2009年1月25日日曜日

1,3-Diol Synthesis

こんな文献を読んでみました↓

1,3-Diol Synthesis via Controlled, Radical-Mediated C-H Functionalization
Ke Chen, Jeremy M. Richter, and Phil S. Baran
J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 7247-7249.

1,3-diol(1,3-ジオキシ化合物)の合成とえいば真っ先に思い浮かぶのは、アルドール(その後、還元)ですね。α,β-不飽和カルボニル化合物(これもアルドールタイプリアクションで合成できる)の共役付加とか、アリルアルコールの水和なんていうのも考えられますが、本論文で著者らが開発したのは、「アルコール→1,3-ジオール」というトランスフォーメーションです。で、このトランスフォーメーションはHofmann-Loffler-Freytag (HLF)反応からインスパイアされたと語っています。


ちなみにTLF Reactionはこちら↓



で、HLF反応を組み込んだ著者等の開発した反応はこちら↓



a) N-bromocarbamate→alkylbromide
反応性は
R: -Et > cyclohexyl > 2,4-difluorophenyl > -OMe
でもコンバージョンは総じて低く(<30%)、photolysisすると脱ブロモして原料に戻ってしったそうです。 で、より反応性の高いN-centered radicalを発生させるためにtrifluoroethyl carbamate(R = -CH2CF3)を試したら有用だったそうです。

b) 1,6-hydrogen atom transfer (alkylbromide→6 membered ring)
side reactionとして1,5-hydrogen atom transfer(5-membered ring)が考えられますが、Ag2CO3が6員環形成を促進するそうです。


で、反応例を1つ↓

2-pot synthesisなのかな?

反応例は15例。tertiary centerよりもbenzylic centerで収率がよいです(91-97%) isolated yield)。また、分子内にtertiary centerとbenzylic centerが併存する場合、tertiary centerでのも反応が起こります。あと、ジアステレオ選択性もそれなりに出ます。

実施例のうち、このプロとコールを4つの天然物の短段階合成に応用しています↓

(1R,3R)-1,5-Diphenylpenta-1,3-diol
今回: 対応するカルバメートから70% yield, dr 8:1
過去合成例: 4段階, 12% overall yield (Tetrahedron Lett. 1984, 25, 5977-5980.)

Isopulegol hydrate
今回: 対応するカルバメートから42% yield
過去合成例: 9例。1-5 steps, 4.8-35% yield(regioisomerのmixtureとして)

Rengyol & Isorengyol
今回: 4-(2-hydroxyethyl)cyclohexanone→carbamate(94%)→acetylation(92%)→rengyol & isorengyol (42%, 3:2)
過去合成例→13 steps (29%, Synlett 1998 1001-1003.) & 8 steps (3.2%, 3:1, Tetrahedron 2006, 62, 4823-4828.)

あと類似のC-H activationとの選択性も比較しています。例えば、menthol carbamateを使った反応では、

Baran's method (this work)→ selective Hc
Curci's method ([O] (dioxiran)→ non-selectiev (J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 6749-6757.; J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, 4897-4898.; J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 15391-15393.)
White's method (Fe-based cat.)→ selective Ha (Science 2007, 318, 783-787.)


感想: ないのなら、トランスフォーメーションをつくってしまおうというモチベーションが凄いですね。ただ、単離収率の他に、brsm (based upon reacted starting material)でも反応を評価してるんだけど、プロセス化学あがりのコンキチにはちょっと受け入れ難いかな。

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