2016年8月16日火曜日

アミンからオキシムへ:mCPBA in AcOEt at rt.でアミンを酸化する

ども、艦これ2016夏イベントを(一応)攻略し終えた、チバラキ在住のオタッキーのコンキチです。

ところで、チバラキと言えば、先日(といっても7月のはなしだけど)、柏の葉キャンパス駅前で『柏の葉サマーフェス』なるものが開催されたんですが、ボクの大好きなクラフト•ビールも吞めるっていうんで行って来ました。で、そのメモです↓

-ファーイーストブルーイング 馨和 KAGUA Rouge (700 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
alc. 9.0%。
重厚な味わいと山椒のアフターフレーバー。ロースト麦芽を使用し、香ばしいしっかりしたボティ感。アフターテイストの山椒のスパイシーさが特徴で、お肉にばっちりな重厚な味わいの一品。2014年ANA国際線ファーストクラス採用。香港インターナショナルビアアワード2年連続金賞ビール。
やんわりとしたfruity & citrus note。口に含むと、まずnaturalなsweetnessを感じ、その後すぐにcitrusが押し寄せる。赤ワイン様のrichなbodyを堅持しつつ、finishには山椒様の清涼感を伴った独特のspicy。発泡感は全体的に弱いんだけど、finishに集約された発泡感が山椒のspicyをエンハンスする。温度が上がってくるとberry感とchemical感がUP↑するんだけど、これがまた良い。文句無しにとっても美味しい。Japanese Tropical!

-ブルームーン (600 JPY) memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
オレンジアロマ香る全米No. 1クラフトビールらしいです。
オレンジキュラソーの傑作「コアントロー」を彷彿させる鮮烈で濃厚なオレンジの甘い香りが迸る。口に含むと猛烈な甘い香りとは裏腹に甘みは微弱。そして、とってもcreamyで、orange系のcitrus & spicyがやんわりと漂う。面白いビールと思いました。

-インドネパールレストラン ハリオンのタンドリーチキン (2P) (300 JPY) memo-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
骨無しのチキン。普通に旨いし、2Pで300円は超リーズナブルでは。コスパ非常に高し。

-ル•ジャルダン•ゴロワのキッシュ盛合せ (4種) (1,000 JPY) memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
生地は薄めで、アパレイユがプルンプルンに仕上がっている。キッシュって旨いね




-uca's kitchen 鶏肉のフォー (500 JPY) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
スープは薄味だけど旨い。鶏ガラベースだろうか?
具は鶏肉、もやし、ネギ、パクチー、フライドガーリック。パクチーとフライドガーリックの香味のスープへと移る速度が速い。で、これに伴う香味の変化が楽しい。そして、フォーに合った味付けと思いました。あと、フォー自体が旨い。
淡白であっさりとした優しい味に仕上がっていてとっても旨かったです。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

m-CPBA Mediated Metal Free, Rapid Oxidation of Aliphatic Amines to Oximes
J. Org. Chem., 2016, 81, 781-786.

タイトルそのまんまで、アミンを酸化してオキシムをつくるお話です。

20 examples, 78-95%
ウリは、

a) Metal free
b) Mild reaction conditions (at rt.)
c) High oxime selectivity (oxime selectivity > 90%, lower byproduct formation)
d) Commercially available oxidant (m-CPBA)
e) Shorter period, easy workup

です。

あと、この論文、インドの研究機関(ICT)のなんだけど、インドの室温は30-32˚Cなので注意して下さい(30-32˚Cって論文に書いてあった)。まぁ、ご愛嬌といったところです。

さて、オキシムの合成といってすぐに思いつくのは、アルデヒド/ケトンにヒドロキシルアミン塩を作用させる方法で(オレはそれしか思いつかない)、脂肪族アミンの酸化によるオキシム合成はオルタナティブな合成法になりますが、脂肪族アミンは酸化反応に対してセンシティブで、アルデヒド、ニトリル、ニトロ化合物、イミンなどの副生成物の混合物を与えがちで選択性に難ありというのが定説のようです。なので、脂肪族アミンを酸化して選択的にオキシムに誘導する反応の開発は、今尚、重要な仕事の一つに数えられているようです。

著者等はベンジルアミンをモデル化合物に選んで、種々の酸化剤(m-CPBA, 50% H2O2, Oxone, 70% TBHP, Sodium perborate, Potassium peroxydisulfide, Urea hydrogen peroxide, 過酢酸)と溶媒(Pet ether, Toluene, CHCl3, CH2Cl2, Acetone, CH3CN, EtOH, MeOH, AcOEt, Glycerin, H2O, DMF)を検討した結果、酢酸エチルを溶媒に用いて、室温(30-32˚C)でm-CPBAをきっちり2 eq.作用させるのがベスト•プラクティスだということを見いだしました(溶媒効果がけっこうでる。あと、収率向上のためにはm-CPBAのモル比も重要)。

基質一般性はこちら↓

benzaldehyde oximeはE/Z=86:10(一番左上)で、それ以外の置換ベンジルアルデヒドオキシムはE-選択的。(ベンジルじゃない)脂肪族アミンから誘導されるオキシム(最下段の5化合物)はE-体とZ-体の混合物として得られます。

それにつけても、こんなにも簡便な操作、マイルドな条件、短時間で高収率でアミンからオキシムに変換できるなんてちょっと驚きです。
ちなみに、遷移金属を使った空気酸化も報告されてますが、反応温度は100-120˚Cと高温で、反応時間も10-16 hrと長時間を要するようです。

本報はとっくの昔に誰かがやってそうな話だと思いましたが、そうではないんですね。論文になってるくらいだから(企業がノウハウとして隠している可能性は否定できないけど)。

シンプルなアイデアだからといって、もう誰か思いついてやってんじゃね?って勝手決めつけて諦めてしまうのは良くないねと改めて思う、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。


2016年8月15日月曜日

その構造、アミニウム?ウロニウム?

夏ですね。

今夏も大好きな新子を食べることができました↓


新子の香りって凄く繊細で、絶妙な塩梅の酢の香りと相まって、なんとも言えない可愛らしい香りを醸し出すんだよなぁ。舌触りももの凄く繊細で、この世のものとは思えない、なんとも形容し難い可愛らしい味わいで、真剣、癒されます。
(ちなみに、添えてあるのはカボチャの漬け物)

折角なので、去年食べた新子の写真もアップ↓


今年は去年より早めに食べにいったんだけど、去年が四枚付けで今年が三昧付け。初夏の限られた時期にしか食べられない夏の風物詩は、その食べる頃合いをはかるのが難しいです。


閑話休題


先のエントリーで、ベンゾトリアゾール系縮合剤のメモを書きましたが、その関連で(大分有名な話だけど)HATUに代表されるAminium (Guaniinium)/Uroniumタイプの縮合剤の構造についてメモしてみます(以下、HATUを例に挙げてメモしていきます)。

まず最初に、Aminium (salt)、Uromiun (salt)って何よ?っていう話ですが、HATUで説明すると、Bis(dimethylamino)methylene基がベンゾトリアゾールの"N"に結合しているのがAminium (N-form)で、"O"に結合しているのがUronium (O-form)です。


HBTUはHOBtとtetramethylchlorouronium塩(TMUCl)との反応によって誘導されるんだけど、当初はBOPのアナローグとしてUroniumタイプの構造だと考えられていました。


しかしながら、後にX線結晶構造解析から実際はAminium塩(guanidinium N-oxide)であることが示され、HBTU, HATU, HAPyUはAminium構造であることが分かっています(Chem. Rev., 2011, 111, 6557.)。

ところで、これらの試薬のO-form (Uronium salt)は絶対に取得できないのかというと、そんなことはなくて、合成法を工夫することで調製可能です。ではどうするのかというと、後処理を迅速に行うことと、三級アミンを使用しないことです。

Angew. Chem. Int. Ed., 2002, 41, 441-445.

迅速な後処理が必要というのは当然異性化(O-form→N-form)を防ぐことが目的(=三級アミンを完全に排除しても異性化が進行しないわけではない)なので、ラージスケールでのO-form(リッチな試薬)の調製は困難でしょう。なので、市販試薬は(大部分が)N-form (Aminium salt)のはずです(O-formの構造が描いてある試薬メーカーもあるけど)。

あと、HBTUとHATUは、N-form (Aminium salt)よりO-form (Uronium salt)の方が活性が高いと言われていますが、実際の反応条件とかを鑑みて、そこまでアピールするほどのクリティカルな違いなの?って思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。
O-form (Uronium salt)とN-form (Aminium salt)のこれでもかっていう反応性の(バカでも分かる)明確な差異が報告されている論文があったら、浅学なボクに教えて下さい。


ベンゾトリアゾール:その傾向と対策

水無月をGETしたオタッキーのコンキチです。



昨年のまだ三月のことだけど、復活したかんだやぶそばに行ったときのメモです。


-せいろうそば (1,340 JPY+Tax) memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
grassyな野趣的な香味。蕎麦は角が立ったところは無く、柔らかく、食感ゼロの中で心地良く跳ねる。(なにもつけずに)そのまま食べて美味しい(浅草の大黒屋に似た香味)。
ツユはとっても良い鰹節の香りがフワッと立ち、上品な甘さの後、シックな辛さを感じる。バランス良いしっかりした味の辛口のツユでとっても旨い。grassyな野趣的な蕎麦との相性が良く、蕎麦を手繰るのが楽しくなる。
薬味は山葵と葱。どちらもひなびた感じの辛さで、この"ひなびた感"が蕎麦にベストマッチ。
ホント久しぶりに食べたけど、超旨いね。

-ねりみそ memo-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
酒類を注文すると付いてくる(今回はエビスの大瓶 (670 JPY+Tax)を注文)。
コク深い甘みの後に、締まった辛味。とても旨い。刻まれた牛蒡の柔らかい漬け物チックなものが入っていて、その食感と濃厚な味がアクセントとしてとても良い。究極の酒のツマミと思いました。因にこのねりみそは土産にもなっていて、自宅で楽しむこともできます(原材料:みそ、ごぼう、砂糖、鴨油、一味唐辛子、さば節、醤油、味醂)。

復活した神田の藪、蕎麦は相変わらず最高。建物は白を基調としたスッキリ•小綺麗に仕上がっていて好感触です(並木の藪も改装したけど、雰囲気がとても似てる)。これからも味と伝統をしっかちろ守って欲しいお店です。


閑話休題


以前、カルボジイミドを用いた脱水縮合のadditiveとしてのベンゾトリアゾールの用途をメモしましたが(see http://researcher-station.blogspot.jp/2013/11/2.html)、もう少しだけベンゾトリアゾールに関して造詣を深めてみました。

(ボクはあんまり使ったことないんだけど)ベンゾトリアゾール系の縮合剤といえば、ホスホニウム塩系(BOP, PyBOPとか)とアミニウム/ウロニウム塩系(HBTU, HATUとか)があるかと思いますが、それらのメモです(主に、Chem. Rev., 2011, 111, 6557.)。

PHOSPHONIUM SALTS
まずホスホニウム塩系縮合剤(BOPを例にした)のメモ。反応機構はこちらです(活性種が何なのかについては議論の余地があるようですが)↓

N-アシルアミノ酸を用いた場合は、5(4H)-oxazolone経由で反応が進行する可能性もある(ラセミ化の危険)。

で、代表的な試薬はこちら(ベンゾトリアゾールじゃないのも入ってるけど)↓

構造を見れば一目瞭然だけど(BOPの反応機構のschemeにも描いてあるけど)、BOPとAOPは副生成物としてHMPAが出来るので、それを改善しようと開発されたのがPyCloP、PyBroP、PyBOP、PyAOPで、ジメチルアミノユニットがピロリジンで置き換えられています(これで、HMPAは生成しない)。
あと、AOPとPyAOPはBOPやPyBOPよりも概して高活性で、AOPはAOPよりも僅かに活性が強いそうです。

AMINIUM/URONIUM SALTS
次はHATUやHBUTに代表される(とボクは思っている)AMINIUM/URONIUM塩系縮合剤のメモです。(HATUを例にした)機構はこちら↓


代表的な試薬はHBTUとHATUの二強だと思うけど、他にもいろいろ報告されています↓


ここに挙げたのはアミニウム/ウロニウムユニットが対称なものだけだけど、非対称なものも報告されています。
あと、カウンターイオン(PF6とBF4)だけ違う試薬がありますが、活性の違いは殆ど無いみたいです(WAKO Oraganic Square, 2013, Vol. 46, 2-6.)。
それから、ピロリジノ誘導体(HBPyU、HAPyU))はテトラメチル誘導体(HBTU、HATU)よりも活性が高く、ピペリジノ誘導体(HBPipU、HAPipU)は活性が(テトラメチル誘導体よりも)低いと言います。

ところで、ホスホニウム塩系試薬とアミニウム/ウロニウム系試薬ってもっと具体的にどんなところが違うの?っていう疑問が湧いてくると思いますが、反応の活性について以下にメモしてみようと思います。

まず、ホスホニウム塩系試薬とアミニウム/ウロニウム系試薬の最も大きな違いは、ホスホニウム塩系試薬はアミノ基と反応しないけど、アミニウム/ウロニウム系試薬はアミノ基とも反応するっていうことだと思います。こんなふうに↓


こうした副反応は、カルボン酸の活性化が(嵩高いなどの理由で)遅い場合や、過剰のアミニウム試薬を使用したときのしばしば起こるようです(ボクはまだグアニジンをディテクトしたことはないけど)。実際、カルボン酸無しで、Hünig's baseの存在下、フェニルアラニンのフルオレニルメチルエステルの塩酸塩にベンゾトリアゾールのアミニウム塩系縮合剤を作用させると対応するグアニジンが生成します(ホスホニウム塩系縮合剤ではではグアニジンは形成しない)。

J. Org.Chem., 1998, 63, 9673-9683.

しかも生成速度が結構速い。通常は、カルボン酸の活性化(活性エステルの形成)が充分速く、カルボン酸に縮合剤を作用させた後にアミンを作用させるので問題になることは少ないかと思いますが、頭の隅に入れておきたいものです。ちなみに活性エステルの形成は速いです(Fmoc-diethylglycineの例)↓

J. Org. Chem., 1998, 63, 9673-9683.

Fmoc-Deg-OHとHCl•H-Phe-OFmとのペプチド結合形成反応の結果はこちら↓


ピロリジノ誘導体(HAPyU, PyAOP, PyBOP)はジメチルアミノ誘導体(HATU, AOP, BOP,)よりも僅かに優れた活性を示し、(この中で)最も活性が高いというHAMDUはその不安定性からイマイチな結果に。HDTUはカルボン酸(Fmoc-Deg-OH)の活性化には凄く有効だけど、対応する活性エステルの活性はOAtやOBtエステルよりも低いです。

総論としては、ホスホニウム塩は対応するアミニウム/ウロニウム塩よりも僅かに活性が低いというのが一般的な見解で、嵩高いカルボン酸を基質に用いる場合はホスホニウム塩の使用が推奨されるらしいです(アミニウム/ウロニウム塩を使うとグアニジンが生成して望みの反応が進行しない可能性がある)。

以上、主にベンゾトリアゾール系縮合剤に関する二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。


2016年7月30日土曜日

HOW WE LIE TO EVERYONE (5•終) : "ごまかし"を制御せよ

夏ですね。

今はもうなくなってしまったけど、ヨドバシAkibaに入っていたXI'ANで食べた刀削麺のメモです。鉄鍋のジャン!を読んで刀削麺にあこがれてたんだけど、はじめて食べました。

-XI'AN ヨドバシAKIBA店 刀削麺 (小) (626 JPY) memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
香ばしいoilの香り。最上部は辛く、温度は高くないが、おそらく"油の蓋"が形成されているためか、その直下からアツアツの酸味が現れる。酸味は比較的穏やかで、思ったほど激しいものではない。スープの味は極めて濃厚。そして、しっかりと味の染みた挽肉は野趣的な香味を添える。
麺は餅の様にモチモチで淡白な味。すいとんを想起させる。モチやすいとんを思い起こさせるんだけど、もっとスレンダーで洗練されている。形状にムラ(薄いところと厚いところ)があるんだけど、それが食感をより楽しいものにしている。
このモチモチ淡白麺と濃い味のスープがBest Match!添えられたパクチーが良いアクセントになっている


閑話休題


ダン•アリエリー教授の「ずる―嘘とごまかしの行動経済学」のメモの続きです。

SMORC (シンプルな合理的犯罪モデル, Simple Model of Rational Crime)っていうモデルがあります。これは、利益(便益)とそれを得るために払う代償(費用)を天秤にかけて(費用便益効果に基づいて)不正(犯罪)を行うかどうかを決めるっていう考えです。古典的経済学が想定する経済人であればSMORCに従うことで、合理的に不正に手を染めるかどうかの判断をするというわけです。

でも、アリエリー教授はSMORCに疑問を持ち、その検証実験(ごまかし可能な状況でテストをして、正当数に応じて報酬がもらえる)を実施した結果、ごまかしの水準と金額の多寡に相関はみられませんでした。要はSMORCの考えが否定されたってことです。そして、人の不正に何が影響を及ぼすのかという実験が繰り返し実施され、その要因が分かってきました。これまでのメモとも重複しますが、それらを以下にまとめてみます。

まず、SMORCから不正に与える影響が大きいであろうと予想されていながら、実際は一般に考えられているより影響がずっと小さいものが
a) 不正から得られる金額
b) つかまる(逮捕される)確率
の二つです。

次に、予想以上に不正に対して大きな影響を及ぼす要因がこちら↓

不正を促す要因
a) 正当化の能力 (つじつまあわせ係数)
b) 利益相反
c) 創造性 (創造性の高い人は正当化の能力も高い)
d) 一つの反道徳的行為
e) 消耗 (疲労)
f) 他人が自分の不正から利益を得る (利他性)
g) 他人の不正を目撃する
h) 不正の例を示す文化

不正を減らす要因
a) 誓約
b) 署名 (最初に署名しなければ効果がない)
c) 道徳心を呼び起こすもの
d) 監視

不正を減らす要因よりも促す要因の方がたくさんあって(しかも、ありがち)で残念ですが、こういった要因に注意•着目してシステム設計すればそこそこ不正の少ない健全な社会が築けるんじゃないかと思ったんんですが、かつてエコノミック•アニマルと揶揄され(そういえば企業戦士なんて言葉もあったね)、メディアも実質サービス残業ありきの報道で(リゲインの24時間戦えますかってCMも冷静に考えると、相当狂ってるよね)、上場企業のコーポレート•ガバナンスなんて「何それ美味しいの?」状態の我が国にあっては夢のまた夢かななんて思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)の読書メモでした。でも、道徳心が不正の抑制に効果があるのは救いかもね(誓約や署名も道徳心を呼び起こすものと思うし)


2016年7月24日日曜日

アルデヒドからエステルへ

夏ですね。

千葉の渋谷こと柏Cityのお寿司屋さんに行ったときのメモです。

-福鮨 memo-

-上にぎり (1,600 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
赤身、(多分)中トロ(×2)、小肌、雲丹、穴子、蝦蛄、平目、烏賊、鮪をたたいた細巻き、伊達巻、お吸い物のセット。
蝦蛄は詰め、それ以外は(雲丹も含めて)煮切りでいただく。全てのお寿司で、ネタとシャリの一体感が抜群。シャリが口の中でハラハラとほどけていく。
赤身はしっとりとした舌触りで、心地よい酸味と濃蜜な旨味。
(多分)中トロは赤身よりも脂がのっていて(当たり前だけど)、柔らかい食感。余剰な脂感は一切感じず、とても上品な旨さ。
小肌は、topにお酢の香りがふんわり。口に含むとお酢の香味とともに小肌の香味が漂う。お酢の良い香りが立つ心地良い酸味と、赤ちゃんの様に可愛らしい小肌の食感と味わいには、咀嚼する度に笑みがこぼれる。
雲丹は軍艦ではない。シャリに山葵をつけて、その上の雲丹を優しく掬って載せる。久々に旨い雲丹を食べた(と思う。それから、オレにはこの雲丹の味わいを表現できるだけのボキャブラリーがない)。
穴子も旨い。ボク的に穴子は、白焼き、天ぷら、刺身以外は好まないんだけど、けっこう旨かった。柔らかく、ほっくりした食感。詰めではなく煮切りを塗っているためか、味も締まっていて良い。
蝦蛄は、蟹と海老を足して2で割ったような味。とても濃厚な味。好きなネタではないんだけど、なかなか旨かった。
平目は、程よくしっとり柔らかく、少しだけ脂が回っている感じか。とっても良い感じ。
烏賊がとても旨い。ネットリ感、淡白さ、味の濃さの全てが愛おしい。完成度の高い味わい。
細巻きは普通にとても旨かったです。細巻きっていいなって思いました。
お吸い物はm白身の魚を炙ったものが入ったお椀で、とても上品な味。白身の魚も旨し。
たった1,600円でこれだけのものが喰えるのは超絶お得と思いました。

-ばらちらし (1,300 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
具(ネタ)は、鮪、穴子、(白い)貝、烏賊、鱵、白身(鯛か?)が酢飯の上の配置よく盛りつけられていて、その頂点に伊達巻が鎮座し、おぼろが振りかけられている。
まず、伊達巻からいただく。まるで、良く出来たカステラのようで、そのフワフワした独特の食感が心をウキウキさせる。
魚介ネタはどれもそつがなくしっとりとした食感と穏やかな味で旨い。その中でも印象深かったのは、貝と白身。
貝は適度な弾力で噛み応えが心地良く、味はとても淡白。ほんのり香る貝っぽい香味に心くすぐられる。普段は好んで貝を食べないんだけど、これは良い。
白身は、しっとりとした吸い付くような食感と、何とも言えない淡白な味が旨い。
あと、山葵が旨い。辛味、香味ともに申し分なく、硬派な味でvery good!
それから、優しく薄く味付けされた干瓢がまぶされてるんだけど、これがとても嬉しい。
そして最も秀逸なのがご飯。米の粒が一つ一つ立っていて、そのふっくらした食感は何とも言えない。とてもマイルドな風味。はっきり言って、このご飯(酢飯)が一番旨い。
ちなみに、ネタには煮切りと詰め(穴子だけ)があらかじめ塗ってある。ボク的には、煮切りだけでは少し物足りなかったので、お醤油をちょっぴりつけて食べる。
穴子は個人的な嗜好から白焼き、刺身、天麩羅以外好きじゃないんだけど、ここの穴子は口の中に入れると瞬時に壊れてしまいそうな繊細な柔らかさで、嫌いではない。


店内は黒と白を基調としたシンプル&シックな造り。カウンターは豪快かつ洗練された造形。詰めは鮑を使っているとか。
また行きたいな。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Metal-Free Direct Oxidation of Aldehydes to Esters Using TCCA
Org. Lett., 2015, 17, 3666-3669.

エステルの合成法はというと、古典的なところではカルボン酸誘導体(酸塩化物、酸無水物、活性エステル)に対するアルコールの求核置換反応が挙げられますが、エレガントが代替法としてアルデヒドとアルコールの酸化的エステル化がある言います。アルデヒドとアルコールの酸化的エステル化は、中間体にヘミアセタールを経由し、ヘミアセタールを酸化することで達成されます(Chem.-Eur. J., 2008, 14, 6302.; Dalton Trans., 2014, 43, 13460.)。


で、このような合成法には、酸化剤にI2 (Tetrahedron, 2015, 51, 5915.)、Oxone (JOC, 1968, 33, 2525; OL2013, 5, 1031.)、PhI(OAc)2 (ARKIVOC, 2006, 162.)。NIS (ACIEE, 2008, 47, 9458.)、NaClO (TL, 1982, 23, 4647.; Synth. Commun., 1996, 26, 2633.)、pyridinium hydrobromide perbromide (Synlett, 2004, 2739.)、H2O2 (Green Chem., 2011, 13, 3350.)を用いるメタルフリーな方法が報告されていますが、多くの場合、立体障害や中間体のヘミアセタールの不安定性に悩まされ、メチルエステルの合成やより活性の高い芳香族アルデヒドの使用に限られます。

遷移金属(Rh, V, Pd, Au, Cu)を用いた(ヘミアセタール経由の)合成法も報告されていますが、化学両論量の試薬が必要であることに加えて、過酷でセンシティブな反応条件であるために基質一般性に制限があります。


近年、NHCを用いた合成法が報告されていますが、芳香族アルデヒドと脂肪族アルデヒドのどちらかにしか有効ではなく、1級アルコールとカップルングさせる場合は大過剰のアルコールが必要となります。
ref.
meta-free version: OL, 2008, 10, 4331.; JACS, 2010, 132, 1190.; JACS, 2012, 134, 12374.
transition-metal catalysis version: Adv. Synth. Catal., 2013, 355, 1098.

で、既報の問題点を挙ったところでThis Workです↓

29 examples, 60-95% Yield

立体障害やヘミアセタール形成を回避して、酸クロ経由でアルデヒドをエステルへと導きます。

因みに、アルデヒドから酸クロへと誘導する合成方は既にあります。例えば、
S2Cl2 (Ber. Dtsch. Chem. Ges., 1894, 27, 2540.)、 tert-pentyl hypochlorite (Gazz. Chem. Ital., 1936, 66, 639.)、tert-butyl hypochlorite (JOC, 1982, 47, 1360.)がありますが、文献が古すぎたり、力強く問題があったりします。This Workと同様にTCCAを用いた合成法も報告されていますが(Central Glass, EP Patent 2006274A1)、3,3,3-trifluoropropionyl chlorideを合成するための一手法という位置付けで、合成法も洗練されてはおらず、収率も低いです(しかも、エステルではなくカルボン酸が目的物でone-potでない)。

さて、This Workに戻りますが、この反応溶媒効果が顕著で、CH3CN、Et2O、CPME、THF、アセトン溶媒中ではアシルクロリドが生成しません(基質にベンズアルデヒドを用いて検証)。

基質一般性はこちら↓

芳香族、脂肪族、嵩高い基質でも万遍なくそこそこの収率で反応が進行します。しかもマイルドな条件で。さらに、キラルなアルコールを用いても申告なラセミ化は起こりません(SIにHPLC Chartが添付してあるんだけど、ピーク形状があまり良くないね)。

ただ、ファースト•ステップの酸クロ形成にrt., 5 daysを費やしているのはもうちょっと短縮出来ないのかなと思います(速く反応が進行する基質もあるのかもだけど、分からない)。それから、ジクロロメタンしか適用可能な溶媒がないのは哀しいけど、マイルドだし、試薬の使用量は良い線いってると思うので頑張って欲しい反応だなと思いました。

以上、二流大出のテクニシャンのメモでした。


2016年7月21日木曜日

HOW WE LIE TO EVERYONE (4) : 利他性は常に美しいか?

夏ですね。


江戸川区にある昔ながらの大衆居酒屋に行ったときのメモです。

-伊勢周 memo-

-お通し (0 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
この日のお通しは、もつの煮込み。
優しい味噌仕立ての煮込みは、なんとなく田舎を想起させる少し素朴な味わい。もつの味つけは、出しゃばることなく穏やかで普通に旨い。万人受けしそうな味。オレは好き。

-焼酎ハイボール (420 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
所謂「下町ハイボール」っていうやつらしいです。焼酎には「天羽の梅」、炭酸に「YOUNG HOPE」を使用した一品。
グラスに氷を入れ、その戴きにレモンの輪切りを置き、炭酸を加え、最後の焼酎を注いで完成。すると、レモンの輪切りがトップに浮かんだ状態になり、レモンの香りが一閃する。けっこうマイルドで、とても飲みやすく、淡く優しいtaste。

-カキ酢 (530 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
タレは酢醤油か。ワカメ、大根、紫蘇などのサラダが添えられている。カキは大粒、小粒入り乱れてけっこう満足な量で、freshな味わい。薬味には粉ワサビが添えられているが、これは余計(カキの味が濁る)。

-穴子の天ぷら (580 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
タネは、穴子、椎茸、玉葱のかき揚げ。生姜と大根おろしが添えられ、天つゆでいただく。天ぷらは少し油の重たさが気に障るが(要はカラッと揚がっていない)、ボリュームとダイナミズは十分。かき揚げはツユで食べるのが良し。他は塩の方が旨いと思う(テーブルには食卓塩があり、それを振りかけて食べる)。

-スパゲティー (530 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
メニューには明確に「スパゲティー」と書いてあるが、店のおばちゃんに「ナポリタン?」と聞かれる一品(オレは心の中で、「だったらナポリタンって書いとけやっ!」って10回思ったね)。 で、繰り出されるナポリタンは全然洗練されてなくて、むしろ少しぼやけた感じ。でも、そのぼやけ加減が良いです。味付けは甘めで、なんか落ち着く味(この味を狙って出してるんだとしたら凄いと思う)。具は、ベーコン、ソーセージ、大きめにカットされた玉葱、海老(二尾)。
(再掲 see http://researcher-station.blogspot.jp/2015/08/2.html)

-熱燗 (320 JPY)-
まあ、あまり旨くない酒の燗。でも、これがいい。

-中生 (サッポロ) (520 JPY)-

-ヱビス <ザ•ブラック> 小瓶 (450 JPY)-


ボクが訪問した日は、店内はほぼ全員お知り合いの常連で占められているようだった。「L」字型のカウンターがる、多分、所謂昔ながらの大衆居酒屋なんだとうと思うんだけど、特筆すべきは、カウンターの外側だけでなく内側にもを席があること(それで全25席といったところ)。
客層はタバコ飲みが大勢で、服に猛烈にタバコの臭いがつく。ホールは年配のおばちゃんとかなり年配のおばちゃんの2人。店内が騒がしいせいこともあるからか、2人とも絶対耳が遠いと思う。加えて、常連客が殆どのせいか、接客する気があまり見いだせない(話せばけっこう気さくだったりもする)。なので、注文するタイミングをはかるのが初心者には難しいと思いました。
ボク的には嫌いじゃない雰囲気なので、また行きたい店です(実際また行ったけど)。


閑話休題



ダン•アリエリー教授の「ずる―嘘とごまかしの行動経済学」のメモの続きです。

世の中には"利他性 (Altruism)"という美しい言葉があります。そう、自己の損失を顧みずに他者の利益を図るような行動をとろうという非常に美しい性質です。一見すると、利他的行動(自己犠牲)は賞賛されることはあれ、それが非難されることはない完全無欠なものという印象を与えるかもしれませんが、"ずる"の領域では勝手が違います。すなわち、利他性は"ずる"を助長する場合があるのです。

本書で例示される実験結果から、パートナーと組んで仕事をするとき、パートナーが自分のごまかしから利益を得る状況では、パートナーがあかの他人(知らない人)であっても、より不正な行動をとるようになるという結果が示されました。さらに、ごまかしが純粋に利他的な理由から行われるとき、ごまかしをする人自身が、ごまかし行為から何も得られない場合にごまかしの度合いがさらに高まったというのです。

著者らはこの結果について、人は利他的な傾向があるから、自分の不正によってチームメンバーが利益を得る状況ではごまかしを増し、ごまかしが純粋に利他的な動機から行われる場合、自分の問題行動を純粋に利他的なものとして正当化しやすくなり、自分の道徳的束縛をいっそう緩めてしまうのだろうと考えています。

ところで、ごまかしの抑制には"監視"が効果的だそうです(口を利いたことのない監視者と組んで仕事をするとき、ごまかしをすることはまずないという実験結果)。しかしながら、パートナーと交流を図る機会(社会的要素の付与)を与えられてから監視し合うような状況に置かれると、利他的なごまかしが監視効果を圧倒するのだそうです。つまり、ごまかしの社会的側面はとても強力で、監視の有益な効果を打ち消してしまうということです。

なんか、どこかの極東の先進国と言われる国の大企業にもみられる事象のように感じませんか?
会社は(多かれ少なかれ)社員を洗脳して、自社に都合の良い社会性を付与した社畜を養成するわけですが、社畜達が"会社のために"という利他性を発揮してごまかしを行うことは想像に容易いと思います(ただ、あんまり調子こいてると巨大な不正行為に発展して社会に対してバレたときにとっても大変なことになるので、まともな会社はそれなりに教育なりチェックしてるはず)。内部告発者が報われないのも納得です(だって、内部告発者は、利他性を発揮すべき対象である会社の敵だから)。
また、監査法人が粉飾決算の抑止の役に立たないのも"利益相反"というマジック•ワードで説明できます(多分)。

あとちょっと思ったんだけど、利他性と返報性のコンボを使った"ずる"のスパイラル(フィードバック)って超凄いんじゃないかと思います。古いところ(?)だと、悪代官と越後屋の「おぬしも悪よのう」っていうやつです。多分、最初の不正の規模は比較的ささやかなものかもしれませんが、"ずる"のエンハンス効果(see http://researcher-station.blogspot.jp/2016/06/how-we-lie-to-everyone-2.html)によって水戸黄門におもいっきり成敗されるくらいの大きな不正へと発展するのでしょう(カネボウの低稼働や東芝の粉飾決算不適切会計もいっしょだなんじゃないかと思います)。

世の中に完璧に高潔な人間もいないだろうから、

"ずる"はほどほどにね

ってところなんだろうなと思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)の読書感想文でした。
(まだつづく.....)

2016年7月9日土曜日

HOW WE LIE TO EVERYONE (3) : 実験が例証する"ずる"のメカニズム

津田沼のモリシアっていう商業施設に入ってるカレーショップで食べたカレーのメモです↓

-Farmer's Cafe Verger ゴロゴロ野菜のカレー (M) 辛口 (475 JPY) memo-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
はっきり言って「甘い」。ベジ由来の甘さと言われればそうなのかもしれないが、カレー自体は日本的な凡庸なカレー。辛さはあるが、スパイスを振って無理矢理辛くした感じで調和していない(一体感が感じられない)。で、カレーの(前述の)甘さと辛さが全然調和していない。
ご飯は硬めに炊き上げられていて、エッジが立った感があって良い。
レトルトチックなカレーの味とは裏腹に、具の野菜はすこぶる旨い。特に、ナスの素揚げが絶品。あと、ふんだんに入っているジャガイモが旨い。
野菜の旨さ「★★★★★
カレーの旨さ「★☆☆☆☆


閑話休題



ダン•アリエリー教授の「ずる―嘘とごまかしの行動経済学」のメモの続きです。

教授は本書で学生達を使った様々な実験を行い、どんなとき(状況)に人は"ずる"を犯しやすくなるかを検証しているのですが、ボク的に一番興味深かったものを以下に紹介しましょう。

実験内容は、「実験協力者に20問の問題を解かせ、正解一問につき50セントの報酬が支払われる」というもので、幾つかの条件下でテストが実施されます。条件は次の五つです。

(1) 対照実験:回答の正誤は厳密に確認される。こまかしが不可能。
(2) 破棄条件:平均的な正答数を告、試験終了後、解答用紙をすぐにシュレッダーにかけた後、正当数を自己申告する。ごまかしが可能。
(3) マドフ条件:マドフ(Bernard Lawrence Madoff)とは巨額詐欺事件の犯人。この条件では、破棄条件下、みんながまだ1問目を解いているときに「終わりました」と言って解答用紙をシュレッダーにかけた後、全問正解と申告して立ち去るという、明らかに不正を行っている学生を登場させる。
(4) 質問条件:「問題を解かずに、全問解きましたとだけ言って、全額さらってもいいんですか?」という質問者を登場させ、試験監督に「あなたのやりたいようにどうぞ」と答えさせ、質問者にマドフ行為を敢行させる。
(5) よそ者マドフ条件:マドフ条件のデモンストレーションをよそ者(他大のロゴの入ったトレーナーを着ている)にやってもらう。

ごまかしが不可能な対照実験をコントロールとして、ごまかしが可能な他の4条件でのごまかしの数を計測します。で、結果は下表の通りになりました。

Table
条件
「正解した問題」の数
(全20問中)
ごまかしの量
(1) 対照 (ごまかしが不可能)
7
0
(2) 破棄 (ごまかしが可能)
12
5
(3) マドフ (ごまかしが可能)
15
8
(4) 質問 (ごまかしが可能)
10
3
(5) よそ者マドフ (ごまかしが可能)
9
2

それでは、これらの実験結果からどのようなことが言えるかですが、著者の分析は以下のようになります↓

a) 『破棄』条件の結果から、ごまかしはごく当たり前に行われる。

b) 『マドフ』条件の結果(最大のごまかし)は、純粋にSMORC (Simple Model of Rationl Crime; シンプルな合理的犯罪モデル)の結果かもしれないが、受け入れられる行動を規定する社会規範があまり明確でなく、他人の行動が善悪の判断に影響を与えの得る状況下、道徳的な境界内で許容される行動について新しい情報が与えられ、考え方(社会的手がかり)が修正された結果なのかもしれない。
ごまかしには感染性があり、周りの人の問題行動を目撃することで、ごまかしの量が増える場合がある。
ごまかしをする人が自分と同じ社会集団に属しているとき、その人を自分と重ね合わせ、ごまかしが社会的により受け入れられやすくなったと感じる。

c) 『質問』条件の結果(いまひとつごまかしの量が伸びない)は純粋なSMORCでは説明できない。人は不品行が可能だということに気づくと、自らの道徳心を省みることを示している。

d) 『よそ者マドフ』条件の結果(ごまかしの量が想いの他伸びない)は、ごまかしをする人がよそ者だと、自分の不品行を正当化しにくくなり、その不道徳な人物や、その人が属するほかの(ずっと道徳性の低い)外集団から距離を置きたいという願望から、かえって倫理性を高める。

e) とりあえず、自分の行動(ごまかしを含む)の許容範囲を決める上で、他人の存在がとても重要(良くも悪くも人間は社会的生き物だってことがね)

『対照』条件以外の条件は全てごまかしが可能であるにも関わらず、ごまかしの量が(予想に反して)全く違うことは興味深いです。実験経済学に対する批判もあるけれど(http://researcher-station.blogspot.jp/2012/08/blog-post.html)、かなりいい線いってるんではないかとボクは思います。


赤い政党の変節

大崎にあるいわし料理のお店のメモです↓

-いわし料理の店 味楽 memo-

-ビール (600 JPY)-
瓶ビールなんですけど、アサヒ(スーパードライ)かキリンのどちらかをチョイスします。勿論、オレはキリン(クラシックラガー)をチョイス。

-お通し (300 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
白菜と豚肉の煮物。ボリュームがけっこうあって普通に旨い。特に豚肉がいい味出してる。優しい味付け。

-いわしうす造 (650 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
薬味は紅葉おろしと万能ネギ。あと、レモンが添えられている。薄く切り出された切り身は繊細な食感でとても旨い。まるで赤ちゃんのよう。僅かにfishy noteあるが、薬味を載せて食べれば全く気にならないレベル。とてもmildな味。紅葉おろしと良く合う。提供される量は少ないが、ちょっと感想的な味わいで、値段相応の価値はあると思う。一度は食べておきたい味。

-いわしのてんぷら (700 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
タネは、いわし×4、茄子、ピーマン。天つゆ(大根おろし、生姜)でいただく(塩は出されない)。
本当にあつあつで提供され、いわしも野菜も本当にとても旨い。特にいわしの味は特筆すべきものがある。もう、旨味しか伝わってこないレベル。

-清酒 (2合) (680 JPY)-
月桂冠。燗をつけてもらう。

-骨せんべい (500 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
レモンが添えられて提供される。ちょっとoilyで香ばしい香りにバリバリ感が堪らない。

-いわしお茶漬け (800 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
ご飯の上に鰯の切り身(6枚)が載せられ、たっぷりの出汁がかけられている。
出汁は梅肉フレーバーが効いた、甘めのすっきりした滋味深い味。
切り身は生で、くさみは全く感じられず、青魚の醍醐味だけを存分に味わえる。
鰯自体、優しいmild taste。
てっぺんには、海苔がふんだん。

-ウィスキー シングル (380 JPY)-
多分だけど、角(サントリー)系だと思う。


閑話休題


橘玲の「「リベラル」がうさんくさいのには理由がある」を読了しました。いつもながらシニカルたっぷりな本に仕上がっています。
ところで、参院選が明日に、都知事選も間近に迫っていますが、偶然なのか必然なのか、政治に関することを本書からメモしてみるとしましょう。お題はズバリ、共産党と憲法9条です。

それでは、まずはじめに日本国憲法第九条をおさらいしてみましょう↓

第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
○2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html)

普通の国語力があれば、どう考えても自衛隊は戦力で違憲という結論に達すると思います(絶対平和主義)。
(ボクは自衛隊は違憲だけど、その存在(っていうか軍隊)は必要と思っています)

憲法学者のなかには、
「専守防衛の範囲なら自衛隊と安保は9条に違反しない」(修正主義的護憲派)
「国際紛争を解決する手段としての戦争放棄を達するため、自衛戦力を合憲にできる」(理解不能な密教的解釈)
などと主張する人もいるみたいですが、「そんなこと一言も書いてないじゃん。勝手に意味不明なこじつけ解釈すんなよ」とボクは思います。なので、自衛隊の存在は憲法9条の解釈改憲の賜物なのでしょう。

ところで、1946年の憲法改正草案の審議が行われた衆議院本会議で、

野坂参三(共産党)「我が国の自衛権を放棄して民族の独立を危うくする危険がある。それ故に我が党は、民族独立の為にこの憲法に反対しなければならない」

吉田茂(首相)「近年の戦争の多くは国家防衛権の名において行われたることは顕著なる事実であります。故に正当防衛権を認めることが戦争を誘発する所以であると思うのであります。」
というやりとりがあったそうです。

おいおい、今と全く逆じゃね?特に共産党。自衛隊の違憲性に較べたら瑣末な問題である(とボクは感じる)安全保障関連法案 (集団的自衛権の行使)を戦争法案とアジって喜んでる現在の体たらくっぷりとはえらい違いです。

我が国の赤い政党(赤い彗星みたいでちょっとカッコいいな)は、自衛隊の存在自体が違憲だと主張し、安保条約を廃棄し、自衛隊の民主化(なにそれ?意味がわからない)と、大幅な軍縮を進めていき、憲法九条の完全実施(自衛隊の解消)を目指していますが(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-03-07/05_01.html)、これは自衛隊から利益を享受しながら、(自衛権と安保を)認知せずその正当性を認めない恥知らずな卑しい所為と思います。1946年の共産党の野坂参三議員の主張とは正反対です。正直、この変節っぷりには驚愕させられます。

ついでに、戦争法反対とか平和憲法維持なんて言って、日米安保体制の庇護の下で集団的自衛権を拒否し続けるのは率直に言ってジコチューの発想だと思います(ボクも戦争は嫌だけど)。

そもそも、紛争解決のための戦力(暴力装置)を否定するんだったら、警察(暴力装置)の存在も否定すべきなんじゃね?って思ったりするんだけど、どうよ?って思う、憲法の話題がでると「何それ美味しいの?」状態の二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。 (学生時代、工業高校の先生の免許が取れるっていうんで日本国憲法の授業(一般教養)にエントリーしたけど、つまんな過ぎて1回だけしか授業に行きませんでした)


2016年7月3日日曜日

DMT-MM: Dehydrative Condensation in Aqueous Phase

津田沼に行ったときに寄った駅前のもつ焼き屋さんのメモです↓

-もつ焼 坊っちゃん memo-

-レバー (塩) (114 JPY+Tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
大きく直方体に切り出されたレバーはfreshで良い。また、塩振りの加減が良い塩梅。レバー焼きの醍醐味がふんだん。

-もつの煮込み (286 JPY+Tax)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
甘めの味噌仕立てで、万人受けしそうな安心のmild taste。無難に普通に旨い。

-しめさば (333 JPY+Tax)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
酢強めで、身も少し硬くなっている。薬味は本山葵。つけあわせというかツマ代わりなのか添えられている玉ネギが旨い。

-しろ (塩) (114 JPY+Tax)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
普通に旨い。焼けてパリッとした部分と柔らかく伸張する部分の融合•塩加減が良い。

-ネギ串 (塩) (143 JPY+Tax)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
普通にイイネ。箸休め、口直しに良し。表面はカリッと、中身はしっとりとしていてしっかり旨い。

-生ビール (476 JPY+Tax)-

-燗酒 (381 JPY+Tax)-

-白玉の露 (571 JPY+Tax)-

-ハイボール•W (571 JPY+Tax)-

このお店、山葵はお願いすると無料で追加を出してくれます(このサービスはとても嬉しい)。フレンドリー•サービスでクリンリネスにも優れ、良い店と思いました。


閑話休題


恥ずかしながら、最近その存在を知ったDMT-MM (4-(4,6-dimethoxy-1,3,5-triazin-2-yl)-4-methylmorpholineium chloride)に関する文献を読んでみました↓

Formation of carboxamides by direct condensation of carboxylic acids and amines in alcohols using a new alcohol- and water-soluble condensing agent: DMT-MM
Tetrahedron, 2001, 57, 1551-1558.


22,700 JPY / 25 g (TCI)
21,000 JPY / 25 g as n-hydrate (WAKO)

DMT-MMに関しては、各所でその詳細な解説が示されていますが、まあ、自分のためのメモなので記録しておきます。

参考までにDMT-MMが紹介されているWeb Siteな↓
http://www.org-chem.org/yuuki/melmaga/2008/2/2.html
http://blogs.yahoo.co.jp/deebsky2009/9145565.html
http://www.chem-station.com/odos/2010/01/-condensation-reagents.html


さて、本報の仕事はこちら↓
26 examples, 78-100%

縮合剤にDMT-MMを使うことで、アルコールや水中で、カルボン酸とアミンの縮合が選択的に進行するというお仕事です。

で、アルコールや水中で、カルボン酸とアミンの縮合が選択的に進行するということは、

1st step: DMT-MMはカルボン酸と選択的に反応して活性エステルを形成する。
2nd step: 生成した活性エステルは溶媒(アルコール, 水)よりも圧倒的な速さでアミンと反応する。

ということが求められ、DMT-MMは実際にその要件を満たし具現化しています。そして、著者等は基質一般性がとっても高くて、活性が高いことをアピールしています。

で、カルボン酸とDMT-MMから生成する活性エステル(acyloxytriazine)とアミンとの反応がバルク溶媒であるMeOHよりどれくらい速く反応するかっていうと、こんな感じです↓


あと、DMT-MMは、水、MeOH、EtOHに溶け、それらの溶液状態で少なくとも1日は安定だと言います(without any detectable decomposition)。吸湿性でないのも嬉しいです。

それから、カルボン酸だけじゃなくてカルボン酸のナトリウム塩を用いることも可能です。例えば、N-アセチル化したいときとかに実験室的に取扱いが容易な酢酸ナトリウムを使うことが出来ます。

ちょっとここでDMT-MMの副反応というか安定性についてメモしておきましょう。

DMT-MMはCH2Cl2やCHCl3に懸濁させておくとモルホリ部分のN-メチルが脱メチル化して対応する脱メチル体であるDMTMを与えるそうです。この反応はTHF中でも少し起こりますが、MeOH中では無視できるレベルだそうです。

それでは最後に、DMT-MMと他のカルボジイミド系の縮合剤とのアルコール溶媒中で比較可能な実験例をまとめてフィニッシュしようと思います↓

a)

b)

低沸点のアルコールや水中で反応が行えるっていうのは、コンベンショナルな縮合剤を使ってDMFとかDMSO中で反応しないといけない場合を想定した場合にworkup時のメリットが大きいです(DMT-MMのカスもwater-solubleです)。そして、(水酸基を含む基質の場合)水酸基を保護しなくてもいいっていうのもデカイね

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。