鉄触媒を用いたクロスカップリング反応の新展開
Recent Advances in Cross-Coupling Reaction Catalyzed by Iron Salts
有機合成化学協会誌 Vol.68 No.1 (2010), 75-76.
まあ、Reviewです。鉄っていう元素は、地球上にいっぱいあって、安いので、近年注目されているようですね♥ということで、鉄が触媒する反応(カップリング)の造詣を深めようと思って読んでみました。
古くは、こんな反応が報告されています↓
あと、比較的最近報告された有用な反応達↓
ref. Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 3955.; J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 3686.; Org. Lett. 2004, 6, 1297.; Chem. Commun. 2005, 4161.
鉄触媒を使ったカップリングでは、β-脱離が殆ど起こらないそうです。ホスフィン配位子を用いなくてもO.K.で、高い官能基許容性があるそうです。
(従来は、β:-脱離を抑制するため、配位子、添加剤の設計•選択、反応条件の最適化が必要だったそうです)
あと、こんなのも↓
sp炭素もこんな感じ↓
ただ、鉄触媒(FeCl3)には、微量に銅が含まれている場合があって、実は真の触媒は銅でしたなんていう、微妙な気持ちでいっぱいになる論文も報告されています。ちなみに、このトピックスは、大分前に、国内No. 1有機化学ブログである、有機化学美術館•分館で「鉄の仮面の下に」という記事で取り上げられています。
FeCl3 (>98% purity) | |
FeCl3 (>99% purity) | |
FeCl3 (>99% purity) + Cu2O (5ppm) | |
no FeCl3 + Cu2O (5ppm) |
>98% FeCl3 (Merck) | |
>99.99% FeCl3 (Aldrich)) | |
>99.99% FeCl3 + 5ppm Cu2O | |
No Fe + 5ppm Cu2O |
なので、鉄触媒を使った最近の論文では、純度の高いものと低いものの両方を使い、結果の相違無いことを示して、真の触媒は銅ではなく、鉄なんだよといってるのをみますね。
それにつけても、5ppmでもいけるなんて、超高活性ですね♥こういう事象には、努々気をつけたいものです。
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