サイエンチストがカルト発言連発したらキワモノ扱いされるし。国家権力様や聖職者が不適切な嗜好を持っていることがばれればヤバイよね。

夫が夫としてのペルソナを全うし、妻が妻としてのペルソナを全うしなければ、夫婦は崩壊するでしょう(自分、恥ずかしながら崩壊寸前かもしれません)。

あと、未成年でもペルソナによる制約があると思います。教師(聖職者?)から押し付けれる優等生としてのペルソナであったり、番長(死語)としてのペルソナ。部活にキャプテンとしてのペルソナetc.

ペルソナとはある種の社会的要請であり、その役割を完遂できなかった場合のリスクは、完遂することで得られるベネフィットよりも高い(ような気がする)。そんな感想を抱きました。

とまあ、色々素人(コンキチ)のゴタクを並べてきましたが、それとは一切関係なく、掛け値無しに氏の著作は絶品ですね!是非読んだ方がいいと思います。視野が広がること請け合いと思います。

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