2018年7月29日日曜日

流行ってるぜ〜、パラダサイクル (4):ULTIMATEなのか? G4 Precatalyst

入谷の古民家カフェでランチしたときのメモです(古民家リノベーションの飲食店って流行ってるよね)。

-iriya plus cafe-

-コーヒー | Coffee (450 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
Hot Coffeeをセレクト。東ティモール産のオーガニック、フェアトレード、プレミアムグレードのコーヒー豆で淹れたコーヒー。
とっても上品に淹れてあると思う。糖蜜を想起させる香り、樹液を想わせる酸味。マイルドなchemical flavor、心地よいroast感。全体的にシックな口当たり。気に入りました。
パンケーキや食事と一緒に注文するとドリンクセットになって「-50円」。

-エッグルスコ (数量限定) | Egg Rothko (1,180 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
自家製天然酵母のブリオッシュパンに卵を落とし、3種類のとろけるチーズをたっぷりのせてこんがり焼き上げた一品。ピクルス、サラダ付き。
滅茶苦茶旨い!!!パンをナイフで割くと、卵の黄身がトロッと流れてくる。これをとろけるチーズがふんだんに載せられたパンで掬って口の中に放り込むと、旨さがスパークする。パン自体がとっても美味しい。もっちりした食感で、外縁のミミはカリッとしていて凄く香ばしい。トマトのソースをGood Taste!
あと、酸味の効いた自家製ピクルスが美味。

-ミニボトルワイン (白 250 ml) | Mini Bottle of Wine (White) (800 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
シャルドネの品種モノワイン("Just CHARDONNAY by Paul Sapin"って書いてあった)。南仏ラングドックルーション地方のシャルドネ種を100%使用。
香りがとても良いです。拡散性のマスカット様の甘い香りが鮮烈。酸味が効いていてすっきりした味。普通に美味しい。

古民家をリノベーションした店内はとてもオシャレで居心地がいいです。店の正面の古民家調の窓(扉)に嵌められているガラスは大きく、店内からの見晴らしが気持ちいいです。近所にあったら、毎日通いたいお店と思いました。


閑話休題


今回は、Buchwald's latest palladacycle precatalystであり、Pd G3を超えさらなる高みを目指したPd G4についてメモするこにしましょう。

ということでこの論文のメモです↓

N-Substituted 2-Aminobiphenylpalladium Methanesulfonate Precatalysts and Their Use in C-C and C-N Cross Couplings
J. Org. Chem., 2014, 79, 4161-4166.

Pd G3 precatalystの活性化モードは、脱プロトン化を経てPd-amido錯体の還元的脱離によって、活性種であるLPd(0)、カルバゾール、メタンスルホン酸塩を与えます。


Pd G3 precatalystは非常にパワフルな触媒前駆体ですが、Buchwald教授は次の欠点を指摘しています。

(1) 活性化過程で生じるカルバゾールが原料(Ar-X)と反応してしまう(原料を無駄に消費してしまう。後処理/精製を複雑化させる可能性。)。

(2) 潜在的健康リスクのあるNH2-アミノビフェニルのトレース量の医薬品への残留が懸念される。

こうした欠点を克服するためにはN-アルキル化N-アリール化すればいんじゃね?

っていうことで、Pd G3のN-置換体を合成してその活性を確認するのが本報のお題です。

早速ですが、合成法はこんな感じ↓


palladium dimerの合成は30 mmolスケールでの実績ありです。
そして、問題のLigandを組み込んだprecatalystですが、tBuBrettPhos, RockPhos, AdBrettPhosを組み込むことは出来ず、Pd G3と比較して嵩高い配位子の導入は困難となっています(Pd G2よりはいけてる)。

そしてさらに問題のNew Precatalystsの活性を鈴木-宮浦カップリングとBuchwald-Hartwigクロスカップリングで確認したのかこちら↓

Suzuki-Miyaura Coupling

Buchwald-Hartwig Cross-Coupling

R=Me, Phの両者とも低loadingでしっかり反応が進行します。
Pd G3の比較という点では、4-chloroanisoleとアニリンのBuchwald-Hartwigクロスカップリングだけが同じ条件で反応を行なってると思います。Pd G3は97% yieldかな。まあ、ボチボチといったところでしょうか。

ハイ、ということでPd G4 (R=Me)です↓
そして、まとめです↓

クロスカップリングをやり込んでるわけじゃないから良く分かんないけど、とりあえずXPhos Pd G3がファーストチョイスなん?

あと、オレはアルドの回し者じゃないけど、ラインナップ(ポートフォリオ)はコレが見やすいです↓

それから、不勉強だったんだけど、Buchwaldリガンドってこんな具合にデザインされてたんですね↓

ベンゼン環→P原子の酸素酸化を防ぎ、還元的脱離を加速する
R→電子豊富な置換基により酸化的付加を加速する
R1→置換基により還元的脱離を促進する
R2→シクロメタル化を防ぐことで触媒を安定化し、LPd(0)の生成を促進する
R3→H原子以外の場合は、合成上の理由で導入されることが多い

以上、実はpalladacycle precatalystもBuchwaldリガンドもまだ使ったことのない二流大出のテクニシャン(研究補助員)のパラダサイクルメモでした。


2018年7月8日日曜日

流行ってるぜ〜、パラダサイクル (3):そしてG3へ

北千住の路地裏の洋食屋さんでランチしたときのメモです。

-わかば堂 memo-

-国産牛肉赤ワイン煮 (1,150 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
サラダ、スープ、ライス、セットドリンク付き。スープは濃いめのコンソメベースか?ソーセージ輪切り、ニンジンみじん切りなどが入っている(ニンジンのみじん切りの軟らかい食感が良い)。 メインの赤ワイン煮の肉は僅かに獣臭がして食欲をそそる。肉質は軟らかく、繊維がハラハラと解けていく。弾力も楽しい。味付けは薄めで、僅かに渋みも感じる(ソース由来か)。肉の旨味を存分に味わえる。 ドリンクはエスプレッソをチョイス。苦味走った深い味が良い。


-ランチスパークリングワイン (350 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
やんわり甘く、締まった感じで、梅酒likeなtaste。悪くない。 サッポロの樽詰スパークリングワイン ポールスターか?


ホントに隠れ家的な立地と佇まいのお店。落ち着いたシックな雰囲気を醸し出している。スタッフは全員女性で、お客も女性客が圧倒的。フェミニン感がいっぱいで入りにくいけど、また行きたいお店。


閑話休題


今回はPd G3に関するお話で、Buchwald教授のPd触媒デザインの総論的な論文である

Design and preparation of new palladium precatalysts for C-C and C-N cross-coupling reactions
Chem. Sci., 2013, 4, 916-920.

を中心にメモしていきます。

パラジウムが触媒するカップリング反応には、ホスフィンが配位した0価のパラジウムを効率的に発生させることが重要となります。一番直線的な考えとしては、売ってる"Pd(0)ソースを使う"ですが、容易に入手可能な市販のPd(0)ソースの問題点には次のようなものがあります↓

a) Pd2(dba)3やPd(PPh3)4のような市販のPd(0)ソースは、望みの反応を阻害する配位子を含んでいる(J. Am. Chem. Soc., 1997, 119, 5176-5185.)。

b) 市販のPd2(dba)3は純度が一定でない (Organometallics, 2012, 31, 2302-2309.; http://chemistry4410.seesaa.net/article/261041452.html)

こういった問題を回避するために、Pd(OAc)2やPdCl2といったPd(II)ソースを使用することが考えられます。その場合、系内でPd(II)→Pd(0)へと還元しなければなりませんが、このパラジウムの還元が不十分であることがしばしばです。

近年、上述したようなパラジウム触媒の活性化に起因する問題を解決するために、簡単に活性化可能なprecatalystが開発されていて、pyridinestabilized precatalyst (PEPPSI)、ligated allylpalladiumchloride precatalyst、mine-derived precatalyst、palladacycle-based precatalystが報告されています。そして、本報のお題は(当然)パラダサイクルprecatalystです。

Buchwald教授はパラダサイクルprecatalystとして、これまでにPd G1 precatalystとPd G2 precatalystを開発してきました。そして、MITの化学者やMerckのプロセスチームが数多くの成功を獲得してきたそうですが、次にような欠点に苦しめられてもいたとのことです。

Drawbacks of Pd G1
Pd G1 precatalysは、そのオリジナルの合成には3段階を要しSchlenkを使用しなければならず、不安定な中間体を経由しなければなりません。
J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 6686-6687.

なんでSchlenk使わなきゃいけないかはよく分かんないけど、MeLiを使うのは憂鬱になるよね。
Vicente等がPd(OAc)2から出発する別法を報告していますが、トリフルオロメタンスルホン酸を使用し、イオン交換のステップが入ることが問題の(面倒な?)ようです(Organometallics, 2011, 30, 4624-4631.; Comments Inorg. Chem., 2007, 28, 39-72.; Organometallics, 2003, 22, 5513-5517.)。

Drawbacks of Pd G2
Pd G2の欠点は分かりやすくって、
(1) tBuXPhos, BrettPhosといった嵩高い配位子の錯体は調製できない。
(2) 溶液状態ではあまり安定ではない
です。

そして、これらのPd G1とPd G2に係る欠点を克服すべくBuchwald教授が開発したのがPd G3 Precatalystです。

Pd G2の"Cl"を非配位性かつより電子吸引性の"OMs"に置き換えることで、Pd(II)中心周りの立体障害を軽減し、より電子不足にしてPd G2よりも広範囲の配位子との錯体を調製することが可能になりました。勿論、tBuXPhosやBrettPhosも適用できます。


しかも、μ-OMsダイマーは400 gスケールでの合成実績があります(この論文が出た時点で)。さらに、μ-OMsダイマーと配位子からin situでprecatalystを調製して反応に用いることもできます(15-45 min位でprecatalystが調製できる。これはスクリーニングに便利)。

1H NMRの測定結果からPd G2と比較してPd G3のPd中心が電子不足であることが示唆され、単結晶X線結晶構造解析の結果からPd G2のクロリドアニオンが解離していないのに対してPd G3のメシラートアニオンは解離していることが分かり、Buchwald教授の目論見が見事例証されています。

それでは、Pd G3の触媒活性の凄さをみていきましょう↓

まずは、鈴木-宮浦カップリングです。

極めてプロトデボロネーションしやすいと言われるボロン酸を使って高収率です。

次、tert-butyl acetateのα-arylationです。

そして、C-Nカップリング (Buchwald-Hartwigクロスカップリング)やC-Oカップリング。




それから、ニトリルもつっこめます。



Pd G3、かなりパワフル

です。基本、前の世代と少なくとも同等以上の触媒活性を堅持していると言います。それでいて、欠点を克服しているのですから大したものです。

ここで、Buchwald教授の第一世代から第三世代までのパラダサイクルprecatalystの特性をまとめると、こうなります↓

G3、ハンパないって!!

そんな気持ちでいっぱいになりますが、次回、G3からさらなる高みを目指したPd G4メモに続きます.....

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のパラダサイクルメモ「Pd G3編」でした。

2018年6月29日金曜日

孤独のグルメ聖地巡礼 in 八丁堀:とってもニラリッチなニラ玉なんです。

突然ですが、シブヤに行ってきました。しかも、八丁堀にある。
最近、孤独のグルメ聖地巡礼ごっこがクセになっているんですが、本日深夜0時17分放送予定のお店「中華シブヤ」さんに行ってきました(最寄駅は宝町です)。

ところで、八丁堀って江戸時代に船を通すために掘られた長さ八丁の掘の名前に由来するんですってね。

では以下、メモです。

-中華シブヤ memo-

-ビール (480 JPY)-
中瓶になります。「ビール」とオーダーすると黒ラベルが出てきましたが、スーパードライもあるようです。
やっぱ、油リッチな中華には、さっぱりした淡色ラガーが合います。

-エビチリ (650 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
ソースが普通に旨い!大振りのエビは、歯を入れると表面に張りを感じ、内はプリプリでfresh。それから、ケチャップの旨味が映えます。お店の人は"チリ"と略して呼んでいます。






-ニラ玉 (650 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
オムレツ風に玉子に覆われたニラ玉。玉子からはみ出ているニラのfreshな香りと玉子の柔らかみのある良い匂いが漂う。
玉子は表面にはある程度の硬さがありつつも内部はトロトロ感があって絶妙な仕上がり。
玉子の覆いの下には"大量のニラ"と豚肉が隠されている。はっきり言って、ニラの量は驚くほど大量で、まさにニラリッチ。ニラはとってもfreshでgrassyな香味rich。豚肉もしなやかな食感で普通に旨い。そして、玉子・ニラ・豚肉の三者のシナジーは小宇宙が弾ける旨さ。
味付けがまた絶妙で、やさしい甘さで程よい塩味。濃過ぎず薄過ぎずで、中華としてはあっさりめと思うけど、存在感のある味でなんとも旨い。そして、心安らぐ味に仕上がっています。ふんだんに油を使っていると思うんだけど、油の重さを全く感じません。


このお店、ホールは男子(といってもおじさん)、厨房は女子(といってもおばさん)が担当です。6人がけのテーブル2つに、4人がけのテーブル3つの計24席。雰囲気は普段使いの街の中華屋さんで、その狭さ故に落ち着きます。
中国料理→本場の味を再現
中華料理→日本人向けにアレンジ
と言いますが、中華シブヤはまさに"中華"であって、高度にジャパナイズされた中華屋さんと思いました。

あと、他のお客さんが食べてたチャーハンが美味そうで気になりました。追加注文しようか逡巡したんですが、加齢とともに「量」が食べれなくなってきていて、今回は断念しました。近いうちにチャーハン喰いに行きたいです。

近所にあったら通い詰めること必至の店と思いました。

以上、孤独のグルメ聖地巡礼放送先取りメモでした。

2018年6月28日木曜日

流行ってるぜ〜、パラダサイクル (2):G2へのIMPROVEMENT

クラフトビール大好きコンキチです。ということで、うまいクラフトビールショップ
のCRAFT BEER MARKETに行ったこきのメモです。

CRAFT BEER MARKET 淡路町店

-お通し (300 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
ガーリックがやんわり効いているポテトサラダ。 

-アウトサイダーブルーイング マスカット・ベリーA バーレーワイン (480 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
Alc. 9%。
champagne-like note。木苺様の香り。イチゴジャム様の味。とっても柔らかくてデリケートな香味。とても可愛らしい。まるで、呑む苺。 Excellent!!! 


-COEDO 毬花 〜Marihana〜 (780 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
Alc. 4.3%。
tea-like note,grassy note, grapefruit note,etc. grapefruitを基調とした圧倒的な香味。 finishはgrapfruitのbitter。 インドの青鬼をmildにした感じのtaste。



CRAFT BEER MARKET 吉祥寺店

-ハーヴェストムーン バーリーワイン (千葉) (480 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
100 ml。All. 8.0%。
strawberryの香り。適度なroast香。中程度の渋味とbitter。その中からstrawberryの香味が立ち昇る。そして、cake-like。メチャクチャ旨いぞ!!!




-Stillwater Artisanal Surround (メリーランド) (480 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
Alc. 10.0%。
alcoholic, minty, 少しだけcamphorous(?)で清涼感のある香り。
tasteはもの凄くfull bodyで、earthy, bitter, high roast。圧倒的にpowerfulでとっても美味しい。



-自家製腸詰 (580 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
表参道「TAMA」秘伝の熟成された旨味を再現。10〜14日間かけて熟成させているらしい豚バラとロース、背脂で仕込む腸詰めは中国のメイクイルー酒と沖縄の白コショウ・ピイバチで香り付けされているらしいです。
で、食べた感想です↓
スライスされた状態で提供される。独特のクセになりそうな酸味が特徴的。solidな食感で乾いた感じがしてジャーキー感がある。凝縮感のある深い味わいでちょっと面白い味。ビールのつまみとして最適。薬味には葱と甘辛味噌が付く。そのまま食べて良し。葱と合わせて良し。味噌を塗って食べて良し。全部(葱と味噌)載っけて良し。


閑話休題


第二世代 (Pd G2)のメモです↓

第一世代のprecatalystは、弱い塩基では室温で活性化できないという問題点があって、それを改善したのが第二世代のprecatalyst (Pd G2)です。
Buchwald教授等は、Albert等の開発したトリフェニルホスフィンの配位した2-アミノビフェニルのパラダサイクル(J. Organomet. Chem.2005690, 422-429.; J. Organomet. Chem.2007692, 4895-4902.)にインスパイアされ、第一世代のフェニルエチルアミン骨格を2-アミノビフェニルに置き換えることでprecatalystのNH2の酸性度が高まり、より容易に活性化されるであろうという仮説を立て、第二世代precatalystの開発に至ります。

J. Am. Chem. Soc.2010132, 14073-14075.

実際、第二世代のprecatalyst (7L = Pd G2)は、室温下、リン酸塩や炭酸塩で活性かされ、Buchwald教授の仮説は例証されました。第二世代のprecatalystを用いた鈴木カップリングの例です↓

ちなみにこの反応で使用されているボロン酸は(高温下や、長時間反応で)プロトデボロネーションし易い基質ですが、Pd G2 precatalystを使用することで、マイルドかつ短時間で高収率です。

さらにPd G2 precatalystは次の基質や反応に対して高い一般性を示します( first general methodなんだそうです)↓
a) 無保護の5員環の複素環式化合物を用いた鈴木-宮浦カップリングに対して(J. Am. Chem. Soc., 2013, 34, 12877-12885.)
b) 種々のトリフルオロボレート塩 (Ar-BF3K, Alkyl-BF3K) (Org. Lett., 2012, 14, 4458-4461.; J. Org. Chem., 2013, 78, 4123-4131.; Org. Lett., 2013, 15, 3342-3345.)
c) フロー系でのアルキニル化 (Chem. Sci., 2011, 2, 2321-2325.)
d) C-Hアリール化 (J. Org. Chem., 2012, 77, 658-668.)

個人的にG1→G2のインプルーブメント感は感動的と思います。弱い塩基でマイルド・アクティベーションはとても魅力的に思えます。この第二世代あたりからBuchwaldのパラダサイクルprecatalystが大々的に耳目を集めるようになってきたように思います。

次回、さらなるインプルーブメンを施したPd G3メモに続きます.....

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のパラダサイクルメモ「Pd G2編」でした。

2018年6月24日日曜日

流行ってるぜ~、パラダサイクル (1):Buchwald's Palladacycle G1 Precatalyst

最近全然行ってないけど、mAAchに入ってる常陸野ブルーイング・ラボに行ったときのメモです。

-セゾン ドゥ ジャポン Saison du Japon (680 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
Alc. 5.0%。米麹と柚子を使用したジャパニーズセゾン。
fruity, citrus, spicy。とっても香り高く、ワインのように高貴な香り。White Ale様のtaste。全体的にスレンダーで、夏のうだるような暑い日に飲んだら最高だと思う一杯。

-酒粕クラッカー Original sake lees cracker (380 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
completeにパリパリではなく、ちょっとやんわり湿った感のあるクラッカー。香味豊かなビールのお供によく合うシンプルな味。普通に旨い。名脇役的な一品。

-【Lab限定】常陸野シードル Hitachino Cider (680 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
Alc. 8.0%。茨城県北部の奥久慈リンゴから醸造し、2年間発酵熟成させた一杯。
注がれた直後はかなり泡立っているけど、すぐに泡が引きます。泡の香りはシャンパンライクで鄙びた感じの良い匂い。仄かに甘い香りも。それから、アップルジュース様、僅かに蜂蜜様の香り。あと、良く分かんないけどとってもいい香りがする。
tasteはスレンダーな甘さで締まった辛口テイスト。finishはcitrus、それから微弱な炭酸が舌を押すように刺激して心地よい。

-エスプレッソスタウト Espresso Stout (680 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
Alc. 7.0%。エスプレッソ珈琲のような深い香りと、苦味、酸味を合わせもった芳醇な味わいの重厚黒ビール(Coffee Flavored Stout)。
coffee flavorが特徴的。chocolate-like、糖蜜様の香り。
tasteはchocolate様の洗練された甘さと、糖蜜様の少し野暮ったい甘さ、creamy感、それから、もの凄いroastとroast由来と思われる酸味を感じる。
漆黒の旨さ。

-HITACHINO SESSION IPA FRESH 20 (680 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
常陸野セッションIPA フレッシュ 20。日本一のホップ生産地である秋田県横手市、そして常陸野ネストビールの額田醸造所、この二つの場所で採れた20種類の新鮮なホップをブレンドして醸造したセッションIPA。
原材料/ 麦芽・ホップ
アルコール分/ 4.5%
もの凄くfantasticなfruity note。上品で心がときめく。
tasteはけっこうdryなcitrus & (少し)spicy。finishには、ややdeepなbitter。

-与謝野フレッシュCC YOSANO Fresh CC (680 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
Beer Style: Pale Ale
ABV: 4.5%
京都府与謝野で栽培された、カスケード種、センテニアル種を採りたて、フレッシュな
状態で使用した香り豊かなペールエール。
grapefruit-like, citrus note。蜜柑様のfruityさとsweet note。素晴らしく良い香り。
tasteはlight typeで、spicy, citrus。finishにはbitter。このbitterがlight typeのbodyやspicy, citrusな香味とBest Match!

-常陸さばサンド Hitachi Mackerel Sandwich (600 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
茨城県産の肉厚な鯖をオリジナルビネガーでマリネした、心地よい酸味と旨みが後引く絶品サンドとのコピー。
食べた感想は↓
こんがり焼き色がついた味の濃いHotなパンでサンドされているのは、冷たい鯖のマリネ(意表を突かれました)。鯖のマリネはかなりビネガーの効きが強いが、鯖が旨い。口の中で好ましいサバフレーバーが広がる。こんな感じで旨いことは旨いんだけど、パンの熱量と冷たい鯖との温度ギャップが好みでないので、可能ならサンドされてる鯖もHotな方が旨いんじゃないかと思いました。


閑話休題


有機合成界で流行ってるのか流行ってないのかよく分かんないけど、おそらく流行ってるであろうのパラダサイクルについてメモします。Buckwand教授のヤツはもう第四世代まで出てるんだから、全く流行ってないってことはないでしょう。ということで、クロスカップリングのビッグネームの一人であるStephan L. Buchwald教授の論文をメモしていきます。


まずは、
Buchwald教授がThe Strem Chemicalsに寄稿したNew Palladium Precatalysts For Cross-Coupling Reactions (The Strem Chemicals vol. XXVII No.1, January 2014.)からのメモです。

この寄稿論文はPalladacycle precatalystの歴史から始まります。

で、初出のパラダサイクルプリキャタリストはこちら↓

In 1995 Hermann and Beller
precatalyst 1は、P(o-tol)3とPd(OAc)2とのシクロメタル化(PhMe, rt., 16 hr)によって調製されます(Angew. Chem. Int. Ed., 1995, 34, 1844-1838.; J. Eur. Chem., 1997, 3, 1357-1362.)。TONsは200,000にも及ぶケースもあるという高活性っぷりで、単なるP(o-tol)3とPd(OAc)2のコンビネーション以上に効果的です。

その後、次のようなprecatalyst達が生み出されてきました↓


2: ヘック反応に有用 (Chem. Commun., 1998, 3, 1361-1362.)
3: 塩化アリールを用いたC-Nカップリングに有用 (Buchwald et al. Org. Lett., 2003, 5, 2413-2415.)
4: ヘック反応、鈴木カップリン、C-Nカップリング、ケトンのα-アリール化に有用。種々のフォスフィン配位子と結合可能(Angew. Chem. Int. Ed.200241, 3668-3671.)
5: 塩化アリールを用いた鈴木カップリングに有用。オープン・エアで反応しても活性が落ちない。(Chem. Commun., 2001, 17, 1540-1541.)

そして、いよいよBuchwaldの、所謂、第一世代 のpalladacycle precatalyst (Pd G1)が登場します↓

6•Lから誘導されたLP(0)は、C-Nカップリング(J. Am Chem. Soc., 2008, 130, 6686-6687.; Chem. Sci.20112, 57-68.; Org. Lett.201012, 4438-4441.; Org. Lett.201012, 4442-4445.)やC-H activationによるacetoxylation (Org. Lett.200911, 1173-1175.)、C-Nカップリングのフロー•ケミストリー(Angew. Chem. Int. Ed.201049, 9469-9474.)、根岸カップリング(Angew. Chem. Int. Ed.201352, 615-619.)に対して有効な触媒となります。

アニリンと4-chloroanisoleとの反応は定量的に進行します。


ちなみに、この反応を他の(普通の)触媒を使った場合は↓

Pd2(dba)2 : 25%
Pd(OAc)2 : < 10%
[(allyl)PdCl2]2 : < 10%

という結果で、Pd G1の高活性っぷりが分かります。

あと、求核性の電子吸引性置換基を有するアニリン誘導体と、難しいカップリング•パートナーと言われている活性化されていないアリールクロリドとの反応成績はこちら↓



Good Yieldで好感触です💌

"第一世代 (Pd G1)"の初出は、A New Class of Easily Activated Palladium Precatalysts for Facile C-N Cross-Coupling Reactions and the Low Temperature Oxidative Addition of Aryl Chlorides (J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 6686-6687.)だと思うんだけど、そこでは幾つかの基質に対して室温以下の反応温度で、いい収率を叩き出しています↓


Buchwaldの第一世代のパラダサイクルprecatalystはair-stable, moisture-stableで、C-Nカップリングなどに対する高活性な触媒前駆体です。そしてその活性化は、K2CO3などの弱い塩基で80˚C、金属アルコキシドで室温、金属HMDS塩基で-20˚Cで進行すると言います。イイネ、Pd G1。

次回、Pd G1をインプルーブメントしたPd G2のメモに続きます.....

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のパラダサイクルメモ「Pd G1編」でした。