2009年4月11日土曜日

脱コンプライアンス宣言 (2)

今週、東京地方は桜の見頃で、コンキチなんぞは通勤途上で桜吹雪に包まれたりと、なんとも日本的な幸せを感じた一週間でした。

さて、コンプライアンス関連本を一冊読んでみました↓


IBM、デュポン、コカ•コーラといった企業にコンプライアンス•コンサルタントの書いた「ウサギはなぜ嘘を許せないのか?
」です。

はっきり言って、フィクションで「物語」なのですが、良い話と思いました。最終的に正直者がその正しさに見合った成功を勝ち得るという勧善懲悪的な使い古されたストーリーなのですが、とても面白く読めました。

現実社会への適用という点では難大有りと思いますが、学校の道徳教育に使って欲しい一冊です。キャラクター設定とかストーリー展開もよく出来ていると思います。ただ、159頁の薄さで1,029 JPY(税込)もするのかよ!と軽くいらっときてしまいました(まあ、金額と頁数と内容に相関はないですが)。

各章末に「ウサギの教え」と称するTipsがあるんですが、人生訓として、というか個人の倫理上の問題を考える観点から次の3つがコンキチの胸にヒットしたのでメモしておきます。



Tips 1
"二者択一"という難しい選択をすることによって、倫理的な問題を考えてはいけない。選択肢はきっと、ほかにもある。


具体的にはこういうこと↓
Q.
(i) 母親が手術をしなければ命を落とすことになる。
(ii) 母親はお金もなければ、保険にも入っていない。
(iii) あなたもお金を持っていない。
(iv) あなたは、職場では手術に必要なだけのお金を自分のものに(横領)できる立場にある

あなたは母親の命を救うために横領しますか?

A.
病気に苦しむ母親のために不正を犯す(横領)という解決法は、賢明でも効果的でもない。
(i) 正しいこととは何かという問題を飛び越えてしまっている。
(ii) 横領したお金は病気を抱える顧客のものかめしれない。
(iii) 余計な努力を惜しんでいる。

努力を要するが、他の解決策がある
(i) 虎の子の貯金を全て提供する
(ii) 医者や病院と相談して支払い計画をたてる


Tips 2
何も言わないことによって引き起こされる結果は、
声をあげることによって引き起こされる結果より、つねに深刻である。


人材管理を目的とするある情報センターの調査結果↓
自分は組織のなかで誰よりもモラルを大切にする人間だ 99%
法やモラルに反する行為を目撃しても「何もしない」 65%
(理由: 「みんなと歩調を合わせていない」と避難されるこが怖いから 96%)

6割超の人が、「誰よりもモラルを大切にする」が「モラルに反する問題を黙認」する。この結果、事態はいっそう好ましくない方向に進む。


Tips 3
寝ても覚めても嘘のことが頭から離れない。
そんな状態でないことが、どれほど自由かよく考えること。


そのままですね。


コンプライアンスの邦訳である法令遵守という言葉からは、法律を守ってさえいればいい的なニュアンスが強く感じられますが、脱法行為や倫理や社会通念に反する行為は、多くの批判を招き、社会的信用を失うことに繋がるでしょう。

要は、誠実であることが大事ということをこの本は言っていると思います。カタカナでコンプライアンスと言ってみたり、四字熟語で法令遵守なんて堅そうな法律問題だけに限定するような言葉なんて使うから、社会からの根源的要請である誠実さをヴェールに包んでしまうのではないかと乙女チックなこと思ったりする二流大出のなんちゃって研究員なのでした。

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