2013年5月26日日曜日

組織のカルチャーという呪縛

つくば CRAFTBEER FESTに行って、腹一杯クラフトビールを吞んできたコンキチです。とっても満喫できましたよ。

メモ↓

-Awa Beer Dark Ale 安房麦酒 ダークエール-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
チョコレートとミソ様のパワフルな香味。とてもよくroastされている。sweet, creamy, bitter。濃密でとても旨い漆黒のビール。
http://beer.awa.or.jp

-LOCO BEER Steam ロコビア スチーム-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
みそ汁っぽい香りが少々。爽やかな甘さ。とってもfruity。しっかりいたボディで、くどすぎず、さっぱりした味わい。そして、ほどよい苦み。middleに重厚さがあって、finishはさっぱり。クリスタル麦芽を使用。温度上昇に伴って、みそ汁臭が強くなる→チョコレート、ミソ様、かつfruityな香りへと変容する。
http://www.shimor.com

-BrewPub PANGAEA Smoky Smoky-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
スッゴクfruityな香り。上品で濃厚で素敵な甘さがあってエキゾチックな果実香がする。その蠱惑的な香りはいつまでも嗅ぎ続けたいと思う。そして、味わいも凄く、とても玄妙。honey様で素敵なfruityさ、sourness、bitter。キレもある。濃蜜でいてはかない不思議な果実の味。まさに美しき毒と形容してもいいかもと思うビールに仕上がっている。温度上昇に伴い、香り高いfruity香、バナナ様の香りがup↑
http://pangaea-senzoku.seesaa.net

-Cateau Kamiya Rye Beer シャトーカミヤ ライ麦ビール-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
とっても香り高いバナナ様の香り。spicyでとっても香り高いfruityさ。それでいて締まった味わい。spicyでcreamyで気高いfruityな香味を発するこのスペクタクルな味わいのビールは、今まで吞んだビールの中で、トップ10に入ることは間違いない。ライ麦麦芽、小麦麦芽を使用し、ヴァイツェン酵母で醸したビール。
http://www.ch-kamiya.jp


やっぱビールの醍醐味っていったら、クラフトビールだよね。国産大手の淡色ラガーでは絶対に味わうことのできない恍惚の景色がそこにはありますよ。
(次回開催時は、COEDO一色を考えてる)


閑話休題


また原子力関連の不祥事が起こりましたね
東海村の日本原子力研究開発機構ですか。

今回の事故は大したことないようですが、2011年の福島第一原子力発電所炉心溶融・水素爆発事故(レベル7)以降、原子力関連事業に対する世間の目は厳しくなり、よりいっそうの慎重な取り扱いと対応が求められている中にあって、この体たらくはどうしたものかといささか暗澹たる気持にさせられます。率直に言って、こんな不誠実な人間が原子力産業に関わってるっていうことが恐ろしいです。

まあ、百歩譲って事故を起こしちゃったのは良しとしましょう。人間だもの、誰しも間違いはあります。しかしながら、報告の遅延(=問題発生後の対処、後処理のまずさ)だけはどうしてもいただけません。あの事故以来、東電のグダグダな対応が批判にさらされているのにも関わらす、学習能力がないのでしょうか?

でも、今回の施設って研究施設でしょ?賢き研究者の方々のオツムはそんなに悪いのでしょうか?

ところで、国内原子力関連施設における事故・不祥事は相当あるようですね。Wikipediaで「原子力事故」で調べるとにこれくらい出てきます(細かいトラブルはもっとあるのでしょう)↓

1973年3月 関西電力美浜発電所燃料棒破損(内部告発により発覚)
1974年9月1日 原子力船「むつ」の放射線漏れ事故(遮蔽リングの設計ミス)
1978年11月2日 東京電力福島第一原子力発電所3号機事故(日本初の臨界事故。事故発生から  29年後の2007年3月22日に発覚。この情報は発電所内でも共有されず、同発電所でもその後繰り返され、他の原発でも(合計少なくとも6件)繰り返される)
1989年1月1日 東京電力福島第二原子力発電所3号機事故(レベル2)
1990年9月9日 東京電力福島第一原子力発電所3号機事故(レベル2)
1991年2月9日 関西電力美浜発電所2号機事故(レベル2)
1991年4月4日 中部電力浜岡原子力発電所3号機事故(レベル2)
1995年12月8日 動力炉・核燃料開発事業団高速増殖炉もんじゅナトリウム漏洩事故(レベル1)
1997年3月11日 動力炉・核燃料開発事業団東海再処理施設アスファルト固化施設火災爆発事故(レベル3)
1998年2月22日 東京電力福島第一原子力発電所(第4号機の定期検査中、137本の制御棒のうちの34本が50分間、全体の25分の1(1ノッチ約15cm)抜けた。)
1999年6月18日 北陸電力志賀原子力発電所1号機事故(2007年3月公表, レベル1-3)
1999年9月30日 東海村JCO核燃料加工施設臨界事故(レベル4)
2004年8月9日 関西電力美浜発電所3号機2次系配管破損事故(レベル0+)
2007年7月16日 新潟県中越沖地震に伴う東京電力柏崎刈羽原子力発電所での一連の事故(レベル0-)
2010年6月17日 東京電力福島第一原子力発電所2号炉緊急自動停止
2011年3月11日 福島第一原子力発電所炉心溶融・水素爆発事故(レベル7)

慎重な対応が求められる事業で、絶対安全とか謳ってる割に事故起こしまくりじゃない?しかも、隠蔽できそうなのは隠蔽しようとしてね?もうこれって、所謂「原子力村」のカルチャーの問題だよね。

若い頃に企業風土変革に関する本を何冊か読んだけど、それで悟ったのは、はっきり言って企業風土(組織のカルチャー)を変えるのは並大抵の努力ではままならないっていうこと。トップダウンとボトムアップのシナジーを高いレベルで実現させなければ、カルチャーの変革は無理と思ったことを記憶しています(see http://researcher-station.blogspot.jp/2006/11/2.html)。

もう、そこまでいくと、ある意味宗教がかってないと無理ですよ(例えば、トヨタとか)。しかも、トップのコミットメントがまず第一に必要で、それがなければ原理的に絶対組織の風土なんて変わりっこないです。

ところで、不祥事の隠蔽は「原子力村」に限ったことではありません。おそらく上場企業、官公庁でも日常茶飯事のところは有りそうだし、地方零細企業レベルではサービス残業当たり前の労働法を無視した会社はたくさんありそうです(ちなみに、オレの母親はサービス残業当たり前派)。要は、人ごとではないと思うんですよね。そんな中で、個人としていかに自分の身を守っていくかということは重要な課題だと改めて思う今日この頃の二流大出のテクニシャン(研究補助員)でした。

とりあえず、必要最低限の労働法の知識を身につけておくべきでしょう。

2013年5月19日日曜日

"Practical"なのか?

先日、東武動物公園に行ったときに撮影した大王ペンギンの遊泳シーンです↓


ホント、気持良さそうに泳ぐよね、ヤツらは。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Practical and Efficient Large-Scale Preparation of Dimethyldioxirane
Org. Process Res. Dev., 2013, 17, 313-316.


ボクは使ったことないけど、Dimethyldioxirane (DMDO)っていう試薬があります。


DMDOは酸や塩基に不安定な基質や加水分解を受け易い基質の酸化に有効な試薬のようです。炭酸水素ナトリウム存在下、アセトンにオキソンを作用させることで調製できますが、その精製・保存は面倒です。やんわり減圧で蒸留し、ドライアイスでトラップして-25℃で保存します(Org. Synth., 1998, Coll. Vol. 9, 288.)。

で、本報は生成したDMDOを、400 mbar、-40℃のコンデンサー二基でトラップするというインプルーブメントです。

また、著者らはDMDO (60-80 mM)を-20℃で保存している間の活性の経時変化を明らかにしています→http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/op300338q
(72 mMの初期濃度が徐々の失活して行き、12ヶ月後にはおよそ40 mM程度になり、そこから濃度は安定し、23ヶ月後でも38 mM)。

DMDOの安定性をより具体的に明らかにした仕事は地味で泥臭いながらもGoog Job!と思うけど、はっきり言ってそれほど"Practical"とは思えませんでした。

著者らは"commercially viable preparation"を謳っており、その意味では"Practical"なのかもしれないけど、ボク的には「超絶面倒くさい」のが「超面倒くさい」方法に改善されたっていう印象です。少なくとも、ボクはラボベースではやる気にならないし、cryogenic conditionが幾分緩和されていますが、はっきり言って-40℃の冷媒流せるコンデンサーって相当ハードル高いと思うんですけど.....orz(今は安くて簡単に導入できるの?)

ところで、"Practical"なオペレーションといえば、"in situ" methodが思い浮かびます。で、軽くサーチしてみると、DMDOをin situ preparationして反応に処すっていう方法がやっぱり報告されてますが、当然、基質や生成物が酸にセンシティブな場合は適応できないです(e-EROS, 但し、酸に安定なものならin situ法が推奨されている)。

ところで、共酸化剤にオキソンを使って、系内でIBXの"S"アナローグを触媒的に発生させる酸化法があります(http://researcher-station.blogspot.jp/2012/01/i.html)。
この反応は、反応の進行とともに水が生成するので、スタンダードな条件では酸に不安定な基質に対しては適応できないと思われますが、Na2SO4を共存させることで酸に不安定な基質にも適応可能となります。

素人考えだけど、DMDOによる酸化も、同様なストラテジー(例えば、加熱が必要になるかもしれないけど水を使わないとか)でインプルーブメントできないのかなと思う二流大出の研究補助員(テクニシャン)でした。


2013年5月14日火曜日

MPV還元を極めろ

ヨドバシアキバの光麺に行ってきたので、そのメモをします↓

-熟成光麺 (730 JPY) memo-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
麺は中くらいの太さで軽くウェーブしている。弾力に富み、プッツリと切れる。芯が中心に僅かに残っている感触で、歯切れが心地よい。スープはしっかりした粘度を感じる濃厚クリーミーな豚骨醤油。臭みは殆どなく、上品な仕上がり。麺とスープの相性も良い。具は、焼豚、メンマ、ネギ、味付玉子。味付玉子以外は具が貧弱な感じ。
食べ進むうちに単調な感じになる。ファーストインプレッションは。トータルの完成度は★★★☆☆。ボクは同じフロアにあるCHABUTONの方が好きだな。


閑話休題


こんな論文を読んでみました↓

Al(OtBu)3 as an Effective Catalyst for the Enhancement of Meerwein–Ponndorf–Verley (MPV) Reductions
Org. Process Res. Dev., 2012, 16, 1301-1306.

Meerwein-Ponndorf-Verley (MPV)還元の話です。

MPV還元において、最も一般的に使用される試薬はAl(OiPr)3ですが、通常、配位子交換は遅くAl(OiPr)3をたくさん使う必要があるそうです。

ということで、そういった問題点を改善する試みがなされていて、これまでに、二座配位アルミニウム試薬 (Angew. Chem. Int. Ed., 1998, 37, 2347-2349.)やアルキルボラン試薬(Bull. Korean Chem., 2002, 23, 1051.; J. Org. Chem., 1985, 50, 5446.)、ランタノイド試薬 (Eur. J. Org, Chem., 2004, 2863.; Tetrahedron Lett., 1991, 32, 2355.; J. Org. Chem., 1984, 49, 2045.)といったインプルーブメントが報告されています(あと、総説→Org. Process Res. Dev., 2006, 10, 1032-1053.)。

著者らは、HIVプロテアーゼインヒビターの重要中間体である(S)-CMK (N-(tert-butyloxycarbonyl)-(3S)-3-amino-1-chloro-4-phenyl-2-butanone)のMPV還元のインプルーブメントを図っていて、Al(OiPr)3の代替試薬としてAl(OtBu)3に着目しました。((S)-CMKのMPV還元はAl(OiPr)3を用いて企業化されている。U.S. Patent 6,867,311 B2, 2005.)

TFA-Al(OtBu)3という系で反応速度をUP↑させるという報告がありますが(TFAが配位子交換を触媒すると推測される)、この方法ではアルドール縮合を抑制できないそうです(J. Org. Chem., 1977, 42, 826.)。

で、ベンズアルデヒド、アセトフェノン、(S)-CMKに対してMPV還元を試してみたところ、Al(OiPr)3に較べてAl(OtBu)3で劇的な反応速度の向上が確認されました。ちなみに、(S)-CMKはジアステレオ選択的の還元され、どっちを使っても(SS)/(S, R)=99.4/0.6。
(反応条件→Al(OR)3: 50 mol%, Solvent: 2-PrOH, Starting material concentrations: 0.166 M, Temp.: 40 or 50˚C)

さらに(S)-CMKの還元においては、Al(OtBu)3の添加量を5 mol%まで減らしても高効率で還元が進行することが分かりました。

そこで、なぜAl(OiPr)3とAl(OtBu)3で効率に劇的な差が出るのかについて、著者らはその会合状態の違いにより説明しています。

Fig.   Structure of the dimeric Al(OtBu)3 and tetrameric Al(OiPr)3 
(Exchangeable ligands are shown in blue)

ベンゼン中、Al(OiPr)3は四量体、Al(OtBu)3は二量体として存在することが知られていて(J. Am Chem. Soc., 1963, 85, 2318.)、2-PrOH中でも会合状態が同様であれば、Al(OiPr)3の六価のAl中心は配位に関与できず、架橋イソプロポキシユニットの立体障害により、tBuOの方がリガンド交換し易いと思われます(架橋アルコキシ基はリガンド交換し難い)。

古典的な反応でも、突き詰めれば改善(イノベーション)の余地はあると言うことを教えてくれた論文と思いました。


2013年5月12日日曜日

Organocatalystの名はピリジン

昨年、コンキチの愛読書「ラーメン発見伝」に原作協力している石神秀幸とラーメン花月嵐がコラボレーションしてできたラーメンを食べたので、メモします(http://www.k2-museum.jp/limited/103_yakuzen_03.html)↓

-薬膳火鍋ラーメン天地  (750 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
ほぼストレートの細麺は、ぷっつり歯切れが良い。スープはスパイシーでクミン様の香りにするスッキリ系のカレー風あっさりスープ。麺のスープはあまり絡まないが、そのため麺を啜ったときに薄味ヘルシー感が演出されているような気もするが、少し物足りない。具は白菜、豚バラ、ネギ、ニラ、クコの実、袋ダケ、キクラゲ、ゴマなど。ニューウェーブ系の洗練された味のラーメンと思いました。スープの素材は龍眼、朝鮮人参、クミン、クローブ、大棗、田七人参、カルダモン、花山椒だとか。


-薬膳火鍋ラーメン天紅  (750 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
「天地」に辣油や唐辛子系スパイスを加えてピリ辛風味にしたラーメン。カレー系にスパイシーさと、唐辛子系のスパイしーさのダブル•スパイシー感は秀逸。天地の物足りなさを上手くカバーしていると思う。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Pyridine Is an Organocatalyst for the Reductive Ozonolysis of Alkenes
Org. Lett., 2012, 14, 2242-2245.


(ボクはまだ一度もやったことないけど)還元的オゾン分解の話です。オゾニドが発熱して自己加速分解する傾向があることに加えて、ジメチルスルフィドにようなマイルドな還元剤との反応は遅くて、深刻な事故が発生する可能性があるようです(イントロに書いてあったけど、そうなんだ)。

(ところで、教科書的な還元的処理は、接触還元、NaI, Mg, Znなどの金属と酸、亜リン酸エステル、Ph3P、ジメチルスルフィド、BH3、LAH、SO2、NaHSO3、SnCl4、FeSO4があり、最もよく使われるのは亜鉛末/酢酸と実験化学講座とかに書いてあったような気がします。)

で、オゾン分解-還元とステップワイズな手法に代わって、in situでカルボニル・オキシドを捕捉して分解しちゃうプロセスって魅力的らしいです(まあ、安全だよね)。

っていうことで、最近報告された著者らのin situメソッドには、カルボニル・オキシドをアミンのN-オキシドや水でトラップするという方法がありますが、塩基性条件であったり、過酸化水素が副生するといったちょっと面倒な問題が生じたりしたそうです。

Org. Lett., 2006, 8, 3199-3201.; Tetrahedron, 2006, 62, 10747-10752.
N-methylmorpholine N-oxide (3 eq.くらい)が良さげ。
CH2Cl2中0℃というマイルドな反応条件。


J.Org. Chem., 2008, 73, 4688-4690.; J. Org. Chem., 2007, 72, 3558-3560.
安定なオゾニドを形成する基質には効かない。
重合生成物が副生する場合がある。

で、This Workですが↓

10 examples, 70-93% yield

ピリジンの添加は1-3 eq.必要で、CH2Cl2中、-78℃で効率的にピリジンがカルボニルオキシドを捕捉します。3-nitropyridine、DMAP、2,6-lutidine、2,6-di-tert-butylpyridine、thiophene、imidazole、1-methylimidazoleも試していますが、ピリジンがベスト。また、実験事実を検証することで上記推定反応機構を提案しています。

また、6つの基質に対して一般的な2 steps procedure (O3, CH2Cl2, -78˚C; Ph3P, 24 h)とピリジン法 (O3, 2-3 eq. of pyridine)の比較を行っていて、おしなべてピリジン法の方が高収率です。

著者らは、このオゾン分解の新手法を

First, General, High-yielding

と謳っていますが、実際、ピリジンを加えて反応するだけで、オゾン分解の安全性と効率がグッと改善されるなんてとっても素敵な反応と思いました。

著者らの一連のオゾン分解に関する研究結果は、こころに留めておいて損は無いと思った二流大出のテクニシャン(研究補助員)でした。


2013年4月13日土曜日

不安定なアルデヒドのためのReductive Amination

←昨年の秋口に草津に行ってきたんだけど、その時撮った写真(湯畑)です。

やっぱ、草津温泉の泉質はいいね
ホント惚れ惚れしてしまいます。

あと、温泉街で有名と言われる蕎麦屋で蕎麦喰ってきたので、そのメモね↓

-三國屋 memo-
〒377-1711 群馬県吾妻郡草津町大字草津386
TEL: 0279-88-2134
http://aitra.jp/id/mikuniya/

-三国そば (950 JPY) & つけ汁 (各 400 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
2.5人前の蕎麦(12束くらい)が大きなトレイに載って提供される。少し細めの中細麺。風味に特筆すべき点は無いが、蕎麦の太さはしっかり揃っており、啜った時の食感はなかなか良い。
ツユは別料金になり、温かいつけ汁2種類(都汁と田舎汁)から選ぶのが基本。都汁は鴨汁、田舎汁は赤味噌けんちん汁風でどちらも濃厚かつアツアツで汁自体の味はとても美味しい。個人的に「田舎汁」は蕎麦よりも饂飩系(特にきしめん)に合うと思った。
両汁ともこの店の蕎麦との相性(汁との絡み具合)はとても良い。この店の蕎麦は、汁を味わうことに重点がおかれているように思われる。特に、鴨汁との相性はBest Much!両汁ともに、食べ進んでも濃度の低下は気にならない。また、温度の低下は、食べるペースにもよると思うが、個人的にが許容範囲。

-舞茸天盛り合わせ (900 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
舞茸と野菜(茄子、プチトマト、緑の葉っぱ、etc.)の天ぷら。どノーマルで感動はなし。

-秘幻 特別本醸造 (650 JPY)-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
精米歩合: 55%, アルコール分: 15-16%。浅間酒造が醸す関東信越国税局酒類鑑評会「燗審査の部」三年連続優秀賞のお酒。燗でいただいたんだけど、香りはあまり立たず、少し熟れた果実のfruityな味が感じられる。ほどよいbodyで普通に旨い。淡麗系の酒。


-柏香亭 memo-
〒377-1711 群馬県吾妻郡草津町大字草津376
TEL: 0278-88-2208

-もり (600 JPY)-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
蕎麦はかなり細め。少し柔らかめだが、弾力は十分。噛み進めると甘みが染み出す。ツユは少し甘めコクは十分。蕎麦との相性も良い。
ただ、蕎麦の切りムラが少し気になることに加えて、ツユは徳利無しで提供されて、食べ進むにつれて薄くなってくるのがかなり気になる。そこそこ美味しい普通の蕎麦屋といった印象。蕎麦自体は三國屋よりも上と思うが、トータル・バランスでは三國屋に軍配というのがボクの評価。


閑話休題


こんな論文を読んでみました↓

Direct Reductive Amination of Aldehyde Bisulfite Adducts Induced by 2-Picoline Borane: Application to the Synthesis of a DPP-IV Inhibitor
J. Org. Chem., 2013, 78, 1655-1659.


アルデヒドの亜硫酸水素ナトリウムの付加体を直接還元アミノ化するというお話です。

16年くらい有機合成やってて、個人的には不安定なアルデヒドにぶち当たったことはないけど、不安定なアルデヒドって結構あります。なので、アルデヒドの状態で一旦単離して次の反応に処すっていう場合、そいつが不安定だった暁には気を揉むことになります。

一方、アルデヒドの亜硫酸水素ナトリウムの付加体は、一般的に安定で、結晶性も良く、そのモノのハンドリング自体は容易です(アルデヒドの精製とかにも使われます)。なので、アルデヒドの亜硫酸水素ナトリウムの付加体をそのままアルデヒドと同種の反応に適用できればなかなか便利です。もし、アルデヒドが不安定な場合には、かなりの効率アップになることは間違いありません。

ちなみに、これまでに報告されているアルデヒドの亜硫酸水素ナトリウムの付加体を使った反応にはこんなのがあります↓

MMP/cyclohexane混合溶媒または2-MeTHF中で水の共沸脱水が必要
Org. Process Res. Dev., 2003, 7, 155-160.

アルデヒド使用時の収率50%から71%に改善。他、11 examples, 79-94% yield。亜硫酸水素ナトリウムの付加体をブレークするのに1 eq.のアミンが必要。2級アミンの実施例しかなし。他の例は安定なアルデヒドを使用。
Synthesis, 2009, 23, 4032-4036.

エナンチオ選択的へテロDiels-Alder
Org. Lett., 2008, 10, 3817-3820.

ジアステレオ選択的Strecker反応
Tetrahedron Lett., 2004, 45, 6579-6581.

で、This Workはこちら↓


(PICB : 2-Picoline Borane)

ぱっとみの収率は煮え切らないものが有りますが、使用しているparent aldehydeが全て(湿気や光や酸素に)不安定(重合したり分解したりする)なものだということに加えて、反応条件が非常にマイルドであるとことを考えると、かなり価値が高いのかもしれないと思います(比較実験がないので分かりにくい)。

著者らがこのような試みを行う発端となったのはこんな基質を使った反応↓


この反応で用いられているヘミアセタールは-20℃以上で不安定で、溶液状態で保存しなければならないので、取り扱いに難があります。一方、対応する亜硫酸水素ナトリウム付加体は安定な固体で、著者らの開発した手法で収率も88%まで改善します。

不安定なアルデヒドで還元アミノ化するときは、是非試してみたい手法と思いました。

2013年4月5日金曜日

Aromatic Cation Activation (6): Alternative to the Mitsunobu Reaction

ラーメン食べてきたので、そのメモ書きます。

-らーめん 木尾田 らーめん (680 JPY) memo-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
中細のストレートの麺がとても旨い。味、食感、ぷっつりと切れる歯切れが素晴らしい。スープはある程度の粘度を感じる豚骨和風(醤油?)スープで、臭みは殆どなく穏やかで上品な味ながらコクが深い。で、麺とスープが驚くほど絡み合わないんだけど、それがあまり不満ではない不思議なラーメンと思いました。具は、チャーシュー(大したこと無い味)、メンマ、ノリ。「穏やかな旨さ」を感じさせるラーメンと思います。


閑話休題


こんな文献を読んでみました↓

Cyclopropenone Catalyzed Substitution of Alcohols with Mesylate Ion
Org. Lett.,  2013, 15, 38-41.


Cyclopropenium Cation Activationを利用して、触媒的にアルコールから立体反転させたメシラートをつくるっていうお話です。

(Cyclopropenium Cation Activation→
http://researcher-station.blogspot.jp/2012/03/aromatic-cation-activation-5-catalytic.htmlhttp://researcher-station.blogspot.jp/2011/11/aromatic-cation-activation-4.html,
http://researcher-station.blogspot.jp/2011/08/aromatic-cation-activation-3.html,
http://researcher-station.blogspot.jp/2010/08/aromatic-cation-activation-2.html,
http://researcher-station.blogspot.jp/2010/07/aromatic-cation-activation-1.html)

まず著者らは、化学両論量のジフェニルシクロプロペノン (8)を使って検討を行います↓


キラルアルコール(7)に8を作用させると9が定量的の生成することが確認され、base(この場合はEt3N)を作用させることで立体反転したメシラート(10)が得られます。このとき、Et3Nを添加しないままだとメシラートへの転化率は<10%です。また、8がないと100%リテンションのメシラートが得られます。

次に著者らは7を使ったモデル反応で触媒反応の最適化を行います。触媒反応の最適条件は、7 (1 eq.)とi-Bu3N (0.95 eq.)のCHCl3溶液をシリンジポンプを使い、反応温度55℃で、8 (15 mol%)とMs2O (1.5 eq.)のCHCl3溶液に18時間かけて滴下した後、1時間反応させるというもので、99%eeの7から対応する立体反転したメシラート (10)が94%eeで得られます。ハッキリ言って、この滴下時間の長さはサンプルワーク程度のラボ・ユースには向かないですね(一気に加えると、殆ど選択性が出ない)。あと、プロセス・ユースなら、18時間かけて滴下しても価値があると思いますが、もっとエコな溶媒を検討してみたいと思いました。

他、14の基質に対して触媒反応と化学両論反応で基質一般性を検討しています(より高活性な、シクロプロロペノンの置換基がPMPの触媒も試している)。官能基許容性は、エーテル、エステル、アルキルハライド、チオエーテル、フタルイミドでオッケーだけど、ホモアリルアルコールはダメみたい。15基質中、反応がうまくいかなかったホモアリルアルコールを除いて、立体反転率は85-98%(概ね94%は越してる)。

あと著者らは、副生するジフェニルシクロプロペノン (8)と生成物とが分離し辛いときのために、簡便なジフェニルシクロプロペノン除去法を考案しています↓


ところで、立体反転っていうと光延反応が超有名ですけど、光延反応で立体反転させたメシラートやトシラートの合成例はこんなのがあります↓

nucleophileにp-TsOHを使うと反応が進行しない。
Tetrahedron Lett., 1982, 23, 4461-4464.

J. Org. Chem., 1996, 61, 7955-7956.

Tetrahedron Lett., 1997, 38, 4305-4308.

まあ、どれくらいの転化率と選択性で反応が進むのかが重要と思いますが、実際、光延反応の選択性ってどれくらいなんでしょうか?選択性について網羅された総説とかがあったら教えてください。

とりあえず、Cyclopropenium Cation Activationが光延オルタナティブに成れるかどうか見守っていきたいと思います。

2013年3月24日日曜日

WORK SHIFT: リア充への処方箋

ワーク・シフト」を読了しました。ロンドン・ビジネススクール教授、リンダ・グラットン(Lynda Gratton) の著作です。

本書は未来の働き方を予想した本で、予想される未来においてどういった職業選択をすればリア充になれるかという内容の本です。

これからの社会は、

a) テクノロジーの進化
b) グローバル化の推進
c) 人口構成の変化と長寿化
d) 社会の変化
e) エネルギー・環境問題の深刻化

による影響をモロに受けて、労働市場におけるグローバルな競争が激しくなり、リチャード・フロリダの言う「スパイキーな社会」が到来するだろうと著者は予測しています(リチャード・フロリダの著作がしばしば引用されている)。

すなわち、各国でクリエイティブ・クラスとマックジョブの二極化が進行すると予想しているようです。世界のさまざまな地域の人々にチャンスが開かれる一方で、もともと有利な状況にあった国(先進国)の人々は過酷な試練を突きつけられる。要はグローバルに同一労働同一賃金が具現化するといった社会の到来です。

「スパイキーな社会」が到来した場合、「リア充」なライフ・スタイルを謳歌するためには、価値観を次のように変えなければいけないと言います↓

A) 専門技能に土台を置くキャリア形成=知的資本の強化=ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
B) コクリエーション=孤独な競争から「協力して起こすイノベーションへ」
C) 大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ

まあ、現代人の価値観を、「ゼネラリスト志向」、「孤独な競争」、「大量消費」と十把一絡げにするのは既に古くさい考えでいかがなものかと思うし、提示されている新た(?)な価値観もはっきり言って陳腐だけど、まあ、独自の強み(エッジ)を研いでおく必要があるのは確かだと思います(未来に必要というより、今すぐ必要だよね)。で、リア充向け職業に必要な用件は次の3つで↓

i) その技能が価値を生み出すことが広く理解されていること
ii) その技能の持ち主が少なく、技能に対する需要が供給を上回っていること(希少性)
iii) その技能がほかの人に模倣されにくく、機械によっても代用されにくいこと

になると言います(っていうか当たり前)。

で、これらのことから導き出される著者推奨のお仕事は以下の7つです↓

(1) 草の根市民活動家 (少なくとも、日本では懐疑的と思う)
(2) 社会起業家 (微妙な気持でいっぱい)
(3) ミニ起業家
(4) 生命科学・健康関連(ディフェンシブなニーズがあるよね)
(5) 再生可能エネルギー関連(シェールガスやメタンハイドレート系の技能も伸びるのでは?)
(6) 創造性・イノベーション関連 (クリエイティブ・クラス)
(7) コーチング・ケア関連 (ケア関連はマックジョブくさくね?)

ボク的にはかなり懐疑的なものもあるけど、要はクリエイティブ・クラスがウハウハできるから、「リア充」になりたかったらクリエイティブ・クラスを目指しなさいってことでしょう(これは未来に関係なく、現在もそうでしょ)。

著者の語る価値観のパラダイム・シフト的な話は陳腐で、途中で挿入されている幾編かの近未来小説も堺屋太一の「平成三十年」を軽く想起させられる程度に真新しいものではないような気もするし、やけに新興国贔屓なのも新興国を過大評価し過ぎだと思いましたが、クリエイティブ・クラス志向と、それに伴って創造性の創出には「遊び」が重要だと述べている点についてはシンパシーを感じました。

「遊び」が重要なのは、遊ぶことにより、普通は接点のない要素が組合わさるからであり、クリエイティブ・クラスは遊ばなければ高度な専門技能を磨けないと言います。

で、「遊び」の定義って具体的の何なのって話ですが、仕事が遊びになるのは次の4つで↓

1) 普通はやらないことをする場合(逸脱)
2) 普通やっていることをやらない場合(回避)
3) ものごとを普通より極端にやる場合(強化)
4) 社会生活の普通のパターンをひっくり返す場合(逆転)

なんだそうです。皆さんも明日から職場で遊んでみませんか?

その安全対策は有効ですか?

事故がなくならない理由: 安全対策の落とし穴」という本を読了しました。

著者は京大院卒(修士, 心理学専攻)で、国鉄鉄道労働科学研究所研究員、JR鉄道総合技術研究所主任研究員、立教大文学部心理学科助教授を経て現在立教大現代心理学部教授(文学博士)の職にあり、専門は産業心理学、交通心理学、人間工学です。ちなみに、運輸安全委員会業務改善有識者会議委員、JR西日本「安全研究推進委員会」委員、「日本航空安全アドバイザリーグループ」メンバー、京王電鉄安全アドバイザーを兼任しているようです。まあ、平たく言えば、安全畑の人な訳ですね。

この本には、工学的な安全対策や訓練(安全教育)だけでは、長期的には事故率は減らない(元の水準に戻ってしまう)ということが書かれています。

例えば、

工学的な安全対策が有効に働かない例
1) 車の安全装置→乱暴運転を助長
2)  低タールタバコ→深く吸引したり、本数UP↑
3) 山岳登山者の安全に為に開発された「ビーコン」→より危険な場所に行く
4) 治水工事→洪水が減り、人口が増えて、たまに起きる洪水の被害UP↑(宮古市田老地区では、防波堤ができてから避難訓練の参加率が著しく低下した)

訓練(教育)や経験でミスを犯す可能性がそれほど低下しない例
1) 熟練ドライバー→リスキーな運転をする
2) 楽器演奏→上手くなるとより難度の高い曲に挑戦する
3) ベテランスキーヤー→より難しい斜面に挑む
4) 片田敏孝群大教授が釜石で防災教育したとき、「湾口防波堤もできたことだし、わざわざ来て脅かすのはやめてもらえないか」と言われた。

このように、事故や病気や失敗のリスクを減らすはずの対策や訓練が、結果として事故や病気や失敗のリスクを低下させられないという事例が発生するのは、人間は、低下したリスクを埋め合わせるように行動を変化させ、元のリスク水準に戻してしまう - リスク補償行動をとる - からだそうです(リスク・ホメオスタシス理論。但し、リスク・ホメオスタシス理論の主張する事故率の恒常性は、時間あたりの、地域全体の事故損失)。

ちなみに、リスク補償行動の基本メカニズムは「負のフィードバック」機構で、適正な値を外れると自動的に値を元に戻す(対応策が発動される)というものです。

というわけで、工学的安全対策や訓練は重要ではあるけれど、それだけではダメで、安全への動機づけをうまく行うこと(自発的に受けるリスク量を変えたい(リスクの目標水準を下げたい)と思わせること)が必要となります。要は、

A: リスクを避ける行動の利益を増やす
B: リスクを避ける行動のコストを減らす
C: リスクをとる行動のコストを増やす
D: リスクをとる行動の利益を減らす

といったインセンティブの設定が必要になります。

あと、リスク補償行動以外にも、人間のは「正常性バイアス」というのが働く場合があるそうです。すなわち、リスクに直面した人々が「そんな重大なことが起きているはずがない」と思いたがり、リスクを過小視する傾向があるそうです。

リスク補償と正常性バイアスには努々気をつけたいと思う二流大出のテクニシャン(研究補助員)でした。


2013年3月9日土曜日

4電子還元でカルボン酸を攻略せよ

先日、、おでん屋に言ってきました。本八幡 お多幸です。

-本八幡 お多幸 memo-
-RATING- ★★☆☆☆
-REVIEW-
店員は、短髪の昔気質の職人風の店長(お多幸 日本橋本店の元店長らしい)と、おでん以外の料理担当と思われる超長髪を後ろで束ねた若者男子(見た目は高校生)、長身・短髪のガッシリしたやや赤ら顔の中肉中背でなぜかいつもオドオドしている主にホール担当の見た目中年のオッサン(見た目は少なくとも四十代後半に見えるんだけど、長髪若者に敬語使って話してたので、実年齢は大分若いのかもしれない)の3人。はっきり言って、店はお世辞にも回っているとは言い難く、ホスピタリティの改善が必要。
おでんは、大根、たまご、しらたき、とうふをオーダー(この四品で570 JPY)。おつまみに、春の芽の天ぷら (500 JPY)、お酒は酔鯨(600 JPY)と初霞 (600 JPY)をいただく。
-大根- ★★★☆☆
しっかりと味が染み普通に美味しい。
-たまご- ★★★☆☆
白身部分はほぼ均等にしっかりと色と味が染みており、熱々の状態で食べるととても旨い。しかしながら、冷めるとめちゃくちゃ硬くなり、食感もよろしくなく少し残念な味になってしまう。
-しらたき、とうふ- ★★★☆☆
淡白系のネタは、なんか漂白剤っぽい異臭がする。漂白剤ではないんだろうが、おでんのツユ自体が漂白剤を想起させる匂いがして、淡白な具材だとその匂いが際立って気になる。少なくとも、ボク的には苦手な匂い。
-春の芽の天ぷら- ★★☆☆☆
苦みばかりが際立ち、感動は全くない。
-酔鯨 (雪冷え)- ★★★★☆
普通に美味しい。
-初霞 (雪冷え)- ★★★★★
色は軽く褐色。複雑かつ玄妙な味で旨い。軽く好ましい老香を感じる。秀逸。

食べログでは高評価な店だけど、はっきり言ってたいしたことない店と思いました。神田の尾張家と比べると天と地の差があると思います。


閑話休題


昨年、こんな文献を読んでみました↓

Electron Transfer Reduction of Carboxylic Acids Using SmI2-H2O-Et3N
Org. Lett. 2012, 14, 840-843.


カルボン酸の還元っていうと、(やったことないけど)ボク的に一番最初に思いつくのは、BH3-THF錯体やNaBH4+H2SO4です。

LAH等の強力な金属ヒドリドでもいけるらしいけど、この方法はスマートじゃないよね。

で本報は、SmI2(Kagan's reagent)を使ってカルボン酸を4電子還元するっていうお話です。


ちなみに、SmI2を使ったカルボニル化合物の還元され易さは↓

これまでにSmI2による活性化されていないカルボン酸の還元の報告例はなかったそうです。


さてこの反応、条件はとってもマイルドで概して高収率。Na塩でも還元できます。最適条件は、SmI2: 6 eq., H2O: 18 eq., Et3N: 18 eq.

そしてこの反応、官能基許容性が高いのがウリで、末端オレフィン、内部オレフィンがあってもオッケー(内部オレフィンの場合は、異性化を伴わない)。臭化アリールは臭素が吹っ飛んじゃうけど、フッ化アリール、塩化アリール、アリールトリフルオロメチルユニットはオッケーで、エーテル、チオエーテルがあっても大丈夫です。

それからけっこう複雑な構造の化合物の例↓
94%の収率でカルボキシル基が還元され、対応するアルコールが得られます。

(E)-桂皮酸の還元ではツルンツルンになります。あと、Et3Nの有無で反応の様相が変わります↓

エステルとカルボン酸誘導体の競合反応の結果はこちら↓


最後に推定反応機構↓


なかなか興味深い反応と思いましたが、ぶっちゃけSmI2もSmもかなり高いよね

2013年3月4日月曜日

フルオロホルムを固定化せよ

先日、念願叶ってとうとう神田新八(酒吞みなら一度は行かなければいけない店)に言ってきました(写真は神田祭のときに撮った)。

以下メモです↓

-神田新八 memo-
〒101-0044 千代田区鍛冶町2-9-1
TEL: 03-3254-9729
さすがに噂の居酒屋だけあって、酒の品揃えは目を見張るものがあります。ただ、噂通りプライシングもかなり高めでした。

-お通し=桜えび+大根おろし-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
桜えびのプリプリ、ツルツル感がたまらない。味わいも深く美味。

-森伊蔵 (room temp., neat) 980 JPY-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
芋のわりにかなり淡麗。悪くはないが面白みのあまり感じられない味。oilyさも微弱。焼酎の上善如水というイメージ

-お刺身5点盛り 2,100 JPY-
-REVIEW-
厚めに切られた赤身と(多分)のど黒がとても旨い。濃厚な味と食感が楽しい。(多分)皮ハギはしっとりモチモチ感がなくて少し素っ気なさを感じる。蒸しアワビもあったけど気付いたらなくなってて食べれなくて残念。

-ひこ孫 900 JPY-

-るみ子の酒 あらばしり純米生原酒 880 JPY-

-アウグスビール 780 JPY-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
シックで硬派な味の中にも優しさある味わい

-エビス (生) 780 JPY-

-穴子白焼 1,280 JPY-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
冷えていて少し不満。でもまあ美味しい。

-穴子天ぷら 1,380 JPY-
-RATING- ★★★★★
-REVIEW-
アツアツで白身の旨さが迸る。ホクホクですおよ。

-馬刺盛り合せ 2,580 JPY-
-RATING- ★★★☆☆
-REVIEW-
タン、レバーは食べれず。多分、コウネ、フタエゴを食べたと思うんだけど、お馬さん特有の重力感のある味。食感に少し不満。

-旬野菜の天ぷら 1,180 JPY-
-RATING- ★★★★☆
-REVIEW-
きのこがメイン。普通に美味しい。

-揚げぎんなん 680 JPY-
-RATING- 
-REVIEW-
揚げてあることで、焼きぎんなんとは異なり食感が均質でまんべんなく柔らかい。はっきり言って秀逸な味。

-ふぐひれ酒 1,100 JPY-
-RATING- 
-REVIEW-
普通にとっても旨い

-あつあげ焼 580 JPY-
-RATING- 
-REVIEW-
普通に美味しい


閑話休題


昨年、こんな文献を読んでみました↓

Trifluoromethylation of α-Haloketone
J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 16167-16170.

トリフルオロメタン (CHF3, フルオロホルム, HFC-23)は、テフロン製造時に生成する副生物で、およそ20,000 - 25,000 ton/year産出されているらしいです。その性質は、bp. -82℃, nontoxic, ozone-friendly, 大きな温室効果 (100年のスパンでみると二酸化炭素の11700倍=地球温暖化係数は11700), 大気中には264年滞留し、年間5%ずつ増えているらしいです。

で、副生したフルオロホルムをどうするかっていうのは次の二択で↓

a) ぶっ壊す (なんの生産性もなし。焼却するのは難しいし金がかかる)
b) フッ素化学に役立てる  (反応性低い)

になります。

ということで、反応性の低いフルオロホルムを有機フッ化物に変換するってことは、とっても重要なタスクになっているそうです。ちなみに、フルオロホルムの利用法にはこんなものが有ります↓

1) CHF3 + I2 → CF3I
550℃の高温を要する気相の触媒プロセス。ca. 80% conversion, ca. 60% selectivity。
J. Fluorine Chem. 2012, 140, 7; ACS Synp. Ser. 2005, 911, 57.

2) フルオロホルムのDirect Cupration←これ著者らの前の仕事


CuCF3を用いたハロゲン化アリールやボロン酸のトリフルオロメチル化が報告されています。
J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 20901.←これ著者らの前の仕事


で、本報で報告している著者らの仕事は、CuCF3を使ってα-ハロケトンをハロゲンをトリフルオロメチル基で置換するっていうものです↓


これまでカルボニル化合物のα-トリフルオロメチル化は、エノラートやシリルエノールエーテルへのラジラルや求電子的な付加はあったけど、求核的な反応は本報が初めてらしいです(「C=O」と反応しちゃうから難しい)。

生成物は、反応液中では少し不安定らしく、バッファーにTREAT HF (Et3N・3 HF)を加えると生成物の分解が抑制されます(CuCF3の20-30 mol%)。

通常、有機銅は塩化物に対して反応性が低いらしいのですが、この反応は余裕でクロリドと反応して、高収率で目的物を与えたりします。ただ、ピリジンとクマリンの誘導体やRCOCH(R')X (R'=Me, X=Br; R'=Ph, X=Cl)、α-ハロエステルは反応性が低いそうです。

安くて、すぐ使えるフルオロホルムをアトムエコノミカルなCF3源に活用するっていうのが素敵な仕事と思った、二流大出のなんちゃってテクニシャン(研究補助員)のメモでした。