とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, January 4, 2009

Organolithium Reactions

こんな文献を読んでみました↓

Optimization of Organolithium Reactions
Org. Process Res. Dev., ASAP.

ちょっとしたレビューです。

リチオ化とそれに続く反応における、プロセス化学的テクニックに関するちょっとしたレビューです。

で、以下メモ↓

イントロで、この種の反応のパラメータには、
1) 反応溶媒
2) 反応の方法(試薬を加える順番、反応温度とか)
3) 試薬
4) 基質と求電子剤との相性

があって、それらは相互に関連しており、1つのパラメーターをいじる、他のパラメーター全てに影響を及ぼすので、反応の最適化にはトレードオフの問題であると述べられています。

至極真っ当かつ、基本的なご指摘と思います。で、各々のパラメータについて各論が展開されていきます。

The Reaction Medium
まず、炭化水素中での反応例が示されています。



n-BuLi + MeI → n-BuI + MeLi↓




Reaction temp.(℃) / Yield %
0 to 10 / 77
-40 to 0 / 90
-78 to -40 / No reaction

ref. U.S. Pat. 4,976,886 (1990)


固体のMeLiの自然発火性は、濾過してBuIを除いた後にエーテル系溶媒に溶かすことで軽減されるそうです。MeLi溶液の安定性は、溶媒のLewis塩基性に依存(当然だね)。


(E+ = TMS-Cl or Me-I)


↑THF中では、ダメみたいです。反応機構は↓
1) オキサゾリジニル基のN原子がLiの配位
2) o-リチオ化が起こる
3) -LiClしてベンザインが生成
4) ベンザインへのn-BuLiの付加

THF(のようなアニオニックな溶媒)が無いことで、キレーション•コントロールの機会が最大化されるのだろうということです。
さらにこのケースの場合、過剰のn-BuLiがn-BuLiを包接した可溶性の会合体の形成を通して、溶解性を高める働きをするようです。


それから上記トランスフォーメンーションですが、

a) neat, 180℃, R=H/ 80-90% yield
b) heptane, 70℃, R=Li/ 95% yield (crystallized)

です。


次にLewis Baseを用いた反応例↓



tert-BuLi + Me2SiCl2tBuMe2SiCl


上記トランスフォーメーションにおいて、触媒量のTHFの添加が反応を促進する。THFはけっこう高い溶媒なので、こういうのは工業的に有利。
ref. U.S. Pat. 5,340,507 (1994)


PhMe中、LDA-THF錯体のcyclohexane溶液を加えていき反応を行う。THFはadditiveまたはligandとして働くと考えられ、立体選択性の発現には水が必要。パイロット•プラントでは、市販のキニーネを用いることで、キラルアミノアルコールを使ったときと同程度の収率とeeが達成できる。
ref. U.S. Pat. 6,288,233 (2001)
cf. J. Org. Chem. 2003, 68, 4984.


The Reaction Procedure
まず、試薬を加える順番。
ある種の1置換ベンゼンPhQNRH(Q=proprietary functional group, R=alkyl or aryl)のo-リチオ化と続く求電子剤との反応では、基質の溶液にn-BuLiを滴下していくと、はじめに生成するPhQNRLiが壁面にガシっと付着してしまうという問題が発生するそうです。で、n-BuLi溶液中に基質を加えていくと、可溶性のジアニオンが即座に生成して円滑なオペレーションが可能となる。まあ基本ですね、試薬の加え方を変えてみるっていうのは。この論文にも書いてあるけど、なんの問題もないなら、n-BuLiを後から加える方が安全上のメリットがあるね。

あと、過剰の有機リチウムが、モノアニオン-有機リチウム会合体の形成を促して溶解度UP↑という役割を果たす場合があるそうです。


インドールとホウ酸トリイソプロピルの混合物に、LDAを0-5℃で加えればO.K.(internal quenchの応用)
ref. J. Org. Chem. 2002, 67, 7551.

Li-ハロゲン交換の例↓

ref. J. Org. Chem. 2002, 67, 5394.; Organic Syntheses Vol. 81, 89 (2005).; Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 7833.; Org. Process Res, Dev. 2008, 12, 929.

Anion-induced protection↓

ref. Chimia 1996, 50, 532.
アミドをリチオ化して、ラセミ化を抑制。

あと、1,3-difluoroareneにLDAとB(OMe)3を同時に加えることで、反応温度が0℃でも高収率を達成(LDAがボレートよりも1,3-difluoroareneと速く反応し、ボレートがaryllithiumと素早く反応することを利用して、ベンザインの生成を抑制; U.S. Pat. 5,262,556 (1993))。

で、反応温度ですが↓

PMB=p-methoxybenzyl

ref. Tetrahedron 1994, 50, 6109.; J. Am. Chem. Soc.1998, 120, 2028.; J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 11212.; Chirality 2005, 17, S249.; U.S. Pat. 6,028,237 (2000).
NMRからリチウムアセチリドとリチウムアルコキシドの1:3, 2:2, 3:1テトラマーの存在が示唆され、その相対濃度はリチウムアセチリドとリチウムアルコキシドの比を調製することでコントロールできる。THF中、室温で、2eq.のリチウムアルコキシドと1eq.のcyclopropylacetylideは平衡に達し、2:2テトラマーを与える。これを-78℃でプロキラルケトンを加える前に調製しておくと最も高い選択性が発現するそうです。ちなみに、アセチリドをn-BuLiにかえると、対応するアルコールが80%eeで得られるとか。

なんか疲れてきたので、Organolithium Reactions 2につづく.....

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