とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Monday, May 30, 2011

放射能の真実 3

昨日、「放射能の真実 2」っていう楽観的なエントリーを書いたけど、これって設定されている係数(想定)が正しいことが前提です。

しかも、このモデルは放射性物質の減衰が考慮されているので、半減期の短い131Iの規制値いっぱいいっぱいの食材ばかりを摂取してたら設定された許容被曝量をあっという間にオーバーしてしまいます。

ついでに、各自治体で実施しているサンプリング調査は目が粗過ぎます(十分なサンプル数ではない)。例えば、茨城県は「放射能汚染野菜のサンプルは毎回同一の圃場から提供され ているものではなく、天候や風向き等の影響により、汚染度合いが異なっているものと思われる。」と回答していて、暫定規制値を超過した食材が市場に流通している可能性を完全に否定することはできないことが分かっています。実際、公表されているデータをみると、同一の市(町)で産出した食材の汚染レベルがけっこう異なっていることが推察されます(放射性物質の減少傾向に一貫性がない)。

また、低線量被曝に関する知見は十分に蓄積されているとは言いがたいです。その証拠に専門家の間でも意見が分かれているという現実があります(理論が十分に成熟していれば、そんなことはあり得ない)。

放射能汚染の問題はブラックスワン(ナイトの不確実性)の領域にある


ということを認識してボクたちは放射能汚染時代を生きていかなければならないのだろうと思います。

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Sunday, May 29, 2011

放射能の真実 2

原発事故以降、放射能汚染がボクたちにどんな影響をもたらすんだろうっていろいろ考えていたんですが、ある程度スッキリしたのでメモしてみます。

要は、どれだけ被曝するの?ってことです。で、ボクたちが考えなければ行けない被曝は、

(1) 大気中の放射線による外部被曝
(2) 大気中に浮遊している放射性物質の呼吸からの吸引による内部被曝
(3) 食品に含有•付着する放射性物質の経口摂取による内部被曝

と思います。で、放射能に関する暫定基準値ってどうなの?って思って、微妙なやる気でWeb上をサーチしてたら、個人的に有益と思えるサイトを発見したのでメモしてみます↓

(1) 大気中の放射線による外部被曝
チバラキ在住のボクは東大柏キャンパスの測定値(http://www2.u-tokyo.ac.jp/erc/index.html)を参考にするけど、その場合、1日24時間ずっと外で過ごしたとして、ざっくり2〜4 mSv/yearの被曝量でしょうか?

(2) 大気中に浮遊している放射性物質の呼吸からの吸引による内部被曝
こんなサイトがありました↓
予測被ばく量の計算2 外部被ばくと呼吸による内部被ばく

計算方法は

呼吸吸引による内部被曝=核種濃度(Bq/m3)×線量換算係数(μSv/Bq)×呼吸率(m3/日)×日数

を各種毎に計算し、合算して算出。ちなみにこのサイトによると、データの揃っているつくばエリアの放射性吸引による被曝量は、3月15日からの1年で42.6μSvと予想されてます。

あと、最近のつくば市内の保育所•幼稚園•小中学校の線量は↓
http://www.city.tsukuba.ibaraki.jp/dbps_data/_material_/localhost/kan003/houshasenn.pdf

(3) 食品に含有•付着する放射性物質の経口摂取による内部被曝
次の3つのサイトが有益と思います↓
a) 基準値の根拠を追う:放射性ヨウ素の暫定規制値のケース (産業技術総合研究所 安全科学研究部門)
b) 基準値の根拠を追う:放射性セシウムの暫定規制値のケース (産業技術総合研究所 安全科学研究部門)
c) 食品の放射性物質の暫定基準値はどうやって決まったか (勝川俊雄 公式サイト)

で、これらのサイトから次のことが分かります。

a) 「1年間摂取し続けた場合の値」ではなくて、「1回のイベントで汚染された食品をその後摂取し続けた場合」の値で、半減期に応じて汚染がどんどん減り続けることが前提→半減期の短い放射性ヨウ素は注意が必要

b) 各種毎の許容限度を次のように設定している
radioactive I/ 2 mSv/year (甲状腺等価線量/ 50 mSv/year)
radioactive Cs and Sr/ 5 mSv/year
radioactive U/ 5 mSv/year
radioactive Pu/ 5 mSv/year

c) 流通過程で2倍に希釈されるとしている→例えば、全て放射性Cs: 500 Bq/kg食材を1年間食べ続けるとざっくり10 mSv被曝する。


マックス17 mSv/yearまで被曝してもオッケーっていうのは衝撃ですが、UやPuが食材に猛烈に混入していることはないと思うので、実質的には、IとCs(+Sr)による内部被曝に気をつければいいのかなって思います。現実問題として、規制値マックスの食材ばかりを継続的に摂取し続けることは可能性が低いので、まあ5 mSv/year程度の被曝は覚悟しておいた方がいいのかなっていう気がします。

以上、これらの数値をみたチバラキ在住のボクの独断と偏見に基づく結論は、こんな感じ↓

•外部被曝はそんなに気にしなくてもいいだろう
•大気中に浮遊している放射性物質の呼吸からの吸引による内部被曝は、大気中の放射線による外部被曝に比べて大分小さい
•食品の経口摂取に伴う内部被曝は、5 mSv/year以内には収まるかな(中高年はそんなにセンシティブにならなくてもいいけど、子供は心配)
•経口摂取した90Sr (半減期/ 28.9年)による子供の被曝が心配(Srの生物学的半減期/ ca. 50年)

現状がこれ以上悪化しないなら、大人はそれほど神経質にならなくてもいいかも知れないけど、子供は心配ってところでしょうか?

万全を期して、学校給食には西日本産の食材を使って欲しいものです。あと、当然だけど、汚染食材を積極的に摂取することはないよね。っていうか、生鮮食品系は特にできるだけ西の食材を食べてます(昨年収穫した米とかは別だけど)。
以上、二流大出のなんちゃって研究員の戯言でした。

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Saturday, May 28, 2011

放射能の真実

低線量被曝に対する幾つかの機関の見解をまとめてみました↓(随時、追加予定)

日本原子力研究開発機構
a) 現時点では、「人間は総線量100 mSv以下の放射線をあびてもまったく健康影響が現 れない」というのが結論
b) 食品の暫定基準値は「放射性ヨウ素はca. 33 mSv/year、他の放射性物質は5 mSv/yearまでなら摂取しても安全」と判断し決められている
http://www.jaea.go.jp/jishin/qa/qa01.pdf

日本産婦人科医会 (2011.4)
矛盾してると思うんですけど↓
a) 人間が、放射線を浴びてもまったく健康影響が現れない放射線量は、総線量100mSv以下である。
b) 晩発障害にはしきい値はないと考えられている
http://www.jaog.or.jp/News/2011/sinsai/kensyu_0427.pdf

National Academy of Sciences (2005.06)
a) 5年間で100 mSvの被曝→約1%の人が放射線に起因する癌になる 
b)「被曝には、これ以下なら安全」と言える量はない
c) 否定→「一定量までなら害はない」、「極低線量の被ばくは免疫を強め、健康のためになる」
http://www.47news.jp/CN/200506/CN2005063001003768.html

ICRP
Low-dose Extrapolation of Radiation-related Cancer Risk (ICRP Publication 99) Ann. ICRP 35 (4), 2005.
The report concludes that while existence of a low-dose threshold does not seem to be unlikely for radiation-related cancers of certain tissues, the evidence does not favour the existence of a universal threshold. The LNT hypothesis, combined with an uncertain DDREF for extrapolation from high doses, remains a prudent basis for radiation protection at low doses and low dose rates.
http://www.icrp.org/publication.asp?id=ICRP%20Publication%2099

放射線科学センター
ガンや遺伝的影響は非常に低い被ばく線量からその障害がおきる可能性がある
http://rcwww.kek.jp/kurasi/page-55.pdf

ECRR (2011.3.30)
要は、福島原発の半径200km内で、今後10年で20万人が、50年で42万人が癌になる↓
1. The ECRR risk model has been applied to the 3 million people living in the 100km radius of the Fukushima catastrophe. Assuming these people remain living there for one year the number of excess cancers predicted by the method is approximately 200,000 in the next 50 years with 100,000 being diagnosed in the next 10 years. If they are evacuated immediately, the number will fall by a significant amount. For those 7 million living between 100km and 200km from the site, the predicted number of cancers is slightly greater with 220,000 extra cancers in the next 50 years and about 100,000 being expressed in the next ten years. These predictions are based on the ECRR risk model and also the findings of cancer risk on Sweden after the Chernobyl accident.
2. The ICRP model predicts 2838 extra cancers in the 100km population. The eventual yield will therefore be another test of the two risk models.
http://llrc.org/fukushima/subtopic/fukushimariskcalc.pdf

ドイツ放射線防護協会 (2011.3.20)
乳児、子ども、青少年に対しては、4 Bq/kg以上の137Csを含む飲食物を与え ないよう推奨されるべきである。成人は、8 Bq/kg以上の137Csを含む飲食物を摂取しないことが推奨される。

http://icbuw-hiroshima.org/wp-content/uploads/2011/04/322838a309529f3382702b3a6c5441a31.pdf
(正直、これはちょと厳しすぎるという印象を受けます。線量係数も高めな気がした)

北海道大学CoSTEP (2011.4)
確率的影響の場合に閾値があるかどうかについては、じつは研究者の間でも意見の違いがあります。また研究者の中には、「ごく少量の放射線ならば、むしろ有益なのではないか」(ホルムシス説)という人たちもいます。でも ICRP(次節を参照)は、少なくとも現在は、閾値はないという立場をとり、ホルムシス説も否定しています。
http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/costep/news/article/121/

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Thursday, May 26, 2011

Earthquake 2011 (13)

コンキチの住んでいる市への質問メールシリーズ第1部最終章です。
(see http://researcher-station.blogspot.com/2011/04/earthquake-201-7.html; http://researcher-station.blogspot.com/2011/05/earthquake-2011-10.html; http://researcher-station.blogspot.com/2011/05/earthquake-2011-12.html)

教育長からの「市場で流通している食材は安全であるので学校給食を実施する」という手紙に端を発して、市と数度に渡ってメールでやりとりしてきましたが。先日最後の質問に対する回答が返ってきたのでメモしてみます↓

Question 6 (学校給食で使う野菜等の納品時に産地の確認などを行っているということだが)納品時に産地の確認を行っているということか?単に産地を確認するだけで、産地の峻別は行っていないのか?また、産地の選別を行っている場合、具体的な選別法を教えて欲しい。

Answer 6 出荷停止中の農産物等が納品されることの無いよう確認を行っているもので、産地の選別を行っているものではない(出荷停止されていないものは安全だから)。

だそうです。

やる気無さすぎ


「官僚の無謬性」(官僚(組織)は、自分達がこれまでに行ってきたことは全て正しいと考え、自己否定することは皆無であるとうこと)という言葉がありますが、これは地方行政の末端まで徹底されているようですね。しかも、市役所などの格の低い地方公務員は中央や県の言いなりで、その裁断に疑問を持つことも許されないようです(see 特にhttp://researcher-station.blogspot.com/2011/05/earthquake-2011-12.html)。

とりあえず、ぼちぼち県もターゲッティングしていこうと思います。


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Saturday, May 21, 2011

Earthquake 2011 (12)

この間書いたブログの続きです。
市に学校給食のことで、再々度しつこく質問メールを送ったら、やっと少しはまともな回答を得ることができました。で、その結果がコレです↓

Question 1 各自治体が農産物の全量(畑毎に)検査を実施して安全を確認していることを市では確認しているか?万が一確認していないならば、局在化の影響を認識しているが、無視しているということか?
茨城県に問い合わせたところ、「放射能汚染野菜のサンプルは毎回同一の圃場から提供され ているものではなく、天候や風向き等の影響により、汚染度合いが異なっているものと思われる。」という回答を得、暫定規制値を超過した食材が市場に流通している可能性を完全に否定することはできないことが分かっている。
Answer 1自治体が全量検査をしているということは承知していない。。現在の国・県レベルでのサンプリング検査により安全性の確認をしていると認識しています。
要は、国•県といった上部団体の仰せのままにってことね

Question 2 農産物の安全性を担保する科学的な根拠を立証する臨床データ(文献)を教えてください。
Answer 2 学校給食担当では把握していません。
自分たちで考えることを放棄してるってことね

Question 3 米国、シンガポール、過去の日本の禁輸措置等は間違いだと考えていますか?
Answer 3 国は現在の放射線レベルでは健康上の心配はないと説明しており、学校給食の担当が責任をもってお答えすることは困難と受けとめている。
国が勝手にやったことで、俺たち(市)は関係ないってことね

Question 4 もし万が一、放射能が原因で、将来、小児甲状腺がんが多発した場合、責任の所在はどこにあるとお考えですか?
Answer 4 国は現在の放射線レベルでは健康上の心配はないと説明しており、学校給食の担当が責任をもってお答えすることは困難と受けとめている。
俺たち(市)は関係ないってことね


それから、前回の回答文で、各学校では、野菜の産地確認を行うなど、安全確保にも努めているっていう文面が書いてあったから

Question 5 「各学校では、野菜の産地確認を行うなど、安全確保にも努めている」ということだが、具体的に何をどのように確認しているのか?

ていう質問をプラスしたら、

Answer 5 野菜等の納品時に産地の確認などを行っている。
ひょっとして確認してるだけか?公表しないのか?

だそうです。

それにつけても、想像してた通りすぎて恐ろしいな。市の仕事って上意下達の無責任ルーティンワークだってことがよく分かりました。

とりあえず、「Answer 5 野菜等の納品時に産地の確認などを行っている。」っていうのが気になったので、

Question 6 納品時に産地の確認を行っているということか?単に産地を確認するだけで、産地の峻別は行っていないのか?また、産地の選別を行っている場合、具体的な選別法を教えて欲しい。

という質問メールをしつこく送信してみました。納得するまで何度でもしつこくいくよ。だって、少しでもはぐらかしてやろうとしか思えない回答ばかりするんだから。

つづく.....


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Sunday, May 15, 2011

Transition Metal-Free Cross-Coupling (3)

Transition Metal-Free Cross-Coupling (2)の続きです。で、読んでみたのは↓

Organocatalysis in Cross-Coupling: DMEDA-Catalyzed Direct C−H Arylation of Unactivated Benzene
J. Am. Chem. Soc., 2010, 132, 16737–16740.


あと、ジハロベンゼンとの反応↓
(忘れちゃったけど、立体障害に弱いのかな)

ところで、この反応でリガンドの検討をけっこうやってます。p-ヨードトルエンとベンセンのカップリングで試してる(20 mol% cat., KOBut (3 eq.), 80℃)、これがまたけっこう面白いです↓
Direct Arylation of Benzenea
entry
cat.
yield / %
1
none
trace
2
L-proline
34
3
DMEDA
84
4
Bipy
trace
5
TMEDA
0
6
Dppf
0
7
NH2CH2CH2NH2
81
8
NH2CH2CH2OH
67
9
tBuNHCH2CH2NHtBu
trace
10b
DMEDA
70
11b
cis-1,2-cyclohexanediol
81
12b
trans-1,2-cyclohexanediol
22
13
pyridine
trace
14
pyrazine
trace
a Reaction conditions: 0.5 mmol of p-iodotoluenen, 1.5 mmol of KOButBu, in 4 ml of benzene. b 0.5 mmol of p-iodotoluene in 3 ml of benzene.

あとこの反応、TEMPOとか1,1-diphenylethyleneとか添加して反応を行うと、反応は完全に進行しないそうです。それから、速度論的同位体効果(KHM/sub>/KD=1.29)の検討から、律速段階はC-H結合の開裂ではないことが分かりました。

さらにそれから、この反応は(確か、確認実験してたと思うんだけど)、極めて反応性の高いラジカルアニオンが中間体として生成していると思われます↓


以上、Transition Metal-Free Cross-Couplingに関するメモでした。

それにつけても、同時期に同じような論文がたて続けに出るなんで凄いですね

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Transition Metal-Free Cross-Coupling (2)

Transition Metal-Free Cross-Coupling (1)の続きです。で、読んだのは、林民夫先生のグループの報告で↓

tert-Butoxide-Mediated Arylation of Benzene with Aryl Halides in the Presence of a Catalytic 1,10-Phenanthroline Derivative
J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 15537–15539.


この報告でもフェナントロリン誘導体とMOt-Buを使います。フェナントロリン類を幾つか試していて、(安い)1,10-phenanthrolineでも反応は進行するんですが、ベスト•プラクティスは、4,7-dephenyl-1,10-phenanthroline。baseにはMOt-Buを使っていて、一番いいカチオンはNa (Na > K >> Li)。

そして著者らは、次のような推定反応機構を提案しています↓

ハロゲン化アリールはsingle electron donorと反応し、ラジカルアニオンを経てアリールラジカルを生成することが知られているそうです(Free Radicals in Organic Chemistry, John Wiley and Sons, Chichester, 1995, chapter 15, pp 181-189.; Acc. Chem. Res. 1978, 11, 413-420.)

あと、MOt-Buは、ヨウ化アリールに対してsingle electron donorとして働くことが報告されているそうです(J. Org. Chem. 1986, 51, 3593-3597.)。

それから、速度論的同位体効果(KH/KD=1.07)の検討から、律速段階は、シクロヘキサジエニルラジカル→シクロヘキサジエニルカチオンと推測しています。

マジで遷移金属なくてもカップリングするんだな。

Transition Metal-Free Cross-Coupling (2)につづく.....

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Wednesday, May 11, 2011

Earthquake 2011 (11)

住みにくい世の中になったなあと思うコンキチです。

先日、蓮舫消費者担当大臣のtweetにこんなのがありました↓


ちなみに、茨城県では、茨城県産ホウレンソウの分析サンプルは毎回同一の圃場から提供されているものではないとしており、さらに天候や風向き等の影響により、汚染度合いが異なっているものと思われるという認識を示しています。すなわち、暫定規制値を超過した食材が市場に流通している可能性を完全に否定することはできない訳です。

これについてどう考えてるんですかね、消費者庁と消費者担当大臣は。

ボクには、消費者庁って、顕在化した不祥事に対して言い訳するだけの役所にしか見えないんですけど、一般市民の皆さんはどう思われますか?

「2位じゃダメなんでしょうか?」って言ってた人に、「棒ほど願って針ほど叶うって言う言葉を知らないんですか?」って切り返したい二流大出のなんちゃって研究医でした。

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Tuesday, May 10, 2011

Transition Metal-Free Cross-Coupling (1)

←美味いマディラをみつけたのでメモしてみます。
BARBEITO MADEIRA WINE MEDIUM DRY
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ラムレーズン様の香り。熟成を想わせる、紹興酒様の深い味わい、梅酒様の香味。フィニッシュは、渋、苦、スレンダーかつふくよか。ほのかな甘味と締まったニュアンス。とっても美味しい。
-DATA-
alc./ 19%
-COMPANY-
Vinhos Barbeito
http://www.vinhosbarbeito.com/

閑話休題

気ままに有機化学さんの世界同時多発研究という記事に触発されて、(昨年)こんな文献を読んでみました↓

An efficient organocatalytic method for constructing biaryls through aromatic C–H activation
Nature Chemistry 2010, 2, 1044-1049.

ズバリ、Transition Metal-Free Cross-Coupling。1,10-phenanthrolineとtert-BuOKでC-Hアクティベーションを起こし、クロスカップリングを達成するという話です(マジ?って感じです。でも、tert-BuOK使ったヘテロアリールのTransition Metal-Free Cross-Couplingって、既に報告されてるらしいですね)。


1,10-phenanthrolineとK+イオンがベンゼン(基質)と相互作用(π-πスタッキング, π-イオン相互作用)して基質の反応性をあげると著者らは考えています↓


あと、この反応の鍵中間体はアリールラジカルと考えられているようです。

ちなみに、

tBuOKと1,10-phenanthrolineの代わりに、AIBNとBu3Snを使うと、low yieldながらも目的物が得られますが、tBuOKと1,10-phenanthrolineの系にTEMPOを添加して反応を行うとno desired productだそうです。


Transition Metal-Free Cross-Coupling (2)につづく.....

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Saturday, May 7, 2011

Earthquake 2011 (10)

先日、(コンキチの居住する)市に質問したんですが、その回答の内容があまりに信じがたいものだったので、再度(しつこく)質問メールを出してみました。
see http://researcher-station.blogspot.com/2011/04/earthquake-201-7.html

で、回答が返ってきたので、まとめてみます↓

Question 1 各自治体が農産物の全量(畑毎に)検査を実施して安全を確認していることを市では確認しているか?万が一確認していないならば、局在化の影響を認識しているが、無視しているということか?
Question 2 農産物の安全性を担保する科学的な根拠を立証する臨床データ(文献)を教えてください。
Question 3 米国、シンガポール、過去の日本の禁輸措置等は間違いだと考えていますか?
Question 4 もし万が一、放射能が原因で、将来、小児甲状腺がんが多発した場合、責任の所在はどこにあるとお考えですか?

Answer
•市では国や県などの公的機関が発表した放射線の測定値の情報等を注視しながら、各課で連携を図っている。
•給食用の野菜は一般に市場で流通しているものだが、各学校では、野菜の産地確認を行うなど、安全確保にも努めている。(っていうか、給食センターじゃなくて学校が確認するのか?)
•今後も、児童生徒の安心・安全のために、情報収集を適切に行っていく。  



マジ!


オレの質問に気持ちいいほどひとつも答えてないんですけど.....

はっきり言って、オレも市に多くのことは期待してませんよ。いろいろな制約やパワーバランスもあるだろうし。「こういう制約があるから、実施できない」とか、分からないなら分からないでそう回答してくれれば個人的にはオッケーなんだけど、なんで、のらりくらりとかわすような受け答えをするのかなあ?ただ、誠意ある回答が欲しいだけなのに。地方自治の実力がよーく分かりましたよ。

また、しつこく質問メール送信する予定です。

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Earthquake 2011 (9)

先日、茨城県に出した質問メールの回答が(やっと)返ってきました。まとめると↓

Question 1
茨城県産ホウレンソウの分析結果において、放射性物質の減少の仕方が産地毎に一様ではなく、ランダムに増減しているように見えるが、その点についてどのように考察しているか?
Answer 1
サンプルは毎回同一の圃場から提供されているものではない。天候や風向き等の影響により、汚染度合いが異なっているものと思われる。

Question 2
日本政府は、放射性ヨウ素と放射性セシウムの暫定規制値をそれぞれ2,000Bq/kg,500 Bq/kgとしているが、その値が適正と考えているか?
我が国は過去に放射性セシウムが370 Bq/kgの食品の輸入を差し止めた事実があり、FDAは放射性ヨウ素が170 Bq/kgを超える食品の輸入を差し止めるとしている。そういった、事実を鑑みて現在の規制値は茨城県として安全と宣言しているか?
Answer 2
当該暫定規制値は厚生労働大臣の諮問に基づき食品安全委員会でのリスク評価を経て運用されているもので、これを超えるものは食品衛生法第6条2号違反に当たるものとして、人の食用に供されることがないよう措置されている。

Question 3
ウェブサイト上に「茨城で現在出荷されている農畜産物は、安全が確認されたものです。」と記載されているが、安全はどのようにして確認したのか?茨城県として、規制値が安全であると判断するに至った臨床データや文献を教えて欲しい。
Answer 3
各食品の検査結果を暫定規制値に照らし、当該規制値に至っていない食品については安全なものとして判断しております。

Fact 1
要するに、暫定規制値を超過した食材が市場に流通している可能性を完全に否定することはできない。
Fact 2
安全基準は完璧国任せ (上意下達)

ってことですね。よく分かりました。予想通りだけど、残念です。

あと、追加で「厚生労働省では、健康を維持するために必要な野菜の摂取目標量を成人1日当たり350g以上としているが、茨城県のパンプレットでは、放射能汚染野菜の1日当たりの摂取量を20gとして放射線量を計算しているのなぜか?」っていう質問もしたので、その回答を待ちたいと思います。

どこぞの県知事なんて潮干狩りして喜んだりしてるし、地方自治なんてこんなもんなんだなとガッカリする二流大出のなんちゃって研究員でした。

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Friday, May 6, 2011

Rare Metal-Free Cross-Coupling

←こんなツマミにもハマってるコンキチです。スモーク•サーモン以外にも、魚介類の燻製って思いのほか旨いですね

閑話休題

(昨年)こんな論文を読んでみました↓
Unusual ipso Substitution of Diaryliodonium Bromides Initiated by a Single-Electron-Transfer Oxidizing Process
Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 3334-3337.

立命館大の北先生のグループの報告で、超原子価ヨウ素を用いた芳香族複素環のクロスカップリングのお話です。

著者らは、以前、こんな報告をいていました↓(J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 1668.)


で、この反応ではγ位が置換されるんですが、ipso位で置換を起こすといういうのが今回の報告です↓



10 examples, 50-81% yield(Ph transferによる生成物はなし)


ちなみに、この反応はラジカルカチオンが中間体として生成し、進行するそうです↓

コンキチはクロスカップリングは苦手で、全然詳しくないんですが、この反応って室温で進行するのが凄いよねなんて思います。


実は、この論文を読むに至ったのは、昨年秋(2010年10月8日)に長瀬産業と立命館大学からだされたプレスリリースがきっかけでした。で、そのプレスリリースっていうのは

立命館大学薬学部 教授・北泰行研究グループ レアメタルを用いないクロスカップリング反応による導電性ポリマーの開発 -産学連携体制を確立 2011年度実用化予定-
(http://www.nagase.co.jp/assetfiles/news/20101008.pdf)

です。そして、その内容はこんな感じ↓



J. Am. Chem. Soc. 1994, 116, 3684.




Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 1301.(ホモダイマーを副生しない)




J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 1668.


それにつけても、凄いよねえ。はっきり言って、企業化って相当ハードル高いと思うんだけど(実際高い)、それをクリアしちゃうっていうのが感動的ですよ。「美(アカデミックな素敵さ)」のみならず、「用(実用化)」を具現化した素晴らしい仕事と思います。

こういう仕事って、とっても重要だと思うんだよな、ボクは。やっぱり、サイエンスって実学にも寄与しないといけないと思うから。なんて思う二流大出のなんちゃって研究員なのでした(一応、これでもオレも企業化したり、上市したことあるよ)。

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Sunday, May 1, 2011

Earthquake 2011 (8)

←最近コンキチがはまってるつまみです。燻製にしてあるんだけど、これがまた超旨いんだとね

個人的の帆立の生とボイルはあまり好きじゃなくて、乾物しか好みじゃなかったんですが、新たに帆立の燻製がボクの好物に加わりましたよ。

閑話休題

10日くらい前に茨城県の保健福祉部生活衛生課食の安全対策室に以下の内容のメールを送ってみました↓

(1) 茨城県産ホウレンソウの分析結果において、放射性物質の減少の仕方が産地毎に一様ではなく、ランダムに増減しているように見えるが、その点についてどのように考察しているか?

ホウレンソウ(路地栽培)の放射性ヨウ素濃度 (Bq/kg)
3/18
3/30
4/6
4/11
北茨城市
24,000
-
-
1,800
高萩市
15,020
6,300
2,700
150
日立市
54,100
8,300
400
360
常陸太田市
8,830
2,700
920
200

ホウレンソウ(路地栽培)の放射性セシウム濃度 (Bq/kg)
3/18
3/30
4/6
4/11
北茨城市
690
-
-
621
高萩市
525
756
444
202
日立市
1,931
799
87
234
常陸太田市
374
176
114
75

see http://www.pref.ibaraki.jp/20110311eq/pdf/0357.pdf

(2) 日本政府は、放射性ヨウ素と放射性セシウムの暫定規制値をそれぞれ2,000Bq/kg,500 Bq/kgとしているが、その値が適正と考えているか?
我が国は過去に放射性セシウムが370 Bq/kgの食品の輸入を差し止めた事実があり、FDAは放射性ヨウ素が170 Bq/kgを超える食品の輸入を差し止めるとしている。そういった、事実を鑑みて現在の規制値は茨城県として安全と宣言しているか?

(3) ウェブサイト上に「茨城で現在出荷されている農畜産物は、安全が確認されたものです。」と記載されているが、安全はどのようにして確認したのか?茨城県として、規制値が安全であると判断するに至った臨床データや文献を教えて欲しい。

とりあえず、回答はまだいただいていません。回答に時間がかかる質問とは思えないんですが、そんなに忙しいのか茨城県。県庁の星とかいないのか茨城県(分かんなかったら分からないって回答でもオレ的にはオッケーなんですけど)。

あと、茨城県をターゲットに選んだのは、データが比較的良くまとまってたからです。他に他意はありません。

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