とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Monday, March 9, 2009

Horner-Wadsworth-Emmons Reaction (4)

昨日、調子こいて晩酌してたら、ワイン1本空けちゃって、本日ちょっと体がダルいコンキチです。


閑話休題


(HWE反応のメモの続きです。

で、筆者らの開発した方法↓


a) Stillの方法よりも実用的な方法
b) リンの求核性を高めることでZ選択性を発現させるアプローチ

という観点から、フェニルエステルを用いた。

でも、まだSttillの方法よりも選択性が低いので、さらなる選択性の向上を目指して、ベンゼン環上に置換基を導入して立体電子的な調製をしたところ、

o-MePh、o-EtPh、o-iPrPhを導入した試薬で93-99%Z選択性を実現。

ref.
S. Ehrenson, R. T. C. Brownlee, R. W. Taft, Prog. Phys. Org. Chem. 1973, 10, 1.
K. Ando, Tetrahedron Lett. 1995 , 36, 4105.
K. Ando, J. Org. Chem. 1997, 62, 1934.
K. Ando, T. Oishi, M. Hirama, H. Ohno, T. Ibuka, J. Org. Chem. 2000, 65, 4745.
K. Ando, J. Org. Chem. 1998, 63, 8411.
http://www.tokyokasei.co.jp/tcimail/chemicals-clip/kdjoad000000dn19.html

あと、上のAndo reagentの合成法は効率が悪いということで、もっと効率的な合成法を開発してます↓


K. Ando, J. Org. Chem. 1999, 64, 8406.

あと、塩基に弱い基質への応用(正宗-Roush法)↓
LiCl, DBU/CH3CN, 0℃では選択性は中程度。LiClのかわりにNaIを使いTHF中-78℃で反応を行うと高いZ選択性が発現。


筆者が開発した方法では、ケトンに対しては選択性がなかったり、E選択的に反応が進んだりする。これに対して、ケトンへの求核攻撃がアルデヒドに比べて起こりにくく、反応を低温で行うことが困難であることを考えれば、反応機構から当然と言えるかもしれないとコメントしている。


あと、Still試薬を使った次の反応例が紹介されています↓


ケトンとの反応で高いZ選択性が得られます。でも、アルデヒドとの反応ではE選択的になるとか。

S. Sano, K. Yokoyama, M. Fukushima, T. Yagi, Y. Nagano, J. Chem. Soc. Chem. Commun.1997, 559.


Z-Selective HWE Reactionのメモはこれくらいです。

TCIのWeb Siteで安藤先生のZ-選択的Horner-Emmons試薬の開発秘話という記事が掲載されているんだけど、こんな一文がコンキチの心に響きました。

<引用開始>
JACSの審査員の一人のコメントが面白かったので引用しておきます。「研究者はとかく難しいことをやりたがる。だから,重要でも簡単な研究は忘れられる。こんな研究なんか,(PhO)2P(O)CH2CH2CO2EtがZ選択的だとわかっていれば15年も前に終わっていたはずだ。」というものです。でも,誰も(PhO)2P(O)CH2CH2CO2EtがZ選択的だとは思っていなかったのです。そして簡単な研究だから誰もやろうとしなかったのです(若い皆さん,まだまだ宝の山は眠っているかもしれませんよ。)
<引用終了>


これって以前コンキチが読んだこんな論文(Trialkylzinc(II) ate complexのはなし)↓
http://researcher-station.blogspot.jp/2006/10/trialkylzincii-ate-complex.html
http://researcher-station.blogspot.jp/2008/10/trialkylzincii-ate-complex.html
にも通じるような気がします。誰かがやっていそうなんだけど、誰もやっていなかった。

探求する精神を失わなければ、(コンキチのように)能力が低い者でもそれなりの発見ができるんではないかと、なんとなく勇気づけれました。

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