とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, September 13, 2009

Synthesis of tert-amine

こんな文献を読んでみました↓

Sequential Addition Reactions of Two Molecules of Grignard Reagents to Thioformamides
J. Org. Chem. 2009 74, 5703-5706.

イントロによると、tertiary arylmethylamine類やtertiary propagrylamine類の合成には、アルデヒドと二級アミンと有機金属試薬が用いられ、これらのプロセスは、中間体のイミニウムイオンへの有機金属試薬の付加によりなりたっているそうです。

で、著者らの開発した三級アミンの合成法はチオホルムアミドにGrignard試薬を二つ反応させて三級アミンをつくるというmultiple-coupling reactionです。


one-potで、逐次異なるGrignard試薬を加えていくことで(同じものを二ついれたいなら2 eq.つかう)達成される著者らのmultiple-coupling reactionは、ステップエコノミーに優れ、E-factorも抑えられます。しかも、Grignard試薬は最も簡便に調製可能な有機金属試薬で、適応可能範囲が広いです。

さて、まずはじめに、著者らは1種類のGrignard試薬をダブル•アディションする検討を行います。N,N-ジメチルチオホルムアミドと4-クロロフェニルマグネシウムブロミドとの反応(rt, 6 h)では、

Et2O 52% Yield
THF 75% Yield
ClCH2CH2Cl 82% Yield

で目的の三級アミンが得られたそうです。ちなみにチオアミドとGrignard試薬(2-3 eq.)をちょっとづつ変えて、ジクロロエタン中で、11例(63-99% Yield)やってます。

さてネクストステップです。二種類のGrignard試薬をステップワイズに加えていく本命です。で、その前試験の結果がこれ↓


チオアミドに等量のGriganrd試薬を反応させるてクエンチするんですが、ジクロロエタン中では、Grignard試薬が二つ反応した三級アミンと原料のチオアミドがほぼ1:1で得られたそうです。つまり、ジクロロエタン中では、Grignard試薬との反応が、チオアミドより中間体の方が速いっていうことですね。で、いろいろと溶媒を試してみたらしいんですが、その結果、THF中だととりあえず三級アミンの生成は確認されなかったそうです。

この結果を受けて、THF中でチオホルミルモルホリンと二種類のGrignard試薬を使った反応の検討に移ります(10例)。で、用いるGrignard試薬の順番を変えると収率が激変したりします。例えば、4-ClC6H4MgBrとallylmagnesium bromideを使った場合、最初に4-ClC6H4MgBrを反応(1 eq., rt, 1 h)させて、その後allylMgBrを反応(2-3 eq.)させると83% Yield(同じGrignardが2つ入った化合物は検出限界以下)なのに対し、反応させる順番を逆にすると11% Yieldになってしまいます(allyMgBrが2つ入ったのが45%, 4-ClC6H4MgBrが2つ入ったのが20%副生)。反応性の低いGrignard試薬を先に反応させなければならないということです。

あと、N,N-ジメチルチオホルムアミドに4-ClC6H4MgBr (1 eq.)、次いでallylmagnesium bromideを反応(2 eq., rt, 1 h)させる場合、最初に反応の反応温度によって収率が激変します↓

symmetric tert-amine
asymmetric tert-amine
rt., 1 h
38%
0%
0℃, 1 h
19%
52%
-20℃, 5 h
0%
88%

ちなみに、このプロセスではSMgBr基が脱離してdimagnesium sulfide (BrMgSMgBr)が副生するそうです。低温で反応させることでそれを抑制するんですね。ちなみにXMgSMgXはgood thiolating and thionating agentなんだそうです。


今回は以上です。

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