とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, January 24, 2016

LiICAってなによ?

らぁめん花月嵐で食べたラーメンのメモです。

-豚そば銀次郎 (700 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
麺はほぼストレートの中細麺でツルシコの食感。スープは豚骨と魚系の分かり易いダブルスープ(だと思う)。やや粘度を感じるも、基本、さらさらしたあっさり系、だけど味が薄いわけでわない。
スープは麺によく絡んでいるようには感じなかったが、物足りなさはない。麺自体に味付けしてあるような気がした。そして、麺の味をスープは盛り立てているといった印象のラーメン。
具は、玉子、チャーシュー、海苔、刻みネギ、刻み玉葱。
玉子は普通のゆで卵。
チャーシューは薄切りで非常に柔らかい。脂部は殆ど無く、悪くない味。
ネギ、玉葱のシャッキリ感が良いアクセント。
チェーン店でこのクオリティーは凄いと思う、驚いた。ただ、チャーシューの上に載せられた魚粉が魚くさくなるから邪魔。


閑話休題


相当古い文献を読んでみました↓

The Reaction of Lithium N-Isopropylcyclohexylamide with Ester. A Method for the Formation and Alkylation of Ester Enolates
J. Am. Chem. Soc., 1971, 93, 2318.

エステルのα-アルキル化をサーチしていたんですが、エステルのエノレートアニオンはケトンのそれと比べてかなり反応性が高く、ケテンが生成しがちだといいます。そのため、低温で反応を行ったり、反応性の低い求電子剤に使用を避けるといったことが必要となります。そんなカルボン酸エステルエノレートではありますが、tert-ブチルエステルの場合は室温でも安定なようです(メチルエステルやエチルエステルだと0℃以下で分解するようです)。

また、エステルエノレートはケテンへの分解という問題の他に、自己縮合(Claisen condensation)するという問題があります。自己縮合への対処法としては、LDAなどの強力な塩基の溶液中に基質(エステル)を加えていくことでエステルを即座にエノレートへと変換さえせことで、系内に余剰のエステルを存在させないようにすることが基本と思われますが(全部エノレートになればClaisen縮合は遅い)、tert-ブチルエステル(R=tert-Bu)を用いることでその嵩高さによってカルボニル基への求核攻撃を抑制するといった方法も有効です。

で、他に有効な方法ってないのかなぁと思っていたら、発見したのが今回メモする文献で、LiICA (Lithium N-IsopropylCyclohexylAmide)が有効だというお話です。


ちなみに、ethyl propionate, ethyl hexanoate, tert-butyl hexanoate, ethyl isobutylate, ethyl isovalerate, ethyl cyclohexanecarboxylate, ethyl phenylacetateをLiICAを使って-78℃でエステルをリチオ化すると、室温まで温度を上げても自己縮合は起こらないといいます(但し、0℃でリチオ化しようとすると自己縮合がかなり起こる)。


そして、室温、DMSO存在下(DMSO-THF, 20˚C)でエノレートの溶液をハロゲン化アルキルと反応させることで、高収率でα-アルキル化を行うこことができます。

ただ、酢酸エチルのように極めて活性の高いエノレートだと収率が低く、この原因はおそらく自己縮合がアルキル化と競合するためだと著者等は考えてます。


ちなみに、活性の低いlithio tert-butyl acetateとヨウ化ブチルをTHF中で反応させると60% Yieldですが、DMSOを添加して、50% excessのヨウ化ブチルを室温で作用させると85%まで収率が向上します。

最後にLiITAを用いたα-アルキル化の基質一般性はこんな感じ↓

tert-Butyl acetate + n-Butyl iodide/ 85%
tert-Butyl acetate + n-Butyl bromide/ 75%
tert-Butyl acetate + n-Octyl iodide/ 96%
tert-Butyl acetate + Isobutyl iodide/ 42%
tert-Butyl acetate + Isoamyl iodide/ 75%
tert-Butyl acetate + Allyl bromide/ 80%
tert-Butyl acetate + Benzyl Bromide/ 96%
tert-Butyl acetate + Isopropyl iodide/ 50%
tert-Butyl hexanoate + Methyl iodide/ 82%
Ethyl hexanoate + Methyl iodide/ 83%
Ethyl hexanoate + Isopropyl iodide/ 50%
Ethyl isobutyrate + Methyl iodide/ 87%


昔の論文であんまり詳しいことは書いてないんだけど、LDAやLiHMDSよりも有効アピールしてたので、これからはLiICAに注意を払って論文ウォッチしていこうと思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。


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