2013年4月13日土曜日

不安定なアルデヒドのためのReductive Amination

←昨年の秋口に草津に行ってきたんだけど、その時撮った写真(湯畑)です。

やっぱ、草津温泉の泉質はいいね
ホント惚れ惚れしてしまいます。

あと、温泉街で有名と言われる蕎麦屋で蕎麦喰ってきたので、そのメモね↓

-三國屋 memo-
〒377-1711 群馬県吾妻郡草津町大字草津386
TEL: 0279-88-2134
http://aitra.jp/id/mikuniya/

-三国そば (950 JPY) & つけ汁 (各 400 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
2.5人前の蕎麦(12束くらい)が大きなトレイに載って提供される。少し細めの中細麺。風味に特筆すべき点は無いが、蕎麦の太さはしっかり揃っており、啜った時の食感はなかなか良い。
ツユは別料金になり、温かいつけ汁2種類(都汁と田舎汁)から選ぶのが基本。都汁は鴨汁、田舎汁は赤味噌けんちん汁風でどちらも濃厚かつアツアツで汁自体の味はとても美味しい。個人的に「田舎汁」は蕎麦よりも饂飩系(特にきしめん)に合うと思った。
両汁ともこの店の蕎麦との相性(汁との絡み具合)はとても良い。この店の蕎麦は、汁を味わうことに重点がおかれているように思われる。特に、鴨汁との相性はBest Much!両汁ともに、食べ進んでも濃度の低下は気にならない。また、温度の低下は、食べるペースにもよると思うが、個人的にが許容範囲。

-舞茸天盛り合わせ (900 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
舞茸と野菜(茄子、プチトマト、緑の葉っぱ、etc.)の天ぷら。どノーマルで感動はなし。

-秘幻 特別本醸造 (650 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
精米歩合: 55%, アルコール分: 15-16%。浅間酒造が醸す関東信越国税局酒類鑑評会「燗審査の部」三年連続優秀賞のお酒。燗でいただいたんだけど、香りはあまり立たず、少し熟れた果実のfruityな味が感じられる。ほどよいbodyで普通に旨い。淡麗系の酒。


-柏香亭 memo-
〒377-1711 群馬県吾妻郡草津町大字草津376
TEL: 0278-88-2208

-もり (600 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
蕎麦はかなり細め。少し柔らかめだが、弾力は十分。噛み進めると甘みが染み出す。ツユは少し甘めコクは十分。蕎麦との相性も良い。
ただ、蕎麦の切りムラが少し気になることに加えて、ツユは徳利無しで提供されて、食べ進むにつれて薄くなってくるのがかなり気になる。そこそこ美味しい普通の蕎麦屋といった印象。蕎麦自体は三國屋よりも上と思うが、トータル・バランスでは三國屋に軍配というのがボクの評価。


閑話休題


こんな論文を読んでみました↓

Direct Reductive Amination of Aldehyde Bisulfite Adducts Induced by 2-Picoline Borane: Application to the Synthesis of a DPP-IV Inhibitor
J. Org. Chem., 2013, 78, 1655-1659.


アルデヒドの亜硫酸水素ナトリウムの付加体を直接還元アミノ化するというお話です。

16年くらい有機合成やってて、個人的には不安定なアルデヒドにぶち当たったことはないけど、不安定なアルデヒドって結構あります。なので、アルデヒドの状態で一旦単離して次の反応に処すっていう場合、そいつが不安定だった暁には気を揉むことになります。

一方、アルデヒドの亜硫酸水素ナトリウムの付加体は、一般的に安定で、結晶性も良く、そのモノのハンドリング自体は容易です(アルデヒドの精製とかにも使われます)。なので、アルデヒドの亜硫酸水素ナトリウムの付加体をそのままアルデヒドと同種の反応に適用できればなかなか便利です。もし、アルデヒドが不安定な場合には、かなりの効率アップになることは間違いありません。

ちなみに、これまでに報告されているアルデヒドの亜硫酸水素ナトリウムの付加体を使った反応にはこんなのがあります↓

MMP/cyclohexane混合溶媒または2-MeTHF中で水の共沸脱水が必要
Org. Process Res. Dev., 2003, 7, 155-160.

アルデヒド使用時の収率50%から71%に改善。他、11 examples, 79-94% yield。亜硫酸水素ナトリウムの付加体をブレークするのに1 eq.のアミンが必要。2級アミンの実施例しかなし。他の例は安定なアルデヒドを使用。
Synthesis, 2009, 23, 4032-4036.

エナンチオ選択的へテロDiels-Alder
Org. Lett., 2008, 10, 3817-3820.

ジアステレオ選択的Strecker反応
Tetrahedron Lett., 2004, 45, 6579-6581.

で、This Workはこちら↓


(PICB : 2-Picoline Borane)

ぱっとみの収率は煮え切らないものが有りますが、使用しているparent aldehydeが全て(湿気や光や酸素に)不安定(重合したり分解したりする)なものだということに加えて、反応条件が非常にマイルドであるとことを考えると、かなり価値が高いのかもしれないと思います(比較実験がないので分かりにくい)。

著者らがこのような試みを行う発端となったのはこんな基質を使った反応↓


この反応で用いられているヘミアセタールは-20℃以上で不安定で、溶液状態で保存しなければならないので、取り扱いに難があります。一方、対応する亜硫酸水素ナトリウム付加体は安定な固体で、著者らの開発した手法で収率も88%まで改善します。

不安定なアルデヒドで還元アミノ化するときは、是非試してみたい手法と思いました。

2013年4月5日金曜日

Aromatic Cation Activation (6): Alternative to the Mitsunobu Reaction

ラーメン食べてきたので、そのメモ書きます。

-らーめん 木尾田 らーめん (680 JPY) memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
中細のストレートの麺がとても旨い。味、食感、ぷっつりと切れる歯切れが素晴らしい。スープはある程度の粘度を感じる豚骨和風(醤油?)スープで、臭みは殆どなく穏やかで上品な味ながらコクが深い。で、麺とスープが驚くほど絡み合わないんだけど、それがあまり不満ではない不思議なラーメンと思いました。具は、チャーシュー(大したこと無い味)、メンマ、ノリ。「穏やかな旨さ」を感じさせるラーメンと思います。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Cyclopropenone Catalyzed Substitution of Alcohols with Mesylate Ion
Org. Lett.,  2013, 15, 38-41.


Cyclopropenium Cation Activationを利用して、触媒的にアルコールから立体反転させたメシラートをつくるっていうお話です。

(Cyclopropenium Cation Activation→
http://researcher-station.blogspot.jp/2012/03/aromatic-cation-activation-5-catalytic.htmlhttp://researcher-station.blogspot.jp/2011/11/aromatic-cation-activation-4.html,
http://researcher-station.blogspot.jp/2011/08/aromatic-cation-activation-3.html,
http://researcher-station.blogspot.jp/2010/08/aromatic-cation-activation-2.html,
http://researcher-station.blogspot.jp/2010/07/aromatic-cation-activation-1.html)

まず著者らは、化学両論量のジフェニルシクロプロペノン (8)を使って検討を行います↓


キラルアルコール(7)に8を作用させると9が定量的の生成することが確認され、base(この場合はEt3N)を作用させることで立体反転したメシラート(10)が得られます。このとき、Et3Nを添加しないままだとメシラートへの転化率は<10%です。また、8がないと100%リテンションのメシラートが得られます。

次に著者らは7を使ったモデル反応で触媒反応の最適化を行います。触媒反応の最適条件は、7 (1 eq.)とi-Bu3N (0.95 eq.)のCHCl3溶液をシリンジポンプを使い、反応温度55℃で、8 (15 mol%)とMs2O (1.5 eq.)のCHCl3溶液に18時間かけて滴下した後、1時間反応させるというもので、99%eeの7から対応する立体反転したメシラート (10)が94%eeで得られます。ハッキリ言って、この滴下時間の長さはサンプルワーク程度のラボ・ユースには向かないですね(一気に加えると、殆ど選択性が出ない)。あと、プロセス・ユースなら、18時間かけて滴下しても価値があると思いますが、もっとエコな溶媒を検討してみたいと思いました。

他、14の基質に対して触媒反応と化学両論反応で基質一般性を検討しています(より高活性な、シクロプロロペノンの置換基がPMPの触媒も試している)。官能基許容性は、エーテル、エステル、アルキルハライド、チオエーテル、フタルイミドでオッケーだけど、ホモアリルアルコールはダメみたい。15基質中、反応がうまくいかなかったホモアリルアルコールを除いて、立体反転率は85-98%(概ね94%は越してる)。

あと著者らは、副生するジフェニルシクロプロペノン (8)と生成物とが分離し辛いときのために、簡便なジフェニルシクロプロペノン除去法を考案しています↓


ところで、立体反転っていうと光延反応が超有名ですけど、光延反応で立体反転させたメシラートやトシラートの合成例はこんなのがあります↓

nucleophileにp-TsOHを使うと反応が進行しない。
Tetrahedron Lett., 1982, 23, 4461-4464.

J. Org. Chem., 1996, 61, 7955-7956.

Tetrahedron Lett., 1997, 38, 4305-4308.

まあ、どれくらいの転化率と選択性で反応が進むのかが重要と思いますが、実際、光延反応の選択性ってどれくらいなんでしょうか?選択性について網羅された総説とかがあったら教えてください。

とりあえず、Cyclopropenium Cation Activationが光延オルタナティブに成れるかどうか見守っていきたいと思います。

2013年3月24日日曜日

WORK SHIFT: リア充への処方箋

ワーク・シフト」を読了しました。ロンドン・ビジネススクール教授、リンダ・グラットン(Lynda Gratton) の著作です。

本書は未来の働き方を予想した本で、予想される未来においてどういった職業選択をすればリア充になれるかという内容の本です。

これからの社会は、

a) テクノロジーの進化
b) グローバル化の推進
c) 人口構成の変化と長寿化
d) 社会の変化
e) エネルギー・環境問題の深刻化

による影響をモロに受けて、労働市場におけるグローバルな競争が激しくなり、リチャード・フロリダの言う「スパイキーな社会」が到来するだろうと著者は予測しています(リチャード・フロリダの著作がしばしば引用されている)。

すなわち、各国でクリエイティブ・クラスとマックジョブの二極化が進行すると予想しているようです。世界のさまざまな地域の人々にチャンスが開かれる一方で、もともと有利な状況にあった国(先進国)の人々は過酷な試練を突きつけられる。要はグローバルに同一労働同一賃金が具現化するといった社会の到来です。

「スパイキーな社会」が到来した場合、「リア充」なライフ・スタイルを謳歌するためには、価値観を次のように変えなければいけないと言います↓

A) 専門技能に土台を置くキャリア形成=知的資本の強化=ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
B) コクリエーション=孤独な競争から「協力して起こすイノベーションへ」
C) 大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ

まあ、現代人の価値観を、「ゼネラリスト志向」、「孤独な競争」、「大量消費」と十把一絡げにするのは既に古くさい考えでいかがなものかと思うし、提示されている新た(?)な価値観もはっきり言って陳腐だけど、まあ、独自の強み(エッジ)を研いでおく必要があるのは確かだと思います(未来に必要というより、今すぐ必要だよね)。で、リア充向け職業に必要な用件は次の3つで↓

i) その技能が価値を生み出すことが広く理解されていること
ii) その技能の持ち主が少なく、技能に対する需要が供給を上回っていること(希少性)
iii) その技能がほかの人に模倣されにくく、機械によっても代用されにくいこと

になると言います(っていうか当たり前)。

で、これらのことから導き出される著者推奨のお仕事は以下の7つです↓

(1) 草の根市民活動家 (少なくとも、日本では懐疑的と思う)
(2) 社会起業家 (微妙な気持でいっぱい)
(3) ミニ起業家
(4) 生命科学・健康関連(ディフェンシブなニーズがあるよね)
(5) 再生可能エネルギー関連(シェールガスやメタンハイドレート系の技能も伸びるのでは?)
(6) 創造性・イノベーション関連 (クリエイティブ・クラス)
(7) コーチング・ケア関連 (ケア関連はマックジョブくさくね?)

ボク的にはかなり懐疑的なものもあるけど、要はクリエイティブ・クラスがウハウハできるから、「リア充」になりたかったらクリエイティブ・クラスを目指しなさいってことでしょう(これは未来に関係なく、現在もそうでしょ)。

著者の語る価値観のパラダイム・シフト的な話は陳腐で、途中で挿入されている幾編かの近未来小説も堺屋太一の「平成三十年」を軽く想起させられる程度に真新しいものではないような気もするし、やけに新興国贔屓なのも新興国を過大評価し過ぎだと思いましたが、クリエイティブ・クラス志向と、それに伴って創造性の創出には「遊び」が重要だと述べている点についてはシンパシーを感じました。

「遊び」が重要なのは、遊ぶことにより、普通は接点のない要素が組合わさるからであり、クリエイティブ・クラスは遊ばなければ高度な専門技能を磨けないと言います。

で、「遊び」の定義って具体的の何なのって話ですが、仕事が遊びになるのは次の4つで↓

1) 普通はやらないことをする場合(逸脱)
2) 普通やっていることをやらない場合(回避)
3) ものごとを普通より極端にやる場合(強化)
4) 社会生活の普通のパターンをひっくり返す場合(逆転)

なんだそうです。皆さんも明日から職場で遊んでみませんか?

その安全対策は有効ですか?

事故がなくならない理由: 安全対策の落とし穴」という本を読了しました。

著者は京大院卒(修士, 心理学専攻)で、国鉄鉄道労働科学研究所研究員、JR鉄道総合技術研究所主任研究員、立教大文学部心理学科助教授を経て現在立教大現代心理学部教授(文学博士)の職にあり、専門は産業心理学、交通心理学、人間工学です。ちなみに、運輸安全委員会業務改善有識者会議委員、JR西日本「安全研究推進委員会」委員、「日本航空安全アドバイザリーグループ」メンバー、京王電鉄安全アドバイザーを兼任しているようです。まあ、平たく言えば、安全畑の人な訳ですね。

この本には、工学的な安全対策や訓練(安全教育)だけでは、長期的には事故率は減らない(元の水準に戻ってしまう)ということが書かれています。

例えば、

工学的な安全対策が有効に働かない例
1) 車の安全装置→乱暴運転を助長
2)  低タールタバコ→深く吸引したり、本数UP↑
3) 山岳登山者の安全に為に開発された「ビーコン」→より危険な場所に行く
4) 治水工事→洪水が減り、人口が増えて、たまに起きる洪水の被害UP↑(宮古市田老地区では、防波堤ができてから避難訓練の参加率が著しく低下した)

訓練(教育)や経験でミスを犯す可能性がそれほど低下しない例
1) 熟練ドライバー→リスキーな運転をする
2) 楽器演奏→上手くなるとより難度の高い曲に挑戦する
3) ベテランスキーヤー→より難しい斜面に挑む
4) 片田敏孝群大教授が釜石で防災教育したとき、「湾口防波堤もできたことだし、わざわざ来て脅かすのはやめてもらえないか」と言われた。

このように、事故や病気や失敗のリスクを減らすはずの対策や訓練が、結果として事故や病気や失敗のリスクを低下させられないという事例が発生するのは、人間は、低下したリスクを埋め合わせるように行動を変化させ、元のリスク水準に戻してしまう - リスク補償行動をとる - からだそうです(リスク・ホメオスタシス理論。但し、リスク・ホメオスタシス理論の主張する事故率の恒常性は、時間あたりの、地域全体の事故損失)。

ちなみに、リスク補償行動の基本メカニズムは「負のフィードバック」機構で、適正な値を外れると自動的に値を元に戻す(対応策が発動される)というものです。

というわけで、工学的安全対策や訓練は重要ではあるけれど、それだけではダメで、安全への動機づけをうまく行うこと(自発的に受けるリスク量を変えたい(リスクの目標水準を下げたい)と思わせること)が必要となります。要は、

A: リスクを避ける行動の利益を増やす
B: リスクを避ける行動のコストを減らす
C: リスクをとる行動のコストを増やす
D: リスクをとる行動の利益を減らす

といったインセンティブの設定が必要になります。

あと、リスク補償行動以外にも、人間のは「正常性バイアス」というのが働く場合があるそうです。すなわち、リスクに直面した人々が「そんな重大なことが起きているはずがない」と思いたがり、リスクを過小視する傾向があるそうです。

リスク補償と正常性バイアスには努々気をつけたいと思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)でした。


2013年3月9日土曜日

4電子還元でカルボン酸を攻略せよ

先日、、おでん屋に言ってきました。本八幡 お多幸です。

-本八幡 お多幸 memo-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
店員は、短髪の昔気質の職人風の店長(お多幸 日本橋本店の元店長らしい)と、おでん以外の料理担当と思われる超長髪を後ろで束ねた若者男子(見た目は高校生)、長身・短髪のガッシリしたやや赤ら顔の中肉中背でなぜかいつもオドオドしている主にホール担当の見た目中年のオッサン(見た目は少なくとも四十代後半に見えるんだけど、長髪若者に敬語使って話してたので、実年齢は大分若いのかもしれない)の3人。はっきり言って、店はお世辞にも回っているとは言い難く、ホスピタリティの改善が必要。
おでんは、大根、たまご、しらたき、とうふをオーダー(この四品で570 JPY)。おつまみに、春の芽の天ぷら (500 JPY)、お酒は酔鯨(600 JPY)と初霞 (600 JPY)をいただく。
-大根- ★★★☆☆
しっかりと味が染み普通に美味しい。
-たまご- ★★★☆☆
白身部分はほぼ均等にしっかりと色と味が染みており、熱々の状態で食べるととても旨い。しかしながら、冷めるとめちゃくちゃ硬くなり、食感もよろしくなく少し残念な味になってしまう。
-しらたき、とうふ- ★★★☆☆
淡白系のネタは、なんか漂白剤っぽい異臭がする。漂白剤ではないんだろうが、おでんのツユ自体が漂白剤を想起させる匂いがして、淡白な具材だとその匂いが際立って気になる。少なくとも、ボク的には苦手な匂い。
-春の芽の天ぷら- ★★☆☆☆
苦みばかりが際立ち、感動は全くない。
-酔鯨 (雪冷え)- ★★★★☆
普通に美味しい。
-初霞 (雪冷え)- ★★★★★
色は軽く褐色。複雑かつ玄妙な味で旨い。軽く好ましい老香を感じる。秀逸。

食べログでは高評価な店だけど、はっきり言ってたいしたことない店と思いました。神田の尾張家と比べると天と地の差があると思います。


閑話休題


昨年、こんな文献を読んでみました↓

Electron Transfer Reduction of Carboxylic Acids Using SmI2-H2O-Et3N
Org. Lett. 2012, 14, 840-843.


カルボン酸の還元っていうと、(やったことないけど)ボク的に一番最初に思いつくのは、BH3-THF錯体やNaBH4+H2SO4です。

LAH等の強力な金属ヒドリドでもいけるらしいけど、この方法はスマートじゃないよね。

で本報は、SmI2(Kagan's reagent)を使ってカルボン酸を4電子還元するっていうお話です。


ちなみに、SmI2を使ったカルボニル化合物の還元され易さは↓

これまでにSmI2による活性化されていないカルボン酸の還元の報告例はなかったそうです。


さてこの反応、条件はとってもマイルドで概して高収率。Na塩でも還元できます。最適条件は、SmI2: 6 eq., H2O: 18 eq., Et3N: 18 eq.

そしてこの反応、官能基許容性が高いのがウリで、末端オレフィン、内部オレフィンがあってもオッケー(内部オレフィンの場合は、異性化を伴わない)。臭化アリールは臭素が吹っ飛んじゃうけど、フッ化アリール、塩化アリール、アリールトリフルオロメチルユニットはオッケーで、エーテル、チオエーテルがあっても大丈夫です。

それからけっこう複雑な構造の化合物の例↓
94%の収率でカルボキシル基が還元され、対応するアルコールが得られます。

(E)-桂皮酸の還元ではツルンツルンになります。あと、Et3Nの有無で反応の様相が変わります↓

エステルとカルボン酸誘導体の競合反応の結果はこちら↓


最後に推定反応機構↓


なかなか興味深い反応と思いましたが、ぶっちゃけSmI2もSmもかなり高いよね

2013年3月4日月曜日

フルオロホルムを固定化せよ

先日、念願叶ってとうとう神田新八(酒吞みなら一度は行かなければいけない店)に言ってきました(写真は神田祭のときに撮った)。

以下メモです↓

-神田新八 memo-
〒101-0044 千代田区鍛冶町2-9-1
TEL: 03-3254-9729
さすがに噂の居酒屋だけあって、酒の品揃えは目を見張るものがあります。ただ、噂通りプライシングもかなり高めでした。

-お通し=桜えび+大根おろし-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
桜えびのプリプリ、ツルツル感がたまらない。味わいも深く美味。

-森伊蔵 (room temp., neat) 980 JPY-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
芋のわりにかなり淡麗。悪くはないが面白みのあまり感じられない味。oilyさも微弱。焼酎の上善如水というイメージ

-お刺身5点盛り 2,100 JPY-
-REVIEW-
厚めに切られた赤身と(多分)のど黒がとても旨い。濃厚な味と食感が楽しい。(多分)皮ハギはしっとりモチモチ感がなくて少し素っ気なさを感じる。蒸しアワビもあったけど気付いたらなくなってて食べれなくて残念。

-ひこ孫 900 JPY-

-るみ子の酒 あらばしり純米生原酒 880 JPY-

-アウグスビール 780 JPY-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
シックで硬派な味の中にも優しさある味わい

-エビス (生) 780 JPY-

-穴子白焼 1,280 JPY-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
冷えていて少し不満。でもまあ美味しい。

-穴子天ぷら 1,380 JPY-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
アツアツで白身の旨さが迸る。ホクホクですおよ。

-馬刺盛り合せ 2,580 JPY-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
タン、レバーは食べれず。多分、コウネ、フタエゴを食べたと思うんだけど、お馬さん特有の重力感のある味。食感に少し不満。

-旬野菜の天ぷら 1,180 JPY-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
きのこがメイン。普通に美味しい。

-揚げぎんなん 680 JPY-
-RATING- 
-REVIEW-
揚げてあることで、焼きぎんなんとは異なり食感が均質でまんべんなく柔らかい。はっきり言って秀逸な味。

-ふぐひれ酒 1,100 JPY-
-RATING- 
-REVIEW-
普通にとっても旨い

-あつあげ焼 580 JPY-
-RATING- 
-REVIEW-
普通に美味しい


閑話休題


昨年、こんな文献を読んでみました↓

Trifluoromethylation of α-Haloketone
J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 16167-16170.

トリフルオロメタン (CHF3, フルオロホルム, HFC-23)は、テフロン製造時に生成する副生物で、およそ20,000 - 25,000 ton/year産出されているらしいです。その性質は、bp. -82℃, nontoxic, ozone-friendly, 大きな温室効果 (100年のスパンでみると二酸化炭素の11700倍=地球温暖化係数は11700), 大気中には264年滞留し、年間5%ずつ増えているらしいです。

で、副生したフルオロホルムをどうするかっていうのは次の二択で↓

a) ぶっ壊す (なんの生産性もなし。焼却するのは難しいし金がかかる)
b) フッ素化学に役立てる  (反応性低い)

になります。

ということで、反応性の低いフルオロホルムを有機フッ化物に変換するってことは、とっても重要なタスクになっているそうです。ちなみに、フルオロホルムの利用法にはこんなものが有ります↓

1) CHF3 + I2 → CF3I
550℃の高温を要する気相の触媒プロセス。ca. 80% conversion, ca. 60% selectivity。
J. Fluorine Chem. 2012, 140, 7; ACS Synp. Ser. 2005, 911, 57.

2) フルオロホルムのDirect Cupration←これ著者らの前の仕事


CuCF3を用いたハロゲン化アリールやボロン酸のトリフルオロメチル化が報告されています。
J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 20901.←これ著者らの前の仕事


で、本報で報告している著者らの仕事は、CuCF3を使ってα-ハロケトンをハロゲンをトリフルオロメチル基で置換するっていうものです↓


これまでカルボニル化合物のα-トリフルオロメチル化は、エノラートやシリルエノールエーテルへのラジラルや求電子的な付加はあったけど、求核的な反応は本報が初めてらしいです(「C=O」と反応しちゃうから難しい)。

生成物は、反応液中では少し不安定らしく、バッファーにTREAT HF (Et3N・3 HF)を加えると生成物の分解が抑制されます(CuCF3の20-30 mol%)。

通常、有機銅は塩化物に対して反応性が低いらしいのですが、この反応は余裕でクロリドと反応して、高収率で目的物を与えたりします。ただ、ピリジンとクマリンの誘導体やRCOCH(R')X (R'=Me, X=Br; R'=Ph, X=Cl)、α-ハロエステルは反応性が低いそうです。

安くて、すぐ使えるフルオロホルムをアトムエコノミカルなCF3源に活用するっていうのが素敵な仕事と思った、二流大出のなんちゃってテクニシャン(研究補助員)のメモでした。

 

2013年3月3日日曜日

脱水縮合をマイルドに触媒化せよ

あの喜多喜久氏の4作目の単行本「美少女教授・桐島統子の事件研究録」を読了しました。ケミストリー三部作(「ラブ・ケミストリー」、「猫色ケミストリー」、「ラブ・リプレイ」)に続く本作のテーマはズバリ生物学(舞台も東大から移動)。

主人公は完全免疫を持つ男にして、ワトソン役の芝村拓也(東京科学大学1年)。探偵役は日本人女性初のノーベル賞受賞者にして、若返り病によって若返り美少女教授となった桐島統子教授(88歳)。この二人が学内でつくられた有害ウィルス退治に挑みます。ライトなタッチのミステリで、お題は「犯人当て」です。それにつけてもキャンパス(大学)モノは、大人の階段昇ってるかんじの甘酸っぱいニュアンスが一杯で、胸が切なくなるね。
18歳くらいの肉体に若返った桐島先生って、体臭が桃とミルクのいい匂いがするっていう設定んんだけど、これオタクチックで相当ヤバいね(っていって、この小説を嬉々として読んでるオレも相当オタッキー入ってると思いました)。あと、本作に登場する美人院生の斉藤さんがビッチ過ぎで哀しくなりました。


閑話休題


昨年、こんな文献を読んでみました↓

Direct Amidation of Carboxylic Acids Catalyzed by ortho-Iodo Arylboronic Acids: Catalyst Optimization, Scope, and Preliminary Mechanistic Study Supporting a Peculiar Halogen Acceleration Effect
J. Org. Chem. 2012, 77, 8386-8400.



カルボン酸とアミンを触媒的に脱水縮合させるというお話です。しかも、室温で(これは凄い!)。

通常、カルボン酸とアミンのダイレクトカップリングは、化学両論量の縮合剤を使用するのが常と思いますが、試薬はそこそこ高いし、バイプロ(縮合剤のカスなど)が邪魔で、プロセスの完成度は高いとは言い難いと思います。なので、触媒的かつマイルド・コンディションの反応っていうのはかなり価値が高いです。

しかも、この反応で使っているボロン酸触媒はリサイクル可能と好感触。あと、当然だけど副生成物は水だけです。ただ、基質1 mmolあたり2 gのMS 4Aを使わないといけないところが少し残念です。

ちなみに、アリールボロン酸を使った触媒的アミド化の過去の報告例はこちら↓

・>80℃ (Dean-Stark, reflux)


・rt.〜50℃, (4A molecular sieves)



で、著者らはさらなる高活性な触媒システムの構築を試みます。その結果↓


はじめは既報の触媒のハイブリッド触媒を試しますが、鳴かず飛ばずの結果だったので、電子供与性置換基を導入して様子をみて最適触媒に辿り着きました。

次に著者らは最適溶媒を検討します。で、良さげな溶媒はトルエン、ジクロロメタン、クロロベンゼンで、それらの溶媒効果は同等っぽいのですが、その後の反応最適化はジクロロメタンで行われていきます。

(まあ、ラボ的にはジクロロメタンが使いやすいからなんでしょうが、"Green"や"プロセス"を謳って反応開発するならトルエンをチョイスして検討すべきと思います。)


あと、この触媒反応って乾燥剤がないと全然進行しないです。そしてモレキュラーシーブ以外の乾燥剤(CaCl2, MgSO4, Na2SO4, CaSO4, LiCl, CaH2, silica)だと収率は全て< 5%。モレキュラーシーブの中で一番良かったのが4Aという結果です。

で、面白いのは、モレキュラーシーブは脱水剤と貯水剤の二つの役割を果たすと(著者らが推測している)いうことです。
ボロン酸は脱水するとボロキシン(とかオリゴマー)になるので、ボロン酸とボロキシンのどっちが効いてるのかという話になります。そこで、著者らはその検証作業を行います。モレキュラーシーブ存在下で10 mol%のボロキシンを用いて行った反応は、ボロン酸を用いた場合と大差なく円滑に反応が進行する一方で、モレキュラーシーブなしで100 mol%のボロキシンを用いて反応を行うとno reactionという結果を得ます。
さらに輪をかけて面白いのが、CDCl3中、ボロシキンとモレキュラーシーブを室温で10分間反応さえると全てボロン酸になるという事実です。

この辺りの話は、たゆたえども沈まず-有機化学あれこれ-さんの記事が詳しいです 。
see → http://orgchemical.seesaa.net/article/302012879.html (それにつけても、ホント造詣が深いよね、このブログの筆者さんは)。

さらにこの反応で興味深いのは基質の使用量(モル比)と、加える順番が重要となることです。過剰のアミンは反応を劇的のスローダウンさせるので、カルボン酸をちょっぴり多めに使うのがよいです。また、アミンを加える前に、モレキュラーシーブ存在下、カルボン酸とボロン酸触媒をあらかじめ数分間混ぜておくことがとても重要です。このことから、真の触媒活性種はアシルボレートであることが示唆されます↓



少なくともラボユースでは重宝するかもしれない反応と思いました(触媒が売ってれば)。ただ、芳香族アミンは不活性で、鎖状の二級アミンもダメっぽいのが残念です。

以上、二流大出のテクニシャン(研究補助員)のメモでした。

 

2013年1月19日土曜日

世の中に平等なんてない

今日、明日とセンター試験らしいですね。20年前にセンター試験を受けたコンキチです。

ボクがセンター試験を受けたとき、雪が大分降ってて、足下は悪く、2時間以上かけて試験会場までいったんだけど、足は冷たく濡れて寒く、なかなか大変でした。

なんで受験って、北国の田舎には天候的に不利な冬にやるのかなぁって軽く恨めしく思ったものです。

どうでもいいけど、「不公平」だなって思いました。

まあ、世の中にはいろいろと不公平なことがあるけど、そんなことにいちいち腹をたてていたら人生やってられない。

例えば、


「容姿(特に女子)」、「家庭環境」、「地域(国)」


なんてのは、不平等の最たるものと思います。

でも、それらについてあんまり文句を聞かないのは気のせいですか?

「不平等」は社会に許容されているとボクは思います。


2013年1月14日月曜日

「貧すれば鈍する」×「損失回避」ストラテジー


「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか」を読了しました。 福島出身の社会科学者、開沼博氏(1984年-, 東大院)の著作です。

この著作は、所謂3.11以前に仕上げられた修論をベースにした本だそうです。

この本(修論)は、およそ400頁にも渡る大作なんだけど、はっきり言って冗長で、社会学って難解なレトリックを駆使して簡単な結論を婉曲に表現する学問なのかなと思いました。ただ、よくいろいろな資料にあたっているなとは思いました。ただ、原発周辺住民へのインタビューの価値はあまり見いだせなかったけど。
(ちなみに、有機化学を専攻したボクの修論は実験項込みで50頁程度(コミコミで48頁)だ。M1のとくに論文投稿して分かったけど、論文は難しい内容を分かり易く簡潔に記述することが要です。)

で、本書が述べていることは、

田舎のムラは「貧すれば鈍する」状態で、そこに原発を建てて利益供与してやれば、生活の糧のため、既に取得した利益の喪失に対する恐怖のために原発依存症になる

ということと思います。

これは、定数2の柏崎刈羽群選挙区(2011.4.10)の新潟県議選で原発推進・維持の候補2名が当選したこともこの論を指示していると思われるし、沖縄基地問題も全く同じ問題を孕んでいると思います(ただし、地政学上、沖縄の基地は必須でしょう)。

それにつけても、この戦略って良くできてるよね。これといった産業の無い地域に飴を与えてウハウハさせといて依存症にしちゃう。ダウンサイジングは人間の最も苦手とすることとの一つだと思うんだけど、ウハウハ感の喪失=ダインサイジングを回避するのに必死こくんだろうね(損失回避)。

あと、本書の中で述べられている気になった部分をメモしてみます↓

民主党は2000年代後半には労組との協力も確立し一方で「政治主導」のフレーズのもと自民党以上にこれまではなかった極端な原発推進にむけた官僚の動きをとりいれながら原子力を協力に推すことになる(飯田  2010:144)
→節操がない政党「民主党」です。

「この不安定化(電力供給の新たな不安定化)を推し進めているのは新自由主義と呼ばれるような世界規模でおきている大きな構造の変化に他ならない」
→意味分かんないんですけど

「これまで戦後成長と表裏一体の関係にあったエネルギーは、新自由主義の進展のなかで大きな転換を迎えていると言うことができるだろう」
→これもハイブロー過ぎて意味が分からないんですけど

福島県の原子力ムラにいる東電社員には、大きく分けて大卒と高卒に二種類がり、大卒:高卒=1:2程度。
a) 大卒: 東京本社で採用。本人の希望を聞きつつ会社側の都合に応じて職務を振り分けられる。原発は田舎暮らし(福島、新潟、青森)が強いられるため不人気(火力は都市部にもあるから人気)。少しでも原発でもいいとう態度をみせると、間違いなく原発勤務になる。
b) 高卒: 地元雇用。非進学校の成績トップ層とコネ採用。
→やっぱそうだよね

以上、二流大出のなんちゃって研究員の感想でした。


21世紀若者

絶望の国の幸福な若者たち」を読了しました。 最近テレビへの露出も結構ある新進気鋭の社会科学者、古市憲寿氏(1985年-, 慶大SFC→東大院)の著作です。

閉塞感が叫ばれ、若者の不遇や活力の低下がオトナ達によって主張されるようになって久しい今日この頃の日本、賃金は上がらず就職氷河期真っただ中ではあるけれど、物価が下落し高度に洗練された社会インフラが非常に安価に利用できる現在にあって、若者はけっこう幸せだと言います。今を生きる若者は総じて幸福であると著者は説きます。

まあ、いろいろと著者の主張が展開がシニカルでシャープな調子で展開されているんだけど、その中で気になったのは以下の点↓

1) 若者論は大人の自分探しである
→まあ、懐古趣味をチクリと皮肉ってるよね

2) 日本がわけのわからないお祭り気分に包まれたバブル期に戻りたいだろうか。地価や物価が高騰する中で、今から見ればしょぼい「シティーホテル」でまずい「フランス料理」を食べて「トレンディ」する時代に?
→超ウケル。バブルなんて成り上がりものの酔狂なゲームだったのかな?

3) 戦争とは本来ジェノサイドを目指すものではなく、できる限りインフラや人命を残しつつ、最小限の被害で統治機構の破壊を目的とする外交手段である
→戦争は政治(外交)の一形態だってことをよくわかってるね


本書は社会学の脆弱性を前提として書かれていて好感が持てました。あと、「幸福」とは自分の手の届く範囲における相対的問題ということなんだろうなと思いました。そして、現在の幸福度のステージが低いほど幸福感が高い(今後のステージアップが期待できる)という著者の主張は、行動経済学のプロスペクト理論とも合致するような感じで興味深いものがありました。

ただ、日本の高度経済成長(ジャパン・アズ・ナンバーワン)が国家主導のもと達成されたという論には、はなはだ違和感を覚える(少なくとも、産業政策に関しては、国家主導が無策だったっていうのは世界のコンセンサスだと思う)。

それから、最後に佐藤健との対談は、プロモーションの一貫にしかみえず、はっきり言って蛇足以外のなにものでもないと思いました。

まあ、総じて面白い読み物と思った二流大出のなんちゃって研究員でした。