とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, June 13, 2010

鉄のチカラ

こんな文献を読んでみました↓


鉄触媒を用いたクロスカップリング反応の新展開
Recent Advances in Cross-Coupling Reaction Catalyzed by Iron Salts
有機合成化学協会誌 Vol.68 No.1 (2010), 75-76.

まあ、Reviewです。鉄っていう元素は、地球上にいっぱいあって、安いので、近年注目されているようですねということで、鉄が触媒する反応(カップリング)の造詣を深めようと思って読んでみました。

古くは、こんな反応が報告されています↓


J. Am. Chem. Soc. 1971, 93, 1487.



あと、比較的最近報告された有用な反応達↓

(8 examples, 74-94%)


ref. Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 3955.; J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 3686.; Org. Lett. 2004, 6, 1297.; Chem. Commun. 2005, 4161.

鉄触媒を使ったカップリングでは、β-脱離が殆ど起こらないそうです。ホスフィン配位子を用いなくてもO.K.で、高い官能基許容性があるそうです。
(従来は、β:-脱離を抑制するため、配位子、添加剤の設計•選択、反応条件の最適化が必要だったそうです)

あと、こんなのも↓

Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 607.


sp炭素もこんな感じ↓

Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 4862.


ただ、鉄触媒(FeCl3)には、微量に銅が含まれている場合があって、実は真の触媒は銅でしたなんていう、微妙な気持ちでいっぱいになる論文も報告されています。ちなみに、このトピックスは、大分前に、国内No. 1有機化学ブログである、有機化学美術館•分館で「鉄の仮面の下に」という記事で取り上げられています。



cat.

Yield/%
FeCl3 (>98% purity)
79%
FeCl3 (>99% purity)
trace
FeCl3 (>99% purity) + Cu2O (5ppm)
98%
no FeCl3 + Cu2O (5ppm)
97%
ref. Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 5586.; Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 5691.



Metal salt

Yield/%
>98% FeCl3 (Merck)
87
>99.99% FeCl3 (Aldrich))
9
>99.99% FeCl3 + 5ppm Cu2O
78
No Fe + 5ppm Cu2O
77

C&EN. JULY 13, 2009, VOLUME 87, NUMBER 28, P6.


なので、鉄触媒を使った最近の論文では、純度の高いものと低いものの両方を使い、結果の相違無いことを示して、真の触媒は銅ではなく、鉄なんだよといってるのをみますね。

それにつけても、5ppmでもいけるなんて、超高活性ですねこういう事象には、努々気をつけたいものです。

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