とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, September 27, 2009

Catalytic Wittig Reaction

こんな文献を読んでみました↓

Recycling the Waste: The Development of a Catalytic Wittig Reaction
Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, Early View.

C-C二重結合を形成する反応には↓

a) Wittig reaction


b) Peterson reaction

c) Julia reaction


d) metathesis

があります。で、メタセシスは毛色がちょと違うので置いていくとして、a-cの3つの化学量論的オレフィネーションのうち、触媒反応化が可能そうで、E,Zの選択もできるというころから、著者らは触媒的Wittig反応の開発に着目します。

ところで、Wittig反応の触媒プロセスは次の4ステップから成り立ちます↓

1) ホスホニウムイリド前駆体(ホスホニウム塩)の形成
2) イリドの形成
3) オレフィネーションの進行とホスピンオキシドの生成
4) ホスフィンオキシドの還元→ホスフィンの触媒サイクルへの再導入

で、この4ステップの中で最も重要なのは、

4) ホスフィンオキシドの還元→ホスフィンの触媒サイクルへの再導入

です。ここでは、アルデヒド(or ケトン)とオレフィンが共存する中、選択的にホスフィンオキシドのみを還元しなければなりません。

ヒ化水素やテルル化物を使った触媒的Wittigタイプのプロセスが開発されたこともあるそうなんですが、まあ、強烈な毒性とか発癌性とかではっきり言って現実的ではないでしょう。

ホスフィンオキシドを還元する方法としては、LAH, SiCl3があるそうですが、この系に対しては適切ではない。

ということで著者らが見いだしたブレークスルーは、還元剤にPh2SiH, PhSiH3を使い(アルデヒドやケトン存在下で選択的にホスフィンオキシドを還元するらしく、ハイドロシリレーションも遷移金属の存在なしには進行しないよう ref. Org. Prep. Proced. Int. 2007, 39, 523-559.)、ホスフィンオキシドをPh3POよりも容易に還元されるものに代えるという手法です。

で、採用したホスフィンオキシドはこれ↓


3-methyl-1-phenylphosphine oxide (2:1 mixture of diastereomer)


(このホスフィンオキシドは、還元されることにより環の歪みが解消されることから、Ph3POより還元され易い)

ベンズアルデヒドとブロモ酢酸メチルを用いた反応で還元剤(シラン類)を試してみたところ、
BrCH2CO2Me (1.3 eq.), phosphine oxide (10 mol%), R3H (1.1 eq.), Na2CO3 (1.5 eq.), 3.0 M in PhMe, 100℃, 24 hで↓

EntrySilaneYield / %E/Z
1Ph3SiHtracen.d.
2Ph2SiH275>95:5
3PhSiH346>95:5
4(MeO)3SiH6170:30

あと、この反応においてZ-体→E-体への異性化プロセスはホスフィンによって触媒されます。

次は反応温度と溶媒効果(BrCH2CO2Me 1.1 eq., Silane=Ph2SiH2で実施)↓

EntrySolventTemp. / ℃Yield / %E/Z
1DME10050>95:5
2CH3CN10052>95:5
3PhMe10060>95:5
4PhMe806267:33
5PhMe704967:33
6PhMe603367:33

反応例は、安定イリドを形成する基質について全19例。61-81% Yield, E/Z=67:33~>95:5。

Wittig反応の触媒化、しかもイリド形成込みでのone-pot反応っていうコンセプトは魅力的だと思うんですが、収率のキレがイマイチですね。


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