2010年8月11日水曜日

共有地の悲劇 2

夏休み満喫中のコンキチです。

先日、サンデー•フロントラインを見ていたんですが、国内のクロマグロの水揚げ高が激減しているらしいです。原因は、未成熟魚とかも含めた見境無い乱獲である可能性が高いとのこと。これは、共有地の悲劇とよばれる古くからある有名な問題です。

当ブログで過去に「共有地の悲劇」を取り上げた記事があるので、もしよかったらそちらも読んでみて下さい(see http://researcher-station.blogspot.com/2008/07/blog-post.html

で、共有地の悲劇っていうのは市場の失敗の一種で、 個人の自己利益追求が社会全体に悪い結果をもたらすとき生じます。そして、魚の乱獲は経済学の教科書にもその一例としてちゃんと書いてあります(see http://researcher-station.blogspot.com/2009/02/blog-post.html

要は、自分がウハウハするためには、他者に先んじて少ない労力で大量のお魚をゲットして売っぱらうこと(=乱獲)が一つの手段として考えられます。で、サンデー•フロントラインでは、巻き網という漁法による乱獲が、未成熟魚まで採ってしまい、将来の成魚の数、ひいてはクロマグロ自体の数量を激減させてしまう懸念大となります。しかも、巻き網で採れた大型魚の質は、1本釣りで得られるそれと比べて大幅に低く(血抜きしないから鮮度が落ちるし、傷もつく)、テレビでは確か1/7くらいの値しかつかなかったような気がしました。あと、値段がつかなかったのもあったかな(スーパーとか加工食品行きになるらしいです)。

巻き網業者は、まるで勝者不在のチキンレースをやってるに等しいな。

ところで、経済学の教科書には、市場が効率的でない場合(市場の失敗)、政府の介入が社会厚生を高める可能性があると書かれています。

ちなみに、サバも乱獲による問題が指摘されていたと思います(何年か前の報道番組でやってたと思う)。で、国産乱獲小型サバの商品価値は皆無に近しく加工食品や飼料となる一方で、ノルウェー産のサバは高品質で日本に輸出され幅をきかせているらしいです(ちょっとうろ覚え)。当然、ノルウェーの漁師の方はウハウハです。

このサバ問題っていうのは、「市場の失敗に対する政府の介入が社会厚生を高める」ということを例証する上で分かり易い現実的題材と思います。

コンキチは漁業素人なので、話半分に読んで欲しいのですが、お魚とかの水産資源の管理ですが、ノルウェーでは水揚げされる魚の95%がTAC (Total Allowable Catch, 漁獲可能量)で管理されているらしいです。で、ノルウェーにおけるTACはGQ (Group Quota, グループ割当量)、IVQ (Individual Vessel Quota, 個別漁船漁獲枠)、MQ (Maximum Quota, 最大漁獲枠)で管理されています。よく分かんないんですが、GQとMQはセットっぽくて、グループ内である程度の競争が起こるようで(グループ内でのアライアンスが必要ってことでしょう)、IVQでは基本的に競争は起こりません。で、こういった制度下では個別(グループ(共同体)別)の漁獲量の上限が決まっているから、価値の低い幼魚を採るよりも、価値の高い成魚を採った方が圧倒的にウハウハできます。結果、乱獲抑止のインセンティブが圧倒的に働く、水産資源が保全されます。

翻って我が国ではどうでしょうか?TAC管理は導入されているものの、マアジ、マサバ及びゴマサバ、マイワシ、サンマ、スケトウダラ、ズワイガニ、スルメイカの7魚種に限定。また、基本的にオリンピック方式(自由競争の中で関係漁業者の漁獲を認め、漁獲量がTACに達した時点で操業を停止させる方式)で、ついでにTACはとんでもないザルだと批判するサイトも多々ある(大前研一も同様な批判をしてたような気もする)。っていうか、前述したマグロやサバの話を鑑みると、相当ダメダメな感じで一杯になります。

まあ、行政もどうかと思いますが、多くの当該漁業関係者が大バカだっていうのが最も大きな原因でしょう。漁業やってなくて良かったって心の底から思います(笑)

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