2018年11月4日日曜日

すべてが"Ox"になる:THE PERFECT COUPLING REAGENT

今は無くなってしまったけど、千葉の渋谷こと柏Cityの高島屋に入っていたやさい家めいに行ったときのメモです。

-『とろろご飯』定食 (1,069 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
お惣菜ビュッフェ付きの定食。薬味には、山葵、刻み海苔、醤油で味付けされた鰹節が付いてくる。
←これが基本のセット。ご飯は五穀米。白飯じゃないのにとろろとマッチするのかと思ったけど、きめ細かいとろろとかなり合います。味噌汁は野菜richで穏やかな味わい。

以下、buffet形式のお惣菜のメモ行きます(お惣菜はほぼ冷製になります)↓


(写真とは順不同かつ覚えてる分だけの感想です)
海苔ポテトは小粒で食べやすく、薄味で海苔とジャガイモの風味を楽しめる。
揚げ茄子の煮浸しは、油控えめのヘルシー仕立て、あっさりした良い味付け。
とろろ芋の醤油漬けは、とってもシャキシャキしていて、噛むほどに感じるヌルっとした感じがとろろらしくて良いです。いい味なんだけど、大分しょっぱいね。ご飯が欲しくなるほどだけど、酒のアテには丁度いいかも。
大根の煮物は軟らかく炊き上げられていて、優しくしっかりしたお出汁をたっぷり吸い込んでいる。噛んだときに迸る(お出汁と大根由来であろう)潤沢な甘みのある汁の醍醐味が楽しい。味付けは上品でかなり薄味。葱味噌や酢味噌を付けていただくのも良いかと。
胡瓜の漬け物、おから、キャベツの浅漬けは普通に美味しい。
大学芋は甘さかなり控えめで、口の中の水分を吸収されるようなバフバフする感じも少なく、思いの外美味しかった(ボクは基本、大学芋が苦手です)。
アロエは殆ど無味。なので、酢味噌でいただく。プルプルニュルンニュルンした独特の食感がとても面白い。
小松菜は苦味走った味。酢味噌でいただきました。
春雨の旨煮は春雨の食感がsolidで面白く、汁が美味しい。
揚げ出し豆腐は唯一の温かいメニュー。えのきの入ったあったかいあんが嬉しい。カリッと揚がった衣の食感良く、お豆腐自体が旨い。
トマトの玉しめはトマトと玉葱の玉締め。マイルドで美味しい。
肉みそもやしの肉味噌tasteは比較的弱め。弱めのピリ辛tasteは付与されている。もやしとピリ辛の相性は鉄板。薄味なのでたくさん食べれる。
山芋(だと思う)は皮付き。皮はroast感が良く出ていて、とっても香ばしく食欲がそそられる。身の部分はシャキシャキで素晴らしく心地の良い食感。とっても美味しい。
高野豆腐はお出汁をたっぷり吸い込んでいて柔らかい。
浅漬けは凡庸。硬くてイマイチかな?
かぼちゃの煮物が旨い!皮は薄くて、素晴らしくシャッキリした食感。身も上品な味に仕上がっていて、バフバフした感覚は無くしっとりしている。身の柔らかさと皮のコリコリ感した食感のコントラストが素晴らしい。
わさび菜は独特の少しクセのある香味。赤軸ホウレン草はfresh。

野菜を思う存分ガッツリ摂取できるこのメニューは、はっきり言って相当お得なbuffetです。

あとここのお惣菜はお酒(日本酒)のアテにBest Matchだと思うんだけど、日本酒は吟醸極上吉乃川 (300 ml)一択だったんだよね。しかも定価500円(税込540円)を3倍超の1,944円(税込)で出していて、さすがにちょっと引きました。因みに、このお酒は教科書のような辛口吟醸の味と思いました(アルコール度:15%, 日本酒度:+7, 酸度:1.2, 精米歩合:55%)。

やさい家めいは首都圏に7店舗あるけど、(今はなき)柏店の超絶お得メニュー『とろろご飯』定食 は無いんだよね。オレ達のチバラキ、東葛の盟主"柏City"に『とろろご飯』定食 を携えたやさい家めいが復活して欲しいと心から思います。


閑話休題


さて、こんな文献を読んでみました↓

Choosing the Right Coupling Reagents : A Twenty-Five-Year Journey
Org. Process Res. Dev., 2018, 22, 760-772.

著者二人(Fernando AlbericioとAyman El-Faham)の25年に渡る縮合剤の開発に関する仕事を概観した総説で、著者自身が

"This work is not a typical review that is trying to cover all coupling reagents in-depth. This is a personal account - it is written in the first person - seeking to summarize the 25 years of collaboration that has brought the release of several products onto the market....."

と述べています。

では早速メモです↓

まずは"基本"のカルボジイミドスタイルの脱水縮合を改めてジャブ程度に概観しましょう。カルボジイミドは最も一般的かつ汎用性の高い縮合剤と思います。
望みのトランスフォーメーション自体は、水が抜けて(脱水)新たにC-ヘテロ原子結合が形成(縮合)されるというシンプルなものですが、その反応機構はけっこう複雑で、副反応も含めて幾つかの中間体が登場します。
反応機構は以前こちらにメモしました(http://researcher-station.blogspot.com/2013/11/1.html)。

Schemeを再掲します↓

ちなみに、上記Scheme中に登場する中間体の反応性は次の通りです。

N-Acylurea: non reactive
O-Acylisourea: ++++ reactive
Oxazolone:+ reactive (racemizable)
Active "ester" = R'-C(=O)OXt:++ reactive
Symmetric ester:+++ reactive

O-Acylisoureaよりも反応性は低いですが、ラセミ化の抑制や収率の観点から"OXt ester"がより有用です。"OXtエステル"形成のために使用される実用的な1-hydroxybenzotriazole誘導体はHOBtとHOAt (一推し)の二択といっていいでしょう。


というわけで、活性エステルとして"OXtエステル"を生成するStand-alone coupling reagentが開発されます。"OXtエステル"としてはOBtとOAtが有用なのでHOBtとHOAtベースのアミニウム塩系スタンドアローン縮合剤が開発されました。ざっくりとこんな感じに↓


これらのアミニウム塩系縮合剤は、

a) HXTU (HBTU, HATUは最も安定で、エクセレントな反応性を示す。特にHATUは(かつて)最強の縮合剤と謳われたほどの威力。
b) HBMDUとHAMDUは非常に高い活性を有するが、不安定過ぎて実用的ではない(高活性過ぎて不安定)。
c) HBPyUとHAPyはHXTU (HBTU, HATU)よりも高活性で十分な安定性も具備するが、コスト面の問題から商業ベースで成功しなかった。
d) モルホルリンユニットを有するHDMB, HDMA, HDMCは、HXTUシリーズと比較して、高い溶解性、収率の向上、ラセミ化の抑制を実現(HDMCは渡辺化学で売ってるね)。

という特性があります。

ところで、HOBtは爆発性が報告されていて5類の危険物(自己反応性物質)です。そして、HOAtは航空便が禁止されています。要は危ないっていうことで(どちらも、(C+O)/N<3を満たしてない)、HOBtやHOAtユニットを含まない試薬の開発が進められます。で、HOAtに互する効率を示しつつ安全性の高い縮合剤としてOxymaPureが見いだされました。


OxymaPureは高いラセミ化抑制能を有し、HOAtに互する反応性がります。それでいて、HOBtベースの添加剤と比較して(OxymaPure誘導体も)爆発性リスクが小さいです。

そして、OxmaPureのカリウム塩であるK-Oxymaは、種々の溶媒に対してOxymaPureよりも高い溶解性を示し、熱安定性も高く、HOBtやOxymaPureの酸性でもペプチドがリークしてしまうChlorotrytyl Chloride (CTC)レジンを使用した反応に有効だそうです。

ところで、著者らは縮合剤の理論的デザインとは別に、オキシムやイミニウム塩と組み合わせたアミニウム系縮合剤の小ライブラリーを使ったスクリーニングも行っていました。その結果、モルホリンユニットがテトラメチルやピロリジンユニットよりも優れていることが分かりました。で、OxymaPureとモルホリンユニットをくっつけてみた化合物であるCOMUがベストパフォーマンスを叩き出したというわけです。


COMUのプロファイルは次の通り↓

(1) より優れたカップリング効率 (HBTU/HATUとは異なりウロニウム塩)
(2) エピマー化を抑制
(3) 安全性が高い
(4) HABT/HATUよりも良く溶ける
(5) 1 eq.の塩基の使用でオッケー 
(6) 反応の終点を色の変化で判断できる(用いる塩基に依存する) 
(7) 溶液中(DMFとか)での安定性は低いので、自動合成装置でに使用には向かないかも(DMF中でゃ数時間程度しか安定でない)。MeCN中だと>90% after 5 days。γ-バレロラクトン中だと>80% afetr 5 days。
(8) Weinrebアミドやtert-アルコールのエステル化にも有効
etc.

COMUはウロニウム塩系で活性の高いHDMB, HDMA, HDMCのベンゾトリアゾール部をOxyma (Ox)化することで誕生した究極縮合剤です。
ケムステでも「かつて最強と言われたHATUより優れた結果をもたらす強力な試薬」と紹介されています(https://www.chem-station.com/odos/2010/01/-condensation-reagents.html)。

そして、このOxyma(Ox)化はウロニウム塩系縮合剤に止まらず、BOPに代表されるホスホニウム塩系縮合剤にも及びます。

まずは、代表的なOXt縮合剤(HOBt-based Phosphonium Salt Coupling Reagents)を示します↓

で、Oxyma (Ox)化した試薬達はこちら↓
PyOxim-MはCOMU同様OxymaPureとモルホリンユニットを組み合わせた試薬ですが、very low reactivityという結果でした。理由は、モルホリン環が三つもついているので、嵩高過ぎてごねんなさいっていう感じです。なので、立体障害を軽減したPyOximはPyBOP, PyAOP, PyClokよりもDMFによく溶け、高い収率、よりラセミ化を抑制するという結果を与えました。

さらに、他のリン系縮合剤にもOxyma (Ox)化の手は及びます↓
BOP-ClはBOPとは関連のない試薬で、N-Me-containing peptideの合成に用いられるそうですが、カルバメートで保護されたアミノ酸はBOP-Clと反応して対応する酸塩化物を与えた後オキサゾロンを形成しがちで、反応の効率が低下するとともにラセミ化の原因にもなります。で、BOP-Clのインプルーブメントとして、OXt化、Ox化していくわけですが、予想通り反応の効率は、BOP-Oxy > BOP-OAt > BOB-OBtとなり、DMFに対する溶解度はBOP-Oxyが一番です。

dialkoxyphosphoryloxy系縮合剤もOx化しちゃってます↓
ボクはよく分かんないけど、DEPBTは高活性かつラセミ化の抑制に極めて効果的な縮合剤らしいですね(https://pubs.acs.org/doi/10.1021/ol990573k)。で、この試薬の問題点として挙げられるのが、定番の3-hydroxy-1,2,3-benzotriazin-4(3H)-oneユニットの爆発性です。これをOxyma (Ox)化することで安全性を高めたのがDPOxとDPGOxで、エクセレントなパフォーマンスを示します。因みに、DPOxとDPGOxは液体ですが、Amox化したDEPAOxは固体になります。
AmoxはOxymaPureより活性が劣るのですが、その誘導体も同様にOxyma誘導体より活性が低くなります(著者らは、DEPAOxを使用する際は、反応性改善を目的に1 eq.のOxymaPure存在下、カップリング・カクテルとして使用することを推奨しています)。

さて、以上をまとめますと、

OxymaPure, COMU, PyOximといったOx化した縮合剤は、
HOBt誘導体のような危険性はなく、
HOBt, HBTU, PyBOPをアウトパフォームし、
HOAt, HATU, PyAOPと同等以上のパフォーマンスを示す
最もパワフルな縮合剤である。

です。

要は、Ox化してウハウハ

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のOxyma derivativesメモでした(明日も縮合です)。

2018年9月30日日曜日

孤独のグルメ聖地巡礼 in 鳥越:最高にモチフワ激ウマなヒレカツサンドいただきました。

孤独のグルメSeason 4の第7話「台東区鳥越の明太クリームパスタとかつサンド」に放送の舞台となった居酒屋さんに行ってきたときのメモです。
see http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume4/story/story07.html

お店の名前は

居酒屋まめぞ

最寄駅は新御徒町駅です。

このお店、おかず横丁の端(鳥越神社の方)の方にあって、その佇まいは一方ならぬこだわりを醸しだしています。入店前から期待大でテンション上がってました。

番組で五郎さんが食べたのは、「明太クリームパスタ」と「せんちゃんサラダ(キャベツの千切りにパルメザンチーズが掛けてあって、そこにシーザードレッシングを掛ける)」と「生ハム(ハモンセラーノ) (ハーフ)」と「にぎす干」と「かつサンド」(さずが、大食漢設定)。

久住さんが食べたのは「干ほたるイカ」、「明太子の粕漬け」、「アジフライ」、「極細そうめん(小盛り)」、「岐阜の井戸水(おおいばり)」、「アジフライ専用飲み物(生ビールね)」。

そして、ボクの食べたモノのメモです↓

-お通し (300 JPY+tax)-
-RATING- ★★★
-REVIEW-
カボチャの煮物。とてもしっとりとした食感。二個あるけど、それぞれ別の味。手前の色の薄い方は、和的な甘さ。奥のは、やんわりカレー風味。カボチャの甘さとカレーの甘さがけっこういい感じに調和していて驚いた。多分、今まで食べたカボチャ(料理)の中で一番旨いと思う。


-ゆず酒 (500 JPY+tax)-
-RATING- ★★★
-REVIEW-
(ピンボケの写真で分かり難いかもだけど)凄い濁りです。すっきり呑める甘さに仕上げられています。
やっぱ、ゆず酒は旨い!!!





-自家製みそクリームチーズ (350 JPY+tax)-
-RATING- ★★★
-REVIEW-
かなり塩気があって、とってもクリーミーなチーズはコク深い(けっこう濃蜜)。極僅かに醤油ライクなフレーバーも。
チーズ単体だと塩気がキツイけど、クラッカーに付けて食べると、とても良い塩梅。
「お味噌においしい酒粕を混ぜた味噌床にクリームリーズをじっくりつけ込みました。味わい深い一品になっています。」とのこと。


-若葉 大いばり 特別純米無ろ過生原酒 (750 JPY+tax)-
-RATING- ★★★
-REVIEW-
セメダイン様(isoamyl acetate)の吟醸香は鼻につくほどではない。口に含むとfull bodyの濃厚tasteで、怒涛のコクが押し寄せてくる。finishには苦味まで感じる。濃厚辛口系で旨い!





-お刺身盛合せ (1,000 JPY+tax)-
-RATING- ★★★★
-REVIEW-
蛸、鰹、鯛、鮪、鮃、赤貝の盛り合わせなんじゃないかと思う。
鮪の赤身はしっとり、ねっとりした食感で、舌に吸い付くような感覚でキメ細かい質感。上品で甘い脂が滲み出てくる。けっこいうな脂の量を感じたんだけど、これは初めての感覚。
赤貝は磯の香りが良い塩梅で広がって、食欲をそそる。コリコリした食感で、とってもfreshで最高。
鮃が感動的に旨かった。綺麗で芯の通った味。形容し難い心地よい食感。いつまでも口の中に留まっていて欲しいと思う一品で、久々に心が震えた。
蛸は軽くふんわりしと磯の香りが漂う(これが堪らない)。淡白だけど味が強いです。で、淡白さと磯フレーバーの融合がとってもいい感じ。かなりキテます。
鯛はしっとり、ねっとりとした食感で、最高に鯛らしい淡白さ。皮の食感が、ボクの中ではニューウェーブで滋味深い。
鰹は驚くほどの最高に上品な味と触感。薬味なしでそのまま食べるべし。
薬味の山葵は本山葵。醤油は甘さありつつ辛めのbodyの強い味。
切身は各2枚づつ提供されルノで、山葵なしと山葵ありを食べ較べるのが面白い。何のお刺身も生臭さは皆無なので、山葵なしで十分に旨いです。クオリティがとても高い。

-恵比寿生ビール (500 JPY+tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
この生ビール、泡がとってもcreamyで最高だね。








-名物ヒレカツサンド (900 JPY+tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
まず、フワモチのしっとりしたパンが旨い。サンドされたヒレカツからはキメ細かい繊維が感じ取れ、淡白で静かな肉の旨味が広がる。さらに、ソースが秀逸で、優しく柔らかい風味の甘しょっぱいソースが最高に美味しい(ソースは特注みたいね)。
パン、カツ、ソースが三位一体。こんなに旨いカツサンドがあっていいのか?異次元の旨さ!!!
番組で五郎さんが食べたのはロースだけど、これはヒレね。ヒレが食べたい時は、ヒレカツサンドと注文しましょう。
それから、カツサンドの取り扱いは、夜のみなので気を付けろ。


居酒屋まめぞ。繰り出される料理とお酒の全てがハイ・クオリティ。欠点は、店内がかなり狭いことと、トイレが相当狭いことくらい。近所にあったら、通いす過ぎて散財してしまいそうなお店です。

ところで、地名(住所表示)は鳥越(とりごえ)だけど、神社は鳥越(とりこえ)神社なんだよね。

そもそも、元々の地名は"とりこえ"だったんだけど、台東区役所に勤める人たちはみんな地方から来ていて、ある時期から"とりごえ"に濁ってそのままになってしまったというのが鳥越神社の宮司の鏑木啓麿さん談。

最後の皆さんに言っておきたいことがあるんだけど、あまり「まめぞ」に行かないようにして下さい。なぜなら、席数が少ないのでボクが入れなくなるから。

居酒屋まめぞ、いいお店です。



2018年8月17日金曜日

またまた交換反応:今度はオニウム塩が主役

先日、7月25日をもって閉店してしまった、新宿は紀伊国屋ビル地下1階に入っていた酒膳処 珈穂音に数年ぶりに行って来ました。その時のメモです。

-珈穂音 memo-

-ロールキャベツ定食 (980 JPY)-
-RATING- ★★★☆
-REVIEW-
コンソメースープ仕立てのロールキャベツの定食。ライス、サラダ、お新香のセット。
THEコンソメスープという感じの旨さ。滋味深く澄んだ味。胡椒が振ってあって、そのフレーバーが香り立つ。キャベツは丁寧に巻かれている。ロールキャベツは三つに切り分けられていて、その姿を美しく保っている。キャベツは柔らかく、食感が楽しめてスープを一緒に啜って食べると旨さが炸裂する。中の挽肉はsolidな食感で、やんわり獣フレーバーを纏った素朴な味(お肉自体に下味はつけてないらしいです)。
それからケチャップだけど、けっこうイイね。味変して乙な味になります。
お新香はノスタルジックなベーシックな糠漬け。大根の漬かり具合が大分薄いです。
あと、ロールキャベツの下にはパスタが敷いてあって、箸休めにも、スープを啜るお供にもいい感じです。


-生ビール (中ジョッキ) (590 JPY)-


amazon.co.jpが台頭する前は、(有機化学の)専門書を漁りに紀伊国屋本店に足を運んでいて(遠征していて)、その際は珈穂音で日本酒を呑みながらお昼を食べたものです。新宿のちょっとしたお気に入りのお店でした。なので、(紀伊国屋と折り合いが悪くなった結果の)閉店の報はちょっとショックです。でも、新店立ち上げの予定があるということなので、それに期待したいと思います(see http://www.capone.jp)。


閑話休題


こんな文献を読んでみました。また、交換反応のお話です。

Metal-free transesterification catalyzed by tetramethylammonium methyl carbonate
Green Chem., 2018, 20, 1193-1198.

名古屋大の石原先生のグループの報告です。タイトル通り、エステル交換のお話です。
"交換"反応(エステル交換、エステル-アミド交換。アセタール交換)については何回かメモしてきましたが、しつこく行きます。

過去の"交換"反応メモ↓
(1) ZnTAC24 : Environmentally Friendly and Unique Transesterification 
(2) もっと、交換反応 : NaOMe最強伝説 
(3) もっと、交換反応 (2) : アセタールをつけたり、とったり

で、今回のエステル交換反応の主役はオニウム塩で、より具体的には、


tetramethylammonium methyl carbonate

です。

エステル交換反応は未だに金属塩触媒に頼っていて、それら金属塩(Al(III), Sb(III), Ti(IV), Sn(IV), Sm(III), Hf(IV), Zr(IV), Y(III), La(III), Zn(II), Fe(III), Co(II))は有害であったり、着色の原因となったり、高額だったりするようです。加えてこれらの金属塩のほとんどはキレーションする基質には使用できないという欠点があります(基質が金属塩とキレーションして不活性化する)。反応条件もアルコール溶媒中のアルコリシスと制約があります。

本報のお題は、

汎用有機溶媒中、エステルとアルコールの当量混合物のエステル交換によりそこそこ複雑なエステルを合成する

というけっこうハードルの高いものです。

で、金属塩触媒では克服できないお題を解決するために著者らが目を付けたのが、四級アンモニウム塩です。

アンモニウムアルコキシド([R4N]+[OR']-)が有望そうなのですが、一般的に不安定で、その強い塩基性ゆえ湿気に弱いことが知られています。一方、アンモニウムメチルカーボネート([R4N]+[OCO2Me]-)は安定性に富み取り扱いが容易です。そこで著者らが考えたのが、アンモニウムメチルカーボネート([R4N]+[OCO2Me]-)からin situでアンモニウムアルコキシド([R4N]+[OR']-)を発生させて触媒的にエステル交換反応を達成するというものです。

ちなみに、[Me(n-octyl)3P]+[OCO2Me]-やDABCOから誘導したアンモニウムメチルカーボネートが炭酸ジメチルのエステル交換反応の触媒として有効であることが知られていますが、複雑な基質への応用例は無いそうです(触媒が過剰の炭酸ジメチル(DMC)中でないと不安定らしい)。


ということで、This Workではオニウム塩ベースのエステル交換の実用的インプルーブメントを行い、鋭意検討した結果辿り着いたのがtetramethylammonium methyl carbonateなのです。


反応は、ソックスレーにMS 5Åを詰めて加熱還流させてMeOHを抜きながら行います。
1-3段目はエステルに対して1 eq.のアルコールを作用させて反応さえせた結果で、4-5段目は一方のリアクタントが溶媒になります。
金属塩触媒では困難なキレーションする基質に対して、実に有効に働きます。
興味深いことに、アミノアルコールとの交換反応では選択的にO-アシル化が進行します。
コレステロール誘導体(2段目、左から2つめ)は、トルエン中(110˚C)だと、触媒が分解してしまうためか、3 hrで反応が停止してしまいますが、ヘキサン中で反応を行うことで収率が大幅の改善します(74%→94%)。因みに、1段目の左から2番目の反応は、触媒を4回リサイクルしても活性が落ちません。ヘキサン中(bp. 69˚C)では触媒の分解は起こらないか非常に緩慢なのでしょう。
それから、トルエンやヘキサンには溶解し難い核酸アナローグ(2段目右端)は、DMF中で反応を行うことで高収率です。
indol/prolinol誘導体(3段目左端)、キニーネ誘導体(3段目左から2, 3番目)、クエン酸エステル(3段目左から4番目)は、なんだか分かんないけど、THF中で反応を行うことで収率が大きく改善します。
N-保護光学活性α-アミノ酸(3段目右端の2個)は深刻なラセミ化なしに反応が進行します。

あと、バイオディーゼルプロダクションへの応用例です↓
キレーションするグリセライドやグリセリンがガッツリ系内に存在した状態での反応ですが、定量的に反応が進行します。

この触媒、けっこういい感じじゃネ?

ついでに、1,3-ジオールとMMA (methyl methacrylate)とのエステル交換では、より活性の低い触媒を使ってマイルドな条件で反応を行うことによってmono-エステルを合成することもできます。

最後に、著者らの行った触媒(四級アンモニウム塩)スクリーニング結果をメモしてフィニッシュしましょう↓


まず、β水素があると反応中にホフマン脱離して触媒が壊れやすくなります。なので、窒素回りの置換基はβ水素の無いメチル基がベスト。反応点回りの立体もスッキリします。


あと、アニオン部分の検討も行っていて、[OCO2Me]-が決定的です。

ラボユースだと、モレシー入れたソックスレーで加熱還流しないとなのでちょっぴり面倒だけど、いい反応と思います。個人的には、従来の金属塩では達成困難なキレート形成能のある基質にも適用できることと、溶媒の選択肢が多いことがデカイと思います(著者らもここの二つをウリにしている)。機会があったら是非使ってみたい反応と思いました。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のしつこくエステル交換メモでした。


2018年8月11日土曜日

Matsu_Colle (マツコレ):そばきり大好きマンのまつや推し

ども、東京(23区内)で働いているコンキチです。前にも書いたけど、東京の中でも神田は大好きな街の一つで(神田って言っても広いけど)、そこそこの頻度で神田須田町あたりをぶらぶらしています。

神田須田町といえば、言わずと知れた老舗お食事街。お蕎麦の老舗も三軒は集まっています。やぶそば、まつや、ます川ですね。どの店の蕎麦も美味しくて好きなんだけど、最近、まつやにけっこう通っています。ということで、今回はここ2年くらいで神田まつやの本店と吉祥寺店で食べたものをメモしてみようと思います。

神田まつや本店memo
http://www.kanda-matsuya.jp
創業明治17年。藪そばの流れを組みます。池波正太郎も通ったというお蕎麦屋さんで、現在の店主は六代目の高野 孝之さん。奥さんの若女将ははっきり言って美人さんで、お茶の水女子大学在学中にアルバイトでまつやで働いていたそうで(才媛ですね)、その頃に見初められたんでしょうね。蕎麦は外二 (蕎麦粉:小麦粉=5:1)、つゆは鰹節を贅沢に使った江戸辛汁です。人気おつまみの焼鳥のタレはかえしを使っているとか。須田町の本店の他に吉祥寺店もあります。

それでは、まずは須田町の本店で食べたもののメモから↓

-ビール 小 (500 JPY)-
キリンのラガーをチョイス。 銘柄(メーカー)は、アサヒ、キリン、サッポロを揃えている。但し、中はアサヒのみ(スーパードライ嫌いは気をつけろ)。 


-ビール 中 (650 JPY)-
アサヒスーパードライ一択です。


-御酒 (燗) (700 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
噂では菊正宗(多分、菊正宗だと思う)。温かいと感じる程良い熱量。クセなく、悪くない。 白い酒器が美しい。


-そば味噌-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
アルコールを注文すると付いてきます。
甘めのねりみそはマイルド系。蕎麦の実の粒が香ばしさを演出する。(かんだやぶそばよりも)全体的にポップな味に仕上がっている(甲乙つけ難いけど、ボク的には、かんだやぶそばの重厚感のあるねりみその方が好みかな)。究極の酒の肴の一つと思います。お土産(600 JPY)もあります。家で熱燗を啜りながら舐めるそば味噌は最高です。


-かけそば (650 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
鰹節様の良い香りがふんだんで、それ由来と思われる上品な香味のツユはしっかりとしたbodyでいて上品さを失わない濃度に調整されていると思う。
蕎麦は細めで、歯を入れたときの柔らかい感触と口の中に広がる自然な旨味。"かけ"でありながら、しなやかさを保持していて喉越しも良い。
かなり完成度の高い"かけそば"。薬味は少し鄙びたニュアンスの葱で、蕎麦の味を引き立てる。


-カレー南ばん (1,000 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
"かけ"に較べて熱量が凄い。その為か蕎麦が"かけ"よりも軟らかく、もちの様なやや半溶け感が出ている。 ツユにはとろみが有り、これが熱を閉じ込めているのか? カレー味はmildで和的な一味系のspicy noteを感じる。優しいmild tasteだけど、bodyは強く、ちょっとしょっぱい(良い意味で)(塩辛いのではなくて、しょっぱい)。そして、mild full bodyなカレーと和的なかけ汁が見事に調和している。 で、蕎麦のちょい半溶けの食感ととろみのついた和的カレーtasteがとってもmatchしている。蕎麦の香味としょっぱさ(辛口のかけ汁感)のmatchingも良い。 具は、長葱と鶏。平たく切り出された胸肉は食感、味ともに良く、ふんだん入っていて嬉しい。葱も旨し。 薬味の刻み葱はひなびた辛口tasteで良し。 和的にコク深い一品。しっとりとしたカレー汁。もの凄くinovativeな食べ物と思いました。カレーと蕎麦の究極の調和だね。


-カレー丼 (1,000 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
掛かっている"カレー"にはトロミがある。決してカレーライスではなく"カレー丼"の味になっている(カレーライスとは全くの別物)。カレー風味は比較手弱めで、少ししょっぱめな味。で、このしょっぱさは刺々しいものではなく、柔らかく丸みがある(出汁がしっかり効いているからであろうか)。とってもmildな和風カレー風味丼に仕上がっている。 具は玉葱と鶏肉。鶏肉はカレー南ばんと同一。 山椒を振って食べるのもよし。
出汁取りは、さば節、本節、宗田節から取っているらしい。 また、夏に比べ、冬は薄味にしているらしいです。
お椀、お茶、お新香付き。お椀はおふをもっと上品にしたような帯状のものが浮いていて、底にお豆腐が沈んでいる。おふっぽいものが滋味深く、食感も凄くいい。おつゆは薄味だけど、上品でとっても良い味。


-大ごまそば (900 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
相変わらず蕎麦は文句なく旨い。うっすらと野趣的なgrassy noteを纏った蕎麦は、その細さ、柔らかさ、弾力の三拍子揃った心地よい喉越しと食感。そして、食べていて凄く落ち着く味。 ごま汁は、辛めの汁をベースにしていると思うんだけど、胡麻の香味が強い。胡麻のとても良い香りと上品な甘さがある。それにつけても、蕎麦と胡麻は良く合うと改めて思う。 胡麻ダレと蕎麦汁の均一感が極めて高い。 蕎麦に胡麻汁が良く絡んで良いのだけれど、胡麻の香りと甘さが強く、少しくどさを感じる。
(余談だけど、胡麻汁そばで有名な吾妻橋藪の胡麻汁そばの旨さは神懸かっていると再認識。まつやのごまぞばも旨いんだけど、吾妻橋藪のそれは2ランクくらい上の旨さ)


-すだちかけ (950 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
蓋が被せられた状態で提供される。
蓋を開けると、すだちの香りが立ち昇る。すだちの輪切りがふんだんに浮かんでいる。一口ツユを啜ってみると、ツユとすだちの一体感が凄い。すだちの酸味がとってもマイルドで、ジューシー。香り高く爽やかな酸味は、本当にジュースのようだ。
すだちと蕎麦の相性も抜群!爽やかな酸味と蕎麦の甘み(酸味で蕎麦の甘みが引き立つ)、それから鰹節様の香りのハーモニーが最高。
はじめにお店の人から「苦味が出るので、しばらくしたらすだちを出して下さい」と言われたので、早めに出したつもりだったんだけど、少し苦味が出てしまった(けれど、それもまた良し)。ちなみに、苦味は時間依存的に増してくる。
久しぶりに手繰るのに夢中になったスペクタクルな温蕎麦。温かいツユにすだちが滅茶苦茶合うぞ。食べ終わった後も、すだちのoilyな仄かな爽やかさが口の中にしばらく残っている。


-ゆずきり (900 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
"冬至の週"限定で出されるまつやの冬の風物詩。
まつやは"藪"の流れを組んでいるけど、ゆずきりのお蕎麦は更科ベース(のはず)。少し控えめな柚子の爽やかな香り。何もつけずに食べると、柚子の香味と素晴らしく後引く清涼感と蕎麦由来と思われる可愛らしい甘みを感じる。tailには仄かな心地よい柚子の苦味。
ツユは、ほんのり鰹節系の香りがして、口に含むとその香味がパッと広がる中庸のbody。
ツユにつけて蕎麦を啜ると、柚子のフレーバーと清涼感を感じる。そして、この清涼感が長く持続する。
薬味の山葵はtopに甘みがあり、少し鄙びた感じのあるdryな辛さ。山葵を蕎麦につけて啜ると、柚子と山葵の相乗効果で清涼感が大爆発。異なる清涼感の新たなシナジーを感じる。


ここまでが須田町にある本店のメモです。
次、吉祥寺店のメモです。


神田まつや吉祥寺店memo

吉祥寺店は吉祥寺駅近の東急の9階レストラン街に入っています。なので、酷暑の夏や極寒の冬に入店待ちするのに苦はありません。椅子もあるし。勿論、味は一級品で、須田町の本店に引けを取りません。そして、本店にはない吉祥寺店限定メニューもあります。オシャレな街吉祥寺に降り立ったら是非訪れるべきと思います。

-ビール 中瓶 (702 JPY)-
キリンラガーかアサヒスーパードライ
因みに、小瓶はヱビス (540 JPY)。


-焼鳥 (823 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
塩かタレか選択可能。で、塩をセレクト。
柔らかくて、プリプリで、juicyなお肉。薄く塩味がついていて、そのまま食べて旨い。
そして、付け合せの葱がこれまた旨い、外はこんがり焼き色が付き、中はvery freshで甘い。
薬味は粗塩、辛子、レモン。塩は旨いけど本品には不要(充分に塩味ある)。辛子をつけて食べると乙な味になって悪くない。
そして、レモンが最高に合う。レモンの酸味が焼鳥の旨さをそのままに、爽やかさを与え、同時に味を引き締める。信じがたいほどのシナジーです。

-きのこ蕎麦 (1,188 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
(多分)吉祥寺店限定かつ秋限定(秋の味覚)の温蕎麦です。
まず、柚子の香りが一閃。温蕎麦で食べて美味しい細麺の蕎麦は、充分にコシを保持している(さすが老舗)。具は、しめじと舞茸がふんだん。それから鶏の胸肉が一枚(まつやの胸肉は旨いんだよね)。ツユはシックで甘め。
"きのこ"蕎麦のその名の通り、きのこが主役のお蕎麦に仕上がっていると思います。
あと、薬味の三つ葉が良いアクセントになっている。時間経過によって三つ葉のchemicalな香味がツユに溶け込んだ部分がきのことの相性抜群。秋の味覚です。


-カレーせいろ (1,188 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
2014年に導入された吉祥寺店オリジナルの7月、8月だけの期間限定メニュー。肉系の具が"豚バラ"というのが素敵です。
蕎麦はちょっと角の立った感じの中くらいの太さ(田舎そばよりちょい細?)。余計な硬さはなく、心地よい噛み心地。穀物様の香味に加えてgrassyな香味も。とても美味しく、良く出来た蕎麦と思う。
ツケ汁は温かく、和風出汁のとっても良い匂いの上にカレーの香りがふんわり載っている感じで、絶妙な香り。具材の豚バラからの油の香味もふんだんで、やんわりトロみもついている。tasteは、しっかりした和風bodyに、強過ぎず弱過ぎず絶妙なバランスのカレー風味が完璧に調和している。カレーなのに完全な"和taste"は本店のカレー南蛮同様、秀逸な味に仕上がっている。
で、お蕎麦とつけ汁がBest Match!!!なのです。『強めのツユ+カレーのスパイス+とろみ』が、少し幅広な蕎麦によく絡み、噛み心地にお良さと相まって、ツユの味を味蕾へと存分に伝達してくれる。それから、豚バラが最高に滋味深いです(少し硬さが気になるけど)。
信じ難い程に旨い蕎麦と思いました。

ということで吉祥寺店は3品のメモでした。

まつや、本店も吉祥寺店も真剣ウマいッス!!!
歴史ある店内で隣のお客さんと肩よせあいながら蕎麦を啜るのもよし。モダンな店内でゆったり蕎麦を手繰るのもよし。あと、老舗なのに気取らずに入れるのもまつやさんの魅力の一つだよね。

まつやさん、いいお店です

以上、そばきり大好きな二流大出のテクニシャン(研究補助員)の神田まつやメモでした。
あっ、あとボクは並ぶのとか混雑してるのが苦手なので、みんなはまつやさんにあまり通わないようにして下さい。よろしくお願いします。