とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, August 16, 2009

Framework of Redox Economy (6)

夏休み最終日。久しぶりにジョギングしたら、既に超絶筋肉痛のコンキチです。

さて、

Redox Economy in Organic Synthesis
Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 2854-2867.

のメモの続きです(最後です)。

Redox Economy in Process Research

プロセスケミストのお仕事のお話です。プロセスケミストは、ターゲットを実機で製造しなければならないので、必然的に、アトムエコノミー、ステップエコノミー、レドックスエコノミー、あとエコノミーを最大化することに注力することになります。

ということで、以下エクセレントがプラクティカル•シンセシスの紹介です。

#1 Process Studies on GW475151



Org. Process Res. Dev. 2001, 5, 37-44.


クリエイティブなisohypsicアプローチと評されている官能基化されたオキサゾールの構築法です。レドックス反応による複素環構築ではなく、出発物質に必要な酸化状態を付与し、骨格形成を通して酸化状態を移転(oxidation state transfer)させている。

#2 LY300164

左が探索合成ルートの改良版(14% overall yield)で、右がプロセスルート(55% overall yield)。

#3 BMS-180291 intermediate



最初の合成法。8 redox manipulations, 3% overall yield。最終中間体のカルボン酸の酸化レベルを出発物質の無水マレイン酸に備わっている。


プロセスルート。


それにつけても、プロセスケミストってスマートが合成ルートを考えるなあと思いますね。


Suggested Further Reading

a) cylindrocyclophane A, F
J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 4984-4985.

b) diazonamide A
Angew. Chem. 2003, 115, 5111-5116; Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42, 4961-4966.

c) tetracycline
J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 8292-8293.

d) welwitindolinone A
J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 15394-15396.

e) trichodimerol
Angew. Chem. 1999, 111, 3762-3766; Angew. Chem. Int. Ed. 1999, 38, 3555-3559; Org. Lett. 1999, 1, 1503-1504.

f) dictyodendrin B
J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 11620-11621.

g) acutiphycin
J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 15106-15107.

h) fludelone
J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 2899-2901.

i) transition metal catalyzed cross coupling, direct bond formation without the need for prior functionalization
Chem. Rev. 2007, 107, 174-238.


Putting Redox Economy to Practice

全合成にどんな風にレドックスエコノミーの考えを適用するかということですが↓

a) redox-neutralな試薬を探す
例えば、アルコールを酸化した後、還元アミノ化するオラディッショナルな2段階合成に対するIrが触媒するアルコールのtransfer reductive amination。

b) 出発物質をちょっと変えて、レドックス•エコノミーを戦略的に組み込む。
例えば、アルデヒドを出発物質にしてアリルアルコールを合成するのに対して、クロスメタセシスやアリル位の酸化を使う。

c) 官能基の最適な導入を熟慮し、保護が必要となったり、酸化状態の調整が必要となる選択性のない反応を避ける。

d) connectivityの検討、先例のない逆合成による結合切断へのチャレンジ。
こういった試みが、出発物質や目的物に酸化レベルを過度に変えることなく、合成計画を劇的にシンプルにするそうです。
psychoyrimineの全合成におけるdirect indole-aniline couplingがその好例だとか。


こんな感じのようです。

レドックスエコノミーって、(恥ずかしながら)コンキチにとってこれまでノーマークなコンセプトだったので、とても勉強になりました。レドックスエコノミーを突き詰めていくと、ステップエコノミーやアトムエコノミーの改善にもつながっていきますね。そういった意味で、レドックスエコノミーを考えることは意義が大きい。そんな風に感じました。

明日から文献読むときは、レドックスエコノミーを考えながら読むようにしようと思います。


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