とある化学の超ガテン系

実験嫌いの実験化学者が綴る企業の研究員の日常 (このブログはMac OS Xに最適化されています)




Sunday, November 30, 2008

中流の戦略 (5)

チーム・バチスタの栄光を観賞してみました↓


原作は読んでいないのですが、超面白かったですね。確か文庫で上下2冊でそれなりのボリュームがあると思うんだけど、上手くコンパクトにまとめて映像化したものだと感心させられます。

あと、キャストがよかったと思います。特に、竹内結子と阿部ちゃんがグッドと思いました。特に、阿部ちゃんの(トリックで培った?)クセのある芝居は最高です。


閑話休題


先日、近所の紀伊国屋に週刊東洋経済を買いにいったら、プレジデントのバックナンバーがあありました。で、「2008 5.5号 給料格差 新•図鑑」というのがありました。プレジデントっていうと、毎年11月くらい上場企業の平均年収のランキングをセクターごとに軽くまとめた、ある意味手抜き記事を掲載していますが、今回手に取った号をパラパラめくってみると改善がみられていました。どこが改善されていたかというと↓

a) 業界間の給与格差を明確に訴えていた
(でも、ざっくりとした分類。もっと細かくセグメンテーションして考えるべきだね)

b) ワーク•ライフ•バランスについて言及している
(平均残業時間、有給休暇取得実績ってデータがあるんだね。平均残業時間は就職四季報に収録されてるそうですが、有給休暇取得実績ってどこで公表されてるのか知ってる人がいたら教えてください)

c) ごく少数だけど、メジャーな企業のざっくりしたキャリア•パスが例示されている
(これって、社員のインタビューとか内部資料の開示がないと分からないと思うんだけど、情報提供す側に法的問題はないの?)
っていうかMyNewsJapanから引っ張ってきた資料なのかな?筆者がMyNewsJapanの運営者だからね。信頼性には疑問が残るね。


プレジってけっこう俗っぽい雑誌と思うけど、俗っぽいことを知っておくことも重要と思います。っていうか、巷で正規雇用と非正規雇用の格差がどうのこうのと言ってる人がいるようだけど、上場企業の正規雇用の中にあってあえ、天と地ほどの格差(っていう表現は適切じゃないと思うけど)が存在することに気づくべきで、(トップクラスの高額給与をゲットっしてる)マスコミはそのことを世に周知すべきと思うな。

それから、率直な話、人件費って安い方がいいでしょ。でも、給料がめちゃめちゃ高い産業とか職種っていうのがある。結局、それって人材としての希少性に由来するんじゃない?需要と供給だよね。そいいったことを教育することっ重要だと思うな。自分は自分の子供達にそういうことを教育していくと思う。


まあ、中流の戦略とかいっていろいろ書いてきましたが、ポイントは以下の通りと思います↓

a) 事業素養が良い産業をターゲッテッィング
b) 給料の良い業界をターゲッテッィング
c) 少なくとも平均勤続年数くらいはチェックする
d) 自分にあった(長くできそうな)職種を選択する
e) 退職給付制度のことを考えて、30年超定年まで奉公する
f) 「どうしても辞めたいと」思ったときのために、キャリアの断絶は回避する。万が一転職するときに有利。同じ事業素養がよく給料の高い会社に転職できる可能性が高まる。
g) 会社は宗教と認識する。会社にまるっきり洗脳されるのも一つの方策と思うけど、常識と良識を失いたくなかったら洗脳されないように自分を強く持つ。ただし、社内では目をつけれれないように洗脳にかかっているふりをする。強弱はあるけど、企業には宗教的面は存在すると思うな。

っていう感じかと思います。


どうでしょう?人材としての希少性が希薄な某二流大出のなんちゃって研究員の中流の戦略でした。

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就職氷河期?

先日、ラフのDVDを観ました↓



はっきり言って、長澤まさみファンにはたまらない出来に仕上がっています。平成の南ちゃんだね長澤まさみは。ちなみに、コンキチは、若い頃、あだち充の漫画をそこそこ読んでいて、ナイン、陽あたり良好!、みゆき、タッチ、スローステップをコンプリートしましたが、ラフはぱらぱらっとしか読んだことがなく、今回のDVDがほぼ初体験でした。

それにけても、青春ラブコメが上手いね、あだち充は。


閑話休題


最近、来春大学卒業見込み者の内定取消の話題が世間を賑わせているようです。ちょっと前までは、団塊世代の大量退職による人不足(2007年問題)とか空前の売り手市場とかなんとかいわれていたような気がしたのですが、今度は一転して就職氷河期の再来ですか?

全く世間の風評とは移り気な物だなあと思う今日このごろです。っていうか、内定取消の件数って何件くらいあるの?メディアはネガティブなニュースを好むから、就職氷河期とう不安を煽るために、件数が少なくても軽く世間の耳目を集めることができそうなことのスポットを集中しているだけっていう気もする。

先日どこかのニュース番組で、不動産関連企業で内定取消が多いっていう報道がなされていた気がしたけど、不動産業界ってそもそも事業素養が良くないし(ただし、賃貸は良いと思う。衣食住は基本だからね)、はっきり言って、そういうところを就職先としてターゲッティッングする時点で終わってると思う。

また、不況だからといって一時的な経費節減のために新卒採用を控えた結果によって、企業内の人員構成が歪められるデメリットが大きいことを過去の教訓として知っているまともな企業は、簡単に内定取消しすることはないでしょう。それに、内定取消したっていう情報が駆け巡ることによるデメリットも大きいと思うし(まともな学生がエントリーしなくなるからね)。

あと、トヨタが大幅減益見通しで大変だあ大変だなんていってるけど、自動車産業って産業構造的に不景気になれば買い控えが生じやすい業界だと思うし、大騒ぎすることじゃないと思うな。それに、IR資料とかチェックしてないけど、過去の巨額の内部留保があるんじゃないの?(間違ってたらごめんなさい)。

ゴーイング•コンサーンたるまともな企業は、よっぽどのことが無い限り内定取消とかしないと思うな。なので、内定取消する企業は、まともじゃない企業か、アップアップな企業で、いずでは破綻の憂き目にあう可能性の高いヤバい会社じゃないの?っていう気がします。

日本の企業は非正社員に厳しいから、内定取消の憂き目にあった人は、戦略的留年とかするなりして、その間に業界研究とかしっかりやって(上場企業とか有価証券届出書提出会社を狙ってる人だったら、有報とかのIR資料を読む。当然、競合他社のそういった資料も読むくらいのことはする)、事業素養が良く、かつ給料の良い会社に正社員入社することを目指すのも手かなと思います。

それから就職テクニックを一つ紹介(まだ有効かどうか分からないけど)。大学の工学部とかの理系の研究室では、企業との共同研究とかしてる場合とかあって、教授のコネクションとかがある場合があります。なので、就職活動時期に先生から就職先を紹介される場合があります。ちなみに、コンキチはク◯レと山之内◯薬(当時)を紹介されました。先輩は日本ゼ◯ンとか、D◯Cとかチ◯ソとか日産◯学とかミヨ◯油脂に就職してたな(全てにおいて教授マジックが炸裂したわけではないと思うけど、就職のよい先生というのは地方大学でもいます)。あと、コンキチの同期入社で、香料会社だったら長谷川◯料を紹介できるけどと担当教授から言われたという人もいます。っていうか、バブル期にコネ入社した先輩がけっこういるし、共同研究いていた教授の息子(博士)も会社の先輩にいました。余談だけど、同期入社の女の子でお父さんが社員とか、工場関係でのコネ入社の話も何件か耳にしました。

なので、企業に就職してサラリーマン人生を謳歌しとうと考えている人は、大学で何の役に立つのか分からない&何勉強してるか分からない文系なんか選択せず(っていうか我が国のサーベイはレベル低いらしいし see 「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書))、理系に進んで、しっかり研究活動に励んで手に職つけて、就職の良い教授にいい就職先(大企業)を紹介してもらいましょう。そうすれば、理系離れも解消され一石二鳥だと思うんですが。


以上、超就職氷河期(1999年)に就職した二流大出のなんちゃって研究員の無責任なつぶやきでした。

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Saturday, November 29, 2008

The Choice

遅ればせながら、エリヤフ•ゴールドラット博士の新作「ザ・チョイス―複雑さに惑わされるな!」を読了しました。ちなみに、日米同時発売だったらしいです。



さて、率直な感想ですが、軽くガッカリです。これまでの著作で感じられた新ルールというのが感じられなかった。っていうか、本書の多くの部分は、我が国にカリスマ経営者である鈴木会長が口を酸っぱくして繰り返し語り続けてきたことのおさらいとさえ思えました。

具体的には、

a) 最初の方では機会損失とタンピンカンリ(単品管理: 売れ筋•死に筋の管理)に着目することの重要性が語られているけど、セブン-イレブンのオペレーションに酷似していると思いました。

b) あと、サプライ•チェーンにおけるWin-Winの関係構築というのも、トヨタやホンダのケイレツにおいて既に具現化されている気がする。例えば、DHBR 2005年6月号 「在庫最適化のサプライチェーン」の中の『トヨタとホンダのサプライチェーン・リレーションシップ「KEIRETSU」マネジメント』やボス、在庫が大変です!―サプライチェーン・マネジメント(SCM)はこうして始まる!?に書いてあることに酷似していると思う。っていうか、SCMを突き詰めていくと、トヨタ生産方式に収斂していくと思う。実際、ゴールドラット博士も大野氏を尊敬しているようだし。

c) それから、「決して、分かったつもりになるな」という所謂、常識を盲信するなというのも、いろいろな人が繰り返し述べている事と思うし、(B2Bであっても)顧客の視点を取り入れるというのも、鈴木会長の、「顧客のためではなく、顧客の立場にたって」というのに酷似していると思います。

d) コンフォートゾーンというのも行動経済学チックだし、一見自分が理解し易い安直な結論を導きだす危険性に関する部分は、頭の良さ(抽象的思考)とか、知識量(経験量、単に知っているかどうか)とかフレームワークを使うことで解決できるような気がする。

e) 「ものごとは、そもそもシンプルである」というのも、特にインパクトは感じられなかった。っていうか、人間は判断は二者択一の連続だし、複雑=沢山の単純(単純×無限大)だとも思うし。あと、01信号とかを考えると特に奇異にはきこえないな。


ただ、これまでの著作通り、噛み砕いて分かり易い文章は良いと思いました。SCMを平易な文章で概観するという意味と、アパレルとかパン屋の具体的な事例研究という意味では価値があると思いました。特に、アパレルの話は、ZARA(see DHBR 2005年6月号 「在庫最適化のサプライチェーン」の中の『ザラ:スペイン版トヨタ生産方式』)とは好対照な戦略が記述されていて面白いです。


因みに、博士のこれまでの著作はこちら↓



ちなみにコンキチはコンプリートしています。

あと、スループット会計がよく分かる本ね↓


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Thursday, November 27, 2008

Hard & Soft: Co-opetition (1.5)

先日、トムヤム春雨というパンチの効いた辛さの即席食品を食べたというブログを書きました。
see http://researcher-station.blogspot.jp/2008/11/water-soluble-carbodiimide.html

調子にのって、今度はこんな類似商品を試してみました↓

春雨ではなく、トムヤムビーフンです。
自分的には春雨よりもビーフンの方が良かったです。


さて本題ですが、「DHBR 2007年6月号 「勝利」の戦略論」の中の論文

「ハード•パワー」と「ソフト•パワー」を駆使する補完企業との戦略的パートナリング

を読んでみました。

気になったことえを以下にメモします↓

a) ウィンテル: MS (Microsoft)のハード•パワー
インテルがMMX計画(これか?)を進めていたとき、AMD(アドバンスト•マイクロ•デバイス; 半導体メーカー)が3DXという(同様な?)プロジェクトを進めていてハードウェアプラットフォームの分裂の可能性があった。MMXとAMDそれぞれにOS (Widows)を供給しなければならなくなると、MS的にはコスト上昇になってしまう。
で、MSはインテルに、他の半導体メーカーにMMXを無償でライセンス供与することを要求した。
その後、インテルはMSの力を弱めるため、リナックスの普及を支援した。

b) Appleのソフト•パワーとハード•パワー: iTunesストア
ソフト•パワー戦略では、「すべての関係者が利益を得る」といった魅力的なヴィジョンを公に広く訴えることが重要と著者は説きます。で、それが上手なのがスティーブ•ジョブズと言います。
iTunesストアを立ち上げる際、「なぜデジタル著作権を相手に渡さなければならないのか」とぶつぶつ文句を言っていた(レコード会社の)人たちが、「アップルだけに限定配信したい」と言い出したそうです。ここまではソフト•パワー。
2003年にスタートしたiTunesストアが2005年に契約更改するとき、アップルはレコード会社の値上げ要求を拒否したそうです。ちなみにこの時、アップルは合法ダウンロード市場シェア80%で、ハード•パワーを行使するに足る市場の覇者だったのです。

c) ソフト•パワーを学ぶ: IBMとリナックス
IBMがリナックスを支援したという話。で、IBMは、恩ぎせがましさとか主導権を奪取しようとかそういうことを一切リナックスに要求することなしにリナックスを一番支援したそうです。すると、IBMはリナックス支援団体(?)の盟主的存在になったそうです、automaticallyに。

-感想-
aのウィンテルの事例は、MSがやりすぎたんだよね。窮鼠猫を噛むまではいかないけど、そんな感じ。
bのiTunesストアは、軟硬上手に使い分けた例と思います。ジョブズの性格が上手く出たのかな?っていう感じです。
cのIBM-リナックスのホットラインは、返報性がソフト•パワーを誘起したと感じました。

-まとめ-
本報では、「ハード•パワー」は事態の急転に有効。「ソフト•パワー」は中小企業でも可能な戦略(っていうかよっぽどエッジが尖ってないと中小にハード•パワーの行使は無理だよね)。時間がかかる。因果の特定が困難ということが挙げられていました。まあ、両者バランスをとって併用するのが良いのでしょう。


この論文では、コンキチが読書中の「ゲーム理論で勝つ経営」(「コーペティション経営」の改題文庫本)について言及されていjます。で、補完企業というか、周辺企業というか、そういった企業との関係というかパワー•バランスというか、なんかそういうの考えるのって面白いなと思う二流大出のなんちゃって研究員でした(完璧、徒然です)。

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Monday, November 24, 2008

デファクト•スタンダードの真実

先日、会社帰りにAKIBA TOLIMの中に入っている82 ALE HOUSEというお店に寄り道してみました。

で、こんな飲み物達をオーダーしてみました↓


←まずはヴァイツェンを1/2 pint (¥500)。
控えめだけれど品の良い香りと、芳醇なモルトの香味で良いです。






で、ビールを呑み干したあとにオーダーしたのは、コンキチの大好きなアイラモルト「ラフロイグ 10年」のロック(¥500)↓


smokyで、薬品臭くて、oilyで、メチャクチャ口当たりが良くて、芳醇な甘い香味、一度知ったらやめられない。そんな蠱惑的な至高のプレミアム•スコッチの一つです。
はっきり言って、文句無く旨い!!!


cf. http://realsakeguide.blogspot.com/2006/07/laphroaig-10-years-old.html

ラフロイグの余韻を存分に堪能した後、最後に注文したのが↓

←アイラハイボール(¥600)です。ベース•モルトにラフロイグを使っているという一品。っていうか、純粋にラフロイグのハイボールを飲みたかったんだけど、よくよく商品説明を読んでみると、「スモーキーでオイリーな個性のラフロイグをベースにロンドン生まれのリキュールをあわせたマニアックなハイボール」と書いてあるではありませんか。で、そのリキュールっていうのが、ハーブ系のリキュールっぽいように思ったんだけど、はっきり言ってイマイチでした。薬品系の香味を重ねるという意図のカクテル(ハイボール)だったのかな?

店員の愛想もよくて、なかなか良い雰囲気の店と思いました。これから月に1回くらいは行きたいな(アイラハイボールはもう注文しませんが)。

さて、前置きな長くなりましたが、「DHBR 2007年6月号 「勝利」の戦略論」の中の論文「デファクト•スタンダードの真実」を読んでみました。著者は、早稲田ビジネススクールの山田英夫教授(名前がコンキチの大好きな有栖川有栖の作品に登場する英都大学助教授火村英生と名前が似ていて親近感が湧きます)。

経営学とかの社会科学の分野では、国内の書は読むに値しない駄作が多いという噂を耳にしますが、本論文は、(少なくともコンキチ的には)なかなか良いことが書いてあると思ったのでメモしてみます。

まず、デファクト•スタンダードの定義ですが↓

a) ネットワーク外部性が働く
b) 高いスイッチングコスト

を満たすものと定義されています。

で、デファクト•スタンダードの地位を獲得すると、企業は長期的な大きな利益に浴することができるというイメージが世間にはあるように思われますが、必ずしもそうではないと著者は説きます。競争の激しハイテク分野では、デジタル化というイノベーションの波や賢い消費者の選択により、デファクト•スタンダードの優位性は引き下げられているといいます(例えば、VHSはデファクト•スタンダードだったが、もう今はDVDとかブルー•レイでしょ。しかも、1社が独占しているわけではない)。

ただ、ハイテク分野(だけに限らないけど)とかでも、「見えないビジネス」でデファクト•スタンダードの地位を獲得して寡占化してしまう戦略は有効である可能性が高いと述べられています。つまり、エンドユーザーから見えないB2Bの部分、最終製品の中のキーデバイスでデファクト•スタンダードとなるという戦略です。で、本報では最近(当時?)注目のデファクトとして以下の事業が列挙あれています↓

a) フェリカ (ソニ)
b) SAWフィルター (富士通)
c) カメラ付き携帯の目 (ソニー)
d) iPodのHDD (東芝、日立)
e) 小型大容量メモリーカード (SD、MS、マルチメディアカード、CF等)の知財マネジメント (サンディスク)
f) 全国百貨店共通商品券の発行(印刷)とネッティング(一括清算業務) (DNP)
g) マイレージ (JAL)

ちなみに、JALの例は、「JALマイレージバンク加盟店で消費者が買い物すると代金の1%分のマイルが付与される。加盟店はJALに1マイル当たり、3-5円支払う。JALカードによる支払いは10%前後をJALに支払う。」のだそうです。
ref. 週刊東洋経済 2007年1月20日号

あと、コンキチの無責任な思いつきとしては、日本電産のモーターなんかも隠れデファクト(勝手に命名)と思います。

隠れデファクト戦略では、賢いファイナルユーザーの目っていうのは関係ないし、あからさまに世間にアピールされるものじゃないから、相対的な注目度が下がって、競争の激しさが緩和されるのかな?


以上、二流大出のなんちゃって研究員の独りよがりなメモでした。

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Sunday, November 23, 2008

Catalytic Mitsunobu Reaction

前回のブログで光延反応についてメモしてたら、以前読んだ文献を思い出したので、ついでにメモします。

タイトルは↓

Organocatalytic Mitsunobu Reactions
J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 9636-9637.

この論文も、光延反応後の副生成物の除去に着目したものです。

具体的には、DEADが還元されて生成する1,2-dicarbethoxyhydrazineを化学量論量のPhI(OAc)2で酸化してDEADを再生することにより、DEADを触媒的に回して、除去し難いヒドラジン誘導体の生成量を減らし、精製を容易にしようしという論文です

ベストプラクティスは、0.1eq.のDEAD、2.0eq.のPhI(OAc)2とPPh3を使用したとき。

4-ニトロ安息香酸(1.1eq.)と2-フェニルエタノール(1.0eq.)との反応では、THF中、上述したモル比で試薬を作用させ、室温で16時間反応させることで、目的のエステルが収率90%で得られる。

で、ちょっと驚いたのが、DEADなしでも反応がある程度進行するということ(現在っていうか当時、メカニズムの解明中らしいです)。

この他に9例あったのですが、いずれも化学両論量のDEADを用いた場合より収率は低いのが残念です。

コンセプト的には個人的にけっこう好きですね。

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New Mitsunobu Reagent


←通勤途上のスタバでこんなのを発見して、そのレトロなデザインに惹かれて、つい買っちゃいました。」ただの水なんですけどね。

さて、こんな文献を読んでみました↓

Simplification of the Mitsunobu Reaction. Di-p-chlorobenzyl Azodicarboxylate: A New Azodicarboxylate
Org. Lett. 2006, 8, 5069-5072.

新しい光延試薬の話です。

光延反応はその立体特異的な反応から合成化学上かなり有用なツールであることに異論はないと思います。で、一般論として、副生成物として生成するヒドラジン誘導体とO=PPh3の分離が(スケールが大きくなれば大きくなる程)結構面倒です。上記課題を解決するために試薬をモディファイする研究がいろいろ報告されているような気がします(コンキチはあまりそういうのを積極的に読んだことはありませんが、大抵そういったことが枕詞になってる気がする)。

で、今回の論文は、アゾジカルボキシラート側をモディファイした試薬についての報告です。DEADやDIADが一般的に用いられるアゾジカルボキシラートと思いますが、本報でフィーチャーっしているのはDCAD (Di-p-chlorobenzyl azodicarboxylate)です↓


ウリは、
a) 室温で保管できる(安定なオレンジの結晶性の固体, mp. 108-110℃)
b) 副生するヒドラジンの除去が容易

というものです。

まず合成法ですが、こちら↓


1,2-dicarbethoxyhydrazineまでが84%。NBSによる酸化が98%。


2,6-dimethoxybenzoic acidとBnOHとの反応で、DEAD, DIAD, DCADを比較してみると(CH2Cl2, 1.0 eq. of BnOH, 1.1 eq. of Ph3P, 1.1 eq. of azosicarboxylate)↓

DEAD/ 94%
DIAD/ 89%
DCAD/ 92%

反応性的には、他の試薬と同等です。この他に九つの基質についてDCADとDEADを使って試していますが、収率はチョット良かったり、ちょっと悪かったりで、おしなべて反応性にそう相違はないようです。

あと、1,2-dicarbethoxyhydrazineの除去のし易さは、TLC (silica gel)でAcOEt:Hexane=1:1で展開してこんな感じ↓
DCAD→ Rf = 0.05 (major rotamer)
DEAD→ Rf = 0.37
DIAD→ Rf = 0.39

しかも、DCAD由来の1,2-dicarbethoxyhydrazineは反応後、反応液をCH2Cl2で薄めて濾過することで、66-82%回収可能だとか。

以上、メモでした。

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Water-Soluble Carbodiimide

←こんなジャンキーな食品を摂取してみました。

かなり刺激的で、パンチの効いた味わいで(っていうか、なかなかの辛さ)よいです。以前このブログで触れたSoup Stock Tokyoの酸辣湯もこのパンチの強さを参考にして欲しい(see http://researcher-station.blogspot.jp/2008/10/blog-post_11.html)酸辣湯とトムヤムクンじゃちょっと違うけどね。

さて、こんな文献を読んでみました↓
Mechanism of Amide Formation by Carbodiimide for Bioconjygatioin in Aqueous Media
Bioconjugate Chem. 1995, 6, 123-130.


水溶液中における
1-ethyl-3-(3-(dimethylamino)propyl)carbodiimide hydrochloride (EDC)↓


の話です。ちなみに、EDCはWSC (Water-Soluble Carbodiimide)とも呼ばれたりします。
cf. http://dominoweb.dojindo.co.jp/goodsr5.nsf/View_Display/W001?OpenDocument
溶ける溶媒: 水、アルコール、クロロホルム、アセトン、ジオキサン、DMF、塩化メチレン
溶けない溶媒: ヘキサン、エーテル

本報では、これまで(1995年時点で?)あまりサーチされてこなかった水溶液中でのEDCの挙動(pH、カルボキシル基とアミノ基の解離状態等の影響)について、深く掘り下げています。実験はカルボキシル基を導入したヒドロゲルとかのポリマーを使って行ってます。

で、EDCは↓
a) 低pHの水溶液中では即座に活性を失い、ureaになる
b) 中性から高pH領域では非常に安定(25℃、pH>6.54で少なくとも5 hrは大丈夫)
c) pH 3.5(カルボキシル基が解離していることが必要)-4.5といった比較的狭いpH領域で、カルボキシル基とよく反応する(また、過剰のEDCを用いなければ反応は起こらない。カルボキシル基に対して0.5eq.のEDCの使用ではカルボキシル基の変化はみられない)
d) EDCとヒドロゲルとが与えるプロダクトはpH 8以下で安定
e) 過剰のEDCを用いると、N-acylureaを副生する(PEG-COOHとPEG-COOHのカルボキシル基の30倍のEDCとの反応。PEG-COOHはMw=3000のpoly(ethylene glycol)dioglycolic acid)
f) PAAc(Mw=4×106のpoly(acrylic acid)のNa塩)とEDCとの反応により、水に不安定な酸無水物が生成しているようだ(PAAcの-COOHに対して<0.5eq.のEDC) って言う感じの性質があるそうです。 で、 ヒドロゲル(Noncyclizable carboxylic acid, Cyclizable carboxylic acid)とエチレンジアミンとの脱水縮合では、 a) Cyclizableの方が圧倒的にアミドの形成率が高い。
b) one step method (Gels were put in 100ml of pH 4.5 containing 0.1 M 1,2-ethylenediamine, 0.1 M acetic acid, 0.1 M NaH2PO4, and 1.0 g of EDC and keptat 25℃ for 30 min)とtwo step method (Gels were pretreated with EDC at pH 4.5 and 0℃ for 30 min, put in a mixture of pH 7.0 containing 0.1 M ethylenediamine and 0.1 M NaH2PO4, and kept at 25℃, for 30 min)では、one step methodの方がアミド形成率が高い。
c) Cyclizable Gelを用いたtwo-step methodにおいて、BnNH2との反応でpHが高いと反応が促進される。エチレンジアミンの場合は、pH依存に対する明確なトレンドはないが、おしなべてBnNH2より効率が良い。
d) Cyclizable Gelとエチレンジアミンとのone-step methodでは、pH 5周辺が最適pH
e) EDCとカルボキシル基との反応はpH 3.5-4.5。アミド形成はアミンがイオン化していないことが必要。で、この二つの相異なる要請の落としどころとして、pH 5が最適pHになるのではないかと推断
f) Cyclizable Gelとエチレンジアミンとのtwo-step methodによる反応で、アミド形成率は前処理時間に大きく依存。5 minで極大となり、その後の処理時間の延長は劇的な収率低下につながる。中間体が水溶液中で極めて不安定であることが示唆される(PAAcの場合と同様)。

あと、小分子のカルボン酸(マレイン酸、フマル酸)とエチレンジアミンとの反応では↓
a) 13C NMRから、コンバージョンは、マレイン酸>フマル酸(っぽい)
b) マレイン酸とエタノールアミンとの反応: 反応1 hrで、ca. 80%のアミド形成
c) フマル酸とエタノールアミンとの反応: 反応24 hrで、ca. 30%のアミド形成


上記実験結果から、著者らは以下のような反応機構を提案しています↓

あと、エチレンジアミンとBnNH2の反応性の相違については、アミド形成段階ではアミンがイオン化していないことが重要で、
エチレンジアミン: pKb1 6.85, pKb2 9.93 (25℃)
BnNH2: pKb 9.60 (25℃)
だからと考察しています。


今回は以上です。

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Saturday, November 22, 2008

中流の戦略 (4.5)

週刊東洋経済(2008年11月22日号)をパラパラめくっていたら、「転職先が決まってから今の会社を辞めなさい」と言う記事があって、

リクルート ワークス研究所の行った調査によると↓

a) 前の会社を退職した後に現在の転職先に内定した 71.9%
b) 前の会社の退職と同時に現在の転職先内定はほぼ同時だった 8.4%
c) 現在の転職先に内定してから前の会社を退職した 18.5%
d) 無回答 1.2%
(2004年度調査リクルート ワークス研究所 ワーキングパーソン調査)

だそうです。

まあ、上記調査結果は母集団がどれぐらいの大きさなのか分かんないし、調査対象は転職が成功した人だけみたいだけど、次の職を確保することなく会社辞めちゃう人がけっこういるような感じですね。中流の戦略としては下の下ですな。

i) 前職の職場を辞す時点で、退職給付制度の不利益を被り、
ii) 新しい職場での人間関係に対する不安
iii) カルチャー(企業風土)に対する不安
iv) 経済的(給与)な不安
v) 仕事が想定外かも


といったリスクをかなりの度合いで負わなければならないというのに、無収入のまま宙ぶらりんの状態になるというのは感心できませんね。

あと、転職先を決める際は、業界の特性(ヒエラルキー)や、会社の情報を充分鑑みることが肝要と思います。そうすることで、少なくともiv) 経済的(給与)な不安、v) 仕事が想定外というリスクは緩和されると思います。

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Sunday, November 16, 2008

中流の戦略 (4)

職業選択における情報の非対称性について書きたいと思います。

とりあえず、就社に際してパッと思いつく情報の非対称性が存在する部分を列挙してみます↓

a) 賃金体系•賃金水準
b) カルチャー
c) 配属先
d) 人間関係
etc

すぐに思いつくのはこんなところです。では、上から1つずつ、少しでも情報の非対称性を緩和する術を考えてみます。

ます、
a) 賃金体系•賃金水準
賃金体系(成果主義か能力主義か年功序列かとか)については、はっきり言ってその詳細をアウトサイダーが派秋巣のは極めて困難でしょう。ただ、プレジデントとか週刊東洋経済とか週刊ダイヤモンド、読売ウィークリーといった大人の娯楽誌に特集が組まれることがあるので、有名企業については参考のなるかもしれません。
で、次に賃金水準ですが、上場企業とか有名企業については次に挙げるデータソースからある程度のことを知ることができます↓

1) 有価証券報告書
平均年収、平均年齢、平均勤続年数、労組の有無、退職給付制度を確認できます。

2) 企業のWeb Site
リクルートのページで初任給とか、福利厚生制度とかを確認できます。

3) Webサイト
平均年収ランキング-年収プロ
上場企業のセクター毎の平均年収のランキングが見れる。あと、過去5期分の「従業員数」、「平均年齢」、「勤続年数」、「平均年収」も表にまとめられています。それから、有報の「従業員の状況」の抜粋データをWord文書でダウンロードできます。

それから、個人の投稿によって職種毎の年収が垣間見えるサイト↓
年収インフォ
給与明細教えて!職業・業種別給料明細 年収いくら?
データソースが個人の申告なので、信憑性には疑問が残ります。

4) 業界に注目
セイラー教授の行動経済学入門」に書いてあったと思うけど、均等性に引きずられて産業間賃金格差が形成されるというのがあります。
セイラー教授の行動経済学入門

どういうことかというと↓
i) 経理とか人事部門ってどこの会社にもある職種
ii) 業界によって給料(平均賃金)に大きな隔たりがある。例えば、大手民放とか銀行とか大手証券は平均年収1千万超だけど、ゴム製品セクターとかバス会社とかは給料が安い。
iii) で、本質的に経理とか人事の仕事ってどの業界でも大きな違いはないと思うけど、その給料には隔たりがある。同じ職種であっても、高賃金セクターで働く人の方が低金銀セクターで働く人より給料がよい。
iv) ちなみに労働組合は、業界横並び的な要求をすることが多いように思う。っていうか、業界ごとに団体がある。例えば、自動車総連、電機連合、日香労連とか。

っていう感じで、給料設定にはある種のバイアスが存在するので、人生における身の振り方には気をつけた方がよいでしょう。例えば、コンキチのように有機合成を生業にする人間の場合、製薬業(医薬品)が圧倒的に給料が良いと思います。次は、大手化学メーカーとかかな。あと、平均年収ベースでは香料会社も悪くないです(ぬるい環境だし)。


b) カルチャー
はっきり言って、カルチャーは、基本的にリスクとしてうけいれなければならないと思います。
まあ、カルチャーを知る術として、例えば、MyNewsJapanというサイトがあります。で、その中では(元)社員のインタビューから仕事内容(やりがい?)や給与水準、WLBなどが記述されていますが、鵜呑みにはしない方がよいでしょう(参考になる部分も多分にあると思いますが)。っていうか、そういうことを外部にペラペラ喋る人って、社内で評価されていない人である可能性が高い。そういう人のインタビューにはある種のバイアスがかかっていると考えた方が良いと思います。
あと、コンキチはやったことありませんが、OBの話を聴くことは、ある程度ざっくばらんな話を聴けそうで、そこそこ有効かと思います。
それから、雑誌や書籍にも企業のカルチャーに関する記事が載っていたりします。例えば、11/18号のSPAでは、京セラの宗教チックなカルチャーが紹介されています(まあ、企業っていうのは多かれ少なかれ宗教チックなところがあると思いますが)。書籍としては、内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)とか若手行員が見た銀行内部事情 (アルファポリス文庫)(多分、みずほ銀行の話)、ソニー本社六階(ちなみにまだ未読)とかトヨタの労働現場―ダイナミズムとコンテクストとかがあると思います。ただ、もう会社を辞した人間の書ということで、ある程度のバイアスがかかっている事を考慮し幾分差し引いて読むべきと思います。





c) 配属先
教員とか、吉野屋のバイトとか、そういった職種なら配属先は決まっているでしょうが、内資系企業の新卒採用の場合は、ブラックボックスと思います。特に、大企業になればなるほど、事業所や部門の数が増えるので、予想は困難となると思います。ただ、大企業でも、大卒でMRになりたいなんていうのえあれば、その通りになるかもしれないと思います(自分、MRやったことないのでイメージです)。
ただ、転職市場においては、募集職種が公開され、それに基づいて採用活動が実施されると思うので、採用されれば対象職種での仕事が待っているはずです。

d) 人間関係
予見することはほぼ不可能でしょう。そもそも、部署毎に人間関係を全て網羅することは無理。しかも、人間関係情報に基づいて配属先をコントロールすることも不可能でしょう。道を歩いていて車に轢かれるのと一緒です。ただ、大きな組織(大企業)ほど、多くに事業所や部署、人員を抱えているので、異動という手段を行使して問題となっている人間関係から逃げ出すことができる可能性が高まると思います。
逆に小さい企業だと、異動は完全なるキャリアの断絶を意味し、人間関係からは逃れたけど、仕事的に納得できない事態に追い込まれるかもしれません。そうなった場合に転職という選択肢が出て来るかと思いますが、転職に係る自分の能力的問題に加えて、転職先の情報の非対称性とも格闘しなければならなくなると思います。


以上、コンキチの思うところを徒然なるままに書き綴ってきましたが。中流の戦略の最もファンダメンタルな基盤となる勤務先を選択する上で、上述した内容を時間をかけてチェックすることは重要と思います。特に、どんな業界に進むかということを考慮するのは早いほうが良いでしょう。例えば、ノーベル賞化学者級の研究者になりたいというのであれば、少なくとも所謂理系を選択しなければなりません。
また、高級官僚になりたいというのであれば、少なくとも、旧帝大とかそれに準ずる大学に入学することが重要と思います。なので、そういうことを実現できる学習を実施しなければいけない。


コンキチが就活していたころ(1998年)にまだ難しかった情報の入手が、今はインターネット経由で簡単にできます。っていうか具体的には有報をはじめとするIR資料のことを言っているのですが、そういった資料にあたることで、業界の特異性(給与水準とか、業界を取り巻く環境とか)とか、収益性、安定性が見えてきます。
もしあなたがサラリーマン人生を全うすることで中流の戦略を実行するのなら、就社の選択は最も重要です。仮に大卒で就社して定年(一応60歳)まで勤め上げるなら、約38年間を会社を基盤とした経済活動により生活を維持していくことになります。途中でいやになったら転職すればいいさという人もいるかもしれませんが、退職給付制度の観点からは100%不利になること請け合いです。また、転職するに際しても情報収集して企業研究しないといけない。
まだ、比較的時間に余裕のある学生時代にみっちり有報や(ちゃんとした)経営学の本を読んで業界研究することは、豊かな中流生活を歩む上で重要と思います(なので、そういったことを怠って、安直に就活していたコンキチは後悔いています)。


中流の戦略 (5)に続く

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Monday, November 10, 2008

表層と核心の狭間で

週刊東洋経済で、内側から見た富士通の著者、城繁幸氏のコラム「だから若者は幸せになれない」の連載があります。

で、その第44回 格差問題の本質(1) 「変われない日本 それが格差を生む」というのの中にこういう記述があります↓

理解に苦しむのは、格差の拡大を小泉改革に負わせようとする論調が少なくないことだ。事実は、非正規雇用の拡大は小泉内閣以前の92年ごろから始まっている。こうした誤認も変化を恐れる思考回路から来ているのかもしれない。

コンキチは城氏の言っていることを確認したわけではないですが(面倒くさいからね)、当たってると思う(なんとなく)。

人は、たとえ時系列的の整合性がなくても、因果を印象的な事象に結びつける傾向があるのかなと思う二流大出のなんちゃって研究員なのです。

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Sunday, November 9, 2008

Selective desymmetrization

←最近、富乃宝山を呑んでます。多分、フェアバリューで購入できました(1,500円で買った)。
西酒造も事故米騒動に巻き込まれて大変と思いますが、頑張って欲しいです。コンキチは応援します。

ニューウェーブ系の富乃宝山。死ぬ前に一度呑んでみた方が良いでしょう。


さて、こんな文献を読んでみました↓
対称ジエステルの実用的な選択的モノ加水分解反応-現状と展望-
Highly Efficient and Practical Selective Monohydrolysis of Symmetric Diesters: Recent Progress and Scope
有機合成化学協会誌 Vol. 66, No. 10, 2008

対称エステルの高選択的モノ加水分解によるハーフエステルの合成です。で、例えばこんな↓反応なんですが、

1) NaOH pellets (1eq.), MeOH, r.t., 60-70min, Yield < 10% (yellow, paste-like) 2) THF/aq. NaOH (2eq.), 0℃, 60-70min, Yield quant. (white solid) という結果になるそうです。軽く驚きです。過去に同様の報告例もなしだとか。 この反応の発見は、プロセス開発というのが目的ではなく、教育目的でごく少量のハーフエステルを少しでも楽に得たいという思いから、偶然発見されたのだそうです。 ref.
J. Org. Chem. 2000, 65, 5834.
Chemical and Engineering News, 2001, January 22, 90.

以下に本反応のメモを少々↓

a) 基質
エステルユニットの疎水性の増加に伴い、加水分解されにくくなる。
ref. Tetrahedron Lett. 2000, 41, 10163.


b) 溶媒効果
THFと水の比率が重要。上記schemeの反応における実験操作は、1.2 mmolの基質をTHFに溶かし、total 22mlとなるように水を加え、氷水浴下で塩基を加えるというもの。

THF%(v/v), Reaction time, Isolated yield, Rate constant (L•mol-1•s-1)
73%, 8 h, 88%, 3.26±0.02×10-3
60%, 6 h, 30 min, 81%, 6.06±0.12×10-3
47%, 5 h 20 min, 84%, 1.10±0.02×10-2
33%, 3 h, 90%, 2.06±0.23×10-2
20%, 70 min, 94%, 2.56±0.06×10-2
7%, 70 min, >99%, 4.70±0.02×10-2
3%, 70 min, >99%, 4.81±0.10×10-2
0%, 70 min, >99%, 4.59±0.07×10-2

反応速度に及ぼすTHF比率の効果が大きい。あと、THFの割合が20%以上に増えた時には、しばしばゼリー状の水和物が生成し、撹拌•抽出が困難になることがあったそうな(ref.Chemical Engineering Science 2001, 56, 4747.; J. Chem. Eng. Data 2005, 50, 2058.)。

Solvent-freeで高収率っていうのが興味深いです。


THF以外のの溶媒では↓

反応条件は、co-solvent (2 ml)-water (20 ml)ね。
Co-solvent, Yield, Rate constant (L•mol-1•s-1)
THF, >99%, 4.70±0.02×10-2
CH3CN, >99%, 4.85±0.40×10-2
MeOH, 90%, 3.73±0.50×10-2
EtOH, 86%, 3.48±0.06×10-2
2-PrOH, 88%, 3.29±0.02×10-2
CH2Cl2, 9%, 8.60±0.27×10-4
None, >99%, 4.59±0.07×10-2

で、著者の考察↓

当初はこの反応が、一般によく報告されている二相反応のように有機溶媒と水との二相反応と想像したが、この仮説は間違いであり、この条件では少量のTHFは水に溶けていて単一相をなしており、そこに有機分子であるジエステルが第二相として反応に参加したものと思われる。THFはジエステルが反応系によくなじむのに寄与しており、これは原料のジエステルが固体である場合は、はじめにTHFに溶かしてから反応を行えるという利点にもなる。

また、著者は、

この溶媒でる水への馴染みにくさが原動力となってdesymmetrizationが起きるには、筆者が気づいた限りでは図らずも本反応が最初の例の1つである。

と述べています。

c) 塩基の効果

上記schemeに反応では、

Base (2eq.), Reaction time, Yield
LiOH, 60-70 min, >99%
NaOH, 60-70 min, >99%
KOH, 30-40 min, >99%
CsOH, 30-40 min, >99%

僅かにKOHとCsOHがLiOHやNaOHよりも反応性が高いという程度。

ref. Bull. Chem. Soc. Jpn. 2005, 78, 498.


基質にdimethyl glutarateを用いると、

反応性: KOHとCsOH > LiOHやNaOH
選択性: KOH > CsOH > NaOH ≥ LiOH

d) 温度効果
反応温度の上昇に伴い(Base 2eq.)、ジカルボン酸の生成が増加。選択性を保つために、0℃近辺の低温を保つことが必要。

e) Monohydrolysis of malonic acid diester
基質、塩基の種類•量を変えて検討しています。塩基の量は1 eq.前後でベスト•プラクティス
ref. Tetrahedron Lett. 2008, 49, 4434.

あと、実用的な大量合成にもTRY↓

基質濃度を上げ、CH3CN-H2O系、KOH (1eq.), 0-4℃で反応を行い、蒸留して、158.3 gのDimethyl malonnateから対応するハーフエステル114.8 gがGETできるそです(81% yield)。


f) その他
コハク酸ジメチルやアジピン酸ジメチルのモノ加水分解にも有効で、ノルボルネンやその炭素-炭素二重結合を還元した基質のトランスジエステルでは、exo選択的に加水分解が進行する。

ref.) Tetrahedton Lett. 2003, 44, 8567.


凄くシンプルな反応で、これまでに研究がやりつくされている気がしていたのですが、凄い成果と思います。注目と賞賛に値する仕事と思いました。

何事も再考する姿勢が重要と思い直す、二流大出のなんちゃって研究員なのでした。

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ブックオフオンライン

先日、書店の前を通りかかったら、東野圭吾のガリレオシリーズの新作

ガリレオの苦悩
聖女の救済



が平積みされていました。で、我慢できずに買っちゃいました。

感想なんですが、短編集の「ガリレオの苦悩」はあいかわらずの切れ味の鋭さが光ってます。それから、長編の「聖女の救済」なんですが、なかなかの白眉的作品と思いました。自分、「容疑者Xの献身」はトリック的にはかなりの衝撃をうけたんですが、犯行の動機に気持ちがイマイチはいりこめませんでした。でも、今回のは良いです。あと、刑事コロンボ的で、いいですね。


さて、本題にはいります。


先日、ブックオフのリアル店舗に行って買い物をしてきました。で、コンキチがセレクトした中古本とともにブックオフオンラインのチラシがブックオフの買い物袋の中に入っていました。よくよく調べてみると、2007年8月からやってるんですね。完璧に気づいてませんでした。

当初、コンキチはブックオフのECビジネス参入にちょっと懐疑的でした。というのも↓

a) 送料はそうするのか?アマゾンのマーケットプレイス並みの送料をとってたら、商品の割安感がなくなり、ビジネスとしてなりたたないのではないか?
b) 在庫管理はどうするのか?リアル店舗との連携は、オペレーションを複雑化し混迷がもたらされるような気がする。
c) 中古商品をメインにオンラインで販売する場合、品揃えが充分ではないのではないか?アマゾンのマーケットプレイスはあくまで補完的ビジネスだと思う。

こんな懸念があったからです。

でも、不安はかなりの程度払拭されました。何故なら↓

a) 1,500円以上の購入で送料無料
b) 当面は、リアル店舗との連携は行わない(困難さを認識している)
c) 新品の販売も同時に手がけ、シリーズ本の欠品を補完できる。


ブックオフの知名度は既にかなりのものがあるし、ECビジネスはけっこいういけるかもしれないと感じました。特に、新品の販売も手がけるというのが良いと思います。

後付けになりますが、コンキチは以前、知財関連の研修に行って、ワークデザインのレクチャーを受けたのですが(see http://ameblo.jp/researcher/entry-10025923186.html)、そのとき書籍販売ビジネスを勝手に機能展開して、中古本と新品を一緒に販売するというのを考えました。で、それを実現できるのは中古書籍市場を牛耳っているブックオフしかいないと思っていました。でも、新品書籍の流通ってなんかお約束がありそうだし、リアル店舗で新品と中古を販売する場合、ある種の工夫が必要(棚を2段にして、上段をビニーオルでパッキングした新品、下段を中古にするとか)で、オペレーション効率を悪化っさせたり、逆に顧客の利便性を損ねることにつながる可能性とかもあって、簡単ではないのかなあぐらいに考えていました。あと、新品の万引きリスクはいたいかもとか。

オンラインビジネスでは、万引きリスクは解消するし、ユーザーの利便性は損なわれない(中古品の陳列スペースが少なくなるとか)。重要なのは、顧客の元に届く中古品の品質の擦り合わせの方法を確立し、顧客との間に信頼を築くことだと思います。

今後の展開に興味津々の二流大出のなんちゃって研究員なのです。

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