とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, December 19, 2010

洗脳企業

橘玲のブログで、牛丼チャーン「すき家」を展開するゼンショーに関する記事がありました。

その記事によるとゼンショーの仕事(現場のオペレーション)は国内究極のマックジョブであるといい、社員には「ゼンショーグループ憲章」という小冊子(シリアル番号入りで、なくすことは許されない)が配られ、新人研修は「学生時代の誤ったリーダーシップ観を徹底的に否定する」という自己否定から始まり、ゼンショーの思想を植え付けるという洗脳じみたものだといいます(コワッ)。

そして、「日経ビジネス 9月20日号 外食日本一ゼンショー 280円で仕掛ける"メガ盛り生産性革命"」がオリジナルの記事といいます。

ということで、ボクもこの日経ビジネスの記事を読んでみました。


で、読んでみた感想なんだけど、一言でいうと、

ゼンショーってロボット生産工場だな


だって、

a) 朝礼で10分間の店内オペレーションのロールプレイングと(スーツ)スクワットをするそうです。で、ある幹部社員は「うちの朝礼は素早く仕事モードに切り替えるための合理的なセレモニーなんです。恐らく一般の会社は、始業後、数時間ムダにしてるんじゃないでしょうかね」と嘯いているそうです。
→どこが合理的かサッパリ分からないけど、(軍隊に入ったことねいけど)軍隊チックな感じですね。因に、ボクの職場は上述の儀式はないけど速攻仕事モード入ります。

b) 「ゼンショーグループ憲章」には、「商談は30分」「社員は群れてはいけない」「笑ってごまかさない」「いい人に思われるようにするな」「歩く時は1秒に2歩以上」なんていう記述があるそうで、社員にとってはバイブルに等しいそうです。
→ミスター•マリック張りに相当キテマスね。こんな小学生じみたことを憲章に列挙するのは、オペレーターを精神的にロボット化する意図しか感じられない。
あと、「社員は群れてはいけない」って労組を結成しちゃダメって暗にほのめかしてますよね。けっこうブラック(ボクは、個人的に労組には否定的だけど)。

c) 丼の洗い方やテーブルの拭き方にまで細かいマニュアルがあり、ムダな動きだと叱責される。例えば、テーブルを拭く際は、肘から下のみの動作でZ字に拭かなければならない(上腕を使うと動きが大きくなりムダという)。
→正にロボット化

d) 現場でクルーがマニュアル通りに動いているかを確認する社員の定期循環に加えて、全店に監視カメラを設置し、監視役の社員が24時間モニターしている(防犯対策の意味もある)。
→グーグルなどのクリエイティブ企業とは対照的な徹底管理。自己実現ゼロの退屈な職場環境では、オペレーターは低きに落ちてゆくから徹底監視による厳格管理が必要ってことですね。恐怖政治だな。

多かれ少なかれ企業っていうのは、従業員を洗脳して自社に忠誠を尽くすようにするための洗脳プランっていうのを持ってると思いますが、こゼンショーは凄いね

(あと、ゼンショーに匹敵する宗教じみた洗脳研修を実施している企業は、王将フードサービスだろうか see http://www.j-cast.com/kaisha/2010/04/14064474.html)

さらにゼンショーは個々のオペレーションの詳細を徹底的に規格化して、個人の裁量を排除してオペレーションのムラを取り除こうとしているようです(クルーの唯一の独自性は笑顔だそうだ)。例えば↓

a) トヨタばりにタクトタイムを管理

b) ゼンショーには牛丼のミニ用、並盛用、大盛用の3種類のおたまがある(吉野家は1種類しかない)。

c) 製造ラインの組み替え(段取り替え)をパートだけで効率的に組み替えるマニュアル整備と訓練をしている。

d) FFS (Five Factors & Stress)の導入
米国海兵隊が使っている組織理論。性格毎にクルーのベストマッチな組み合わせを最適化し、チームとしての効率を高めるている


e) パート•アルバイトを徹底活用↓

ゼンショー
吉野家
牛丼並盛の価格
280円
380円
売上高
1,006億 (すき家)
1,021億 (吉野家)
店舗数
1,482 (すき家)
1,178 (吉野家)
原価率 (連結)
33%
38%
社員対パート
1対7
1対4
平均単価
500円弱 (すき家)
500円弱 (吉野家)
1人当り売上高(正社員のみ、連結)
6,900万円
4,690万円
1人当り売上高(パート込み、連結)
887万円
889万

人件費の安いパート人材の比率を増やして利幅を稼いでいるんですね(BRAVO)。

マックジョブは低付加価値事業で、そういった事業は薄利多売スキーム(EDLP)だから、非正規社員を沢山つかってコストカットしたり、スケールメリット(国内外食 No.1)を効かしたやり方っていうのは王道ですよね。しかも、何も考えず言われたことをしっかりやってくれるロボットオペレーターは最強の戦力だ。

コンキチはこの記事を読んで、ちょっぴりゼンショーに興味を持ちました。実は、すき家には一度も入ったことがないんだけど、今度クルーの作業している様子を観察しに入店してみようと思います。それから、ゼンショーの組織構造も余力があったらサーチしてみたいです。

それにつけても、マックジョブって恐いな。橘氏は自身のブロググで、

マックジョブには「自己実現」はないけれど、仕事で悩んでうつ病になったり、自殺したりすることもない。

と述べているけれど、ボクには耐えられないな。来る日も来る日も単調な作業の繰り返しなんて、退屈で退屈で狂い死にしそうです。しかも、いい年した大人(我が国で大卒は20歳超えてるまぎれもない大人だ)が思想まで強要されたくない。

改めて、学生みたいなキタナイ恰好で通勤できて、そこそこ楽しい研究ライフを送れている自分の運命に感謝したい気持ちでいっぱいの二流大出のなんちゃって研究員でした。


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