2022年2月20日日曜日

Soba_Colle 8 (ソバコレ 8)

コロナ禍でもやっぱり蕎麦が好き。
お蕎麦大好き中年のコンキチです。

過去のメモはこちら↓


コロナ禍の間隙を縫って蕎麦行脚したときのメモです。


ENTRY 71   分上野藪 かねこ (浦和)
住所:さいたま市浦和区仲町2-9-11 

ボクの中では、埼玉県下ナンバーワンのお蕎麦屋さんです。

-のりかけ (960 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
有明産の上質海苔はとても良い香り。
蕎麦はグラッシー(grassy)というよりシャープなグリーン(green調。香りも味も丁度良く、無駄に主張していないところに好感が持てる。中細の麺のキックが絶妙の心地よさで、喉越しもいい。 
ツユからは硬派なお醤油の香り。匂いの割には辛くなく、軽やかさもあるが、しっかりしたボディ(body)でお出汁の旨味リッチ。 
蕎麦とツユの相性良い。 蕎麦はしっかり水が切れているので、ツユが薄まらない。ちなみに、ツユはギリの量。
 薬味の山葵はしっかり辛く、その辛さが少し鼻に抜ける。 海苔と山葵と蕎麦のコンボは最高だね。 


-天ぷら盛り合わせ (1,680 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
海老二本・のり・野菜四種。 サクサクの薄衣で、油がホントいい匂い。これを、抹茶塩でいただく。
海老はアツアツのプリップリ。身が厚いし味もしっかり。 
油との相性の良い茄子は鉄板の旨さ。 
椎茸はふわっと軟らかく、茸の旨味が綺麗に出ていていいね。
海老は水分が多いため?か、早く食べないと衣に油が回ってしまうので、可及的速やかに喰ふべし。 


ENTRY 72   よもだそば 日本橋店 (日本橋)
 
住所:中央区日本橋2-1-20 八重洲興業ビル1F 

蕎麦屋なのにカレーの方が有名という、日本橋の旦那衆にも愛されているお店らしいです。
実際、カレーの本格感が半端ないです。しかも、コスパが高い。

-よもだカレー半たぬきそばセット (660 JPY)- 
-RATING- カレー:★★★☆
-RATING- 半たぬき:★★★★★
-REVIEW- 
半たぬき:ツユの味は薄めだけど、ちゃんとお出汁の味がするし悪くない。蕎麦はちゃんと食感も楽しめる普通に美味しい蕎麦。 
カレー:神懸った旨さ。本格感が半端ない。シャビシャビ系のカレーは、ザラッとした感触もあり、スパイスが効いていてしっかり辛い。酸味がけっこう効いているのが特徴的で、これがクセになる(かなり好み)。
あと、ファッティー(fatty)な感じもして、これはバターだろうか?
具材の骨付きチキンは軟らかくて美味しい。


 
ENTRY 73   吉田 (三越前) 
住所:中央区日本橋室町1-5-1 

-もり (710 JPY)- 
-RATING- ★★★☆
-REVIEW- 
中細の蕎麦はとても軟らかいんだけど、ノビノビのダレた食感ではない。胡桃の様な甘い香りがふんだん。穏やかな甘さだ。喉越しはあまり楽しめないけど、独特の噛み心地は悪くない。 
ツユはコク深い味わいで、お醤油のキリッとした味がフィニッシュに立っている。要は、ボディの強い辛汁に仕上がっている。ただ、ちょっとカビっぽさを想起させる匂いを感じた(苦手な匂いで残念)。 
甘いお蕎麦と辛めのツユのコントラストが良いです。少し太めの軟麺にマッチしている。
山葵は甘く、辛味がツンとくるタイプ。 


-かつ丼 (1,130 JPY)- 
-RATING- ★★★☆
-REVIEW- 
カツは噛み締める系のソリッド系。隠し味というレベルではないくらいに胡椒がしっかり効いている。衣とカツの一体感が素晴らしく、玉子がふんだんなのが嬉しい。
玉子部分はソリッド系とふわっと系が共存していて美味しい。 
それから、ご飯も美味しいね。 
カツのお出汁はそんなに濃くない。カツの下にはお出汁をたっぷり吸った玉葱がたっぷり(これイイネ)。 
和のお出汁と胡椒がマッチしていて和モダンナ感じ。 
付け合わせのお新香は、赤蕪?(酸味が旨い)、大根(瑞々しい甘さと糠の香りが良いです)、白菜(ど田舎の実家でおやつに食べてたやつ)。蕪は瑞甘。

 
ENTRY 74   利久庵 (三越前) 
住所:中央区日本橋室町1-12-16

-納豆そば (1,050 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
トップに戴いた卵は、その張りを見るからにフレッシュ間違いない。 具は、削り節、カイワレ、海苔、納豆と絶妙な選択が素晴らしい。細く切り出された蕎麦はキュキュっと締まっていて、喉越し最高。ツユもよく絡まる 海苔と蕎麦の相性は当然鉄板。納豆と卵のコンボは何とも言えない円やかさを醸しだしている。で、この円やかさを壊さないカイワレのシャッキリ感が丁度いい。さらに、削り節が旨さを盛り立てる。正に追い旨味。
蕎麦のしなやかさは最高峰。 
ツユもしっかり美味しいし、素晴らしいね。 
秀逸で文句なしに旨い蕎麦。 


-親子丼 (1,150 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIER- 
お新香、お椀付き。
最初に出されたお新香が旨い。胡瓜は瑞々しく、大根はしっかり味が入っている(甘い味)。 
丼の中心には卵(卵黄)が鎮座しているんだけど、これがとてもいいネ。その形状をしっかり保ちつつ、軽やで軟らかい口当たり。 それから、お出汁が惜しい。薄味なのに全然物足りなくない。お出汁と玉子満遍なくご飯に行き渡っているからだろうか(これはひと手間)。 鶏肉は胸肉なんじゃないかと思うんだけど、けっこうふんだんに入っている。淡白な味わいで適度な硬さ。パサつきを感じさせないギリギリの絶妙な食感なのではと思いました。 表層に軽く散らされた三つ葉の和的で鮮烈な香味が、ふんわりした優しい味の玉子とお出汁の味にアクセント(薬味)としてベストマッチ。 あと、海苔がいい仕事してるのよ。味に深みを付与している。 卵・玉子リッチ!。 かなりレベルの高い親子丼に仕上がっていて、リピート必死(また食べたい)。


ENTRY 75   室町砂場 (日本橋室町)
住所:中央区日本橋室町4-1-13 

-梅酒 グラス W (750 JPY+tax)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
梅酒は美味しいね。 









-涼味とろろ (1,300 JPY+tax)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
季節(夏)のおそば。
蕎麦は円みのあるグラッシー(grassy)な香りと、穀物を想起させる香味(grassyは控えめ)。硬めの食感で、歯が入る感触は重く、咀嚼するとほんのり甘い。 
つけ汁は美味しい鰹節様の香味リッチで、塩味が効いている。 
トロロは弾力に富み、ツユと混ぜるのは難儀するんだけど、ちゃんと混ざるとホント美味しい。 
薬味は、山葵(苦味があって鼻に抜けるタイプ)、梅、アオサ。山葵と梅が特に良いです。

 
ENTRY 76   藪伊豆総本店 (日本橋)
住所:中央区日本橋3-15-7

-じゅげむ定食 (1,200 JPY)-
-RATING- ★★★☆
-REVIEW-
副菜(きんぴら、かまごこ、高野豆腐)、鶏肉の柳川小鍋(鶏肉、ごぼう)、季節の小鉢、そばの実ご飯、もりそばのセットで、ランチ限定品(祝日はなし)。
副菜は丁寧につくられて、キメ細かい美味しさ。
そばの実ご飯は、蕎麦好きには堪らないです。
鶏肉の柳川は、(多分)胸肉のソリッドな食感が丁度よく、甘辛の割り下とよく合います。
もりそばは二枚(二段になっている)。前食べとときと較べて水の切れがあまく、ちょっと残念でした。


ENTRY 77   流山すず季 (流山)
住所:流山市西初石3-1-17

-つけとろろ (1,540 JPY)-
-大盛り (440 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
夏(8月上旬)に食べたんだけど、お蕎麦の端境期に備えて、収穫した蕎麦の実を冷凍して保管しているということで、蕎麦の香味がしっかり残っていて良いです。
盛夏にとろろで精がつきます。



-神亀 純米 熱燗 (935 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
ザクっとした甘味と旨味。新亀さんの雑味は、即ち旨味なのです。素晴らしいネ。濃厚豊潤。 それから、お通しの山葵の茎と葉が旨いわぁ。 


-生粉ざる (十割そば) (990 JPY)- 
-大盛り (440 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
蕎麦粉は栃木矢板産と福岡産のブレンド。
蕎麦からは穀物を想起させる甘い香りグラッシー(grassy)な香りがふんだん(蕎麦微)。味わいは穀物を想起させる甘みがあり、食感は咀嚼感を堪能できる軟らかさで弾力に富む。 
ツユは鰹節様の香りとお醤油のキリッとした香りの立辛汁で、甘味も深い。 
蕎麦とツユの相性はいつも通りに鉄板で、蕎麦の甘みがアップする。
山葵はフレッシュで辛味が鼻に抜け、チョイ鄙びたニュアンス。
何回喰っても旨いです。


ENTRY 78   神田錦町更科 (神田錦町)
住所:千代田区神田錦町3-14 

-菊政宗 (600 JPY)- 


-季節の二色せいろ (1,000 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
新そばの時季に訪問したんですが、そば粉は北海道弟子屈町(摩周)産で、摩周そば生産組合が育て上げたキタワセです。
通常のせいろと菊花切りの二色盛り。
せいろからはもっさりしたグラッシーノート(grassy note)が立ち昇り、自然な穀物を想起する柔らかい甘い香りがする弾。そして、弾力が気持ちいい絶妙な食感。 
ツユは鰹節様の香味リッチでいろんな匂いがする。甘く軽やかながらも、必要十分なボディ。 蕎麦をツユにつけて啜ると、甘みふんだん。蕎麦の味わいと相まって凄くいい(相乗効果で良くなる)。 
菊花切りは、菊の上品で洗練された高貴な香りがふわりと漂う。甘いく、極細で繊細な食感。ツユにつけて啜ると酸味が広がる不思議な味。そして、ポップに重層的。 
薬味は山葵、葱、(普通の)大根おろし。 
この華やかなツユは「こんなの初めて」状態で素晴らしい。 


-そば湯豆腐 (600 JPY)- 
-RATING- ★☆
-REVIEW- 
お豆腐は絹で、三つ葉と柚子皮が浮かび、柚子薫る。 
お湯は蕎麦湯を薄めた感じ。
薬味は、生姜(パンチある)、鰹節、葱。
乙な味わいの湯豆腐じゃないでしょうか。 


-角ハイボール (400 JPY)- 

 
ENTRY 79   神田まつや (神田須田町)
住所:千代田区神田須田町1-13

-ビール 大 (825 JPY)-
赤星をセレクトです。


-ゆずきり 大 2021 (1,540 JPY)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
苦味を伴った柚子の香りはきつ過ぎず、程よく自己主張している。その甘苦い香味が堪らない。 
お蕎麦のしなやかな食感は流石。正に老舗の貫禄。 
ツユはお醤油の香りがしっかり立って、ボディしっかりで甘味も強め。 で、蕎麦をツユにつけて啜ると、蕎麦の甘味が際立つんですよ。 
山葵をつけて啜ると、さらに甘味が映える。 
薬味の山葵は、酸味、oily、ちょい鄙かな。 


-焼鳥 (935 JPY)-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
タレでオーダー。 タレの焦げたフレーバーが凄くいい。あと、鶏肉の食感がとっても程よいのよ。弾力が気持ちよくって、とってもジューシー。肩肘張らなくていい気負い普段使いの旨さは、神の領域。

 
ENTRY 80   神田まつや鶏南ばんそば 2021 (日清×神田まつや)

-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
創業明治17年。藪の流れを組む老舗中の老舗の神田まつやが、カップ麺のパイオニアである日清とコラボした本商品も、今回で10年目になりました。ボク的には、至高にして究極のカップ麺です。
今季は"このコシ、まるで店食感"と印字されてますが、麺のしなやかさが改善されてるなと感じました。はっきり言って、レベルアップしてます。
年のせいか、インスタントな食品を食べるとよく胃がもたれるんだけど、"日清×神田まつや"の鶏南ばんそば は全然平気です。
10年と言わず、いつまでも続いて欲しい商品です。


ここ数年、年の瀬は冬至の週に神田まつやのゆずきりを食べて、大晦日には"日清×神田まつや"のコラボカップ蕎麦を食べるのが通例になったお蕎麦大好き中年の、

お蕎麦って本当にいいもんですね。

っていうメモでした。

2022年2月17日木曜日

化学ライゲーションの世界へようこそ

コロナ禍が続く今日この頃。メシ時を外してメトロポリタンTOKYOで食事したときのメモです。

-近畿大学水産研究所 ななれ グランスタ東京店 memo-
住所:千代田区丸の内1-9-1 グランスタ東京 1F

-近大ネギトロ紅白手桶寿司 (1,950 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
全て"近大"生まれのマグロ、マダイ、シマアジの手桶寿司に、小鉢、味噌汁、香の物がついたセット。ディナー(17:00〜)数量限定品って書いてあったけど、16時前にうっかり注文したら、(すげー空いてたこともあってか多分特別に)オッケーでした。
お魚盛りだくさんで嬉しい一品です。味も養殖ものとしてはかなりいいんじゃないでしょうか。
ビバ!近大の養殖テクノロジー!!
ただやっぱり、全体的に脂が強めで、味もボヤっとした感じがあり、身も緩めかなとは思いました。


閑話休題


流行ってるゼェ、ニューモダリティ!ということで、ペプチド合成のメモです。
ケミストがペプチド合成と聞いて最初に頭に想い浮かぶのは、メリフィールド (Merrifield)が開発したペプチド固相合成法(SPPS, Solid-Phase Peptide Synthesis)でしょう(ノーベル賞GETだぜ)。

原料や縮合剤の除去が、ペプチドの結合した樹脂を洗い流すだけで良いのが画期的で、蛋白発現では難しかったり、タンパク質を構成しないアミノ酸を含有していたり、化学修飾されたペプチド合成に威力を発揮します。
しかしながらモノには限度があるもので、(諸説ありますが)一般的に合成可能なアミノ酸残基数は50残基程度と言われています(100残基合成したという話も聞いたこともありますが、レアです)。加えて、ペプチド鎖の伸長を困難なものとする"difficult sequence"問題もあって、必ずしも一筋縄ではいきません。

このようなSPPSの制約に対するブレークスルーの一つに、化学ライゲーション (Chemical Ligation)があります。比較的容易に合成できるペプチド鎖(easy sequenece)を合成し、それらを温和な条件で選択的にセグメントカップリングさせることで(100残基以上の)長鎖ペプチドの合成を狙う戦略です。
即ち、SPPSがリニア合成 (linear synthesis)であるのに対して、化学ライゲーションは収束型合成 (convergent synthesis)になります。一般的に化学合成では収束型合成が王道(効率的)なので、より長鎖のペプチド合成では、SPPSで"easy sequenece"のペプチドフラグメントを合成して、それらを化学ライゲーションによりセブメントカップリングするのが王道と思います。

ということで、今回はペプチドの化学ライベーションについてメモしてみます。

化学ライゲーションといえば、Native Chemical Ligation (ネイティブ・ケミカル・ライゲーション)が有名で(Natural Chemical Ligationって書いてある本もある)、Chem. Rev.にこんな総説がありました↓

Native Chemical Ligation and Extended Methods: Mechanisms, Catalysis, Scope, and limitations
Chem. Rev., 2019, 119, 7328-7443.

この総説のイントロに「化学ライゲーションとはなんぞやら」ということが書いてあるので、今回はそれを紹介しましょう。

著者ら曰く、"peptide ligation methods"とは、 "water-compatible chemistries"であり、"an intramolecular rearrangement substituent to a chemoselective capture step"からなる合成戦略であり、以下の3つのタイプに大別されると言います↓

Type I (アミノ酸の側鎖がキャプチャー)
   Native chemical ligation (Kent  et al., Science, 1994, 266, 776-779.)

Type II (アミノ酸のα-位の窒素がキャプチャー)
   Traceless Staudinger ligation (Org. Lett., 2000, 2, 1939-1941.; Org. Lett.2000, 2, 2141-2143.)

   Ketoacid-hydroxylamine ligation (KAHA) (Bode et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 1248.)

Type III (o-位のアミノ基&側鎖がキャプチャー)
   Serine/threonine ligation (Li et al., Org. Lett., 2010, 12, 1724-1727.)

高選択的に相手側ペプチドフラグメントを捕捉した後、転位してアミド結合が構築されるのが特徴で、捕捉段階のモードによってタイプ分けしていますね。

ところで、世界初にして人類初の化学ライゲーションは1994年にその産声をあげたわけですが、それからもうすぐ30年。PCS database (The Protein Chemical Synthesis Database)によると、1353 (average length 107.68)ものライゲーションが報告されているようです(last visited Feb. 2022.)。

そして、本報には2011年から2018年までの化学ライゲーションの内訳が記載されています↓

NCL = Native Chemical Ligation
STL = Serine/threonine ligation
KAHA = Ketoacid-hydroxylamine ligation
DSL = Diselenide selenoester ligation

NCL (Native Chemical Ligation)が圧倒的です。90.7% (NCL)+3.9 (STL)+3.8 (KAHA)+1.2 (DSL)=99.6なので、表示されていない0.4%の中にtraceless Staudinger ligationとかが入っているものと推察します。

NCLがダントツなのは、第一に歴史があるからと思います。
それから、ボクの個人的見解によれば、KAHAはケト酸とヒドロキシルアミンを用意するのが(相当)面倒だし、DSLははっきり言って、はぐれメタル並みの(超)レアものです。NCLに伍する簡便性を持ち合わせている"対抗"はSTLなのですが、NCLが1994年に見出されたのに対して、STLの初出は2010年と比較的最近で、NCLの先行者利益的浸透度がウハウハなのだと思います。それに加えて、やっぱNCLの完成度(無保護で位置選択性と化学選択性)が高いからなんじゃないですかね?

あとちょっと気になることがあって、ボクがPCS databadeでサーチすると、なんでか分かんないけど、上の円グラフの数字にならないんですよね。より具体的には、2011-2018の総ライゲーション数はたったの710Death.....シクシク涙orz.....。盛ってんの?

ついでに、この論文では年毎のラーゲーション数のグラフが記載されてるんだけど、何故か3年移動平均になています。移動平均にする意味ある???なんでかなぁ?どしてかなぁ?まぁ、市井の貧弱一研究員(自称テクニシャン=研究補助員)がちょっと思ったことに過ぎないので、天下のACSの大Chemical Reviews様に掲載された論文に瑕疵は皆無に違いありません!!!

ハイ、先に化学ライゲーションは収束型合成 (convergent synthesis)で、有機合成化学において収束型合成が王道(効率的)と書きましたが、ペプチドの化学合成において収束型合成 (convergent synthesis)が28年間に渡ってたったの1353って、超少なくないですか?これって、つけ入るチャンスじゃないですか?ついでに言うと、歴史の浅いSTLにフルコミットすれば、論文書けるんじゃない?

化学ライゲーションを極めて、リニア合成ガチ勢を無双したいと思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)の独断と偏見に満ちた化学ライゲーション入門メモでした(反論は聞かない)。


2022年1月16日日曜日

Annual Income 2021

時代は依然ウィズコロナですが、先だってのダンス・タイムの時期(2021年11月-12月)に上州(グンマー)に蕎麦を啜りに行ってきました。
というのも、お蕎麦大好き中年のボクが愛読している蕎麦春秋っていう雑誌の59巻の特集が、


「群馬・赤城山」で育まれた旨いソバ

っていう訳で、純粋に食いしん坊の虫が騒ぎ出したからです。

メモです↓

ENTRY 1   蕎麦処つゆ下梅の花 本店

群馬県高崎市栄町25-13

この店の名物は「早刈り蕎麦」なんだそうです。
通常、蕎麦の栽培は種まきから75日で収穫するんだそうですが、「早刈り」の場合は10日以上早めの収穫するんですってね。

-ビール (550 JPY+tax)- 
キリンラガーの中瓶。

-手打そばの一人前セット (1,300 jpy+tax)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
星の入った平打ちの蕎麦は、がんづきであったり葛餅にも似た独特の弾力に富んだもっちりとした食感で、キック大。穀物リッチで穏やかなグラッシーな香味で、噛み締めると胡桃様の甘味が染み出してくる。 
ツユはかなり鰹節様の香りが立った軽やかな甘いツユで、ボディの強い蕎麦に当たり負けしていない。 
蕎麦とツユのシナジーは得に感じないけど、旨いね。 
薬味は柚子皮を散らした葱(これは乙な味)、紅葉をちょい散らした大根おろし(これ気に入った)、ワサビ(多分だけど、ホースラディッシュと本山葵のミックス)。
ワサビは残念な感じだけど、葱とおろしの薬味はけっこう凝っていて好感が持てる。
セットの天麩羅は、茄子、人参、南瓜x2、茸、ピーマン。 熱々の状態ではなく、少し熱がとれた状態で提供される。 薄衣で、冷めても衣がカラッとしていて味の劣化が少ないのが良い。
デザートにそば湯でつくった寒天がつくのが嬉しい。  
あと、天麩羅には塩も天ツユもついてこないので、欲しい人は注文するときに言っておいた方がいいです。ボクは天麩羅が到着した後に、塩も天ツユも無かったので、塩を持ってきてくれるように頼んだんだけど、「そんなの必要ないでしょっ」ていう顔をされました。


このお店、店内は広くて新型コロナ対策に熱心なのは結構なんですが、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を噴霧するのはやめて欲しいです(マジで)。



ENTRY 2   上州うどんそば処 鶴亀庵

群馬県渋川市渋川3670-1

-船尾瀧 特別本醸造 (500 JPY+tax)- 
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW- 
お品書きには「船尾瀧 (純米 180 ml)」って書いてあるけど、間違いです。 
仕様は冷酒。いかにも辛口を想起させる香りで、正に辛口のテイスト。
より詳細には、淡麗甘辛い。くどさのない甘みが良いです。 


-烏賊の塩辛 (お通し、no charge)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
厚く張りのある身質で、食感が素晴らしい。 
酒粕の香味強め(これとてもいいね)。 
烏賊自体のフレッシュ感は普通。 







-ギンヒカリ刺し (1,000 JPY+tax)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
ダイナミックな身質が凄い。凄すぎる。バキバキに締まっている。
で、脂も味もくど過ぎず、いい塩梅にあっさりしていてとっても美味しい。 
薬味は甘辛の本山葵。 
ギンヒカリは利根川の清流で育てられた最高級のニジマスで、通常のものが二年で成熟するのに対して、三年かけて成熟させるという優れものです。通常、成熟期には肉質が低下すると言いますが、ギンヒカリの場合は成熟に伴う肉質の低下がみられないことに加えて、身が引き締まり脂がしっかりのるのだそうです。


-深山そば (1,000 JPY+tax)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
赤城深山ファームの蕎麦粉を使った数量限定の十割そば。
角がしっかりと立っていて、力強いボディ。キックが強い。 穏やかなグラッシーノートと穀物を想起させる香りがやんわりと漂う。 しつこく咀嚼していると、何とも言えない可愛らしい甘みが顔を出す。 
ツユは鰹節様の香りがしっかり立っている(本ガツオ、宗田ガツオ、サバ節の天然だし)。お醤油の味がキリッと効いているんだけど、味わいは軽やか。
ボディのしっかりした蕎麦に対して弱いんじゃないかと思ったんだけど、そんなことは全然ないのが意外。 お蕎麦のボディが強力だからか、山葵との相性は抜群。 ざっくりと切られた柚子皮の薬味とも合ってる。 
あと、蕎麦自体にほんの僅かだけどスパイシーさを感じたんだけど、これって気のせい? 
蕎麦湯はドロドロ系。 


-手作り豆腐 (300 JPY+tax)- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
お豆腐のフレッシュな香味と甘みがふんだん。 
何も付けずにそのまま食べて十分旨い。
合わせて提供されるポン酢醤油が滅茶苦茶良く合う。 
海苔や鰹節とも良く合って、シナジー効果による味の膨らみを感じる。 
形(形状)を保ちつつ極限までソフトな食感がとてもいい。 
これが一番旨かった。 


-船尾瀧 (本醸造 一合) (350 JPY+tax)- 
-RATING- ★★★
-REVIEW- 
熱燗にしてもらう。 かなり熱い。 甘みのある普通の辛口。


-里芋の煮付け (サービス)- 
-RATING★★★★★
-REVIEW- 
一人で呑んだくれてたからか、その様を哀れに思ったお店の方がサービスしてくれたです。
ほっこりしや食感の家庭的な味付け。 
味の染み加減と濃さが絶妙。
心に染み入る旨さでした。



ENTRY 3   いけや

群馬県渋川市伊香保町378-1 

温泉街のほど近くになある一茶庵系のお蕎麦やさんで、赤城深山ファームの蕎麦粉で打った蕎麦が供されます。

-瓶ビール (大瓶) (790 JPY)- 
サッポロ黒ラベル 


-お通し- 
-RATING- ★★★★★
-REVIEW- 
山菜(蕨、細竹、滑子)の漬物と、紫大根の甘酢漬。 絶品。 
紫大根は水分を抜くために二、三日置いておくって言ってたと思う。


-三色天もり (1,760 JPY)- 
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW- 
せいろ、ゆずきり、更科の三色。 
せいろはグラッシー(grassy)。 ゆずきりは柚子のチョイ苦な香味が心地よく、薬味の山葵との相性が良い。 極細の更科は軟らかく弾力に富んでいる。 
鰹節様の香味がしっかり薫る甘味と辛味のバランスのとれたツユは、ボディに不足無し。 
三色のお蕎麦は何れも繊細な喉ごしで普通に美味しいのだけれど、一本一本のお蕎麦がひっつきがちなのが玉に瑕。 
天タネは、海老x2、茄子、インゲン的なもの。揚がり具合いと温度は、前述の「つゆ下梅の花」と酷似。
ここでも塩も天ツユも提供されなかったので、お塩も持ってきてくれるようにオーダー。 
薬味の山葵は、辛味が鼻に抜け、すこしひなびた系。 


ENTRY 4   凡味 そばきり 

群馬県高崎市問屋町1-8-6 

-日本酒 (760 JPY)- 
-RATING- ★★★
-REVIEW- 
燗(熱燗)をつけてもらう。 
やんわり乳を想起させる香り。
軟らかい穏やかな甘み。
フィニッシュは僅かに果実の酸味。 
普通に美味しい辛口熱燗


-お通し (90 JPY ?)-
塩昆布ね。美味しいのね。


-だし巻玉子 (1,050 JPY)- 
-RATING- 
-REVIEW- 
お出汁の香りふんだん。(焦げ目は無いけど)ロースト(roast)、芳醇な旨味リッチなお出汁、玉子のピュア(pure)な香味のトリプルシナジーが旨い(劇旨)。 
アツアツで提供され、時間が経過しても熱の保持がいい。 
大根おろし(辛くない)がたっぷりついているのが嬉しい。 
兎に角、旨すぎる。 


-せいろそば (830 JPY)- 
-RATING- 
-REVIEW- 
お蕎麦は、穀物様の香味リッチでグラッシー(grassy)さもしっかり。胡桃様の香りも感じる。しっかり角が立っていて、咀嚼を繰り返すことで甘味が染み出してくる。細身でキックが強く、若い頃に一番好きだったタイプ。咀嚼感と喉越しが最高(究極)。 
ツユは鰹節様の練れた独特の香り。甘味に加えてしっかりとした辛味(甘味より少し強め)のボディー(body)の強いツユに仕上がっている。ほんとハイレベルな辛汁。 
蕎麦とツユの相性は勿論良くって、はっきり言って相当旨いね。 
薬味は山葵、(多分)辛味大根、葱。山葵がとても良く合う。 

群馬一との呼び声に偽りのない旨さでした。
ただ、ぜいろに僅かに黒い部分があって、ほんのちょっと漂白剤臭かったのがちょっぴり残念でした。


素朴な疑問なんだけど、グンマー群馬のお蕎麦屋さんでは、天麩羅はどうやってたべるのがデフォなの?

今回は赤城深山ファームの蕎麦粉で打った蕎麦を所望して渋川(伊香保)を目指し、高崎にも寄り道しつつ蕎麦をエンジョイしてきました。最奥地が伊香保なので(石段も久しぶりに行った)、当然、黄金の湯(源泉加温掛け流し)も堪能してきたわけですが、とってもいい湯加減でした。五回入ったからね(total 4時間くらい入った)。
やっぱ、我が日本国はお蕎麦と温泉に限りますね(個人の感想です)。


閑話休題


さて、2021年の年収(給与収入)はこんな感じになりました↓


今年は時間外労働(相当)を7時間もしてしまい、働き過ぎて負けた気持ちでいっぱいです。
とはいえ、コロナ禍でも給料が年功序列的に上がるディフェンシブ企業は安心感があります。
そんな気楽な稼業のサラリーマンではありますが、兵隊さん実験が仕事なので、リモートワークイケイケの時代にあっても社畜然として毎日シコシコ通勤しなければなりません。
まぁでも、人力以外に代替できない仕事だと思えば、そう悪い気もしません(テレワークしてサボりたいけど)。だって、食いっぱぐれないじゃないですか。
有機合成の自動化はモジュール単位で限られた分野でしか成功してないし、全般的にはまだまだショボいので、少なくとも数十年は安泰なんじゃないですかね?

ところで、古いんですが一昨年(2020年)の週刊東洋経済に

製薬大リストラ

という特集がありました。


メインはMRのリストラに関する話ですが、

リストラに聖域なし 研究職も例外じゃない!

らしいです。

成功確率ダダ下がりでやり尽くされた感の漂う低分子創薬の凋落を尻目に、製薬合成社員がオリゴ核酸やペプチド合成のベンチャーに転職して行くのだそうです。
要は、コンベンショナルな有機合成化学のテクノロジーに頼る低分子創薬のニーズであったりプレゼンスが低下していることを意味しているのでしょう。

製薬会社で定年間近の人は、落ち目な低分子創薬と会社にしがみついて逃げ切ればいいかもですが、若い人はそんなことではジリ貧です。社長の任期が二年二期というのが我が国ではデファクト・スタンダードなので(島耕作に書いてあった)、サラリーマン社長が仕切る会社はどこも横並び志向になりがちというのが定説ではないでしょうか(知らんけど。でも、武田の社長の在位期間は長いね)。したがって、どこの製薬会社もその重心を流行りの核酸医薬、中分子医薬、ペプチド医薬に向けて舵を切っていくことでしょう(完璧憶測です)。だって、オリジナリティ出して失敗すると評価下がるけど、皆んなで失敗すればしょうがないじゃないですか。

ともあれ、こんな感じで製薬業界の有機合成化学マンの身の振り方は所謂ニューモダリティ、即ちオリゴ核酸、中分子、ペプチド、糖鎖、あるいはそれらのコンジュゲートであったり、それらの修飾技術へとシフトしていくことが予想されるので、それに対応した有機合成スキルを獲得することが重要と考えられます。より具体的には、ホスホロアミダイト法やFmoc SPPS (Solid-Phase Peptide Synthesis)の自動合成スキル、末端や側鎖とか核酸塩基の修飾法、化学ライゲーションです(多分ね)。精製だって順相のクロマトしかできないなんて論外です。逆相精製は出来て当然で、イオン交換クロマトやアフィニティークロマト、SFCなども使いこさせなければいけないんだと思います。

ところで、冒頭で低分子創薬を軽くディスってしまいましたが、最近上市(緊急使用許可)されたメルクのモルヌピラビルのプロセス・インプルーブメントには心の底から感動しました。

Original route
10 steps, <10% isolated yield


Three-step route
3 steps, 69% overall yield

一段階目なんですが、
出発物質のリボースは、種々の溶媒中でフラノース型として存在しているため、1級アルコールはヘミアセタールになっています。そのため、コンベンショナルな有機合成化学のテクノロジーを用いたエステル化は難しいです。
加えて、不活性な溶媒への溶解性が低く、エステル化されると溶解性が増すので、他の水酸基に対するオーバーリアクションが懸念されます。
さらに、生成物(エステル)は水溶性が高く結晶化しないので、生成も難しいです。
これらの困難を克服するのに着目したのが、リパーゼを使った選択的エステル化です。
採用されたのはNovozym 435という樹脂に固定化したCalBリパーゼでトン単位で入手可能なようです。
反応終了後、固定化酵素をろ去し、溶媒をMTBEに置換した後、水で抽出することで目的物を水溶液としてゲットして、そのまま次の反応に使用します。
MTBE抽出で不純物を取り除いてるところが心憎いです。

次いで二段階目。
合成スキーム的には、水酸基が直接ウラシルで置換されているように見えますが、実際は対応するphosphateを経由した複数酵素のコンボによるカスケード反応になります。

ここで(ボク的に)特筆すべきは、ATP (アデノシン三リン酸)のリサイクルが高効率にワークしているところと思います(ATPはけっこう高いです)。
あと、抽出溶媒に2-MeTHFを使用してるんですが、greener solventのトレンドを押さえていますね。


ファイナルステップの三段階目は、コンベンショナルなプロセス化学の粋をこらした出来栄えとボクは思います。
TMS化による活性化を経てオキシムへと誘導するわけですが、シリル化剤兼溶媒としてより毒性の低いHMDSを使用しており、触媒量のイミダゾールが劇的にシリル化を促進します。
さらに、はじめに生成するビス-トリメチルシリル誘導体からモルヌピラビルへと誘導し取り出す手法も洗練されています。

有機合成やってる(ボクも含めた)古い人にとって、「酵素(反応)は敵」っていう認識だと思うんですよね。
酵素反応に負けない反応を見出すんだという強い矜持の裏返しなんだろうと察しますが、もうそれだけじゃあダメなんだと思います。
酵素を自在に使い熟すのは一朝一夕にはいきませんが、有機合成化学の中に酵素反応(生体触媒反応)をガシガシ組み入れていかなければならないフェーズなんだろうと思います。

というわけで、有機合成化学マン&ウーマンにとって、2022年は忙しい年になるでしょう。だって、上述したように勉強すべきことが山積みですから。

以上、蕎麦行脚を自粛してサイエンスのお勉強にもうちょっと精を出そうかなと思う、二流大出のテクニシャン(研究補助員)の中流アニュアル・インカムメモでした。
(やっぱ、重要なのは脳ミソですね。実験ばかりしてるとバカになります。)